シネマ*マシンガン
映画鑑賞言いたい放題覚え書き DiaryINDEX|past|will
2005年06月15日(水) |
【スターシップ・トゥルーパーズ2】戦争映画寄生盛り |
【ネタバレ注意】
「スターシップトゥルーパーズ」の続編ですが、大きく違う点が二つあります。 *監督がバーホーベンではない(前作のカメラマンが初監督) *宇宙船がほとんど出てこない(取り残された星の通信所での密室劇。あの狂ったような明るさは皆無) なんでこんなことになったのかといえば、予算不足とかいろいろあるのでしょうね。 バグズの映像も、前作からの使い回しっぽいものが入ってきたりして、どうにも「低予算でひとつ作ってみましたけどどないでっしゃろか」的な味わいが否めない。
もう大丈夫ネ!のはずの戦局はどうやら行き詰まりを見せているらしい星で、救助を待ちながら通信所に立てこもる生き残り軍人達。ところが中の数人はすでにバグズに寄生されていたのです!…って、バタリアンとかエイリアンとかいろんなものが頭を過ります。 上官の命令に従わず独自の警護を続ける男、がなりっぱなしで役に立たない上官、勇ましい女軍曹など、これぞ戦争アクションの登場人物、といった正しい人達がそろい踏みなのですが、いかんせんストーリーが読め読めなので、今ひとつ盛り上がりません(私が)。これも予算不足のせいなのか、目玉のひとつである(?)バグズ侵攻=グロシーンも控えめなため、映画のタイトルを思わず忘れてしまいそうになる。
細かいエピソードを重ねてラストまで持っていくわけですが、まあなんつーか、バーホーベン版が頭に焼き付きすぎて普通の話では飽き足らなくなってしまったと申しましょうか。ラスト、「この子は戦争になんか行かせない!」っていうのはいただけない(展開からは当然の成り行きなんだけど)。バーホーベン監督なら喜んで戦地に赴かせかねません、マジで。
2005年06月09日(木) |
【スターシップ・トゥルーパーズ】君も戦場に行こう! |
【ネタバレ注意】
戦時中のプロパガンダ映像を模したヴィデオから始まるこの物語は我々が普段考える常識では量れない世界の物語である。まあ未来だし、宇宙だから(笑)。 傷痍軍人の先生を見て高校を卒業したリコは恋人カルメンと共に軍属となり、歩兵隊に入ります。ふたりは恋人同士のはずなのに、カルメンはリコを拒否って同じ部隊の男性(高校アメフトで出会い済み)と恋に落ちてしまいます。とかなんとかいう呑気なコイバナが差し挟まれるのは「バグズ」と呼ばれる異種生命体との戦争まっただなか。その落差にまず頭がくらくらする。 敵役のバグズはなかなか興味深い造形をしており、メカゾイドとかそういうものに近いかんじ。大きさは人間のゆうに4,5倍はある。こんなものをマシンガンで撃とうという歩兵隊って、ハイテク宇宙船がワープしててもそうなのか。このへん含めて全編が戦争批判ととれなくもないが、あまりにいっちゃってるストーリーにそんな考えは吹き飛んでしまうのであった。(原作のせいではありません、念のため)
せっかく好意を持って自分を見守ってくれていた女性がバグズに食い殺されてしまってもやたら立ち直りの早いリコ。絶望的な数のバグズに包囲され、発狂寸前の上司を殴り倒す下位軍曹。バグズの親玉を捕まえる寸前、ちょっとよろしくなってきた男性が目の前で惨殺されても、数分後にはすっかり元気を取り戻すカルメン…などなど、戦場の混乱とかいうものを逸脱した人物達がイキイキと画面中を駆け抜けます。いろんな意味で一時も目が離せません。
テレパスの同級生が軍部の中枢に属し、捕まえたバグズの親玉から情報を引き出し、バグズ攻略はこれでもう大丈夫ネ!3人なら何だってできるわ!とか肩を組んでいるシーンには目眩がしました。バーホーベンのエグ趣味はしかしこういう時に最も遺憾なく発揮されているのかもしれませんな。
2005年06月03日(金) |
【白い巨塔】ギラギラの似合う男。 |
どうしてもTVドラマとの比較の話をしたくなってしまうのですが…やはり比較してしまいます(笑) まず主演の田宮二郎、やはりすごい。若手医師のギラギラした面と、プライドを傷つけられても腹に一物隠しておくところが無理なく同居しています。唐沢寿明はその点、ちょっと強すぎかと思ってましたから、腑に落ちるものでした。 東教授の東野英治郎は意外でした。黄門様ー!と言うにはまだお若いですが、学者然とした役どころには少々向かなかったかも…。石坂浩二の狸ぶりはなかなか見事でしたから。里美を演じた田村高廣も今ひとつキレがなかったような…。映画の尺の中ではどうしても、里美の人となりを示すシーンが短かったというのもあるだろう。
しかし財前五郎の父(石山健二郎)、鵜飼教授(小沢栄太郎)は見事だった。見えやすい人物設定ということもあるかもしれないが、言葉の面ひとつとっても、泥くささを匂わせながらもどこか品を失わない、名演技で話をひきしめてくれた。
女優陣、小川真由美と藤村志保には?だったが、これは世相を反映してのキャラクターだからかもしれない。あんなエキセントリックな愛人ではなあ、と思ったが、平成版のような結びつきとは違った関係のようだったし。
何より特筆すべきは、150分の中にこれだけの物語を、簡潔かつ大胆におさめ得たということだろう。多数の登場人物を抱え、めまぐるしく展開するストーリーでありながら、見応え十分である。
映画版は、財前五郎の無罪、教授就任で幕が下りる。いっそうギラギラ光る田宮二郎の目が印象的であった。
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