水野の図書室
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2019年10月29日(火) |
宮下奈都『夕焼けの犬』 |
「遠くの声に耳を澄ませて」(宮下奈都著/新潮文庫)の最後の短編、『夕焼けの犬』を読み終えました。 短編集1冊読むのに随分時間がかかり、長期旅行をした気分です。 そのうえ、この短編集は登場人物が越境して他のお話にも顔をだし、意外な素顔を見せたり、作品の背景をわかりやすくしたり、と多重構造。 面白くて何度も読み返したくなる短編集ですね。
『夕焼けの犬』は、病院が物語の舞台です。 呼吸器内科医の《私》が勤務する病院は『うなぎを追いかけた男』の病院と同じ。 病院の屋上で気持ちをリセットする《私》と看護師の蔵原さん。 『うなぎを追いかけた男』で蔵原さんの毎日を知っていたので、蔵原さんが屋上に来た理由もすぐに察しがつきます。
病院で働く人々の患者さんとの距離の取り方は容易ではないでしょう。 共振しすぎるとよくないと思いながら、というのは、一般的な人間関係にも言えること。
夕焼けの空を見よう。
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