白いビルケンシュトックを買った。店員のお姉さんは、どの色がいいかと聞きながら、自分はマドリッド出身なのだと言った。半月はあっという間に経った。ある場所から次の場所へと移る狭間の、浮き島の上にいるような時間だ。この国で買った靴を履いて、これからようやくしっかりと歩き始められるような気がしている。ここでは、八時近くになって、ようやく夕暮れの気配がやってくる。鐘の音が鳴ると広場の鳩がいっせいに飛び立つ。