水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2018年01月24日(水) |
乃南アサ『早朝の散歩』 |
ちょっといい話。
白杖をもつ男性が電車に乗るのを手助けした女性。 電車の中のふたりの会話が朝の時間を進めていきます。
適度な距離を保ちながら、お互いの話をするふたり。 何気ない言葉が、相手の気持ちを和ませます。
縁があれば、またどこかで会うでしょう。
こういう話は掌編でちょうどいい。
電車は物語であふれています。
2018年01月23日(火) |
乃南アサ『アンバランス』 |
乃南アサの短編集「それは秘密の」(新潮文庫)を読んでいます。 今日は、その5番目の作品『アンバランス』。 一緒に暮らしてはいるけれど、結婚はしていない男女のお話。
瞳子(とうこ)と直也(なおや)。 同棲期間が四年というのは、長いですね〜良くないわ〜 結婚生活と同棲生活は、全く別のもののような気がします。 瞳子の悶々とした気持ちが、せつないですね〜 直也もプロポーズを考えながら、ひとりで抱え込んでいて、せつない。
自分の時間がたっぷりある瞳子と、仕事仕事で疲れている直也。 よくある話。
結婚しても、毎日が微調整ですよ。
掌編です。 サクッと読めて、ほのぼのと。
電車の中でキスしていた香苗ちゃん、なんと、知り合いに目撃されます。 この知り合い、彼女で登場するので、女性ですね。 会話からはごく親しい間柄だとわかってきます。
香苗ちゃんと彼女の関係が明らかになるのは、ラストなんですが、 彼女がどういう人か、輪郭が見えるのが面白い。
ドキッとしたセリフがひとつ。 ──「恋っていうのはねえ、欲求不満の塊になることよ」
ほお。 覚えておこう。 いつか、誰かに教えてあげよう。 これも小説を読む楽しさのひとつ。
2018年01月16日(火) |
乃南アサ『僕が受験に成功したわけ』 |
大学入試センター試験が終わったばかりのこの時期に、 『僕が受験に成功したわけ』! これは、勘違いする人が多いのでは? ちょっと、このタイトル、異議あり!
まぁ、確かに、登場人物は受験生ですが、 中学受験を目指す小学生ですよ。 そして、なんとまぁ、おませな!
心理描写が巧みなのはわかります。 情景描写も、なんだか、ナマナマしくて、嫌な感じ。
んまーーーー! 真吾くんのお母さん目線になってしまいました。
2018年01月15日(月) |
乃南アサ『ピンポン』 |
5ページほどの掌編なので、あっという間に読み終えた『ピンポン』。 あ〜わかるわかるのはじまり。 瞼が腫れた女がベッドから出られない。休日で良かった。
そうね、良かったね。 でも、 こんなときに限って、ピンポンが鳴るのよ〜 と、思いながらページを捲ったら、期待を裏切らないピンポン。
突然、彼が来ましたよ。 どうする?どうなる?
ラストは、予想通り。 うふふ。
若い頃に読んでいたら、短くても退屈な作品だと感じたかもしれません。 人生、長くなると、小説の中にひそむ魅力に気づく力がつくようです。 掌編作品のタイトルが『ピンポン』なのは、素敵。
2018年01月13日(土) |
乃南アサ『ハズバンズ』 |
乃南アサ「それは秘密の」(新潮文庫)を読み始めました。 心理描写の洗練を極めた珠玉の短編九編を収録──の中には、5ページほどの掌編小説が四つ。掌編は何だかとても新鮮!
最初は短編の「ハズバンズ」。 人物の描写、駆け引きが、巧いなぁと感心します。
ハズバンズと複数なのは、夫と元夫のふたりのこと。 そこに、ちょっと困った妻が出てくるのです。
いい人だと思っていたのが、一瞬で反転する面白さ。 人の性格も気持ちも、向き合う相手によって違ってきます。 妙に物わかりの良さそうな笑顔の人には、気を付けた方がいい。 見守っていると信用していたのに、実は、見張っていた。 人の心は 摩訶不思議。
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