水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
雅蘭堂の居心地の良さに、ずっとお店にいたかったのですが、とうとう最後の 作品になりました。早く読みたいような読まずにいたいような、複雑な気持ち。 店主の越名さん、魅力的です。外見はおいといても(失礼)、鑑定眼は抜群。 それを鼻にかけない自然体なところが、す・て・き・です。越名さんのような店主 の下で働いたら、毎日が刺激的で新鮮で面白いだろうなぁ〜と思います。
「孔雀狂想曲」棹尾を飾る品は、ビスク・ドール。アンティークドールの一種で、 一度素焼きにされたパーツに上薬をかけて、もう一度焼き、人間の肌色に近い 風合いをだした人形です。ということは、もちろん美術品で、お値段も相当! いろいろな骨董品を見てきて、何か足りないと感じてたんです。そう、お人形。 骨董屋さんでは、マストアイテム、でしょ?好奇心がムクムク膨らみます。
『人形転生』──謎のビスク・ドール、謎の客師、謎のコレクターの登場で、 もう謎謎づくし。その上、謎の火災まで。そして明かされる人形の過去。 テンポは良いものの、殺人事件となると、なんだか……。すっごく暗い話なのに、 なぜか小気味良くすすみます。それが、救いなのかもしれませんが。犯人が 越名さんにペラペラしゃべるのは、、なぜ?越名さんのキャラから? 人形の名前も…ありきたり。。。
ヘンにからみたくなるのは、小説の世界にストンと入っているからですね。 語りたいんです。この場から離れたくないんです。←自己分析 越名さま(いつのまにか、さまづけ)が大好きになっているし、バイトの安積にも しっかりね!と応援したくなっていますもん。
「孔雀狂想曲」(集英社文庫)、良かったです。 骨董屋さんをめざす人、必読。そうでない人も、ぜひどうぞ。
切子細工の酒瓶の次は、絵画です。美しいガラス瓶から、幻の油絵探しへ。 視界が広がっていくような、このつながり、良いですね〜。わたし好み。。 雅蘭堂には、美術品などほとんどなく、古道具や古民具が主体と聞いても、 骨董屋さんって、奥の部屋に、お店に出したくないものがたくさんありそう。 もしかしたら、地下室で職人さんが……。あ、すみません。雅蘭堂は、そんな 悪徳骨董屋じゃありませんよね。同業の犬塚が登場したので、ハラハラしました。 アヤシイです、犬塚。素人でもわかります。『古九谷焼幻化』の犬塚ですから。
今回は、『古九谷焼幻化』に次ぐ、業者間の騙しあいみたいなもの。 犬塚が越名に、ある一枚の風景画を探して欲しいと頼みます。なぜ、越名に? と、いきなり、越名が絵画のサーチャーをやってることを暴く犬塚。そそそうなの? 越名に裏の顔が!越名は副業みたいなものだと言い訳してますが、、そっかー。。 不明になった絵画の探し屋も必要ですものね。許す、越名。サーチャーなら。笑
一枚の風景画の行方を追ううちに、三鷹事件に話が飛んで──。 そして、越名の推理力はどう働くのか、、読んでみてね。
美術展に行きたくなりました。
2005年08月10日(水) |
北森鴻『キリコ・キリコ』 |
鉱物標本の次は、江戸切子細工の酒瓶をめぐるお話。見事なカットを施された 美しいガラス瓶の登場で、再び、骨董の世界に戻されました。やはり、石より 切子細工の方が、数段華やかで、想像力が広がります。
越名から、叔母の遺品を受け取りに来て欲しいという手紙を貰った樹里子は、 遺品が江戸切子細工であることに、十年前のある出来事を思い出し──。
樹里子と切子で、タイトルが『キリコ・キリコ』ですか……やや不満。。 もう少し、ロマンチックなタイトルにしてほしかったような。。まあ、ある出来事と いうのが、全然ロマンチックじゃないので、アレですが。樹里子の記憶を元に、 遺品に隠されたメッセージを読み解く越名、相変わらず、冴えています。
大事な場面では、アルバイト店員の安積はお休み。なるほど!それで、安積は 女子高生なわけですね〜、北森さん。いて欲しくないときには学校。賢明です。
骨董屋さんにある品物、それぞれがそれぞれの事情を秘めている。 モノにもストーリーがあるんです。
嗚呼、「ストーリーセラー」、そろそろ復活、待ってます……。
2005年08月04日(木) |
北森鴻『孔雀狂想曲』 |
古九谷焼の次は、鉱物標本です。こんなものまで、取引の対象になるとは驚き! さっそく、へぇ〜〜。アルバイト店員・安積も、なぜ、石ころに値段がつくのか、 疑問を投げてきます。解説する越名、カッコいいですよ。尊敬の眼差しを送って 気づきました。安積雇用理由!読者に代わって、質問する役なのね。(遅!)
へぇ〜藍銅鉱(らんどうこう)は、日本画の岩絵具の材料だったんですか……。 へぇ〜そうなの〜と、のんびり構えていたら、地元警察署の警察官や刑事まで 登場で、事件の匂い。石ころ紹介で終わりません。表題作ですし。
サスペンスドラマに急展開して、飽きさせません。まあ、短編なので飽きるひまも ありませんが。。ラストのコントは、、、ビミョー。越名と安積の関係が、うーむ。。。 安積が女子高生なために、恋愛モードにはなりにくいし・・どうしたいのか、越名。 もしや、安積は悪の一味?まさか、ねぇ。実は、異母兄妹?ありえない。笑
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