水野の図書室
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2018年02月14日(水) |
乃南アサ『それは秘密の』 |
乃南アサの短編集「それは秘密の」(新潮文庫)の表題作『それは秘密の』。 最後の『それは秘密の』が、一番良かった。
非日常な場所、非日常なシチュエーション。 私なら絶対嫌な状況で、男と女が一晩を過ごします。
生きるか死ぬかの恐怖の中で、助けを待つふたり。 こころが通いあう不思議な時間。
こんな出会いもあるんですねぇ。 救出されたあと、二度と会うことはないふたり。
それでいいんです。 連絡を取ろうなんて思わない方がいい。 ふたりだけの秘密。 思い出すと、心がざわつく。 そんな秘密が人を大人にしていきます。
どこにでもいる夫婦のどこにでもある光景。 結婚した頃のことはすっかり忘れて、不公平だとか、損だとか。。
誰にでも思い当たる所がありそうですね。
活字で読むと、息苦しい。
恋人同士なら、会う嬉しさがありますが、 夫婦になると、楽しいことばかりではありません。 面倒な親戚がいたりしたら、なおのこと。
皆さん、結婚に期待し過ぎだと、私は常々思っています。
妻も夫も「世界で一番親切な他人」なんですよ。 婚姻届ひとつで、他人の食事の心配をしたり、洗濯してくれたり。 ありがたい存在なんです。 妻なのに、夫なのに、はやめて、他人なのに、と考えたら、 毎日が幸せになることでしょう。
乃南アサ作品とは相性がいいのですが、時には、ピンとこない作品に出会うことがあります。 『キープ』も、私にとっては、正直、少々ピンときませんでした。
九作品収録の「それは秘密の」(新潮文庫)、七番目の『キープ』。 ある女性と、行きつけのバーのマスター。 この女性が、純心というか、頑なですねー。
もっと、しなやかさがないと、生きていくのが大変ですよ。 と、言いたくなるような女性なのです。
この女性が、なぜ、このバーの扉を開けるのか、 お店の魅力を書き込んでほしかったような気がします。
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