お茶の間 de 映画
楽天広場blogのHappy? おちゃのま*しねま の記事の保存庫です。
よろしかったら母屋に50音順リストやBBSもありますので、遊びにいらしてくださいな♪

2004年09月30日(木) 「女はみんな生きている」 タフな女性陣が世のサイテー男どもにドロップキック!スリリングでスピーディ、面白いよ。

女はみんな生きている【CHAOS(大混乱)】2001年・仏
★セザール賞最有望若手女優賞(ラシダ・ブラクニ)
監督・脚本:コリーヌ・セロー 
撮影:ジャン=フランソワ・ロバン 
編集:カトリーヌ・ルノー
音楽:リュドヴィク・ナヴァール
 
出演:カトリーヌ・フロ(エレーヌ)
  ラシダ・ブラクニ(娼婦ノエミ(マリカ)
  ヴァンサン・ランドン(エレーヌの夫、ポール)
  リーヌ・ルノー(ポールの母)
  オレリアン・ウィイク(エレーヌの息子、ファブリス)
  ハジャール・ヌーマ(マリカの妹、ゾラ)
  イヴァン・フラネク(ポン引き、トゥキ)
  ヴォイチェフ・プショニャック(売春組織の元締め、パリ)
  クロエ・ランベール(ファブリスの恋人その1)
  マリー・ドナルノ(ファブリスの恋人その2)

ストーリー用ライン


高級アパルトマンにお住まいの夫婦、エレーヌとポール。
パーティに遅刻しそうでバタバタと身支度を整え車で出発した。

裏通りにさしかかると、血まみれの若い女性が血相を変えて飛び出してきた!轢きそうになって慌てて車を止めたポールだが、目の前で3人のチンピラに無惨に殴る蹴るの暴行を加えられている女性を見捨て、ドアをロックしてしまう。

女性は道ばたにボロ布のように動かなくなった・・・。
チンピラが逃げると、ポールは車を降り、彼女を助けるのではなく、ティッシュで血まみれのフロントガラスを拭きだした。
エレーヌはあまりの残忍な光景にパニック状態で救急車を呼ぼうとすると、「面倒ごとに関わるな!!」と夫に一喝されてしまう。

そして何事もなかったのようにオート洗車場で血を落とし、パーティへ・・・・・・・。

翌朝、アリのように忙しい夫妻。
そこへ呼び鈴が。夫の母が遠くからはるばる息子に逢いにやってきたというのに、ポールはトイレに隠れる。
寂しそうに帰る老母。
だが老母は見ていた。息子がこそこそ走り去るのを・・・。

昼、エレーヌは、大学生になり恋人と同棲しはじめた息子ファブリスにやかんを届けに行くと、カエルの子はカエル。
息子は風呂場に隠れ、ひきつった顔でドアを開ける恋人。
カフェから、息子がこそこそ走り去るのをエレーヌは目撃。

だが、今エレーヌの頭を支配しているのは、ムカつく夫や息子のことではない。
忘れられない・・・・昨夜の女性はどうなっただろう。
見殺しにしたのだ。悪夢にうなされ眠れない・・・。

エレーヌは家事も仕事もすべて放棄し、パリ中の救急病院を当たり、日曜に重傷で運ばれた名前も知らない彼女を捜し出した。

目を背けたくなるほど無惨な姿のあの女性が昏睡状態でベッドに
横たわっていた・・・。名前はノエミ。警察によると娼婦だそうだ。
心肺停止になり危篤に陥ったノエミを、友人として家にも帰らずつききりで看病するエレーヌ。

警察には、散歩中に目撃した、と偽り車をロックして見捨てたことは言わなかった・・・。

その頃、自宅では何もできない無能な夫と息子がパニックになっていた。夫はアイロンひとつかけられない、食器も洗ったことがない。息子は二股かけていた2人の恋人と一悶着おこし、アパートから逃げて家でゴロゴロしている。

病院なので携帯の電源も切ったまま。
「アイロンをかけに家に戻れ!」と留守電を残した夫にブチ切れるエレーヌ。

ノエミは、エレーヌの祈りが通じたか、一命を取り留める。
まばたきひとつしないノエミに必死で語りかけ、脚をさすり、
介護を続けるエレーヌ。
やがて、足の指がぴくりと・・!

ある時、彼女をつけねらう何者かが病室に・・!!

助けなきゃ、今度こそ、絶対にノエミを守らなきゃ!!
エレーヌは知力と腕力を振り絞り、チンピラその1をやっつけた。

だが、ノエミはただの売春婦でもなく、相手もチンピラレベルではなかったのだ・・・・・。

フランスの売春業界を牛耳る巨大組織のボスと、アルジェリア人のやせっぽちの娼婦との間にいったい何が??

暴漢の手からノエミを奪還したエレーヌは、まず夫の母の元へ逃げ込んだ。
あれほど注意してくれと言ったのに、2度も暴漢の侵入を許し、ついには拉致にも気づかないような病院はもう信用できなかったのだ。

老母は歓迎してくれ、静かな田舎で養生するノエミ。
やがて声も取り戻したノエミは、ことのいきさつを話はじめるのだった・・・。

その頃、病院ではノエミが消えたと大騒ぎ。
連れ出したのは叔父と名乗る男2人だったが、エレーヌも行方不明だ。

警察は、消息を絶ったエレーヌを誘拐犯として捜索しはじめる。

ノエミの過去とは。彼女は何故狙われるのか。そして何を企んでいるのか。
エレーヌはこの先どうするつもりなのか・・・・・?

ノエミとエレーヌ、二人三脚の復讐が始まる!!


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コメント用ライン


邦題で嫌悪感抱いちゃう人多そうだなぁ。
ウーマンリヴ映画でもないし、男をバカにして面白がる映画でもない。

この映画に出てくる女すべてが格好良くてキレものばっかりじゃない。看護婦はお菓子バリバリ食べながらお喋りに夢中で不審者に気づかないし、エレーヌの息子のガールフレンドたちも、男を見る目はないわ、常識ないわ、頭からっぽ尻軽ギャル。
まぁ、サイテー彼氏に見きりをつけて女同士結託してしまうあたりはタフだとは思うが。

だから、一言で「女は」とまとめないでほしいんだな。
この邦題はそれがよくない。

カオス、混沌、大混乱。
あの事件があってから、それまでピシィっと折り目がついて皺1つなかったブルジョワマダムのエレーヌの人生は、ぐしゃぐしゃしっちゃかめっちゃかになる。エレーヌ自身がコボすように、「私の人生、もうカオスだわ」原題はそこから来ている。

逞しい女性たちを描いた映画の佳作は今までにも幾つかある。
『マグノリアの花たち』『フライド・グリーン・トマト』『オール・アバウト・マイ・マザー』などがそうだ。
もっともっと、精神的にタフな女性たちに逢いたくなったら、
これらの作品をご覧いただきたい。

セックスももうこりごり、男に縛られず自由に生きるのよ、
と穏やかな表情の4人の女性。
なぜ、“彼女”の顔が最後に長くアップになって終わるのか。
主役ではない彼女の、あの表情、私はちょっとドキっとしたのだ。

だって・・・。
一番若く、一番未来があって、まだ傷もごく小さいゾラではなく、
一番老いて、一番長い時間、やんわりと鈍い痛みを、痛みだと認識もきっとせずに味わい続けてきた彼女の瞳はなんだか・・・。

でも、笑っていたよね。

スリリングなブラックコメディ。男性陣のダメっぷりが誇張されて
描かれているけど、コメディなんだからこのくらい強烈でいい。

そういう可笑しみが、あまりにも凄惨すぎて目を背けたくなるほど気の毒なノエミの境遇で、物語がダークになりすぎるのをくい止めている。バランス感覚に長けた作品だと思う。

突っ走っているようでいて、そうでもない。
ゾラと姉とのやりとりあたりに、そういう繊細さが伺える。
親兄弟を含め、憎しみしか男に持てないほど傷を負ったマリカ。
姉の地獄のような日々を知らないゾラは、家族への愛を語る。
だが、愛を行動で示した姉に、ゾラはついてゆく。

これだけやや疲労感をともなうほどスピーディな展開でありながら、ポイント、ポイントで話が安直な方向に流れないような仕掛けがちゃんとあるのがいい。

母、妻、女、娘。
世代も立場も違うけれど、事件を通して強い絆で結ばれた4人。
互いの傷を舐めあうような生き方には決してならないだろう。
支え合って、自分の足を引っ張る茨を断ち切り、行きたいところへ
行ける。

映画は、男なんて不幸の素!と周囲の男たちに回し蹴り入れて
スッキリw という感じで終わってゆくので、今まで男に酷い目に
合わされた経験がある女性には、ものすんごく痛快なんじゃないだろうか。

地球にゃ男と女しかいないのだから、仲良くいきたいねぇ。
ま、逆に考えれば、2種類しかいないってことは、人類が続くかぎり、食うか食われるかの争いは続くのかもしれない。

なんてごちゃごちゃ考えるスキを、映画はくれない。
字幕だと、回想シーンは特に映像も速いので、かなり動体視力を要求される(笑

ラシダ・ブラクニの圧倒的な存在感と、巨大な目はインパクト大!
くわっと見開いた目には、ヘタなホラーよりビビりました。




2004年09月29日(水) 「セイ・エニシング」 とても丁寧で品のよい青春映画。“何でも話して” 大切な人には。そして受け入れて。

セイ・エニシング【SAY ANYTHING】1989年・米
監督・脚本:キャメロン・クロウ 
撮影:ラズロ・コヴァックス 
音楽:リチャード・ギブス/アン・ダッドリー 
 
俳優:ジョン・キューザック(ロイド)
  アイオン・スカイ(ダイアン)
  ジョン・マホーニー(ダイアンのパパ、コート氏)
  リリ・テイラー(ロイドの親友、コリー)
  エイミー・ブルックス(ロイドの親友、D.C.)
  ジョーン・キューザック(ロイドの姉、コンスタンス)
  ローレン・ディーン(コリーの元恋人、ジョー)

ストーリー用ライン


高校の卒業式を目前に控えたロイドは、勉強の成績は今ひとつだが、その人柄の良さゆえに、いい友人たちに囲まれ、担任にも信頼されていた。進学を決めないことで担任を心配させてもいたが・・・。

彼には夢があった。キック・ボクシングに夢中な彼は、その道で
身を立てたいと真剣に考えていた。
現在は、子供たちに道場で教えて収入を得ている。
シングルマザーで頑張る姉のコンスタンスと、姉の幼い息子と3人で暮らす日々・・・。

そんなロイドはいい人すぎて男として見られないのか、モテたためしがない。親友と呼べる女友達なら何人もいるけれど。

ロイドは目下、卒業生代表という優等生の箱入り娘、ダイアンに
くびったけだ。
親友のコリーたちに、ダイアンに告白する!と宣言し、呆れられる
のだった。

口から心臓が飛び出しそうな思いで電話すると、ダイアンは意外にもあっさりと卒業パーティに同行することをOKしてくれた!

ダイアンは、老人ホームを経営する裕福で温厚な父に、男手ひとつで蝶よ花よと大切に育てられたお嬢様。
優秀な彼女は、英国の一流大学への留学が決まっていた。
才色兼備の彼女は、だが孤独だった。近寄りがたいと皆が避けてしまうからだった。
でも、ロイドに連れ出されたパーティで、ダイアンは皆と打ち解け、楽しい時間を過ごす。
ダイアンは気だてのよい娘で、少しもお高くとまったところがなく、父の老人ホームでお年寄りの介護を熱心に手伝う優しい娘なのだ。

パーティで、皆に慕われ邪気のない笑顔を見せるロイドに、ダイアンも心惹かれてゆくのだった・・・。

ゆっくりと、ゆっくりと、2人の距離は縮まり、愛が深まってゆく。

だが、自慢の1人娘が、好青年なのは認めるにしても、進学予定もなく、家柄がよいわけでもない貧しい青年に心奪われてゆくことに、不安と不満を隠せないダイアンの父・・・・。

ダイアンも父の期待に応えるべきだろうかと苦悩する。
少し・・・ロイドから距離をおいてみようとするダイアン。
そんな煮え切らない彼女に苛立ち、やりきれなさに荒れるロイド。

悩むダイアンに、追い打ちをかけるような事件が。
根っからの善人だと信じきっていた父に、耳を疑うような嫌疑が
かかったのだ。
父を信じたい一心で国税庁を訪れるダイアンだが・・・・。


セイ・エニシング


コメント用ライン


ジョン・キューザックのファンにはたまらない作品。
ラブコメは苦手だが、この作品はコミカルなシーンはあっても、
コメディではない。
ものすごく真剣に、大人への道を、自己の確立を模索する若者2人と、娘を溺愛するあまりに人の倫をふみあやまってしまう哀しい親心を、とても丁寧な筆致で描いている。

キャメロン・クロウ監督も、まだ若かった。
でも、その青さが良いほうに影響しているようにも思うのだ。

丁寧すぎるほど丁寧な感情の描き方。
セリフ以上の演技ができる俳優、ジョン・キューザックとジョン・マホーニーの演技力に頼り切った感はあるものの、本来、脚本はそのくらいがいい。

この映画を、ありきたりな安っぽい青春ラブストーリーに堕とさなかったのは、ヒロインのアイオン・スカイの持つ雰囲気によるところが大きいように思う。

理知的で気だてのよい世間知らずのお嬢さんというのは、服装や髪型だけでは絶対に表現できない。
知的な瞳にあどけなさの残るふっくらとした頬。
スポーツやビーチに無縁の勉強漬けの高校時代を過ごしたのが一目でわかる、色白のふっくらとしたぽっちゃり気味のスタイル。

アイオンは演技力や表現力にやや欠けるが、この映画ではそれを要求されるのは男性陣2人なので、バランスとしてはよかったように思うのだ。

誰しも、愛する男か父親か選ばねばならないときが、娘には来る。
誰しも、愛する女か自分の将来かを選ばねばならないときが、青年には来る。

その選択が不要であったり、悩みの深い浅いは個人差があっても、
かなり普遍的なテーマじゃないだろうか。

あれほどの才女で、初体験の感想を、小論文の口述試験のように
父親に理路整然と述べるシーンには苦笑。
でも、コトバでは表現できても、行動できない頭でっかちのダイアン。

逆に、コトバが足りないけれど、ひたすら行動で愛を示そうとする
ロイド。マヌケでも、ラジカセをアタマの上に掲げてラブソングを
なんとか聴いてもらおうと立ちつくすロイド。

父は娘に“Say Anything.”そう言いながら娘の告白にショックを受ける。
娘も父に“Say Anything.”そう言いながら、自分の耳を信じたくない。

このタイトルは、原題、邦題ともにいい。
「どんなことでもすべて話して」
話させたら、受け入れねばならないのだ。
互いに受容できなかった親子の間にできた痛々しいクレバス。

それを埋めようと手を差し伸べるのは、相手のすべてを
受け入れること、そして許すことが愛だと知っている青年だった。

初めてのデートに誘う電話。
初めてのキス。
初めてのセックス。

今、青春まっさかりの若い皆さんにはもちろん、
ドラッグや犯罪の出てこない純粋で甘酸っぱい青春映画を懐かしみたい、かつて若かった皆さんにも、是非オススメしたい映画だ。

脇役陣もとてもオイシイ。
今やすっかり、“変人役なら任せて”なキワモノ女優街道まっしぐらのリリ・テイラー、この頃からすでにもう半壊。
中島みゆきもびっくり状態で酔って弾き語るコリーに、そりゃ彼氏のジョー、逃げるわな、と気の毒ながら笑ってしまう。

そして、キューザック一家の中でもズバ抜けているジョン&ジョーン・キューザック姉弟を同じ画面内で観られるのも珍しい。



2004年09月28日(火) 『トリプルX』 ワル出身の正義の味方ってのが斬新。しかも個を保った公人だ。ニュータイプのヒーロー参上!

トリプルX【XXX(ハードコアポルノの俗語だけども、本作では三振アウトも意味してる)】2002年・米
監督:ロブ・コーエン 
脚本:リッチ・ウィルクス 
撮影:ディーン・セムラー 
編集:クリス・レベンゾン/ジョエル・ネグロン/ポール・ルーベル
音楽:ランディ・エデルマン 
主題歌:イヴ 
歌:オービタル/DMX/カシーム・ディーン/ジェイ=Z
ギャヴィン・マグレガー・ロスデイル
 
俳優:ヴィン・ディーゼル(ザンダー・ケイジ)
  サミュエル・L・ジャクソン(国家安全保障局、アウグスト・ギボンズ)
  アーシア・アルジェント(ヨーギの女、イレーナ)
  マートン・ソーカス(アナーキー99のボス、ヨーギ)
  ダニー・トレホ(コロンビア麻薬王)
  リッキー・ミューラー(プラハ警察、ソーヴァ)
  トム・エヴェレット(ディック・ホチキス上院議員)

ストーリー用ライン


プラハ。国際的テロ組織“アナーキー99”の極秘調査にあたっていたアメリカ国家安全保障局(NAS)のエージェント(何故かタキシードで007気取りなのが笑える)が任務に失敗、射殺された。

死ぬ直前にエージェントが送信してきたデータにより、アナーキー99は旧ソ連の生物化学兵器を秘密裏に開発しているらしいことがわかった。だが、これだけでは情報価値がない。

連中は旧ソ連軍くずれで、素人じゃない。アメリカの諜報エージェントの手のうちはすっかりお見通し、すぐ身元がバレてしまう。

業を煮やしたNASのギボンズは、発想の転換が必要だと考えた。
毒には毒を。ワルにはワルを。
正規の訓練を積んだエージェントではなく、諜報にはズブの素人でも、度胸があって身体能力に優れた札付きのワルに潜入捜査を
させよう、というわけだ。

強面の根っからの不良なら、政府側の人間だと気づかれまい。死んだら死んだで使い捨てでOK、というわけだ。

数人が逮捕歴からリストアップされる・・・・。

候補者の1人、ザンダー・ケイジは他人を殺傷するタイプの犯罪者じゃないが、体制なんざクソ食らえ!のアナーキスト。
ラップやゲームは禁止すべきだと提唱するホッチキス議員のコルベットを白昼堂々、本人の目の前で盗み、川へ車ごとダイブ!
な〜んてコトも。

その映像をアングラで流し、彼は知る人ぞ知る凄腕エクストリーム・スポーツ(?)“Xゲーム”のカリスマとしてアナーキーな若者たちを魅了していた。

超人的身体能力、瞬時の冷静な判断能力、反射神経。
そんな彼に目をつけたのは当然ともいえる。

無理矢理睡眠薬で拉致され、命がいくつあっても足りない“テスト”に合格し、NSAにスカウトされてしまったザンダー。

反体制主義のザンダーが、はいそうですか、とのこのこリクルートに応じるはずもない。全身全霊、アメリカ星条旗に捧げているギボンズに嫌悪感を隠さないザンダー。

だが、ギボンズのほうが上手であった。
ザンダーが今までに犯した罪のうち重いものが3つ。
つまり俗にいう三振アウト、逮捕されればもれなく死刑。

凶悪犯専門の刑務所で死刑を待つか?
それとも一仕事して、あとは自由の身がいいか?

かくして、12時間後、ザンダーはプハラにいた。

プラハ警察と協力してコトにあたるのだが、担当の警部は内政干渉だとすこぶる機嫌が悪い。

とにもかくにも、アナーキー99の幹部が夜な夜な出没するという
ナイトクラブに顔を出すザンダー。
警部をムシして強引にアナーキー99の幹部に接近する。

なにしろ、全身にバリバリ入れたゴツいタトゥー、不敵な面構え、
まぁサツには見えない。
しかも、ボス、ヨーギの弟がXゲームのカリスマ、ザンダーのファンだったのが幸いし打ち解けるが、プラハ警察がドジを踏み、
窮地に追い込まれるザンダー!

アブナい橋を渡りつつ、核心に近づいてゆくザンダー。
だが、ヨーギの女、イレーナが挙動不審だ・・・・。
目当ては組織の金か?それとも・・・・。

イレーナに関わったおかげで正体がバレてしまうザンダー。
ギボンズは帰国命令を出すが、命令なんかまっぴらじゃぁぁ!!

さて、アナーキー99はいったい何を企んでいるのか。
ザンダーはテロリストから世界を救えるのか!?


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コメント用ライン


『ワイルド・スピード』でヴィン・ディーゼルを観て、おお、
白人で、ワルでワイルドなアクションヒーロー? おもしれー、
とファンになった。
本作でも、ワルっぷりを発揮。

星条旗に骨の髄まで捧げてそうな役が多いので今回もハマり役だったサミュエル・L・ジャクソンとの対比が面白い。
サミュエルの出番が少なく(まぁ主役じゃないんだから当然だが)
ちと残念だけど。
今ひとつ、国のためなら人間なんて使い捨て、という冷徹さは
表現しきれていない。だが、それは脚本の問題だな。

ちょっと驚いたのが、イタリアン・ホラーのカリスマ、ダリオ・アルジェント監督と才女ニコ・ロディ夫人の娘、アーシア嬢がヒロインじゃないか。大きくなったなぁ・・・。っていうか、色っぽい。
陶器のように白い肌と烏の濡れ羽のような漆黒の髪。
謎めいた東欧の美女を見事に演じている。
芯の強さに隠した不安と絶望。むさ苦しい野郎だらけの映像で
彼女の妖艶さと鋭さが光っている。

そして思わず笑ってしまった、ダニー・トレホ!
またこんな役かよ、と思いつつ、貴重な人材だなぁと改めて実感。

007的なスマートで知的で優雅で育ちのよい愛国者スパイ映画に
思いっきりドロップキック。
007こそスパイアクション、と惚れ込んでいる方は、気分を害しそうなので観ないほうがいいかも??

ヴィン・ディーゼルが、この映画の公開時に来日したときのインタビューで、印象的なことを言っていた。

9.11以降のアメリカでは、皆が無力な自分でも、何かできることはないかと思っているが、その何かに共通するのは、国や政府のため、とは違う、もっと純粋な「愛国心」だと思う、という内容だった。

映画から思いっきり離れてしまうのだが、今の日本人にも、これって大事なんじゃないか?
日本を仮想敵国に設定して国をまとめている中国や韓国の圧力にビビって「アイコクシン」という言葉の響きにビクビク。
愛国心とは血を日の丸に捧げることではないはずだ。

ヴィン・ディーゼルの言うように、政府を愛するのではなく国を、
国に生きている人々を愛し守りたい、役に立ちたいというキモチ。
それが本来の愛国心だろう。

アメリカはじめ西側が助かれば、プハラの数百万人なんて犠牲になっていただいてOK,という歩く星条旗ギボンズ。
今、目の前にいる人々を救うことだけに入魂するザンダー。

ザンダーってやつのカッコイイところは、「公」を重んじながら、
「個」を捨てないところだ。

ヨーギ(テロリスト)は「個」(=自分たちの主義主張)だけを尊び、「公」(=他人の生命)をないがしろにする。
ギボンズは「公」(=アメリカの安全)のためなら「個」(そのために働く駒)をないがしろにする。

自分も死にたくねぇし、世界がどうのこうのより、目の前にいる
命を1つでも救いてぇんだよ。
ザンダーにとっては、「公」は国じゃなくて、命ある1人1人の集まった集合体だ。
そこがいいじゃないか。



2004年09月26日(日) 「妹の恋人」 ジョニー・デップの愛くるしさが活きた、実に良心的なファンタスティックでハートフルなロマンティックドラマ。

妹の恋人【BENNY & JOON】1993年・米
監督:ジェレマイア・チェチック 
原作:バリー・バーマン/レスリー・マックネイル
脚本:バリー・バーマン
撮影:ジョン・シュワルツマン 
音楽:レイチェル・ポートマン
主題歌:プロクレイマーズ“I'm Gonna Walk (500Miles)”
 
出演:ジョニー・デップ(ベニーの友人の従弟、サム)
  メアリー・スチュアート・マスターソン(ベニーの妹、ジューン)
  エイダン・クイン(ジューンの兄、ベニー)
  ジュリアン・ムーア(ウェイトレス、ルーシー)
  オリヴァー・プラット(ベニーの友人、エリック)
  ダン・ヘダヤ(ベニーの友人、トーマス)
  C・C・H・パウンダー(ジューンの主治医)
  ウィリアム・H・メイシー(プロモーター、ランディ)

ストーリー用ライン


静かな片田舎の町。
自動車修理工のベニーは、精神に障害がある年の離れた妹ジューンと2人暮らしだ。
ジューンは絵を描くのが趣味で、ほとんどの時間をアトリエに籠もって過ごすが、癇癪を起こすと奇声をあげて暴れ、火をつけることも・・・。手がつけられない。
1人で外へ出て町で騒ぎをおこし警察に保護されることもしばしば・・・。
精神科の主治医の斡旋で、多少なりともそういった患者の世話には
慣れている家政婦たちを雇っていたが、皆、ジューンには匙を投げて出ていってしまう。

主治医は、兄ベニーに、自宅での介護はもう限界だろう、施設に
入れて職業訓練を受けさせるべきだと強く薦めるが、事故で両親を
亡くして10年以上、妹の世話を1人でみてきた彼には、妹を厄介払いするようなことはとてもできず、踏み切れないでいた。

ベニーの同僚たちも、仕事と妹の世話で手一杯で、デートをする余裕もない彼を心配している。
料理も掃除もできず、寝かしつけねば眠れない妹を置いて夜、外出するわけにはゆかない・・・。
ベニーも悩んではいた。
このまま、一生、仕事と妹の世話に明け暮れ、結婚もせず老いてゆくのか・・・。妹への深い愛情とのジレンマに苦しむベニーだった。

そんなある日。
いつものように、妹を連れて色気なく野郎ばかりでポーカーに興じていると、ベニーが席を外しているスキに、ジューンがポーカーに参加し、とんでもないモノを賭けた勝負で負けてしまう。

勝負は勝負。ポーカー仲間のマイクの従弟、サム青年を引き取ることになってしまった。

このサムという青年、故郷を離れ従兄のマイクの家に転がり込んできたのだが、20代だというのに字の読み書きができず、無職だ。
バスター・キートンのコスプレをした、クラシック映画おたく青年で、チャップリンやキートンの真似が得意な不思議な青年・・。

ベニーはアタマを抱えてしまう。
家に明らかに世間の“標準”からズレたのが2人!

ところが、サムは掃除上手、料理も方法はヘンテコだが上手。
ジューンに癇癪も起こさせない。
サムは、ジューンが病気とは思えない、ごく普通だと言う。
ジューンも、陽気で自分を病人扱いしないサムに好意を抱くのだった。
勉強は得意で知能は高いが生活技術に欠けるジューンと、
読み書き計算はしどろもどろだが、生活技術には長けている器用なサムは、互いを助け合い、次第に惹かれてゆく・・・・。

家の中が少し落ち着いて、ベニーの表情も明るくなってきた。
行きつけのダイナーのウェイトレス、ルーシーとの間に淡い恋が
芽生えるが、やはり、妹のことを考えると、踏み込んだつきあいが
できない・・・・。
そんなベニーに、ルーシーは苛立ちを隠せない・・・。

落ち込むベニーを元気づけようと、公園でキートンの真似をして
笑わせるサム。
あっというまにサムのまわりは黒山の人だかりに。

ベニーは、プロモーターに売り込んでサムを芸人としてデビューさせようと考える。読み書きができないサムにとっても、身をたてるチャンスだと考えたのだ。

だが、その頃にはすでにジューンと深く結ばれていたサムは、
この町で職を見つけて働こうと思っていた。

サムとジューンが男と女の仲になっていると知ったベニーはブチ切れ、サムを叩きだしてしまう・・・!!

それでも、若い2人の情熱は止めることはできなかった。
だが、あまりの動揺と不安ゆえに、ジューンの持病が急激に悪化し・・・・・。

このあぶなっかしい若いカップルの恋の行方は?
行き詰まった兄とルーシーの恋の行方は?
そして、この兄妹の間の深い溝は埋まるのだろうか。
皆で笑える日は来るのだろうか・・・・・。


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悪人が誰も出てこない、実に善意に満ちたハートフルな物語だ。
この兄妹はアイリッシュ系(2人で歌う歌でわかる)。
民族的にも、もの凄く家族の絆を重んじる。
原題も、“ベニーとジューン”。あくまでも主眼は兄妹の絆だ。

エイダン・クインはつい最近も、『夏休みのレモネード』で、家族を愛するがゆえに頑なで分からず屋になってしまう、アイリッシュの頑固親父を見事に演じていたが、まだ若かった本作では、頑固兄貴。ハマり役だ。

守っているつもりが、成長を妨げていることに気づかない。
気づく余裕がないほどに必死なのだ。
そして、1人の恋する男としての苦悩までそこにかぶさってくる。
どれほど辛かろう、とジレンマに苦しむ兄ベニーに共感してしまった。

ジョニー・デップの演技力は、コミカルなシーンはモチロンだが、圧倒的に凄いのは、ベニーとの対決シーン。
“あんたは怖いんだ”
愛を奪われないために、1人の男としてサムも対峙する。

知的障害者同士の恋を扱った『カーラの結婚宣言』 のときに感じた不安感が、この映画にはない。

全体的になるべくおとぎ話風にファンタジーテイストで撮りあげているからでもあるが(DVDの撮影監督の逸話が面白い)、
先天的な障害ではなく、ジューンはサムたちの支えと、束縛からの解放によって快方に向かうと予想できるからかもしれない。
サムも、守るべき存在のために、いつまでも夢見がちではいられないと、仕事を見つける。たとえアルバイトでも、天職だ。

ピンクの薔薇、白い薔薇。
なんとも微笑ましい、ハッピーなラストシーン。

これは妹だけれど、「保護者」の立場のベニーの視点で私は観ていたので、子育て中の親である自分にとって、傷つかないよう、他人に迷惑をかけないよう、ひたすら手綱を握りしめることが、自立の妨げになるほどになってしまっては子供をダメにしてしまうのだと、ドキっとさせられるところもあった。

傍にいて、いつでも困ったときは手を差し伸べるよ、見守っているよ、だから自分の力をためしてごらん。
少しだけ開けられたドアの隙間にそっと置かれたピンクの薔薇が、
そう優しく語っているかのよう。
不器用な兄貴のかわりに・・・・。

それにしても、ジョニー・デップの芸達者ぶりにはもう脱帽。
あんな可愛いお目々でひざまづいて

まみぃ〜❤ฺ


なんて言われた日にゃあ(笑

これほど初々しい、こっちがドキドキしてしまうような可愛らしいファーストキスも珍しく、とても甘酸っぱい幸福感に浸れた。






2004年09月24日(金) 「シービスケット」 どん底から這い上がった3人の男が出逢い一頭の小さな競走馬に夢を託す。熱い涙を誘う感動の実話。

シービスケット【SEABISCUIT】2003年・米
監督:ゲイリー・ロス 
原作:ローラ・ヒレンブランド 『シービスケット あるアメリカ競走馬の伝説』
脚本:ゲイリー・ロス
撮影:ジョン・シュワルツマン 
編集:ウィリアム・ゴールデンバーグ 
音楽:ランディ・ニューマン

俳優:トビー・マグワイア(ジョッキー、ジョニー・“レッド”・ポラード)
  ジェフ・ブリッジス(シービスケットのオーナー、チャールズ・ハワード)
  クリス・クーパー(調教師、トム・スミス)
  エリザベス・バンクス(ハワードの後妻、マーセラ)
  ウィリアム・H・メイシー(ラジオDJ、ティック・トック・マクグローリン)
  ゲイリー・スティーヴンス(ジョッキー、ジョージ・“アイスマン”・ウルフ)
  デヴィッド・マックロー(ナレーション)

ストーリー用ライン


1929年、アメリカ大恐慌時代。

16才のジョニー・ポラード少年は、株で財を築き上げた富豪の両親と可愛らしい弟や妹たちに囲まれ幸福な日々を送っていたが、
株価の暴落により無一文になった両親は、口減らしのため、
そして息子には乗馬に特別の才能があると見込んでいたこともあり、胸の潰れる思いで草競馬場のオーナーに預けた。

ジョニーが父から渡された財産は、袋詰めの本だけ。
豊かな食卓で、毎夜、父が詩を朗読する日々は、もう思い出の彼方・・・。

雇い主に、その赤髪から“レッド”と名付けられた少年は、厩の掃除から馬の世話、そしてジョッキーと馬車馬のように働いたが、
馬を優勝させることができず安い賃金で辛く当たられる日々。

レッドは生き抜くために、賭けボクシングにも出場し、心身ともにボロボロだったが、負けず嫌いの勝ち気で荒っぽい気性と、タフな
肉体を持ち合わせた青年に育っていくのだった。

        ・・・・・・・・・・・・

西部で車の修理工から身を興したハワードは、巧みなセールス・トークと研究熱心さで次々と新車を開発し、車は売れに売れ、大富豪にのし上がった。
車の普及によって移動手段としての馬の時代は終わった。
高級車の車庫にと、厩を買ったハワード。

だが大恐慌時代に突入、車は値崩れ。破産こそ免れたものの、
相当の痛手を被った。無気力な日々に追い打ちをかけたのは、
一粒種だった愛息子の事故死。妻も家を出ていった・・・。
車で財をなし、車で愛を失った・・・・。

友人らに気晴らしをしろと誘われた競馬場で、馬をこよなく愛する
才色兼備のレディ、マーセラと出逢い、ハワードは再婚する。

競争馬を買いに来たハワード夫妻は、そこで2人の男と一頭の馬と運命的な出逢いを果たすのだ。

どんな暴れ馬でも落ち着かせることができ、怪我をした馬も決して見捨てない調教師、トム・スミス。
彼もまた、時代に夢破れた男の1人だった。
車時代の到来により、カウボーイは時代に取り残され、職を失い
馬と野宿の日々・・・。

ハワード夫妻は、馬を道具として見ない、智恵と慈愛に満ちたこの初老の男を専属の調教師として雇うのだった。

背が150ちょっとしかない小さな馬が大暴れしている。
名はシービスケット。
スミスは、夫妻にこの荒馬を薦めるのだった。気性の荒さは競走馬に向いていると確信したからだった。
スミスを信頼し、シービスケットを買う夫妻。

そして、レッドがシービスケット専属のジョッキーとして夫妻に
雇われることになった。
喧嘩っ早く気性の荒いレッドはシービスケットと相性がよいと
ふんだからだ。予想は当たった。

夫妻は封印していた厩を開け、車を売り払い、馬たちを入れた。
家に、生気が甦ってくるようだった・・・。

どうにも落ち着かなくてスミスでさえ手を焼くシービスケットだったが、スミスの愛馬、白い雌馬パンプキンがシービスケットを
孤独と荒んだ日々から救ったのだった。

こうして、ハワード夫妻はスミスとレッドとともに、シービスケットを競走馬として育ててゆくことに・・・。

だが、小さなシービスケットに体格のよいジョッキー。
レッドは食事もろくにとらず減量に努める。
だが勝負の世界は厳しい。
レッドの負けん気がマイナスに働いてしまうことも・・・。

1つ、1つ、勝利を手中にし、西部では名の知れた競走馬となる
シービスケット。
ハワードは内馬場も貧乏な競馬愛好家たちに開放した。貧しい人々にとっても、小さな体でガッツ溢れる走りを魅せるシービスケットは大人気。

すっかり気をよくしたハワードは、調教する時間もとれないほど
シービスケットを披露するために連れ回す。

スミスはご機嫌ナナメだ。
まだまだ、シービスケットは伸びるのに。
全米No1だって狙えるはずだ。

ハワード夫妻もレッドも“全米No1”への挑戦に心躍らせるのだが、相手は180cmを越す威風堂々たる黒馬。オーナーは東部一の大富豪で気位も高く、そう簡単には勝負を受けてくれそうもない・・・。

シービスケットは、男たちのアメリカン・ドリームを乗せ、駆け続けるが、予想だにしていなかったアクシデントが次々に・・・!!


シービスケット プレミアム・エディション ◆20%OFF!<DVD> [PCBG-50573]


コメント用ライン


ここ数年、これほど上品で上質なアメリカ映画があっただろうか。
実話とはいえども、当然エピソードは脚本家や演出家の手腕で
作られるもの。
真正面から、人間の心の強さと脆さを捉え、躓いても起きあがれ、
前に進め、と訴えかけてくる。

これが作り話だったらあまりにも説教臭すぎてたまらないだろうが、実話だというベースがあるため、説得力がある。
そして、この物語には“偶然”も“奇跡”もない。
幸運はあるだろう。ツキではなく、幸運だ。
努力なくして幸運などない。
諦めない。努力に努力を重ねる。その岩をも通す一念に泣かされるのだ。


どん底からでも無一文からでも、実力と鬼の一念で這い上がれる可能性を秘めた国、アメリカ。
アメリカン・ドリームの終焉を描いた映画が賛美された時代があった。
だが、今の、衣食住足りて心の病にかかり何をしてよいかわからない人々に必要なのは、不可能を可能にする精神力を信じる力だ。
映画は社会を映す鏡。
大きな喪失や飢えは知らぬが虚しさを知る現代人に、大恐慌から
這い上がった当時の人々の気合いを見せようとするこの作品、
おおいに評価したい。

そして、俳優陣がお見事。
トビー・マグワイヤは自ら製作総指揮に関わっているだけあり、
アツい。
レッドの育ちのよさと、過酷な青春時代で荒れた部分のバランスを
よく表現しており、素晴らしい。
「脚より先に心が潰れる」
このセリフには泣かされた。

そしてクリス・クーパー。
さすがというか何というか・・・・。この人もカメレオン俳優。
アダプテーションのラロシュ役とは似ても似つかない別人じゃないか。
頑固で無口だが情にあつ〜〜〜〜い西部のカウボーイ、いぶし銀の
魅力だ。

そしてジェフ・ブリッジス。
嫌味のない成り上がり富豪を演じるのはけっこう難しいものだ。
成り上がった過程をきちんと描いていることと、自慢話の口調に
嫌らしさがなく、無邪気なのが成功の鍵だろう。
紳士で、同時に少年のように無邪気。かいま見える胸の奥の消えない悲しみ。
レッドを息子のように思うハワードの複雑な胸中をベテランの演技力で的確に表現。
作品中に2人(レッドとスミス)もクセのある人物を抱えても、
作品が落ち着きを失わないのは、ジェフ・ブリッジスと妻役のエリザベス・バンクスの品の良さのおかげかもしれない。

そして、差し色にイロモノ俳優、メイシーちゃん。
緊張感でピリピリした展開のところどころで、笑わせてくれる。

DVDだと特典映像で撮影風景も観られる。
馬のロボットには大笑い。
シービスケットは栗毛なので、10頭以上の似た馬で交替に演技が
できたのだろう。

私もかつて乗馬をしていたので、馬は大好きだ。
競馬には興味はないが・・・。
賢く美しく気高い生き物だ。

馬をメインに据えると、作品に品が出る。
『すべての美しい馬』も、馬の美しさに改めて見惚れた方には是非おすすめしたい。



2004年09月21日(火) 「ディープ・ブルー」 海洋ドキュメンタリーであり音と映像の芸術品!ホラーより怖くアクションより激しくファンタジーより幻想的。

ディープ・ブルー【DEEP BLUE】イギリス=ドイツ
監督:アラステア・フォザーギル/アンディ・バイヤット
音楽:ジョージ・フェントン
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ナレーション:マイケル・ガンボン

ストーリー用ライン


展開性のあるストーリーは特にない。
海で暮らす生き物たちの姿、海岸、浅瀬から海鳥、海中、そして
光届かぬ深海まで・・・を、壮大な音楽に乗せて克明に描き出す。


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コメント用ライン


どうしても劇場で観ておきたかった作品だった。
もともとネイチュア・ドキュメンタリーが好きで、『WATARIDORI』や『ミクロコスモス』も大好きだ。
こういうものをみるたび、人間は大自然の神秘のほんの数ミリの
存在に過ぎないのだと圧倒される。

本作も、期待を裏切らない美しさ。
撮影に4年半、フィルムは7000時間、ロケ地は200カ所以上という、まさに執念の大作だ。

今まで映画音楽は引き受けなかったベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が名演奏を聴かせてくれるし、波の音、生き物のたてる音、
耳にし、目にしているうちに心地よい酩酊感に襲われる。

しかし、『WATARIDORI』や『ミクロコスモス』に決定的に及ばない点がある・・・。
ズバリ、構成力。
上の2作はフランス、本作はドイツ資本のBBC製作。
英国にドイツ・・・・真面目すぎるといえばいいのか、ドキュメンタリー色がかなり強く構成に芸術的センが不足している。
かといって、TV番組のように“この生物は・・・”などと
野暮な説明は入らない。

調べてみたら、この映像はすでに2002年に日本ではNHKで
「海・青き大自然」としてシリーズ放送されている。
こちらは全8巻、DVDが発売されている。
それを劇場版として再編成したもののようだ。
(BBCでは“BLUE PLANET”のタイトルで放送)
シーンの切り替えが唐突だったり、“つなぎ”にセンスがないと
思ったら、やはりつぎはぎだったか・・・。

ただ、つぎはぎといっても、何しろ元の素材が素材だ。
“映画”の命は脚本と編集にあると私は思っている。
選ばれた映像はどれもトリハダものの想像を絶するものばかり。
それだけに、惜しい、とにかく惜しい。

それでも、撮影スタッフの命がけの執念、まさに鬼の一念岩をも通すのど根性がなければ撮れるはずのない映像を目の当たりにするだに、やはり大画面で拝めてよかった、と思う。

後々DVD化されてからでもよいので、是非、ご覧いただきたい。

巨大シャチがアザラシの赤ん坊をなぶり殺しにするのも、
珊瑚が珊瑚を生きたままじわじわと補食するのも、カニが大挙して
前に歩くのも、太古の昔から繰り返されてきた海のならわし。

エラ呼吸をやめて陸に上がった生き物から進化した人類は、
ただ海の懐の深さを畏れ敬うのみ。

カワイイw とか、うっそぉ可哀想〜とか言いそうな人とはこの映画、一緒に観ないほうがいいでしょう。

黙って1人でじっくり鑑賞することをオススメします。




2004年09月19日(日) 「マスター・アンド・コマンダー」 男くさい骨太な海洋冒険大作。ラッセル・苦労、P・ベタニーが素晴らしい演技を魅せてくれる。

マスター・アンド・コマンダー【MASTER AND COMMANDER: THE FAR SIDE OF THE WORLD】2003年・米
★2003年アカデミー賞 撮影賞 音響効果賞
★2003年英国アカデミー賞 監督賞 プロダクションデザイン賞 
             衣装デザイン賞 音響賞

監督:ピーター・ウィアー 
原作:パトリック・オブライアン『南太平洋、波瀾の追撃戦 英国海軍の雄ジャック・オーブリー』
脚本:ピーター・ウィアー/ジョン・コリー 
撮影:ラッセル・ボイド/サンディ・シセル 
編集:リー・スミス
音楽:クリストファー・ゴードン/アイヴァ・デイヴィス 
リチャード・トネッティ

 
出演:ラッセル・クロウ(サプライズ号艦長、ジャック・オーブリー)
  ポール・ベタニー(船医、博物学者、艦長の親友、マチュリン)
  ビリー・ボイド(艇長、ボンデン)
  ジェームズ・ダーシー(一等海尉、プリングス)
  マックス・パーキス(士官候補生ブレイクニー)
マックス・ベニッツ(士官候補生、後に三等海尉、カラミー)
リー・イングルビー(士官候補生、ホロム)
  ディビット・スレルファル(艦長・士官専属料理長、キリック)
ジョージ・イネス(水兵、プレイス)

ストーリー用ライン


1805年。
ナポレオンは南太平洋に進出、英国海軍は威信をかけその阻止に立ちむかう。

物語の主役は、英国海軍本部の特別指令により、フランス軍私掠船アケロン号の拿捕を命ぜられたサプライズ号の艦長、ラッキー・ジャックとクルーに敬愛をこめて呼ばれるジャック・オーブリーと乗組員たちだ。

ブラジル沖。濃霧の夜、敵船アケロン号が不意打ちをかけてきた。
当直だったホルム士官候補生の注意深い監視により発見が早かったため、かなりの損害を被ったものの、ギリギリで沈没は免れ
濃霧の中へ逃げ込むことに成功する。

死者9名、怪我人は20数名。船体はボロボロ。
怪我人の中には、まだうら若き12才の士官候補生で、今回が
初実戦となるブレイクニーもおり、彼は右腕を切断する重傷を
負ったが、誇り高い貴族で生まれながらに軍人の彼は悲鳴ひとつあげずに手術に耐えた。

艦長は気高き少年の痛々しい姿に心を痛めながらも、励まそうと
ネルソン提督の戦記を手渡すのだった。


アケロン号の大きさ、速さ、いつの間にか忍び寄る航海術・・・
クルーたちは幽霊船などとあだ名をつけ気味悪がるのだった。

修理も半端なところへ再びアケロン号に不意打ちを食らう。
艦長の名案で敵船はうまくまいたものの、ひどい嵐に襲われる。
この日も当直はホルムだった。慎重さも戦闘では優柔不断となり
命取りに・・・。ホルムの指揮のミスにより、メインマストが折れ、乗員も落命した。

水兵たちはホルムを疫病神と憎み、また彼自身も自責の念に耐えかね命を絶った・・・。

日照り。長引く航海。皆疲れ切って殺気だっている・・・。
艦長は、ガラパゴス諸島に進路を変更した。
英国の捕鯨船が集まっているはずで、それを狙うアケロン号も
そこで拿捕できると考えたのだ。

だが、一足遅かった。
逃げ延びた捕鯨船の乗員たちを助け、一刻も早くアケロン号を
追おうとする艦長と、せっかく未知の生物の宝庫、ガラパゴス諸島に来たのだからどうか研究のために上陸させてくれと懇願する
博物学者にして船医、そして艦長の無二の親友マチュリンとの間で激しい口論となる・・・。

任務が優先、と上陸を拒み船を進めたサプライズ号。
怒りの収まらないマチュリンを、腕を失ったブレイクニーが慰め、
甲板にいた虫を差しだし微笑むのだった。

ところが、カモメを撃ち落とそうとふざけた海尉が、手元が狂い
マチュリンを撃ってしまった!
船医が負傷しては誰も手当ができない。
助手が医学書を頼りに手術しようとするが、ただでさえ素人な上に
海は揺れる。

艦長は、無二の親友の命のため、そしてストレスの限界にきている
水兵たちのためにも、数週間のガラパゴス諸島への滞在を決断するのだった。

アケロン号とは一時休戦だ。
意識の戻ったマチュリンは自分で鏡を観ながら手術をする。
そして動けるようになると、島の隅々まで探索し、泳げるは虫類(コモドオオトカゲ)や飛べない鳥(鵜の仲間)、巨大な陸亀などの研究に夢中になった。
ブレイクニーも、慣れない左腕でペンを持ち、生物を正確にスケッチし、詳細に特徴を描き込み、マチュリンを驚かせるのだった。

ある日、島の裏側まで探索の足を伸ばしたマチュリンは、敵船を発見!

長いガラパゴス島をはさんで丁度反対側、まだ猶予はある。
なんとか作戦を練らねば、真正面からいって勝てる相手ではない。

乗員数もおよぞ倍、火力、速度もサプライズ号とは比較にならない
最新型の巨大船を相手に、いったいどうやって闘い、しかも撃沈せずに拿捕しろというのか・・・・。

サプライズ号とアケロン号、この勝負の行方や如何に!?
男たちの命がけの闘いが今始まろうとしている・・・!!


マスター・アンド・コマンダー ◆20%OFF!<DVD> [UJSD-38099]


コメント用ライン


日本公開時のキャッチコピーは何なんだ。
観ないで書いたのか、それとも意図的に湿っぽくするためにか?
史劇のコピーを書くときは世界史にあまりにも疎い人はやめてほしいもんだな。
コピーだけでなく、各映画ポータルサイトの紹介文もコピーとずれないような書き方をしてあるので、それを読んで敬遠してしまった
方も多かったのでは?

コピー:「1805年――ヨーロッパ征服を狙うナポレオンの前に
多くの兵士の命が犠牲となった。
窮地に立つ英国軍が、一人の艦長のもとへ送り込んだのは
まだ幼い少年たちであった…。」

英国軍はこの時点で窮地でもないし、まだ幼い少年たちはただの少年ではなく、ましてや兵の不足によって子供まで戦地に送り込んだわけでは当然ない。だいたい、少年たちはほんの端役に過ぎない。

一番幼い12才のブレイクニー、14,5才に見えるカラミー、
30才を目前にひかえたホロム、彼らは年齢に関係なく士官候補生。水兵が気安く声をかけることは許されない貴族、上官だ。
日本の戦国時代でも、武将の子は12,3才で初陣だっただろう。
まったく同じことであり、戦争に巻き込まれたカワイソウな坊やたちなどではない。

それにしても、海洋スペクタクルとしての出来映えといい、
人間ドラマとしての濃密さといい、実に完成度が高い。

あのサプライズ号は20世紀フォックスが買い取った本物の英国の軍艦(ローズ号)らしい。
彼女の船体の美しいこと。

パトリック・オブライアンの世界的ベストセラー海洋歴史冒険小説、“オーブリー&マチュリン”シリーズ(全20巻)の10巻目にあたる『南太平洋、波瀾の追撃戦』の映画化である。

あの痛快なラストには、後から思えばそういえば!と気持ちのよい
裏切られ方。
スリリングな展開と、長い長い航海を示す時間経過の描き方。
映画は2時間半とやや長めで、次から次へとテンポよく事件が
起こっていくわけではないので、退屈に感じる方もいるかもしれない。

私はこういうリアルな描き方が好きだ。
何も事件のない時間の描き方で、登場人物の人となりが掴めるし、
彼らと一緒に長い航海をしているように気持ちが寄り添っていくからだ。

それにしても、ラッセルは苦悩する役どころの多い人で、
セリフで表現せず言外のところで演技できる達人。
ラッセル・苦労w

脚本もいい。男は余計なコトは喋らんでよい。苦渋の決断は
黙ってするものだ。

個人的な感情を押し殺してカリスマ的な威厳を保たねばならない
艦長と、対極的な立場のマチュリンの対比がいい。

非戦闘員なので、甲板がどれだけ大変なコトになっていても、
下で自分の仕事に没頭する飄々とした人物を、英国のお宝、ポール・ベタニーが実年齢よりも15才は上とおぼしき役なのに
少しの不自然さもなく堂々と演じきっている。

ラッセル・クロウを相手に一歩もひかず霞まず、かといって不自然に目立つこともなく、凄い演技のカンだとひたすら感心してしまった。

士官クラスは実に気品ある振る舞い、水兵どもは気持ちよいほど
タフで荒っぽく、それぞれにかっこいい。

撮影賞をとっただけのことはあり、絵としての構図も海という
もう1つのモンスターの描き方もよかった。

女はブラジル沖の補給所の売り子の姉ちゃんしか出てこない。
この映画の主演女優は、サプライズ号である。

ラスト近く、アケロン号とどう戦を交えるかのアイディアも
平凡なようで、軍艦が考えつき実行したものと考えるとかなり痛快だ。
敵もさるものだが。

海洋ロマンが好きな方にはたまらない映画ではないだろうか。
コミカルな『パイレーツ・オブ・カリビアン』がものすごく面白かった方には、本作は大真面目すぎてつまらないかもしれないが・・・。

私は断然この作品のほうが面白く感じた。
まぁ、海賊と海軍、主役が違えば、主題も違って当然ですな。




2004年09月17日(金) 「スパニッシュ・アパートメント」 7カ国の若者が1つ屋根の下暮らすバルセロナでの一年間をユーモラスに綴る。元気が出る青春群像劇♪

スパニッシュ・アパートメント【L' AUBERGE ESPAGNOLE(スペインの宿=ごちゃまぜ、のスラング)】2002年・フランス=スペイン
監督・脚本:セドリック・クラピッシュ 
撮影:ドミニク・コラン
音楽:ロイク・デュリー 
 
出演:ロマン・デュリス(フランス人、グザヴィエ)
  オドレイ・トトゥ(グザヴィエの恋人、マルティーヌ)
  グザヴィエ・ド・ギユボン(医師、ジャン・ミッシェル)
  ジュディット・ゴドレーシュ(妻アンヌ=ソフィ)
  セシル・ドゥ・フランス(ベルギー人、イザベル)
  ケリー・ライリー(イギリス人、ウェンディ)
  クリスティーナ・ブロンド(スペイン人、ソレダ)
  フレデリコ・ダナ(イタリア人、アレッサンドロ)
  バーナビー・メッチュラート(ドイツ人、トビアス)
  クリスチャン・パグ(デンマーク人、ラース)
  ケヴィン・ビショップ(ウェンディの弟、ウィリアム)

ストーリー用ライン


フランス人の大学院生、グザヴィエは、証券マンの父とヒッピーの母というアンバランスな家庭で育った。

本人、経済を専攻してはいるものの、これといって将来のビジョンがない。子供の頃は小説家になりたかった彼だが、大抵の人がそうであるように、夢は夢、食わねばならない。

父の紹介で官僚ペラン氏に会うと、スペインで一年間でユーロ経済とスペイン語をマスターしてくれば採用してやろう、ということに。

エラスムス計画(欧州交換留学プログラム)を利用してスペインの
大学に留学することになったグザヴィエは、恋人のマルティーヌと泣く泣く別れ、混沌の地、バルセロナにやってきた。
実際のところ、スペイン語は挨拶程度という状態で・・・。
しかもここはバルセロナ、カタロニア語が標準語ときてる。

母は姪の家に世話になれと言ったが、着いたらハナシが違った。
抱えきれないほどのバッグを抱え困惑したグザヴィエは、空港で
声をかけてきたお喋りなフランス人医師、ジャン・ミシェルに
懇願して泊めてもらうことに。

ジャン・ミシェルはバルセロナの病院に勤める神経内科の医師で、
脳みそのプロだ。新婚ホヤホヤで、ほとんどスペイン語を喋れない内気な妻、アンヌ=ソフィの世話を条件に、しばらく泊めてもらえることになった。

アパート探しは困難を極めたが、どうにかこうにか、理想の宿を
手に入れることに成功する。
そこは広いアパートメントで、5人の男女が共同生活をし、家賃を割り勘していた。
5人とも違う国籍。イギリス、スペイン、デンマーク、ドイツ、イタリア。
そして、フランス人のグザヴィエが加わり、6カ国6人暮らしに。

学生の集団暮らし、とにかくこ汚い!大家の怒りを買い、家賃をかなり値上げされてしまう。
そこでもう1人、ベルギー人(後にレズビアンと発覚)を仲間に迎え、7カ国7人の男女での新生活が始まった。

故郷からは恋人マルティーヌがなかなか連絡のないグザヴィエに恨み言の電話をかけてくるが、なにしろ新しいことばかり、刺激的な毎日に、ついつい・・・。

飛行機代を工面して逢いにきてくれても、ハムより薄い壁のおかげでセックスも盛り上がらない。プンプンして帰ってしまうマルティーヌ。

バルセロナに来てから半年。
レズのイザベルとすっかり意気投合して親友になったグザヴィエは、女のカラダの扱い方のレクチャーを受ける。
早速実践、と色っぽい人妻アンヌ=ソフィを口説き情事を愉しむ日々・・・・。

几帳面なやつ、底抜けに明るいやつ、クソ真面目なやつ、クールなやつ、だらしないやつ、連中の兄弟やら恋人やらも巻き込み、
楽しい日も憂鬱な日も過ぎてゆく・・・。

帰国もせまってきた頃、グザヴィエは妙な幻覚に悩まされるようになってきた。
・・・・エラスムスが歩いている〜!
眠れない、気分は最悪。
もしや脳に何か異常が・・・・?

異国で不安でたまらなくなったグザヴィエはジャン・ミッシェルに
CTスキャン検査をしてもらうのだが・・・・。

スパニッシュ・アパートメント ◆20%OFF!<DVD> [FXBA-24892]



コメント用ライン


HDデジカメをフル活用した撮影で、若者たちの体温や息づかいまで伝わるような親近感のある映像、早送りや画面分割などを多用したコミカルな画面、サラウンドな音声も実に効果的、インパクトのある音楽、個性的な登場人物、とにかくぐちゃぐちゃしているのだが、雑にならず、野菜も肉もスパイスもたっぷりの刺激的なパスタみたいな不思議な味わい!

ユーロが流通して、欧州は混ざりつつある。
あれほど国民性も言語も異なる国々が、経済という糸では無理矢理繋がるわけだ。
時代を反映した作品という意味では、今、まさに旬。

でも、若者はいつの時代でも若者なのだ。
ここで描かれる若者は、比較的エリート層のインテリ学生たち。
ハヂけることはあっても、退廃的なムードは皆無だ。
みな夢があり、勉強にいそしみ、でも恋やセックスのことで頭がいっぱいになったり、友情を深めたり、飲み過ぎたり・・・。

全員の母国語が違うというかなり珍しい状況、たどたどしいスペイン語と、発音のかなりアヤシイ英語でどうにかコミュニケーション。言葉に関するギャグはどれもかなり笑えた。

ちょこっとでもフランス語を囓っていると、映画は基本的にグザヴィエの語り(=フランス語)で進んでいくので、より楽しいだろう。
大学などで第二外国語で仏語を選択している学生さんにもすすめたい。

世界は混沌としてる。めちゃめちゃ複雑だ。
それにタメ息をつくだけか、ごちゃまぜを愉しみ、勇気を持ってカオスの中につっこみ、たった1つのシンプルで大切なものをつかみ取れるか。

しかし、なんですな。
若者が必死で走ってる姿って、理由がどんだけマヌケでも、
やっぱりいいもんですな。
・・・・ばばくさいとかツっこまないでくだされ。

ところで、音楽がまたイイ!迷わずサントラを購入してしまった。
音楽もボーダーレス、ごちゃまぜ感がたまらない。



2004年09月16日(木) 「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」アクションはパワーダウンだが、新キャラの魅力で楽しめる。復讐のギターが火を噴くゼ!

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード【ONCE UPON A TIME IN MEXICO】2003年・メキシコ=アメリカ
監督・脚本・撮影・編集・音楽: ロバート・ロドリゲス 

 
俳優:アントニオ・バンデラス(伝説のガンマン、ギター三兄弟♪その1 エル・マリアッチ)
  ジョニー・デップ(悪徳CIA捜査官、ジュリアン・サンズ)
  サルマ・ハエック(エルの今は亡き恋人、カロリーナ)
  ウィレム・デフォー(麻薬王、バリリョ)
  チーチ・マリン(情報屋、ベリーニ)
  ダニー・トレホ(裏切りのボディーガード、ククイ)
  エンリケ・イグレシアス(ギター三兄弟♪2 ロレンソ)
  マルコ・レオナルディ(ギター三兄弟♪3 フィデオ)
  ルーベン・ブラデズ(元FBI捜査官、ラミレス)
ミッキー・ローク(チワワ男w バリリョの側近、ビリー)
  エヴァ・メンデス(バリリョの娘、メキシコ警察に潜伏、アヘドレス)

ストーリー用ライン


乾いた砂が吹きすさぶメキシコ。
酒場でCIA捜査官のサンズが、豚肉とライム・テキーラをつまみに情報屋ベリーニからある男の話を聞きだしている。

その男とは、今や伝説のガンマン、エル・マリアッチ。
1人で2つの町を消し去った男。
麻薬組織と深い繋がりを持つ宿敵マルケス将軍の財源を壊滅させ、
愛人だったカロリーナの心まで奪ったエルを、マルケスは許さなかった。
カロリーナは幼い子供とともに射殺され、エルも撃たれた。

だが、どこかでエルが生き延びているらしいのだ。
報酬と引き替えに、エルの隠れ住む村をサンズに告げるベリーニ。

サンズはククイという賊を雇い、荒っぽい方法でエルを捕獲する。
サンズの目的は、表面上は大統領の暗殺をもくろむクーデターの阻止。直接的には、首謀者マルケス将軍の暗殺。
大統領は、メキシコの汚点、国内最大のバリリョの麻薬組織を潰すつもりだ。バリリョあってのマルケス将軍、謀反を企てたというわけだ。

サンズにはまだ他に狙いがあるのだが・・。

エルにとっては、マルケスは妻子の仇。心の奥底でメラメラと
燃え上がる復讐の炎・・・。神に立てた誓いを破り、再び血を流すことを懺悔するエル。

サンズの抜き打ち実力テストも難なくクリアしたエルは、昔の
仲間を集めるのだった。

次にサンズは、元FBI捜査官ラミレスに接触。
かつて相棒をバリリョの手下に拷問死させられた恨みを晴らすチャンスだとつつく。もう退役して一般人のラミレスは苦悩するが、
復讐を決意。
まず、バリリョの側近、ビリーに近づく。
偽身分証に騙されあっさり“逮捕”されるビリーだが、実はビリーもバリリョの汚さにはウンザリしており、協力することに・・・。

だが、サンズの本当の狙いはCIAとしての任務ではなかった。
大統領の側近にも接触を諮るサンズ。
メキシコ警察の女刑事アヘドレスとも共謀し、クーデター阻止の報酬をせびるつもりだ。

漁夫の利を貪り旨い汁をすすろうとホクホクのサンズだが、
誤算が・・・。

ククイがバリリョ側に寝返り、エルをバリリョに売ってしまう。
バリリョの逃亡を嗅ぎつけたサンズも捕まり、ラミレスも罠に・・・。

エルは、もはや私怨を超え、祖国のために、メキシコの息子として
大統領を死守する決意で決戦に向かう・・・!

レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード(DVD)

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コメント用ライン


ギタ〜♪ギタ〜♪ギタ〜3兄弟♪

予告編や日本の配給会社の宣伝の仕方だと、まるでジョニー・デップVSアントニオ・バンデラスの映画みたいだが、それは間違い。

前作「デスペラード」に引き続き、バリバリ、アントニオ・バンデラス映画なのだ。

ジョニー・デップはさすがというかなんというか、キレるとすぐ撃ち殺しちゃうキレ者を演じており、マヌケなかっこをさせられても
ドジ踏んでも、カネ目当ての悪党でも、やっぱりカッコイイ。
カッコイイとはちょっと違うのだが、ああそうだ、「濃い」。

バンデラスは、夕日をバックにギターかきならすシルエットだけでもう、美の極致。若さハヂけていた前作よりも、渋くなって哀愁も漂い、カッチョイイ。

ただ、バイオレンスの極みを見せつけてくれた前作に比べると、
ストーリーをこねくり回しすぎて、アクションに割く時間が少ないのだ。アクションも真面目すぎて、笑える雰囲気ではない。

前作では、悪党がたっくさんたっくさん、バンデラスのスゴイ銃でボコボコに死んでいたのだが、
今回、ウェイトレスだのコックだのをジョニー・デップが意味なく
気分で殺し、あまり気分がよくない。

ジョニー・デップの始末が今ひとつよくないのかもしれない。
正当派の復讐劇の中で、1人浮いているのだ。
彼が狂言回しなので、使い方はうまいと思うのだが、ラストの
けじめはあれでよかったのか、若干疑問が残る。
惨めなのか、カッコイイのかモヤモヤ・・・。

個人的には、せっかくだしバンデラスVSジョニーで一騎打ちが
あったほうがラストが盛り上がったように思うのだが・・・。
それをやるとベタになりすぎるような気もしないではないが。

復讐バイオレンスものは、コッテコテベッタベタのほうが好きなんだよな。個人的な趣味で。

でもまぁ、ギター3兄弟♪ 今回の火技は前作よりグレードアップしたと考えるべきか、それ一回しか使えないじゃん!とツっこむべきか、
まぁいいや。

スゴイですよ、ギターが戦車を破壊するんだからねw

まぁ、今回は私怨を超えた、正義の味方なので、おバカ度が低くてもしかたないか。
それにしても、「メキシコの伝説/無法者」というタイトルはなぁ・・。ヘンじゃないか?
原題そのままカタカナのほうが(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」のパロディだと思われるからか?でもどのみち
B級バイオレンスなんだし・・・)いいような気がするんだが。

ウィレム・デフォーのミイラ男姿に不気味で賞。
サルマ・ハエックの太股に鼻血もんで賞。
目玉のないジョニー・デップに怖いで賞。
不死身のバンデラスにゾンビで賞。

テキーラ味の馬鹿ロニウェスタンに、万歳〜〜♪♪拍手〜〜♪



2004年09月15日(水) 「クジラの島の少女」 女児ゆえに族長を継ぐことを許されない少女、祖父としてより族長でなければならない老人、それぞれの苦悩、愛。

クジラの島の少女【WHALE RIDER】2002年・ニュージーランド=ドイツ
★2003年サンダンス映画祭 観客賞
監督・脚本:ニキ・カーロ 
原作:ウィティ・イヒマエラ
撮影:レオン・ナービー 
編集:デヴィッド・コウルソン
音楽:リサ・ジェラード 

俳優:ケイシャ・キャッスル=ヒューズ(族長の孫娘、パイケア)
  ラウィリ・パラテーン(族長)
  ヴィッキー・ホートン(パイの祖母)
  クリフ・カーティス(パイの父、ポロランギ)

ストーリー用ライン


ニュージーランドの浜辺、マオリ族の小さな村。
祖先の勇者パイケアがクジラに導かれここに辿り着いたという伝説を持つ村だ。

村は文明化に押され、過疎化を辿る一方。族長は後継者を待ち望んでいた。予言者としての素質で村を導く勇敢な若者を・・・。

本来ならその役目に当たる長男ポロランギは、武術の面でもリーダーシップの面でも、父の眼鏡にかなわなかった。そんな父に反抗してか、ポロランギは彫刻家の道を選んだ。

次男ラウィリは、伝統武芸の達人だが、次男であるということは後継者にはなり得ない。

そして、今、待ちに待った後継者が誕生しようとしていた。
長男の長男ならば、族長後継者に決定だ。

ところが、難産の末に、双子の男児と母親は亡くなってしまった。
生き残ったのは、女児のみ・・・。

愛する妻と我が子の1人を失った悲しみに暮れる長男に、族長は
次がある、と心ない言葉を投げる。

歓迎されなかった小さな命に、父親は族長の激怒を無視し、先祖の
名前、「パイケア」と名付け、後継者を祝うために掘っていたカヌーもそのままに、島を去った・・・・。

それでも、両親のいないパイケアを深い愛で包んでくれる祖母と、
不器用ながらも愛してくれる祖父に護られ、パイケアはすくすくと育っていった。

12才になったパイケアは、その美しさ、賢さ、伝統を敬う心、身体能力、どれをとっても村のすべての長男たちに負けないものがあった。

だが、女であるがゆえに、それらは何の役にも立たなかった。
パイケアもそれが悔しくてたまらないし、祖父は、パイが優秀であればあるほど、苛立ちパイに辛く当たってしまうのだった・・・。

久しぶりに外国から父が帰国した。今はドイツで彫刻家として
そこそこ成功しているようだ。
村の独身女性をあてがおうとする祖父。だが父は、ドイツにすでに妻がおり妊娠中だとうち明け、再び島を去った・・・。

祖父はついに、先祖パイケアから途切れることなく続いてきた血の繋がった後継者は諦め、村中の長男(皆パイケアと同じ10代前半の少年ばかり)を10人ほど集めて族長の資質を学ばせ、その中から1人を選ぼうとする。

隠れて自分も伝承歌や武芸を学ぼうとするパイケアだが、祖父は激怒する。
怒鳴られても、どれほど傷つく言葉を投げられても、パイケアは
祖父を憎まなかった。
祖父のやりきれなさをわかっていたからだ。
そんなパイケアの芯の強さと優しさこそ、人々を束ねるには必要なのだが、祖父にはそれが見えない・・・・。

いよいよ族長候補の最終テストの日。
湾内とはいえ深い海中に、族長の証であるクジラの骨の首飾りを
投げる祖父。
だが・・・・どの少年もそれを拾うことはできなかった。

あまりのショックに寝込んでしまう祖父。
パイケアは追い出され、弟の恋人の家に預けられた・・・・。

海辺で深い祈りを捧げるパイケア。
どうか一族を救ってくれと。
その祈りが、一族最大の危機と絶望を呼んでしまうことになろうとは・・・・。


絶望の先に未来と希望は訪れるのか・・・・。



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コメント用ライン


1万人の中から選ばれたというマオリ族の少女、ケイシャ・キャッスル=ヒューズ嬢の眩しいほどの美しさに目が釘付けになる。
太陽に愛された褐色の艶やかな肌。
思慮深く強い意志を秘めながらも憂いを含んだ大きな輝く瞳。
少年のような体つきに少女らしいふっくらとした唇と頬。

まさに、南の島の厳しい現実と神秘的な側面の両方を表現するのに
相応しいヒロインだ。

彼女を観て美しいと心打たれた方は、『僕のスウィング』も是非。
あちらはロマ族ではなく生粋のパリジェンヌだが、大自然の恵みが結実したような美しさを魅せてくれる希有なヒロインだ。

ケイシャ嬢、次作は『スターウォーズ』の完結編(=3)に出演するそうだが、彼女の才能と美は、ニュージーランドの海と共にあってこそ輝く気がするのだが・・・・。
ハリウッドの食い物にされないよう祈るばかり。

さて、この映画の魅力はもちろん、ヒロインばかりではない。

擦れて切れてしまった麻縄。一族の未来を見るようで不吉と感じたか、捨てて新しい縄を探す祖父。
切れたら結べばよいと、結んでみせ、祖父の怒りをかってしまうパイ。すべてがここに象徴されている。

そして、学芸会でのパイのあのスピーチ。
たった1人の勇者にすべてを託すのではなく、皆で力を合わせて村を築いていくべきだと、涙でかすんで見えない空席を見つめて震える声で話すパイ。目頭が熱くなるのを押さえられない。

とても普遍的なテーマであり、家族愛の物語であり、斬新さも
衝撃もないし、演出にもこれといって新鮮味はないのだが、
蒼い海、クジラ、マオリ族の伝承舞踏、ヒロインの少女、
少しも見飽きない。

命がけでクジラを救おうとするパイをみて、王蟲に乗ったナウシカを連想してしまった(族長の娘だし)。
宮崎アニメが好きな方にはオススメじゃないだろうか。

この映画のいいところは、大人の女性陣の強さ。
「外ではあんたがボスでも、台所ではあたしがボスよ!」
この祖母のセリフに象徴される、南の島の女の強さ。
単なる男尊女卑の社会ではない。

新しい時代の幕開けを象徴するような、パイの叔父ラウィリの恋人の振るまい。彼の手をひっぱってずんずん歩く。
男がエラソーに振る舞っているのを、お釈迦様の手のひらで遊ばせてやるかのようにひろ〜〜〜い心で支え、立ててやる器の大きさ。

イラン映画の女性は権利らしい権利はまったくなく、男に抑圧される存在として描かれるが(『私が女になった日』などオススメ)、
ニュージーランドの明るい日差しと、タフなオバちゃんたちの笑い声は底抜けに元気だ。

また女性が蔑視に苦しむ映画、と思わず、是非ご覧いただきたい。
女のコだけど男なんかに負けないぞぉ、的な映画はそれこそいっぱいあるわけだが(特に、スポーツや政治、軍事もので)、
本作のヒロインは、男に勝とうとか負けたくないとか、そんな低レベルな、自分の欲求やプライドのためという次元では行動していない。

マオリの女であること、女として生きることを肯定した上で、
それでも先祖が導いてきた自分の一族を導く血が自分の中に
流れていることを感じ、村を、祖父を、愛し助けたいと心底願っている。

自分の性別を否定することは、自分の存在を否定し、そして自分の親も先祖も否定することになる。
それを彼女はあの年齢にして理解しているのだ。
そこに心打たれずにはいられない。

先祖と自然と伝統を敬う心。
あの蒼い海の波で、曇った目や心を洗ってみたくなる。






2004年09月14日(火) 「アタメ/私をしばって!」 P・アルモドバル監督の描くちょっとキケンな純愛♪若いA・バンデラスが可愛いw 

アタメ/私をしばって!【ATAME!】1989年・スペイン
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル 
撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ 
音楽:エンニオ・モリコーネ
 
俳優:ヴィクトリア・アブリル(ポルノ女優、マリーナ)
  アントニオ・バンデラス(リッキー)
  ロレス・レオン(マリーナの姉、ローラ)
  フランシスコ・ラバル(監督、マキシモ)
  ロシー・デ・パルマ(ヤクの売人)

ストーリー用ライン


リッキーがついに精神病院を出る日がやってきた。
といっても実は病んではいなかったが、メシと女に不足のないここで暮らし、逃亡して外で遊んでは再び収監され、を繰り返して
23才。

入院中に配管工やら錠前屋やら、たくさん技術も身につけ、
中年の女院長からベッドでの奉仕のお礼に5万ペセタももらった。

意気揚々と病院を出た彼は、まず菓子屋でナイフを盗み、ハート型のチョコを買った。
向かう先は映画の撮影所だ。

楽屋に忍び込むと、カツラだの手錠だの現金だのたくさん頂戴し、
マリーナのバッグにチョコを忍ばせてご機嫌だ。
壁に貼ってある関係者連絡先もちゃっかり盗むリッキー。

かつてキャバクラ嬢だったりポルノ女優だったりしたマリーナ、
今はマキシモ監督のB級ホラー作品に主演している。
今日はラストシーンを撮る日だ。

打ち上げパーティの前に自宅に戻った彼女は、リッキーに押し入られ、監禁されてしまう!

暴れ叫ぶと殴りつけるリッキー。
強姦魔だと思った彼女は、ヤるならさっさとヤれば、と言うが、
犯しに来たわけではない様子。

リッキーの目的はマリーナの体ではなく、心だったのだ。
いい夫になるし、いい父親になる、お前がその気になったら抱く、
というリッキー。

かつてキャバクラ嬢時代に、客の1人としてバーで脱走中のリッキーと寝ていたのだが、マリーナはいちいち覚えていない。
だがリッキーは、彼女こそマイエンジェル、と一方的に決めていた模様。

マリーナにはいい迷惑だが、それどころじゃない切迫した問題が。
歯が痛くて堪らない。
しかも麻薬中毒者の彼女は、普通の痛み止めでは効かない。
ヤクでなきやダメだ。

逃げないよう彼女をベッドに縛り付け、密売人の元へ向かうリッキーだが・・・。

そんなこんなで数日が経過し、彼女の姉や仕事関係者は、マリーナが失踪したのではと心配しはじめる。

幾度となく脱走を試みるマリーナだが、次第に自分の本当の気持ちがわからなくなってくる。
逃げて、またエロ監督に弄ばれるかポルノ女優に後戻りか・・・。
それともここまで自分を愛してくれる男の愛に応えるべきか。
だが縛るような男なんて・・・。

ためらう彼女の決断や如何に。

楽天内ではDVD扱ってませんが、Amazonはじめ人気作です。


コメント用ライン


ストーリーはなんてことないのだが、細部が可笑しくてたまらない。
監禁といっても、暴力は最初のビンタ一発だけ。あとは縛っているという以外は女王様を扱うように紳士的(その矛盾が可笑しい)。

亀甲縛りとかぢゃないですよ。
ソッチを期待してわくわく借りてきたらエッチなシーンないやん!
と怒られそうなので、念のため。
手首を胸の前で交差させ、足首もお股開かせたりなんぞせず、
揃えて真っ直ぐ縛ってます。
縛りプレイが観たい方は、チャン・カイコー監督の『キリング・ミー・ソフトリー』でヘザー・グラハムが縛られてますんで、ソッチをどうぞw

縛るためのカラフルでソフトなヒモを探しに手芸店であれこれヒモを物色したり、中学生みたいにボッキしちゃったのをかがんで我慢したり、着替えを見ないように几帳面に後ろを向いたり、可愛い。
あの顔の面積に対して比率が大きすぎる巨大なお目目に、いかにも
どっかに収監されてましたっぽいスポーツ刈りがアブナさを倍増させている。

某国の某純愛ドラマに夢中な方にはこれのドコが純愛!?
とヒスを起こされそうだが、リッキーのアポローチは明らかに倫理的にマズいのだが、アブナいなりに一途。
地下鉄の路線図にたとえて人生設計図を書いてマリーナに説明するシーンはもう、可笑しいやら可愛いやら。

マリーナが彼の愛を完璧に理解するのは、セックスで。
無数に寝た男の中から、リッキーを体で思い出すのだ。
男と女は鍵と錠前。
一度ピッタリ合ったら、もう別の鍵では開かない。

ちょっぴりスリリングでちょっぴりエッチで、男女の仲はかくも
不思議と笑える。

そして、とびっきり陽気で後味のいい幕切れ。

ペドロ・アルモドバル監督が「オール・アバウト・マイ・マザー」で巨匠になってしまう前の作品群には、とてもお茶目なコメディがたくさんある。
色彩もとてもキレイだ。

※「トーク・トゥ・ハー」で虫唾が走ってしまった方は、アルモドバルの提示する純愛と相性が悪いはず、観ないほうがいいかも。

◆ えーと、あくまでも娯楽映画です。
好いてくれない女を好いてもらえるまで監禁したり縛ったりしちゃ
ダメですよん(爆


マリーナが縛ってほしかったのは(アタメ!=縛って)、肉体ではなく、浮き草のように頼りなく今だけを男から男へフワフワと
飛ぶだけの空しい心。

弱いから、縛られてないと逃げ出してしまう。
そうしたらまた何もかももとどおり、若さという夏が過ぎたら消える蝶。

無償の愛を与えあえるのは、今まで家族だけだった。家族がもう1人増える。陽気な歌声、明るいスペインの太陽。眩しい笑顔。
心底ホっとする。

ところで、男性諸兄、女性にみとれていて文句を言われたら
コレは使えるかもw
「見ているのではない。崇拝しているのだ。」(byエロ爺ぃ)
きゃーそんなぁw と感激されるか、バカにされるかは一か八かで責任は持ちません(笑)



2004年09月13日(月) 「ドッグヴィル」 人間の醜悪さを描き観客を不快にさせる達人トリアーめ。今回も、人間不信に疑心暗鬼、憎悪に復讐、コテコテ。

ドッグヴィル【DOGVILLE】
★2003年ヨーロッパ映画賞 監督賞
監督・脚本:ラース・フォン・トリアー 
撮影:アントニー・ドッド・マントル 
 
出演:ニコール・キッドマン(グレース)
  ポール・ベタニー(トム)
  ステラン・スカルスガルド(チャック)
  クロエ・セヴィニー(リズ・ヘンソン)
  シオバン・ファロン(マーサ)
  ローレン・バコール(ジンジャー夫人)
  パトリシア・クラークソン(ヴェラ)
  ベン・ギャザラ(ジャック)
  ジェームズ・カーン(大きな男)
  ジャン=マルク・バール(大きい帽子の男)
  ジェレミー・デイヴィス(リズの兄、ジム・ヘンソン)
  ハリエット・アンデルセン(グロリア)
  ブレア・ブラウン(ヘンソン夫人)
  フィリップ・ベイカー・ホール(トムの父)
  レオ・キング(オリヴィア)
  ビル・レイモンド(ヘンソン氏)
  マイルズ・パリントン(ジェイソン)
  ウド・キア(コートの男)
  ジョン・ハート(ナレーション)

ストーリー用ライン


黒い床に白線で道や家の見取り図が描かれているだけのセット。

察するに30年代あたりのアメリカ、ロッキー山脈の麓、住人が15名+子供7人というみすぼらしい町、ドッグヴィル(犬村)。
ジョージタウンから一本道、この町で行き止まり。切り立った崖が
行く手を遮る。町と同じくらい住民の人生もどん詰まり。

この物語の狂言回しとなるのは作家志望の青年、トム。
最近、トムは町の人々を啓蒙しようと強引に集会を開き、
熱弁をふるうのだが、ほとんどの町民はげんなりしている。

早春のある夜更け、ジョージタウンのほうで銃声が響く。
やがて瀟洒な衣服を纏った若く美しい女性がボロボロの風体で
ドッグヴィルに逃げ込んできた。
咄嗟に廃坑に匿うトム。
その女性、グレースを追って、ギャングの高級車がやってくる。
ボスは、女を見かけたら連絡しろ、とトムに名刺を渡し帰っていった。

トムは、これはドッグヴィルを変えるチャンスだ、神からの贈り物だと心躍る。
集会で、トムは皆にグレースを匿おうと提案する。
排他的な彼らが即座に納得するはずもない。
条件がついた。
2週間、猶予を与えるからその間に皆に奉仕し、気に入られたら
匿い続けてもよい、と。

前は崖、後ろはギャング、逃げ場のないグレースは、人々に従う他、選択肢がない。
かくして皆に気に入られるべく、肉体労働を提供することになった。

盲目であることを隠す老人の話し相手、子沢山家族の家の子守。
道ばたの草の手入れ。障害者のトイレの世話などなど・・・。
生まれてこのかた働いたことなどなかった彼女も次第に労働に慣れてゆく。

こうして2週間が過ぎた。投票の結果、彼女は町民に受け入れられたのだ。
僅かながら給料ももらい、住処も得、トムとの間に淡い恋も芽生え、幸せに夏が過ぎていった。

だが、警察がきて手配書を貼っていった。
グレースは郡中で指名手配中の強盗犯だというのだ。
どうやらギャングが彼女をなんとしても捕まえるためにFBIにグレースを売ったらしい。
彼女は過去は一切語らない・・・。

警察に隠し事をしているという罪悪感、不安感。
そして、グレースが若く美しいゆえに男衆の劣情をかきたててしまう・・・。

町はグレースに冷淡になってゆく。労働は過酷になり、虐待は酷くなる・・・。

逃げ出したいグレース。逃がしてやりたいが無力で無能なトム。

凍てつく冬が再びやってきた。
首輪をはめられ、昼は女たちに罵倒されながら奴隷の如く働かされ、夜には男どもの性の奴隷と化したグレースの運命や如何に。


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コメント用ライン


飛行機恐怖症のせいでトリアー監督はアメリカを訪れたことがないし、きっと一生来ないだろう。アメリカ三部作、第一弾。

デンマークから米国の権力批判映画を撮っても、まさに負け犬の遠吠え。犬はお前だ、ラース・フォン・トリアー。

と、挑発にはノっておいてあげて、と。
たぶんそこまで承知で創ってるのだろう。監督は。

なにしろ、今回のテーマは人間の「傲慢さ」。
監督が謙虚な姿勢で傲慢さが描けるわけがないってことだ。

きっとブレヒトとか好きなんだろうと思ったらやはり、監督の
ご母堂がブレヒトのファンらしい。着想はそこにあったわけだ。

映画としての舞台設定の斬新さは、「CUBE」かこれかというところか?

演劇を勉強したことのある者なら基礎で必ずやらされる訓練、
あるはずの見えないドアや壁に注意し演技をする。
ドアを開ける演技のヘタさに、映画俳優なのにお気の毒に、と苦笑してしまう。

犬まで犬の絵かよ、とウケてしまった。飛び降り自殺の死体の位置をチョークで書いたような状態なのである。
で、エサ皿と首輪だけは本物。

車だけが、中にいる人物が見えなくなる。
一種のサスペンスとして描くのに、この車の存在は大事だ。

外見に関することはこのくらいで。
3時間もかけて何を撮ったのか。

相変わらず、ヒロインを徹底的に貶め苦しめ惨めにヨゴし、
最後には人生をブチ壊すのかと思いつつ二時間半。
今回もソレやったらもう二度とこいつの映画は観ない、と思いつつ
残り20分で、お、今回は趣が違う、とニヤニヤしはじめる。

そして、ニヤニヤ醜い顔で画面を見つめているのであろう観客も、
監督の餌食だ。
ほら、あんたらも傲慢じゃない? 人間なんてみんなそうだろ?
トリアーの挑発が犬、モーゼスの吠える声に重なって聞こえてくるかのよう。

溜飲は下がるが後味は最悪。
カンヌ無冠もやむなし、俳優陣の信頼も得られず、観客をナメ、
アメリカを醜さの象徴としてエンドロールで曝す。

ラースは偉くなりすぎた。
『エピデミック〜感染〜』や『イディオッツ』のようなオモシロイ小品を撮っていた頃はけっこう好きだったが。

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』が好きな方は、本作には微塵の感動も、泣かせツボも、美しい歌声もないので、絶対にオススメしない。
『ダンサー〜』で監督に殺意を感じた方、案外これはオススメかもしれない。レイプシーンの試写に耐えられず席を立ったニコール・キッドマンに同情。

レイプシーンで男の尻とタマが見える撮り方をするコイツって。
いい俳優なのに、ステランもケツ撮られて、女虐待する役か。
『ダンサー〜』でもヒロインを地獄に落とした役だった。

人間は裏切るもの、人間は醜悪な存在、そんな人間を許すなんて
お前は傲慢だ、人を殺すより傲慢だ。

人間の惨めな部分をクローズアップしてシニカルに撮る監督は
たくさんいる。
だが、そこに哀れみと愛を感じないなら、ただの世迷い言。

ドグマ95式では今回はない、ないどころか正反対。
すべてセット、小道具、人工照明。
常に新しい表現方法を模索するトリアーはチャレンジャーだとは
思うが、彼はどこまで、いつまで、人間の暗部をえぐり出す作品ばかり撮り続けるのだろうか。

結局、ラース・フォン・トリアーという、映画界に風穴を開けたデンマークの男が、最終的には何を目指すのか、それが知りたくてまた嫌な気分になると知りつつ私は観てしまうのだろう。

『ドッグヴィルの告白』というメイキングのDVDも発売されている。特典としてつけず、あえて別売にするとは、あこぎな商売するね。


じゃ、この映画の価値はどこかといったらもう、俳優陣。
珍しくポール・ベタニーは“利口ぶってる無能男”役を見事体現。
ニコール・キッドマンは、もう彼女あってこそのこの映画という
存在感。
ステラン・スカルスガルドの人間のクズ役には拍手。
まぁ、犬村全員クズどもだが、愚かなだけの町民も多い。

そしてトドメのウド・キア!あのシーンだけ犬臭くなかった。

映画でやる意味があったとすれば、役者の表情がアップで観られる、そこしかない。
月も炎もかきわりと照明なんだから。

最後に、指定はないが、高校生未満の子供には見せるべきではない。男性恐怖症、人間不信気味の人もやめておいたほうがいい。
あるいは、人間は愚かでも愛しい存在だと思える健全な方にもおすすめしない。

人間は、愚かで醜くて弱い存在だ。
そんなのトリアーにご指摘頂かなくとも、普通に生きていれば
みな、それぞれの人生で苦い汁を舐めて知っている。
だからこそ、映画や物語の世界に、救いと愛を求めるのではないのか。

真実、リアリティは、それほど映画に必要だろうか?
私は希望が欲しい。



2004年09月10日(金) 「ニューオーリンズ・トライアル」 陪審員の評決、売ります。原告、被告双方の弁護士に届いたメッセージ。被告は銃製造会社。

ニューオーリンズ・トライアル(ニューオーリンズでの審判、裁判)【RUNAWAY JURY(手に負えぬ/脱走する陪審員)】2003年・米
監督:ゲイリー・フレダー 
原作:ジョン・グリシャム 『陪審評決』
脚本:ブライアン・コッペルマン/デヴィッド・レヴィーン 
マシュー・チャップマン/リック・クリーヴランド 
撮影:ロバート・エルスウィット
編集:ウィリアム・スタインカンプ 
音楽:クリストファー・ヤング 
 
出演:ジョン・キューザック(陪審員、ニック・イースター)
   レイチェル・ワイズ(ニックの恋人、連絡役、マーリー)
   ジーン・ハックマン(被告側陪審コンサルタント、フィッチ)
   ダスティン・ホフマン(原告側弁護士、ローア)
   ブルース・デイヴィソン(被告側弁護士、ケーブル)
   ジェレミー・ピヴェン(原告側の陪審コンサルタント、ローレンス)
   ブルース・マッギル(ハーキン判事)
   ジョアンナ・ゴーイング(原告、セレステ)
   ヘンリー・ジャンクル(被告、銃製造会社社長)
   ニック・サーシー(フィッチの手下、ドイル)
   セリア・ウェストン(ブランツ夫人)
   ディラン・マクダーモット(生前のウッド氏)
   
・・陪審員たち、補欠も含む・・・
   スタンリー・アンダーソン(ヘンリー)
   ゲーリー・バーマン(ハーマン)
   コーリー・イングリッシュ(リディア)
   ルイス・ガスマン(ジェリー)
   ラスティ・シュウィマー(ミリー)
   ノーラ・ダン(ステラ)
   ローダ・グリフィス(リッキ)
   ビル・ナン(ロニー)
   クリフ・カーティス(フランク)
   ガイ・トーリー(エディー)
   ファンローニー・ハリス(シルヴィア)
   ジェニファー・ビールス(バネッサ)

ストーリー用ライン


ルイジアナ州、ニューオーリンズ。
昨日、幼い息子の誕生パーティで幸福な時間を過ごした証券マン、
ウッド氏は、今朝もいつものようにオフィスにやってきた。
秘書と昨日の話題で談笑していると、突然の雷雨のような銃声!

ウッド氏を含め、11人がたった2分の間に殺害された・・・。
犯人はクビになったことを逆恨みした元社員。同僚たちを次々に殺害すると、自殺した。

それから2年。
未亡人となったウッドの妻セレステは、犯人の使用していた銃の製造会社、ヴィックスバーグ社を相手に、夫が生きていれば得られた収入と慰謝料をめぐって民事訴訟をおこした。
もちろん、目当ては金ではない。銃社会を変えたいと切に願うゆえに。

ヴィックスバーグ社は違法に銃をだれかれかまわず大量に裁き、指紋のつかない銃まで製造している。
今まで、何度も全米各地で銃製造会社をあいてどった民事訴訟が
あったが、一度も原告が勝訴したことはない。
憲法修正第二条(銃の所持を認める法律)のせいだけではない。

仕掛け人がいたのだ。
陪審員の評決にすべてがゆだねられるアメリカの法廷。
弁護士が幾ら雄弁に語っても、陪審員がもとから特定の思想や信念を持っていた場合、あまり意味がない。

そこで重要な役割を果たすのが“陪審コンサルタント”。
選挙人登録してある前科のない成人から役所が無作為に抽出した
数十名の陪審員候補の中から、12名を選び出すのが役目。

原告側の弁護士ローアは、この州では知られた敏腕弁護士。
庶民派で、安いスーツに少し趣味の悪いネクタイ。
人間を信じるローアは、陪審コンサルタントを今まで雇ったことがない。いつもカンで、危険思想の人物を避け、評決に有利になりそうな人物を選んできた。
そこへローレンスという若い理想に燃えた青年が現れ、自分を陪審コンサルタントとして雇ってほしいと申し出る。

相手にしなかったローアだが、被告側の陪審コンサルタントが“フィッチ”だと聞くと、ピクリと反応する。
銃社会を変えるために闘いたいと熱っぽく語るローレンスを、安い報酬で雇い入れる。

一方、被告側の陪審コンサルタント、フィッチは、ハイテク機器を駆使し盗撮個人情報の引き出しなどあくどい手で陪審員候補を下調べする。心理学に通じる部下、盗み、暴力専門の部下を持ち、
裁判所近くのビルの一室に秘密の戦略ルームをかまえていた。

ゲーム販売店経営のオタクっぽい青年、ニック・イースターは、
陪審員候補として選ばれた。仲間たちには、なんとかして免除してもらえないかなぁ、とコボしまくる。じきオンラインゲームの大きな大会があるらしく、何日も拘束される陪審員なんてまっぴら、という様子だ。

さて、陪審員を選ぶ日が来た。
情報収集は完璧なつもりのフィッチ。
あくまでもカンと目で選ぶつもりのローア。

双方の弁護士が「認める」と言った者を陪審員にし、
「拒否」とどちらかが言えば陪審員にはなれない。

ローアは当然ローレンスと相談しつつも自分の眼力で選ぶのだが、
被告側の弁護士は完璧にフィッチの操り人形だ。
耳の裏につけたジェル状のイヤホンで、近くのビルから盗聴盗撮しているフィッチの指令を受けているだけ。

まるっきりやる気のないニック・イースターは判事の怒りをかい、
追い出されるどころか逆に市民の義務を果たせ!と怒鳴られる。
これでは、本当は情に脆そうに見えるニックを取りたくないフィッチサイドも、拒否できない。
かくして、ニックは陪審員第9号となった。

さぞかしうんざりかと思いきや、恋人マーリーに会うなり、陪審員に選ばれたことを喜び合うニック。
2人はある犯行を計画していた。

裁判初日、2通の同じ封筒がそれぞれ原告側、被告側の弁護士に届けられた。
中身は、“評決売ります”と裏に書かれた、陪審員12名の顔写真・・・!

連絡係のマーリーは、1000万ドル(およそ10億円以上)の
報酬を提示する。

初めは素人のイタズラだと鼻で嗤っていたフィッチだが、
ニック、マーリーの鮮やかな手腕に次第に嗤っていられなくなる。

ローアは頑なに拒みつつも、裁判が進むにつれ、勝てる自信を失ってゆく。ヴィックスバーグ社の元重役を決定的な証人として確保していたが、フィッチに消されてしまう・・・。

フィッチはニックの部屋を荒らし、マーリーの殺害をもくろむ。
マーリーは報酬を1500万ドルにつり上げた。

フィッチは、銃に否定的な陪審員たちに精神的な揺さぶりや脅しを
かけはじめる。誰にでも、秘密はあるものだ。
エイズ、浮気、収賄・・・。

ニックも手を打つ。
フィッチに有利な陪審員をクビにし、かつ自分の株も上げ、他の陪審員の信頼を買う作戦だ。

こうして両者、食うか食われるかの勝負が続く。

この裁判でもしも初の銃製造会社敗訴となれば、史上初となり、
全国で同様の訴訟がせきを切ったようにわき上がるのは必至。
全米すべての銃製造会社に未来はなくなる。

たった1つの裁判、だが全米のこれからを担う裁判。
いよいよ、結審の日が近づいてきたが・・・・。


コメント用ライン



グリシャム原作の法廷モノにはずれなし。
今回は煙草を銃にかえて、映画化している。

普通の法廷モノでは、被告VS原告という一対一の真っ向勝負、陪審員は、彼らが主役になるか、あるいは弁護士や検事の話を聞いているかという立場。
本作では、陪審員を操作する側が加わり、がっぷり三つ巴の闘いなのが新鮮で面白い。

その“操作”とは具体的に何であったか、ラストのニックの一言が痛快だ。


ニックやマーリーの正体にしろ、結末にしろ、充分推測できるのだが、これは大どんでんがえしものでもないし、推理サスペンスでもない。

一瞬一瞬のせめぎあいが見所なのだ。
だから躍動感に満ちている。

そして、人数が多いにも拘わらず、人物の描き方が丁寧だ。
今ひとつ、いてもいなくてもよかったような原告側の陪審コンサルタントがもったいないのだが。

銃社会への警鐘を映画という媒体で鳴らしている作品は近年増加の一方だ。
ごく有名なところだけでも、『ボーリング・フォー・コロンバイン』『スナイパー』 どちらも、学校銃撃事件が核になっている。

真正面から銃製造会社に法廷で挑んでも勝てない。
民事訴訟での勝利を諦め、最後の手段にふみきった『スナイパー』。そして本作。
そちらも、銃製造会社の不正な販売ゆえに、儲けのためなら子供や犯罪者にも簡単に銃を売る会社を糾弾している。

ジョン・キューザックの隠れ知能派っぽさと、見た目おひとよしでお調子モノ、愛嬌のあるキャラクターが最大限に活かされているし、見事な演技と存在感だった。
彼は40でもまだ「青年」という表現がまったく不自然でない
童顔で、役幅が広い。

ベテラン勢も凄い。あのトイレでの、ジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンとの鬼気迫る対決には圧倒されて息が止まりそうな緊張感。
あの2人、これが初競演だそうだ。売れない頃からの親友だという
2人、さすが、というほか言葉がないほど。

思いっきり直球のダスティン・ホフマン。
正義感と目的のためなら手段を選ばずの間で揺れる。

ジーン・ハックマンの悪党っぷり。
だが所詮は雇われ悪党の悲哀。

憲法修正第二条そのものを改正せよという裁判ではない。
『ボーリング・フォー・コロンバイン』でも、銃が所持できる法律に警鐘を鳴らしているのではない。
『スナイパー』もしかり。
争われているのは“不正な販売”(子供でも買える、1人が何百丁でも買える→どんな邪な連中の手に安価に渡るか)だというのに、裁判で今まで一度も銃製造会社が負けたことがないのは
何故か。誰かが裁判を(=陪審員を)陰で操っていないか。

そこに焦点を当てたこの作品、画期的な取り組みではないだろうか。

社会派ドラマとして、スリリングなサスペンスとして、復讐劇として、いろいろな愉しみ方ができるとても優れた作品だ。





2004年09月09日(木) 「フランケンシュタイン」 原作に忠実。凄惨で壮絶な悲劇。デニーロ演じる怪物の哀しさに泣かずにはいられない。

フランケンシュタイン【Mary Shelley's Frankenstein】1994年・米
監督:ケネス・ブラナー 
製作:フランシス・フォード・コッポラ
原作:メアリー・シェリー 
脚本:スティーヴン・レディ/フランク・ダラボン
撮影:ロジャー・プラット
音楽:パトリック・ドイル 
 
俳優:ロバート・デ・ニーロ(怪物/義足の男)
   ケネス・ブラナー(医学生、ヴィクター・フランケンシュタイン)
   ヘレナ・ボナム=カーター(ヴィクターの義妹にして恋人、エリザベス)
   エイダン・クイン(探検家、ウォルトン)
   イアン・ホルム(ヴィクターの父)
   ジョン・クリーズ(死者蘇生実験の先達者、ウォルドマン教授)
   ロバート・ハーディ(クレンペ教授)
   チェリー・ランギ(ヴィクターの母)
   リチャード・ブライヤーズ(森の小屋の盲人)
   トム・ハルス(ヴィクターの学友、ヘンリー)

ストーリー用ライン


1794年。人類が科学という新しい力を得、未知なるものへの探求に貪欲になりはじめた時代・・・。

北極点への航路を発見すべく北極海を航海中の船が凄まじい嵐に遭遇し、氷山に衝突する。かなりの死者が出たにも拘わらず、探検家で船長のウォルトンはクルーに修理を急がせ、なおも北へ進路をとろうとする。新発見に犠牲はつきものだ、と言い放つ船長に、クルーたちは今にも暴動を起こしかねない。

その時、氷原から聞いたこともない恐ろしげな叫び声が!
やがてボロ布のようにやつれきった男が氷原から現れ倒れ込む。
船室に招き入れ、その男の話に耳を傾けるウォルトン・・・・・。

数年前に話は遡る。
スイスの裕福なフランケンシュタイン家の長男、ヴィクターは、
義妹の美しいエリザベスとともに幸せな子供時代を送った。
だが、愛する母が難産の末、嬰児をのこし、亡くなった。医師の父にも、どうすることもできなかった・・・。
悲嘆にくれたヴィクターは心に誓う。“死”を葬ってみせる、と・・・。

猛勉強の末、ヴィクターは父の跡を継ぎ医者になるべく、遠方の医大に通うことになる。
別れの前夜、いつのまにか深く愛し合うようになっていたエリザベスと結婚の約束をするのだった。医者の資格をとって帰郷したら、
初夜に契りを結ぼうと。

こうして若者らしい期待に胸を膨らませ、医大に入学。近くに広い屋根裏部屋を借り、さまざまな実験道具を運び込むのだった。

何よりも患者の治療を第一に、と医師の心得を説くクレンペ教授に、治療よりも創造を、と発言し怒りをかうヴィクター。

やがてヴィクターは、医学会の異端と忌み嫌われるウォルドマン教授と出逢う。
中国の“気”や“ツボ”“針”の研究をし、針と電気が生物に与える影響などの実験を秘密裏に行っていた。
切断された腕だけのサルの手が、電流を流すと生きているように動くではないか!
興奮したヴィクターは、秘密保持を条件に弟子入りするのだった。

だが、教授が異端視された理由はもっと恐ろしいところにあった。
かつては、死者蘇生の実験も行っていたのだ。
だが、そのあまりに恐ろしい結果に、すべてを封印してしまったのだった・・・。

そんなおり、街にコレラが大流行する。医師たちは総出で人々にワクチンを注射するが、義足の男が暴れ出す。ワクチンの意味など理解できない男は、病原菌を注射されるのだと半狂乱でウォルドマン教授を刺殺してしまう・・・!

また1人、敬愛する人を失ったヴィクターは“死”を激しく憎悪する。そして、教授の研究の封印を解いてしまうのだった。

教授の脳を、教授を殺した男の頭蓋骨に入れ、内臓や足は死んだコレラ患者から盗った。縫い目だらけのつぎはぎの体のツボに針を刺し、電気ウナギの電流を用い刺激を与えると・・・・!

ヴィクターはその時はじめて激しい後悔に襲われ、その怪物を見棄ててしまう。死んだのだと思いこみ、忘れようとする。

怪物はヴィクターの日記が懐に入ったコートを纏うと、街から逃げ出し、森の奥深くへと姿を消した。

森で、貧しいながらも幸福そうな一家をみかける。
壁の隙間から、愛に溢れる家族を見つめる怪物の瞳は穏やかだった。一家を陰から守る怪物は、子供たちに“森の妖精さん”と慕われるが、姿は見せられない・・・。
盲目の祖父だけが、怪物の哀しみを理解するのだった。

だが、父親が怪物と一緒にいるのをみて、息子は問答無用で殴りかかる。
怪物は1人、森の奥で号泣するのだった・・・・。

コートのポケットから見つけたヴィクター・フランケンシュタインの日記。自分が科学者の実験で創られ、棄てられたと知った怪物は、ヴィクターから愛する者を奪いつくすべく、復讐を胸にスイスへ向かうのだった。

その頃、何も知らないヴィクターは、心配して迎えにきたエリザベスと、学友のヘンリーと故郷に。花嫁衣装の仮縫い、一家は華やいだ雰囲気に包まれていたが・・・・・・・。


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コメント用ライン


アメリカの漫画に出てくる(31年の『フランケンシュタイン』の怪物のイメージが強烈すぎてそのまま定着)、額が異様に長くボルトがついている真四角な怪物で、手を前に伸ばしてのしのし歩く大男をイメージしていると、デニーロの演じる怪物との容姿との違いに違和感を感じるかもしれない。

原作通り、一般人の死体を組み合わせたクリーチャーなので、背丈は中肉中背、脳を切開しているので髪は剃られ坊主頭、「フランケンシュタン」の怪物だと一見してわかるのは、顔中の縫い傷だけ。

クチビルや目の周りを縫うのにはどんな意味があるのかやや疑問だが、縫合の粗さははやるヴィクターの乱心ぶりを痛々しく表現しているかのよう。

そして、この怪物には心があった。
知能もあった。それがウォルドマン教授の脳だからかどうかはわからないが、学習能力が高く文字も読める。

野の花を愛で、笛の音を愛で、人の笑顔を愛する。
だが、ヴィクターが愛もなく創ったゆえに、感情をコントロールできない。
怒りか、愛か。
怪物はその2つのどちらかでしか満たされない。
そして拒絶され愛を失った怪物は、怒りの塊となるしかない・・・。

シェイクスピア悲劇に通じているケネス・ブラナーらしく、
人の業の醜さと哀しさをとことんまで見せつける。

フランケンシュタインはただ新発見を夢見るマッドサイエンティストではない。
愛する者を死という見えない怪物に奪われたゆえの狂気。

怪物も、生みの親も、愛をもがれたがゆえに凶行に走った哀れな
人間だ。

愛してやれないのなら、“心”が発動する前に即座に殺すべきだった。
愛されないのなら、“父”のみの命を奪い復讐とすればよかった。

だが、それができない、それでは満たされないのも、また人間らしさだったのだ。

いっそ心を持たない本物の怪物なら、苦しまなかったであろうに。
花嫁の壮絶な死に、憎みあう2人の心が同じ悲しみと絶望を共有する。

愛する母の遺した日記帳には、愛に満ちた日々を綴るべきだった。
母を愛していたがゆえに破滅するとは。

この映画はホラー映画ではない。
グロテスクな映像もあるし、凄惨な死のシーンも幾度も描かれるが、それがメインではない。

人間の業の深さと愛を描いた悲劇なのだ。

到達できそうな未知の場所がある。実現可能と思える事がある。
だが、行くべきか、すべきか。行かざるべきか、すべきでないか。
その決断を下すほうが、どんな危険な冒険よりも勇気のいること。

ロジャー・プラット(「バットマン」「未来世紀ブラジル」など)による、回転を多用したスピード感溢れる撮影も見事で、緊張感が途切れない。

フランケンシュタイン家の階段や大広間の美術にも目をみはる。
真っ白な空間に淡い水色やピンクを基調とした衣装の人々。

脚本は、新人のスティーヴン・レディの補佐にあのフランク・ダラボンが入っている。泣かせツボをグリグリされてしまう。

いつまでもエンドロールを見つめたまま涙にくれてしまう映画は
そう本数がない。

ケネス・ブラナーが大学生の役は若作りもいいとこだろうとか、
(「ハムレット」でも目をつぶってやったよ、そこは)
ヘレナ・ボナム=カーターほどの美女になにさらす、とかは
この際ノーコメント。



2004年09月08日(水) 「2300年未来への旅」 核に汚染された地球。外界を知らずドームで暮らす人々は30才で儀式と称して消滅させられる・・・。

2300年未来への旅【LOGAN'S RUN(ローガンの逃亡)】1976年・米
★1976年 特別業績賞(視覚効果)

監督:マイケル・アンダーソン 
原作:ウィリアム・F・ノーラン/ジョージ・クレイトン・ジョンソン
脚本:デヴィッド・ジーラグ・グッドマン
撮影:アーネスト・ラズロ 
音楽:ジェリー・ゴールドスミス 
 
出演:マイケル・ヨーク(サンドマン、ローガン)
  ジェニー・アガター(ジェシカ)
リチャード・ジョーダン(サンドマン、フランシス)
  ピーター・ユスティノフ(老人)
  マイケル・アンダーソン・ジュニア(整形病院の医師)
  ファラ・フォーセット(整形病院の看護婦)
  ロスコー・リー・ブラウン(冷凍マシーン、ボックス)

ストーリー用ライン


西暦2274年、地球。
人類は地球を汚染しつくし、密閉したドームに住処を移してから
もう長い年月が経過していた。
ドームからは外界はうかがいしれない。
土も、空も、太陽も知らない人類。

ここでは、人工授精によって受胎した胎児を、保育器の中で育て、
誕生するとコンピュータの管理下で育てられ教育される。

男女に「結婚」の概念はなく、共に暮らすこともない。
必要なときにデート回路でセックスの相手を探すだけだ。

人々は年齢によって、掌に埋め込まれた石の光の色と、着用する服の色が変わる。
子供は黄色、十代はピンク、二十代前半は緑、そして後半は赤。
そして、30才の誕生月になると、掌の赤い石が点滅する。

それは、「火の儀式」が近づいていることを示すのだ。
転生の儀式だと人々は信じ込まされている。生まれ変わりの儀式だと。
だが、一カ所に集められた30才の人々を、強力レーザーにより、
一瞬で骨も残さず焼き殺しているように見える・・・。

今日も儀式があった。
2274年山羊座生まれの30才、数十名が宙を舞いながら次々に
光線を浴び消えてゆく。
人々は熱狂的な祝賀ムードでそれを祝うのだった。

だが、当然システムに疑問を持ち管理社会に反旗を翻すものもいる。逃亡者(ランナー)を殺すのが、サンドマンと呼ばれる警察の中でもエリートの特殊隊員である。

サンドマンになる者は胎児の時点で決まっている。
完璧な洗脳を施され、マザーコンピュータの申し子となるのだ。

主人公、ローガンもサンドマンの1人。任務とあらば、愉しむかの如く逃亡者を追いつめ笑いながら殺害する。
その場で骨まで残らず一瞬で焼かれるので、このドームには「墓」
がない。そもそも、「死」という概念がないのだ。
体が消えても次の瞬間、転生すると思いこまされている。
計画的に誕生する赤ん坊の数と儀式で消える人数が釣り合っているため、ドーム内は常に人口密度が一定しているのだ。

だが、実際に転生の記憶を持つ人物に逢ったことのないローガンは、疑問を感じていた。

ある日、いつものように所持品検査とIDチェックを本部で受けると、先日の逃亡者から取り上げた十字型のアクセサリー(アンク)にマザーが反応する。
そして、ローガンだけに秘密の任務を与えるのだった。

サンドマンに処刑されなかった隠れ逃亡者が1500人を越しており、彼らは“サンクチュアリ”と呼ばれる聖地を目指しているらしい。逃亡者に扮し、ドームの外に出て、サンクチュアリの存在を確かめ破壊しろ。それがマザーの命令だった。

だが、まだ26才のローガンは掌の石が緑だ。まだ儀式を恐れ逃亡する年齢ではなくスパイだと疑われはしまいか、と任務を避けようとすると、マザーは彼の生命時計を4年進めてしまった!
赤が点滅している・・・!

進退窮まったローガン。マザーは、時計を戻すと約束はしてくれなかった・・・。つまり、何もしなくても消滅するわけだ。
不安を抱えながら、任務遂行のため地下組織に潜入しようとするローガン。

デート回路で知り合ったジェシカの胸元に、あのアンクを見つけ、
地下組織のメンバーだと確信したローガンは、掌を見せ、死にたくないから逃亡を助けてくれと迫るのだが・・・・・。

サンクチュアリと呼ばれる楽園は存在するのか?
秘密任務のため、親友のサンドマンに逃亡者として追われる身になったローガンの運命や如何に?
そしてサンドマンを忌み嫌うジェシカとの恋の行方は。
ドームの外はいったいどうなっているのだろうか・・・・。



2300年未来への旅 DVD


コメント用ライン


邦題がまるで『2001年宇宙の旅』のパロディなのは、
同じくMGMが手がけているからだろうか。単に便乗のような。
TVシリーズ(ローガンズ・ラン)でも人気を博していたようなので、ご存じの方も多いかもしれない。

未来、人類が世界を汚染したために、これ以上の汚染を避け、星の自浄機能が回復するのを数百年レベルで待とうとする管理社会。
人間が創ったはずのコンピュータプログラムに支配される恐怖。


管理社会、コンピュータとの闘い。手塚治虫の「火の鳥」しかり、竹宮恵子の「地球へ・・・」しかり、古今東西のSFで、映画、小説、アニメ、漫画など媒体は問わず、描き続けられてきたテーマだ。

30年、享楽的に暮らさせ、痛みなく消す。
いつか来る地球の土壌、空気の復活に向けて、とりあえず人類という生き物を絶滅させずに種を保存しているだけに見える。
あのドームは人類のためにあるのではない。
地球から危険な人類という種族を隔離するための檻だ。

ストーリーや細かい設定が破けたストッキングみたいでも全然気にならなかった。
なにしろDVDのメイキングを観て、当時の最先端の技術を駆使していることを誇らしげに語る製作者たちに、なんか目頭がアツくなってしまう。
今観て、チャチだ、安っぽいと嗤う人もいるだろうが、こういう
積み上げがあって、最近の、技術面に走りすぎて人間が薄っぺらいオシャレなSF映画が量産されていくのだ。

もともと未来は誰も知らない。はなっからリアリティもクソもない
世界なのだから、めいっぱい空想して、手持ちの技術でめいっぱい
イメージの再現を追求したこの映画の製作者たちに拍手をおくりたい。

今観ると、愛すべきB級映画の要素がてんこもりで、たっぷり愉しませてもらえる。

☆ボックス最高。
ロボットよりも人間よりも優れていると自称なさる、アルミホイルをダンボールに貼り付けたようなロボ。腕は洗濯機のホースみたいだし、あれ転んだらどうやって起きあがるのかかなり謎な体型。
トドメに、激弱!

☆とっても意味なく脱いでくださるジェニー・アガターのおっぱいがマブしい。いっそ脱いだまま、毛皮をまとって乳まるだしで後半進めてほしかったw

☆なかなか退廃的でえっちくさい“ラブ・ショップ”の映像。

☆デート回路、出逢い系サイトよりさらに短絡的で便利そうw
女性に選ぶ権利はあるのか、あの構造。デートっていうより風俗店の顔見せみたくて笑えた。

☆風化したアメリカ国旗。猿の惑星とか、様々なSFで後々応用されてますな。
汚染されたのはアメリカだけでしょうかね?
案外、南の島では原始的に人間らしく暮らしていたりして。
それにしては、ドームに黒人が1人もいませんね?
さすが70年代、と妙に納得。
生き残るのは優良民族の白人だけなんデスネ?

このあたり、2005年にリメイクされるブライアン・シンガー監督の「ローガンズ・ラン」ではどうなっているでしょう。きっと東洋人も黒人もいるに違いない。要チェック。
まさに映画は時代を映す鏡なのです。



2004年09月07日(火) 「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」 アメリカの明暗を的確にからめつつ、喪失からの再生と家族愛を強い筆致で描いている。

イン・アメリカ/三つの小さな願いごと【IN AMERICA】2002年・アイルランド=イギリス
監督:ジム・シェリダン 
脚本:ジム・シェリダン/ナオミ・シェリダン/カーステン・シェリダン 
撮影:デクラン・クイン 
音楽:ギャヴィン・フライデー/モーリス・シーザー 
 
俳優:サマンサ・モートン(妻、サラ)
   パディ・コンシダイン(夫、ジョニー)
   サラ・ボルジャー(長女、クリスティ)
   エマ・ボルジャー(次女、アリエル)
   ジャイモン・フンスー(叫ぶ男、マテオ)
キアラン・クローニン(亡き長男、フランキー)

ストーリー用ライン


願いごとには願っていいことといけないことがある、
そして願いは3つまで・・・・

ここはアメリカとカナダの国境。
入国管理局の審査で渋滞している。もうじき彼らの番だ。
ビデオカメラで初めてみる風景を撮ろうとする娘を神経質にたしなめる。
はしゃいでる場合じゃない。
一家は正式な移民ではない。観光ビザで偽って入国する。
バレれば強制送還・・・。緊張と不安を隠せない両親。

まだ幼いアリエルの、パパが失業したから来たの、という無邪気な発言が審査官の足を止めてしまう。

10才の姉、クリスティの願いが通じたのか、観光旅行だという嘘は通った。

故郷アイルランドを離れ、新天地目指しここアメリカに辿り着いた一家は、マンハッタンのスラムにあるボロアパートの最上階に住むことに。

ヤク中の凶暴そうな住民たち・・・。アパートじゅうにこだまする
謎の叫び声・・・。あまりにもオンボロの屋根裏部屋・・・。
父親のジョニーは浮かない顔だが、妻サラは、車を売って改装すれば住めると微笑み、娘たちは新しい家に大興奮、笑い声がはじける。

ジョニーは舞台俳優になるため、オーディションを受けたり子守をしたり。サラは近所のアイスクリーム屋に職を見つけた。
家賃を支払うので精一杯、家計は苦しかった。

今は真夏。39度の記録的猛暑と慣れない生活に両親はげんなりだが、子供たちは元気に夏休みを過ごしている。
避暑を兼ねて映画館に行った一家は、『E.T.』を観る。
アリエルは、ETが自転車に乗っておうちに帰るシーンがとても気に入ったようだった。
この夏、サラは新しい命をおなかに宿すのだった。

貧しいながらも幸福そうな一家にも、ぬぐいきれない不幸があった。娘たちの弟、フランキーが、2才のときに転落事故で脳に損傷をおい、長患いの末、苦しんで亡くなったのだった。
娘たちはビデオカメラで生前の弟の姿を幾度も見る。
母サラは、愛息子の瞳が夫の瞳とだぶり、夫を直視できない。
父ジョニーは、あれから抜け殻のように心は虚ろ。神も信じなくなった・・・・。そんなジョニーにハートのあるセリフは言えず、
オーディションは落ちてばかり。

季節は移ろい、9月。
新学期が始まり、公立ではなくカトリックの小学校に娘2人を入れるべく、父はオーディションの合間にタクシーの運転手として働きだした。

木の葉舞い落ちおる季節になり、ハロウィーン。
アイルランドにはないこのアメリカ的な習慣に戸惑う両親だが、
娘たちは仮装に大はしゃぎ。
手製の衣装を鼻で笑われ、アイリッシュども、と聞こえよがしに嘲笑され傷つく。

初めての“トリック オア トリート!”をやってみたい娘たち。
だがジャンキーしかいないこのアパートで扉を開けてお菓子をくれる部屋なぞあるわけもなく・・・・。
“Keep Out!”(立入禁止)と毒々しくドアに殴り書きされた、
叫ぶ男の部屋。
ハロウィーンの夜、この部屋の住人、黒人のマテオと一家の運命の出逢い・・・。

マテオは不治の病を抱えた画家だった。
叫んで作品を切り刻んでいたのは、やり場のなさからだったのだ。

娘たちは見た目のゴツさからは想像できない優しいマテオと
すっかり仲良しになる。

冬の気配が近づいていた。
サラのおなかは幸福を宿し大きく膨らんできた。

だが、胎児が動かない・・・・・。
医者はあまりにも残酷な事実を伝えねばならなかった。
母体、胎児ともに助かる可能性は0に等しいというのだ。

ジョニーは子供を諦めさせようとするが、サラはありのまま受け入れようとする。夫婦仲にもヒビが・・・・。

あと1つだけ、願いごとが残っていた。
クリスティは悩む。
ママを助けてと願ったらいいのか、赤ちゃんを助けてと願ったらいいのか。
結局、どちらも願わなかった。
願っていい願い事ではないと、クリスティは知っていた。

入院費、学費。ジョニーにはもうどうしていいかわからなかった。

サラと赤ん坊の命は・・・。
今にも砕け散りそうな一家の絆は・・・・。

クリスティは最後に何をお願いするのだろうか。


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イン・アメリカ/三つの小さな願いごと@映画生活

コメント用ライン


「マイ・レフト・フット」(伝記)、「父の祈りを」(実話)
など、実際にあった出来事から構想を練ることが多い、アイルランドの巨匠、ジム・シェリダン監督。

今回は、自らの経験を元にした半自伝的な作品であり、作品は亡き息子に捧げられている。
娘2人と共同で脚本を執筆、監督の想いが詰まった作品となった。

願いごとは3つ。
それはお伽話にもよく出てくる数字。
あまりにもつらい状況の一家を描きつつ、どん底物語にならないのは、娘たちの明るさ、生きるエネルギーに満ちた力強さ、そして
この“願い事”という言葉の響きが持つ魔法のような力。

実際には、魔法のランプのように願いが叶っているわけじゃない。
運がいいかただの偶然といってしまえばそう。
けれど、運も才能のうち、そして偶然はほんとはなくて、すべて必然かもしれない。
それを後押しする、“お願い”。

移民差別、貧困、麻薬、エイズ・・・。
アメリカの抱える病理、暗部をえぐりとりながら、暗澹としないのは、この無邪気さゆえだ。
無邪気といっても、幼いゆえの無邪気さとは違う。
アリエルはまさに無我の愛くるしさだが、
クリスティは邪さを自分の意志ではねのける意志の強さを持った
無邪気さだ。

そして、魔法のランプはなくても、願わずとも、心優しき巨人は
一家の前に現れた。
固く閉ざされていたドアを恐れずノックし続けたから。


求めよ、さらば与えられん。

アメリカは、夢を叶えたい人々が世界中から藁をもつかむ気持ちで
やってくる国。
1未満の0からスタートできるかもしれない街、NY。
太陽の眩しさと夢叶った人々の光の陰には、もちろん底知れぬ闇も。のたれ死ぬ人だって数知れない。
それでも、アメリカン・ドリームを夢見ることで顔を上げていられる。

クリスティの3つめの願いに涙がこみあげる。

ビデオカメラは今を映しているように思うけど、本当は、過去を
保存している。ビデオカメラには、明日は映せない。
クリスティはもう、ビデオカメラのレンズを通さず、これからは2つの澄んだ瞳で今この瞬間と、未来を見つめるのだ。








2004年09月06日(月) 「月曜日に乾杯!」 毒の効いたシニカルさと人間への温かい眼差し。イッパイイッパイな毎日に窒息しそうな人にオススメw

月曜日に乾杯!【LUNDI MATIN/MONDAY MORNING】2002年仏=伊
★2002年ベルリン国際映画祭 銀熊賞(監督賞)・国際批評家連盟賞受賞
監督・脚本:オタール・イオセリアーニ 
撮影:ウィリアム・ルブチャンスキー 
美術:マニュ・ド・ショヴィニ 
編集:オタール・イオセリアーニ/エヴァ・レンキュヴィチュ 
音楽:ニコラ・ズラビシュヴィリ
 
俳優:ジャック・ビドウ(ヴァンサン)
  アンヌ・クラヴズ=タルナヴスキ(妻)
  ナルダ・ブランシェ(老母)
  ラズラフ・キンスキー(老父)
  ダト・タリエラシュヴィリ(息子ニコラ)
  マチュー・アマルリック(ニコラ役の声の吹き替え)
  アドリアン・パショー(息子ガストン)
  アリーゴ・モッツォ(ヴェニスで知り合ったカルロ)
  オタール・イオセリアーニ(父の旧友、エンゾ・ディ・マルテイーノ公爵)
  ジェレミー・ロシニュー(司祭)
  ヤニック・カルパンティエ(郵便配達の老人)
  マニュ・ド・ショヴィニ(女装のトイレ番、ヴァンサンの旧友)

ストーリー用ライン


フランスの片田舎、静かな静かな村。
初老のヴァンサンは、ヨボヨボの母、でっぷりと肥えて貫禄たっぷりの嫁さん、科学おたくの高校生の長男、いたずらっ子の小学生の次男と暮らしている。

仕事は化学工場での溶接作業。
朝5時起きで、妻に見送られることもなく自家用車と電車を乗り継ぎ長距離痛勤し、門の前で煙草を棄てさせられ(火気厳禁ですから)、さんざんこきつかわれ、日が暮れてボロ雑巾のように疲れて帰宅しても、子供たちは“邪魔しないで”、嫁さんは次々と雑用と言いつけ、趣味の絵を描くのもままならない。
寝る前に一服だってできない。夜のオツトメのため、嫁さんに
ベッドに強制連行されるのだ。
ムードもへったくれもなく10秒でコトを済ますと、嫁さんは爆音で音楽をかけ、寝付けない・・・・・。

翌朝、ヴァンサンは門の前で煙草いつまでも棄てなかった。呆れた門番が彼を締め出すと、ヴァンサンは丘に登った。
・・・自由だ!

旦那が無断欠勤しているとも知らない家族は、今日も普通の1日を過ごしている。
長男は、昔ヴァンサンが描いた聖者のスケッチを気に入り、教会の壁に描き始める。意中の女のコとはなんとなくギクシャク。

お婆ちゃんはお墓参りに行くと見せかけて、どっかへドライブ。

次男は自転車を直そうと四苦八苦。

嫁さんはジプシーの押し売りに困惑したり、家事に追われて多忙だ。

日が暮れるころ、ヴァンサンは長いこと逢っていない父を訪ねた。
母と離縁してから父は1人住まいだ。
訪ねると、父は危篤らしく叔母らが集ってさっさと死なないかと
待っている。
ヴァンサンは女どもを追い出し、実はけっこう元気な父とグラスを傾けた。

父は、もっと見聞を広めろと、イタリア行きをすすめる。

深夜、酒場の便所でかつての画家の卵仲間だった男と再会する。
生活のために女装し老婆として働いているのだった。
屋根裏部屋で巨大ドブネズミ2匹だけを友に、かつて夢を語りあった男は暮らしていた。
暮らしはあいかわらずかい、と訪ねる友に答えず、眠りに落ちるヴァンサン。
カツラとブラジャーを外した友は優しく布団をかけるのだった。

翌日、列車でヴェニスに到着したヴァンサン、早速サイフをスられるも、陽気なヴェニス男たちに世話になり、さまざまな人々と出逢い別れた。

旧友のくれた絵の具をベニスの川の水で溶き、家族に絵はがきを描くヴァンサン。

その頃、家族は。
一見、何も変わらない日々。
子供たちは遊び、嫁さんは家の仕事で忙しい。
老いた母は、収入がなくなり苦しくなった家計のため、あるものを探し庭を掘り始める・・・・。

旅人となったヴァンサンはいつになったら家に帰るのだろうか。
もう、戻らないつもりだろうか・・・・・。


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コメント用ライン


オタール・イオセリアーニ監督は何とも愛すべき作品を撮る。
前作『素敵な歌と舟はゆく』でも、何もすることがなくヒマでヒマでしょうがないのに行動の自由のないがんじがらめの日々に辟易して酒と友と旅だってしまう裕福な父親を寓話的に描いていた。

本作でも、酒、友、旅という必須アイテムは揃っているが、
逃げ出してさようなら〜というわけにはいかない立場。
家が貧乏だ。
何処かで自分と折り合いをつけにゃならない。

だが、この映画のよいところ、「愚痴を観客に聞かせない」。
酒はどこまでも陽気に呑み、不自由さと孤独感は映像で魅せる。

前作の富豪とは違って登場人物のほぼ全員が庶民。
あの公爵も見栄でしか自分を保てない気の毒で愛らしい存在だ。

仕事しなきゃ、衣食住すべてに困る。
職場が火気厳禁だって、毎日同じつまらないことの繰り返しだって、絵描きになれなかった青春時代を懐かしんだって、明日のパンのため、働かなくちゃ。

ヴァンサンの苦悩や自分との折り合いのシーンが描かれるのだろうかと思っていたら、見事にそこを省略!
そう、必要ないのだ、わかっているのだもの。さすがの演出。

だから、この映画の魅力は、結末ではなくてディティールにある。
1シーン1シーンが豊かだ。

ほんとは子供たちもパパを尊敬してる。
言葉や態度に出さないだけだ。

嫁さんもそう。頼りにしてる。長い結婚生活で、態度で示すのが互いに億劫になってそのうち本当に互いの価値がピンボケしてきた、
どこにでもいる夫婦だ。

車椅子からスックと立ち上がった向かいの家の老人に押され、転がってゆく車椅子。
デコボコでもうダメな自転車のタイヤ。
丸い転がるものが映画にたくさん出てくる。

そこから、真っ直ぐ伸びる列車で脱出して運河をたゆたうけれど、
ヴェニスも夜がきて朝がきて仕事にいく人々で溢れていた。
くるくると日々はまわりつづける。

船で大海に出て違う大陸に行ってみても、きっと。

ラスト近く、郵便配達の爺さんが自転車の邪魔だから転がしてどかしたためひっくり返り、形の変わった岩に、車椅子が要らなくなって杖で歩く向かいの爺さんが、どっこらしょと座って一服するシーンがとても好きだ。

向きがかわっただけで、同じ岩。
道をふさぐ邪魔なデコボコの岩も、ちょっと気合い入れて転がせば、道行く人が一休みする椅子になる。

人生もそうなんじゃないかな。
仕事も家族も起きる時間も寝る時間も同じでも、ちょっと力を加えて転がすと、尖っていた部分が隠れてスベスベなものになるかも。

あちこちにこぼれたビーズのように賑やかに散らばる、笑いを誘うシーンの数々が楽しい。

やっぱりオタール・イオセリアーニ監督の作品には、ワインが似合う。気持ちよく酔え、温かいぬくもりが残る良質な作品だ。

ちょっと気になることが。
公式サイトでも、ヴァンサンが旅立ったのが月曜の朝、と書いてあるが、映画の中ではただの一度も曜日は言葉で示されない。
家出の前日も出勤していること、帰宅した日に日曜学校があり、
高校生の子たちもお手製のグライダーで遊んでいたところからも、
月曜日なのは、人生の再出発の日のほうでは???
あるいは工場はシフト制なので、日曜も出勤する日々にうんざりして月曜に家出、両方とも月曜日なのかもしれない。

個人的には、ラストのあの爽やかで優しい朝が、月曜日なほうが
原題に似合うように思うけれど。








2004年09月04日(土) 「コール」ザルのような脚本にツっこみいれつつ、悪役の帝王ケビン・ベーコンの鬼畜っぷりに震えよう。

コール
【TRAPPED(罠にハメられて)】2002年・米
監督:ルイス・マンドーキ 
原作・脚本:グレッグ・アイルズ 『24時間』
撮影:フレデリック・エルムズ/ピョートル・ソボチンスキー 
編集:ジェリー・グリーンバーグ
音楽:ジョン・オットマン
 
俳優:シャーリーズ・セロン(母親、カレン)
  ケヴィン・ベーコン(誘拐犯リーダー、ジョー)
  スチュアート・タウンゼント(父親、ジェニングス医師)
  コートニー・ラヴ(誘拐犯、ジョーの妻、シェリル)
  ダコタ・ファニング(娘、アビー)
  プルイット・テイラー・ヴィンス(誘拐犯、ジョーの従弟マーヴィン)

ストーリー用ライン


誘拐犯3人組が入金を確認、人質にしていた子供を母親に返す。
これで4件目、誰も彼らを通報しない・・・・。

オレゴン州、ポートランド。
若くして新薬の特許をとった麻酔医、ジェニングスは湖畔の豪邸に
美しい妻カレンと愛くるしい1人娘アビーと暮らしていた。

講演会のためにシアトルに自家用水上飛行機で湖畔を発った夫を
見送ったカレンは、アビーと家に戻った。
トイレに行ったままアビーが消えた。

そこへ現れたのは凶悪そうな薄ら笑いを浮かべた男、ジョー。
娘を誘拐したという。

夫の銃で威嚇するカレンに、ジョーは告げる。
30分ごとの定期連絡を仲間に入れられねば、即刻娘は仲間に殺される、と。
自分たちにはルールがあり、誘拐時間は24時間以内。
子供がストレスに耐えられる限界だからだという。
そして、今までの4件、誰も傷つけずに身代金をせしめることに成功させていること、解放後も、警察に通報したら子供を殺しに戻るつもりだということも・・・。
抵抗しなければ誰も怪我せず翌朝には自由だと言う。

送金方法にも工夫をこらし、疑われず大金を一度におろせる方法を
考えてあるのだった。

仕方なく銃を下ろすカレンだが、気が気ではない。
アビーは命にかかわるほど重度の喘息もちなのだ。
ちょっとの埃でもストレスでも発作をおこし、3分以内に発作を
止めねば脳死する。
引き出しいっぱいの薬品類をみて、かなり動揺するジョー・・・。

だが、乗りかかった船、降りる気はない。

その頃。
アビーはジョーのいとこの大男、マービンに拉致され山奥の小屋に監禁されていた。薄汚い小屋、恐怖。アビーの顔色がみるみる・・・・。

また同時刻、シアトル。
講演が済みホテルの部屋にひきあげる父親、ジェニングス医師は、
ジョーの妻シェリルに監禁されてしまう・・・。

一家3人をバラバラの場所で監禁する3人の誘拐犯。
ジョーが30分おきに、マービンとシェリルに携帯でコールする。
アビーの命は、翌朝までの30分ごとの電話にかかっていた。

銀行が開く朝まで、監禁し続けるのみだ。
重苦しい時間だけが過ぎてゆく。
ジョーは毎度、監禁中の母親を犯すのを愉しみにしている。
カレンにも魔の手が・・・!

そしてアビーは発作を起こしてしまう・・・!
あわてふためいたマービンは、何故かアビーのことを「ケイティ!」と呼んだ。

3カ所で、犯人も被害者もそれぞれが命がけの攻防を繰り返す。
この誘拐事件の結末は・・・・!


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コメント用ライン


大ヒットした原作「24時間」の作者が脚本も担当している。
原作者と脚本家が同じだと、“映画に相応しく削る”のが難しいようだ。
どうしても削りたくないシーンの積み上げになり、映画としての動きが不自然になってしまう。

もうストーリー展開は穴だらけのザル状態なのだが、もともと俳優目当てで観たので、そちらには満足。

ケビン・ベーコンは、今回も思わず握り拳固めてしまうほどの鬼畜っぷり。『激流』『スリーパーズ』といい勝負か。
哀れな側面もみせてくれるのだが、彼の心の傷と、
合計5件の事件での特に母子の受けた精神的苦痛は比較にならず、
同情の余地は悪いがない。
憎悪のベクトルがズレているところが“狂気”なのだが、狂っていても許せん。
許し難い悪党、鬼畜、それがケビン・ベーコンの十八番。
出血多量と睡眠不足でものすごく顔色の悪い狂気の顔はかなりの迫力。

シャーリーズ・セロンは今回は強いママ。
この感じ、ジョディ・フォスター主演の『パニック・ルーム』に
似ている。子供を救うためならどんな危険だって冒すタフなママだ。子供に持病があり薬がどうしても必要になるあたりも似ている。

だが、本作ではアビーの喘息がほとんど映画展開上で意味を持たない。1つエピソードを増やしたに過ぎないのはもったいない。
ダコタ・ファニングがせっかく頑張って喘息の演技ちゃんとしてるのだから、活かせる脚本にせにゃ。

シャーリーズ・セロン演じるママが、ジョーをフェラして勃ったところをメスで切ろうとするシーンはなかなか。
プリンとしたお尻の割れ目にメスを忍ばせ・・・・。

だが、個人的にはいろいろな映画にポイントポイントで出てくる
コートニー・ラブがよかった。
一緒に長い時間写っているハンサムなスチュアート・タウンゼントが顔もよく思い出せないほど、コートニーの存在感が強烈。

さて、つっこみどころ満載でどこからつっこめばいいか迷うが・・・
最大の問題点だけ、指摘したい。
犯人のこの5件目の誘拐の動機は怨恨(ついでに現金)。
前の4件の誘拐事件の必然性は何処に??

3人のチームワークの練習?高飛び資金の調達?
4件も必要か?

もし、すべての今までの被害者が北部病院関係者であると明言されていれば核心に近づくための調査と考えられなくもないが、
1人の患者に関わった医療関係者すべてに1人娘や1人息子がいるというのは不自然極まりない。

それとも、「4件」というのはハッタリなのか?
練習と資金調達のための前1件だけ?
あるいは冒頭の家族は例の執刀医の家族なのか?

推測は可能だが、どれをとっても無理がある。

いっそ、怨恨なしの純然たる身代金荒稼ぎのプロVS必死の一家
にするか、あるいは誘拐はこの家族だけ、純然たる怨恨。
だが、怨恨なら夜明けを待たず殺せばよいのだ。

殺意が見えず、何をしたいのかよくわからない。
いかにも学歴の低そうな医者にまるめこまれそうな(マービンは
やや智恵遅れに見えなくもないほど)ジョー一味の描き方がハンパでもったいない。

30分ごとにリーダー本人から定期コールがないと問答無用で人質殺害、家族を離れた場所に別々に監禁、などアイディアはものすごく面白いので、根っこをもっとしっかり張ってくれれば一流のスリラーになっただろう。
アビーの喘息も、知らなかったではなく、あの夫婦のなれそめまで調べたのだったら知っていても当然の情報、逆に復讐に活かすくらいの極悪さでもよかったかもしれない。

犯人たちに人間味を持たせたのは悪くないと思う。
それがどういう形で発動してしまうか、もっと練るべきだったろう。

観る人によっては、重病以外、富も名声も愛情にも恵まれすぎているしかも美しすぎる一家に対して、ただでさえ貧しいのに唯一の幸福までも奪われた犯人グループ、となると誰に感情移入してよいのか、宙ぶらりんに感じるのではないだろうか。

事件解決の糸口になるのも、金と人脈あってのことで、心証がイマイチよくない。
ウルトラ役立たずのFBI、派手すぎるロードアクションなど、
苦笑いしてしまう部分も多かった。

好きな俳優がキャストに1人でもいれば、観る価値は充分にあると思う。
俳優にはあまり興味がなく、ストーリーに期待するむきには、オススメはしない。

原題がトラップド、だが、罠なんぞない。
邦題のほうがいい。電話が命綱、「コール」はピッタリだろう。







2004年09月03日(金) 「キラーコンドーム」 ドイツ製カルトホラブルサスペンスフルブラックコメディ。ペニス噛みちぎるコンドーム型生物出現!

キラーコンドーム【KILLER CONDOM】1996年・ドイツ
監督:マルティン・ヴァルツ
原作:ラルフ・ケーニッヒ
脚本:ラルフ・ケーニッヒ/マーティン・ヴァルツ
モンスター・デザイン:H・R・ギーガー 
撮影:アレクサンダー・ホーニッシュ
音楽:エミル・ヴィクリッキー
 
俳優:ウド・ザメル(ルイジ・マカロニ警部)
  ペーター・ローマイヤー (同僚サム)
  イリス・ベルベン(病院の院長)
  マルク・リヒター(男娼、ビリー)
  レオナルド・ランシンク(ドラッグィーン、バベット)
  ラルフ・ヴォルター(スミノフ教授)

当然、配給はアルバトロス。

ストーリー用ライン


ここはNY。全員がドイツ語を喋っていても、NYだったらNY。
場末のホテルに連れ込まれる女子大生。相手は卒業をエサに体の関係を迫るスケベ教授だ。
いそいそとズボンのチャックを下ろした教授の背後で何かが蠢いて・・・・。
コンドームの入った箱が動いている?
そして次の瞬間! 
ガブッ!
一瞬にして血の海に。

NY市警。今夜は容疑者で満員、刑事たちは大忙し。
客のナニを噛みちぎった要義で、娼婦数人とさきほどの可憐な女子大生が逮捕されたのだ。

シチリア出身の渋い中年、ホモのマカロニ警部が捜査と称して例のホテルにやってきた。オーナーに話を聞くのは形だけ、目は美青年の男娼、ビリーに釘付けだ。

マカロニ警部にゾッコンのドラッグクィーン(※元刑事で同僚)に
しつこく追いすがられながらも、ビリーと事件のあった部屋に。
コトに及ぼうとするや、動くコンドーム発見!!

部屋じゅう逃げ回るコンドームを追いかけているうちに、ペニスは難を逃れたが、タマタマを噛みちぎられてしまう。
マカロニ警部、ナニが35センチ(自称)あるもんで普通サイズのキラーコンドームじゃサオは食いちぎれないようだ。


ビリーが噛みきったとして警察は彼を指名手配。
だが、マカロニ警部はその目でアレを見たのだ。

上司や同僚らに鼻で笑われても、コンドーム型のバケモノを
1人孤独に追うマカロニ警部。

だが、大統領候補が娼婦とお楽しみ中、ホテルから逃げ出しNYじゅうに散ったキラーコンドームが出現!噛み切っちゃった。

公園で鼻に噛みつかれる女性まで。
もう笑い事じゃない。

捜査線上に、行方不明の科学者が浮かぶ。
そして、執念の末にマカロニ警部が捕まえたキラーコンドームを
解剖すると、その正体は!

キラーコンドームの正体は?
噛んでも食わない理由は?
仕掛け人はいるのか?それともエイリアンか???????

そして、人生で初めてマジで惚れてしまったビリーとの恋路の行方は??

コメント用ライン


とにかく、面白いったらありゃしないのだ。
普段、戦争モノなんかで、ハリウッド映画にドイツ人、めたくそに
描かれてるからねぇ、復讐か?
とマジで思ってしまうぞ。アメリカをコケにしまくりw

登場人物は全員ドイツ人、場所はどう見てもNY。
NY市警署長の部屋に安っぽく飾られている星条旗にウケた。

で、とにかく『エイリアン』のキャラデザイナーが担当しただけあって、キラーコンドームちゃんが可愛いのだ!
クポポ?キュルン?と喋り、不思議な声で歌う。ぴょこりん♪と
動き回る。
たまらん。なんてラヴリーなんだ。
で、歯をむくとジョーズ状態で怖い(((( ;゚Д゚)))


日本製の薄くて透明なコンドームを想像するとわかりにくい。
肌色で厚さボッテリ、使用前の状態が、まるで赤ん坊のほ乳瓶の乳首に似ている。
アレにジョーズのような歯がついている、と想像していただきたい。

でも、ペニスの映像はもちろん、ボカシすらなく、ブリーフまで。
鮮血は飛び散るけれど、噛んでいる瞬間の映像はないので、
グロいのはちょっと・・・という方でも大丈夫。

ホラーというよりはむしろ、年齢の壁も性別の壁も超えたホモ3人の純愛三角関係。
タバコを禁煙場所でふかしまくり、トレンチコートでシブっくキメてるけど言うこたぁ
「俺は男のカタいケツが好きなんだ!」
主義主張を曲げない堂々とした頑固オヤジ。
・・・ステキw

大袈裟なドタバタコメディかというと、とんでもないのだ。
シリアスタッチで、都会に疲れ、愛することに臆病なマカロニ警部の渋い独白で綴っていくんだから凄い。
そのへんがアメリカンコメディと違うところか。

シメは“感動的な”お説教でビシィィッとキメてくれる。
そして、ケツの穴がもぞもぞする、不二家のショートケーキより甘い2人の愛の囁き・・・・・・・・・・・・。



2004年09月02日(木) 「フェノミナン」タートルトーブ監督の十八番、不思議で切ないけど心温まる物語。トラヴォルタの屈託のない笑顔が眩しい。

フェノミナン【PHENOMENON(非凡な人、不思議な出来事)】1996年・米
監督:ジョン・タートルトーブ 
脚本:ジェラルド・ディペゴ 
撮影:フェドン・パパマイケル 
音楽:トーマス・ニューマン 
主題歌:エリック・クラプトン“Change the World”
 
俳優:ジョン・トラヴォルタ(ジョージ・マーレイ)
  キラ・セジウィック(ジョージが想いを寄せるレイス)
  フォレスト・ウィッテカー(ジョージの親友、ネイト)
  ロバート・デュヴァル(ドク、町医者)
  ジェフリー・デマン(地質学者、リンゴールド教授)

ストーリー用ライン


カルフォルニア州ののどかな田舎町、ハーモン。
じき38才を迎える青年ジョージは、早くに両親を亡くし、天涯孤独の身だが、父親同然に思っている子供の頃からの主治医や、
独身仲間で陽気な親友ネイトや、自らが経営する自動車整備工場の
仕事仲間らに囲まれ、満ち足りた日々を過ごしていた。

ジョージの陽気で温厚、誠実な人柄は町の人々に愛され、
誕生パーティも町ぐるみで開いてくれるのだった。

目下、ジョージの悩みといえば、想いを寄せる美しいレイスが
ふりむいてくれないこと。
それでもメゲずに熱心にアタックし続けるのだが。
レイスは2人の子持ちのシングルマザーだ。過去、辛い経験に
心を固く閉ざし、人を愛して傷つくことを恐れている。

ジョージの誕生パーティの夜、真夜中の0時。
友と別れを告げてバーを出、夜空を見上げると、眩しい閃光と衝撃を感じ、倒れてしまう!

その時を境に、ジョージには不思議な能力が備わってしまった。
次々と閃く発明のアイディア。
乾いたスポンジが水を吸うように本から知識を得、科学者顔負けの
博識に。
何カ国語でもマスターできてしまう。
地震も予知してしまう。
そして、念力で物を動かせるように・・・・。
さらには行方不明者の居場所を探知まで・・・。

初めはエイリアンを見たらしい、いや宇宙人に何か埋め込まれたんじゃないか?などと面白半分だった町民たち。
だが次第に、ジョージの力を恐れ、忌まわしい存在であるかのように避けるように・・・・・・・。

あの光を見て以来続く不眠と不安、町の人々の反応により、ジョージは精神的に追いつめられてゆく。
変わらないのは親友のネイトと、父も同然のドクだけだった。

レイスは悩んでいた。
日々、ジョージの魅力に捕らわれてゆく気持ちと、普通ではない彼を恐れる気持ちと。
だが、ジョージへの想いの強さが勝る。
そのことが、どれほどジョージの傷ついた心を癒したか・・・。

だが、ジョージの超常能力は、遊び半分で不眠の友に解いた無線の
暗号を解読してしまい、FBIに逮捕されるはめに。

国家機密を脅かす危険人物として厳重な監視下におかれるジョージ。
人の役にたつ発明をたくさんして、小さな故郷のこの町で、自動車を直し、庭の畑を耕し、愛する人や友と静かに暮らしたいだけなのに・・・。

ジョージの運命は。
ジョージの見た光の正体はいったい何だったのか・・・?


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コメント用ライン


タイトルと、“不思議な光をみて”というビデオパッケージの解説とトラヴォルタのお茶目な表情で、コミカルなSFファンタジー
ものだろうか、と思い、冒頭からのユーモラスでコミカルな雰囲気にのせられて笑って見ていたら・・・・・。

こんなに泣かされることになるとは思いもよらず、いい意味で裏切られた。

これ以上「いいヤツ」なキャラクター、めったに見ない。
クセのあるキャラと違って、「お前ってほんといいやつだな」
という好青年役は普通の映画なら面白くない存在になってしまうし、演じるのも難しい。

だが、素朴で朴訥でユーモアがあって誠実で陽気で温厚で裏表がなくて。そんな男ざかりの田舎町の青年だからこそ、人柄は変わらないのに、「能力」を得たことで人々が離れてゆくやり場のない怒り、でも、自分だったら超常能力を持ってしまった知人と今まで通りに何も変わらず接することができるかと自分に問うたときの
胸苦しさ・・・・。

トラヴォルタが、こんなに魅力的な青年に見えた映画は初めてだ。
面白いキャラは他の映画でいくらでもお目にかかれるが。

あんな、邪心のない笑顔。
泣かされるのは、悲しい結末にではなくて、人間の愚かさと醜さと弱さと、そして愛の強さに。

ジョージは学問の才能ははじめなかったが、人を慈しみ愛する能力ははなから超常的だった。

人類なんて救わなくていい。
科学の進歩や国家の機密保持なんかの役にたたなくていい。
道具にならないで、逃げて、と祈るような気持ちだった。

人類には、学問修得の秘訣も超能力の会得も必要ない。
でも、人の心を、能力で読むのではなく心でおもんばかり、無償の愛をハートで感じ実行するという能力は必要だ。

人間のカラダは脳で生きているけれど、そのひとの存在理由や価値は、脳みそなんかにはない。

脳みそは腐って燃やしたら消える。
でも、愛ある心は、愛を注いだ人すべての心の中に生き続ける。

フォレスト・ウィテカー演じるネイトの安心感のある存在感。
大きな体にウブな少年のような笑顔。

キラ・セジウィック演じるレイスの葛藤と真の思いやりと優しさ。
無償の愛を全身で体現したかのような聖母のような美しさ。

ロバート・デュバル演じるドクの怒り、やりきれなさ、慈愛。

2人の子役の、干し草の匂いがしそうないかにも田舎っ子の
天真爛漫な瞳。子供の瞳は真実を見抜く。

そして幕をひくのはエリック・クラプトン“Change the World”。

切ないけれど、幸せな、幕切れ。






2004年09月01日(水) 「テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる」 韓国製超カルトえろぐろSFちっくホラー。

テハンノで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハンノにいる【TEENAGE HOOKER BECAME KILLING MACHINE IN DAEHAKROH/テハンノエソ メチュナダガ トマクサレダンハン ヨゴセン アジク テハンノエ イッタ】2000年・韓国(15R指定)
監督・脚本・撮影・編集・音楽: ナム・ギウン

俳優:イ・ソユン(女子高生)
  キム・デトン(担任の先生)
  ペ・スベク/キム・ホギョム/ヤン・ヒョクチョン(ほくろ三兄弟)
  パク・トンヒョン(銃をくれる男)
  ユ・ジュンジャ (ミシン婆さん)
  ファン・ピルス(担任の先生の祖母)

ストーリー用ライン


夜更け、テハンノの路地。
セーラー服の女子高生は今夜も、男の性欲が見えるらしいサングラスをかけて商売中。

オプションで追いかけっこの付いた強姦コース(3万ウォン)の
真っ最中、どこぞの家の壁に寄りかかって立ちファック。

ブチ切れたのがその家の持ち主の婆さんだ。夜中にあはんあはんやかましいったらありゃしない。
かかってきた電話の相手に怒りをブチまける婆さん。

すると商売中に妙な顔の男登場。
なんと女子高生の担任の先生だ。老婆は先生の婆ちゃんだったらしい。

退学をチラつかせる担任に、イチバン高い5万ウォンのスペシャルコース(=デートして脱いでベッドイン)で見逃してもらうことに。

満月の光を浴びてにロマンティックな(????)デート(??)をしてからねちねちベッドイン。
コトの余韻に浸りながら女子高生は、ツケでセックスしてあげるのはセンセイだけよ、あなたの子を今妊娠した気がするの、と延々と愛の告白を始める。

夢うつつ、女子高生は先生に惨殺される夢を見るが、正夢になる気配。

ほくろがトレードマークの変態3兄弟がノコギリ持って登場〜!

グチョ!ネチョ!ゴリゴリ〜〜〜ビチャビチャ。
バラバラ死体になった女子高生。

さて、彼女は謎の組織に超ヘンテコリンな方法で復活させられるのだが・・・・・・・。


テハノンで売春していてバラバラ殺人にあった女子高生、まだテハノンにいる ◆20%OFF!<DVD>...


コメント用ライン


60分のうち最初の5分ほどはオープニングでスタッフロールが流れる中、ただ女子高生が街を歩いている。絵と不釣り合いな高尚っぽい音楽をバックに。
DVDなら、チャプター1がここに当たるので、チャプター2から
見ればOK。


いやもう、グロいグロい。そして笑える、笑える。
「サスペリア」っぽい禍々しいサイケな照明、後半まるきり「ニキータ」のパロディ、登場人物の、特に男どもの顔が、ヘンなんてもんじゃない!!
特殊メークなのか自前の顔なのか知らんが、担任の先生の顔はおすぎと
ナンちゃんを足して2で割ったような不可思議な顔。
そしてあの笑い声は〜〜〜〜〜!!!!

その顔に切々とロマンティックに愛を語るんだから笑うなというほうが無理。

クローネンバーグ系の内臓でろ〜ん、胎児びよ〜んも強烈に
気色悪く。

ハックルベリーフィンの“Teacher Says”を高らかに音痴に歌いながらくねくね踊るシーンはかなりの見物。
ここは絶句するべきか笑うべきか、ものすごく微妙だった・・・。

極めつけの、先行者(知らない人はぐぐって調べてねw)かお前はぁ!!と激しくツっこみたくなる股間キャノン。
ミニスカートから雄々しくそそり立つアレをくわえさせられるシーンにゃ、拍手、もう拍手するしかない。

ものすごくダサくてキッチュでラブリーでお下劣でエグい。

決して万人にオススメできるようなフツーの作品ではありません。
珍品が好きな方、とことんキワモノを観てみたい方には激しく
オススメです。

体力消耗しそうな走りアリの強姦(ごっこ)コースより、自転車に乗ってウフフw アハハw ってするコースのほうが高いんだ・・・・へぇ〜・・・へぇぇぇ〜・・・・・・・・・・・・・・。
要するに「所要時間」の差ですな。

「道徳の先生や生物の先生にはタダでヤらせてあげないけど」の
セリフがナイス。


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ルー [MAIL] [HOMEPAGE]

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