水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2005年09月24日(土) |
山田詠美『フィエスタ』 |
勢いがありすぎて、ついていくのが大変な『フィエスタ』。 面白いと言えば面白い、なんだかよくわからないと言えばわからない。 なぜなら、、、このお話、欲望が一方的に語っているんです。もーとっても おしゃべりな欲望です。留まることを知らないマシンガントークなんですよ。
欲望が教えてくれるご主人様には、好きな男性がいる様子。ところが、その 男性に、隣の課の女性が急接近→飲み会で婚約発表!! どうする?ご主人様、とりあえず笑顔で祝福だと思うでしょう?
それが、とんでもない行動に!いえ、とんでもないと考えるのは理性で、 欲望が強ければ、こうなっちゃうの?なんだかねぇ。。。
誰かを愛したとき、欲望が目覚めるのか、欲望があるから誰かを愛したい のか……。あのとき、欲望のままに行動していたら、違う人生だったと、、 誰もが心当たりあるのではないでしょうか。
意味深な書き出しで始まる『検温』。ふつうの恋人たちのお話かと思ったら、、 彼には妻子がいて……あ、不倫ですか。。主人公の女性にとって、不倫の 苦悩なんてものは微塵もなく、彼が結婚していることを、そう言えば、なんて 思い出す軽さ。そんな彼女を待ち合わせ場所で待っていたのは、彼と初老の 夫婦。彼は、小さい頃にお世話になった人だと彼女に紹介し、一緒に横浜の 三渓園を散歩することになるのですが──。
あのー、初老の奥様が、彼女より魅力的なんですが……。 上品そうで控えめな印象の奥様の大胆な発言に、ドキッ!!
散歩が短すぎる!いえ、散歩は終わりにしても良いんですが、この作品は、 短編じゃなくて、中編くらいにして、じっくり読みたいです。奥様の恋の話を もっと続けてほしい〜。
こちらが熱くなったところで、突き放された感じ。
2005年09月04日(日) |
山田詠美『MENU』 |
詠美さま(特別な思いいれのある人だけ、“さま”なんです)、久しぶり! 9月→恋愛小説読みたい→詠美さま!と、我ながら、シンプル脳です。
まだ読んでなかった「姫君」(文春文庫)、文庫版カバーイラストが、新垣仁絵、 って、あのSPEEDの仁絵ちゃんではありませんか!結構上手いね〜♪ 解説が、金原ひとみにもびっくりで、解説から読んでしまいましたよ。
山田詠美の衝撃的デビュー作、「ベッドタイムアイズ」には、目がテン状態で したが、金原ひとみの「蛇にピアス」は、タイトルだけで引いちゃってました。 解説読んだら、意外に共感するところがあって、そのうち、蛇の方も読んで みようかという気持ちになりました。描写の激しさに驚いて終わらせるのは、 つまらないですね。作家の描きたいものは、その激しさの向こう岸にあるので、 がんばって、活字の海を泳いでいかないと。笑
そこで、「姫君」。5編の短編集なんですが、最初の『MENU』から激しいです。 全編荒波かどうかわかりませんが、『MENU』の書き出し、ぶっ飛びます。 母が首を吊ったのを見つけたときの思い出からです。ぼくは、5歳……。 その後、伯父夫婦に引き取られたぼくは──。
小悪魔なのか純粋なのかわからない義理の妹とぼくのやりとりに、ハッと させられます。地球を失くす方法……なるほど。。思いもよりませんでした。
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