水野の図書室
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2018年は月に2回は更新したい。


2005年01月26日(水) 大沢在昌『六本木・うどん』

鈴木光司「サイレントリー」(新潮文庫)の心地よい余韻を楽しんだあと、
本屋さんで、ラブを読もうかミステリーにしようか迷っていたら、!発見!
「ときめき恋愛ミステリー館 忻∈册科幻砲任后ラブとミステリーが一緒に
なっている上、7つの作品のメンバーは名前だけでワクワクさせてくれる方々
ばかり。編者は文庫の解説を執筆している山前譲。

オビが良いです。ひねり過ぎず、気負い過ぎず、単純明快なので、スラスラ
読めそうな気がします。オビは大事ですよー。本屋さんで見てね。

最初の恋愛ミステリーは、大沢在昌の『六本木・うどん』
「新宿鮫」(タイトルは知ってるけど、まだ読んでません)の大沢在昌は、
そのうち読もうと思っていた作家のひとり。そのうちそのうちと思いつつ、数年
過ぎちゃっていたんです。ここで出会わなかったら、ずっと会えなかったようで
山前氏に感謝です。

『六本木・うどん』は、麻布署の隣にある立ち食いそば屋で、うどんを食べながら、
ふたりの男が事件について語ります。ひとりは刑事。ひとりは──。

立ち食いそば屋のあわただしさと、舞台が六本木だという雰囲気はキッチリ。
隙がないというか、ツルッと読んでしまいました。
事件の背景があまりに短絡的で、呆然。殺人は友情の証しにはならないのよ。
と、犯人に言いたくなります。


2005年01月17日(月) 鈴木光司『サイレントリー』

短編集「サイレントリー」(新潮文庫)の最後の物語で表題作になりました。
塾の講師と生徒の回想が静かな時を刻む「サイレントリー」。読後感は
やわらかであたたかで、この本を閉じてしまうのが惜しいほど。

講師の妻は赤ちゃんを産んで、すぐに亡くなり、生徒は幼い頃に両親を
亡くしていたのです。生徒が「心に残るワンシーン」というタイトルで小論文を
書いている間、講師は妻との思い出を数え、生徒は父と母を想います。

なにげない日常のひとこま、ちょっとした会話が、遺された者にとっては、
最愛の人とのかけがえのない絆になるんですね。明日になれば、今日の
ことは思い出に変わる不思議。。明日につながる今日を、もっと大切に
しなくちゃいけません。

そして、大切な人はもっと大切に。愛する人には笑顔を向けていたいです。。
(↑照れ照れ)


2005年01月12日(水) 鈴木光司『一輪車』

不登校の娘と、しっかり向き合うことを決意した父に、娘は難題を出します。
「一輪車に乗って」って。子どもはラクに乗りこなす一輪車でも、50歳過ぎた
サラリーマンにはムリな話。乗れたら、娘が心を開いてくれると信じる父は
練習を重ねますが、乗れないまま、クモ膜下出血で倒れ──。

鈴木光司のホラーもいいけど、家族を守るために戦う父親の物語も、ぐぐっ
ときます。どうしても学校へ行けなかった娘が、なんとか学校へ行けるように
なったのは、一輪車に乗る父じゃなくて、生きるためにリハビリをする父の
姿を見てというのには、胸をしめつけられます。せ、せつない。。


お父さん、と聞いて、パッと浮かぶあなたのお父さんは何をしていますか?
逆に、あなたのお父さんが、あなたのこと聞かれたとき、あなたはどんな
顔をしているでしょう?ふたりとも、笑顔だったら嬉しいですね。


2005年01月11日(火) 鈴木光司『人生相談』

「サイレントリー」(新潮文庫)5番目の物語は、未婚の母で不倫中の女性が
主人公です。ルポライターという仕事を持ち、講演会もこなす彼女の元に、
不倫相手の妻が現れ──。

なんだかイヤなお話です。主人公はどうやら妊娠してるらしいし、妻は
大きなお腹をかかえて、バギーに赤ちゃんを乗せ、幼い男の子を連れ、、
講演会の後のサイン会にやってくるんです。うひゃ!妻には、子どもが
このままでは3人!愛人にも、赤ちゃんが!

うーむ、不倫相手は何考えてるんですかっ!!
主人公、恵子さんをどうも好きになれないのです。新しい女性の生き方だなんて、
勘違いですって。自分を尺度にしてるのが、なんだかねぇ。。

恵子さんは自分の都合のいいように、何でも解釈していくのに、読み手だけが
取り残されていくようで、、ズレを感じるばかり。すっきりしません。


2005年01月06日(木) 鈴木光司『枝の折れた小さな樹』

家族の死というのは、高齢でも、諦めがつくものではないとよくいわれます。
80歳でも90歳でも、ここまで生きたのだから充分だなんて思えないですし、
あと1年、半年でも、まだ生きられたのではと、思いたい。でも、気持ちに
ひとつ区切りをつけるためにも、与えられた寿命だったと思うしかないんです。

高齢者でも、その死を受け入れるのは、容易なことではないのに、10歳の
愛娘が病気で死んでしまったら……残された家族の悲しみは、想像の範囲
でしかなくても、胸を塞ぎます。『枝の折れた小さな樹』は、10歳の娘を失い、
悲嘆にくれる父に、妹思いだった兄がCGを使って、送ることができたであろう
幸福な一生の映像を見せる物語。小学校4年の夏に死んでしまった娘は、
バーチャル映像の中で、憧れの学校へ進学し、結婚して子どもを持ち……。

どんなに悲しみにくれても、残された家族は、毎日を暮らしていかなければ
なりません。死んでしまった者にも、愛する者の死という苛酷な試練があり、
平凡ながら幸福な人生だったと思い巡らすことで、また歩き出せるのです。

いろいろ考えさせられて、ずっしりきました。


2005年01月05日(水) 鈴木光司『結婚指輪』

結婚して初めて知る相手の性格って、ありますよね。
じゃなくて、相手を見る目が変わると、その性格も違って見えるのでは!?
繊細で細やかなところが好ましく思えていても、一度嫌いになってしまったら、
神経質で細かいところが疎ましくなってくるんですよ。細かいことを指摘する
男性を心良く思う女性は、いないです。

『結婚指輪』に登場する加納は、粘着質で、ホントにイヤなタイプ……。
だから、奥さんに離婚をほのめかされるんです。うーむ、このままでは、、、
いいかい?ズバリ言うよ。離婚するよ。と、昨今人気の占い師は言うでしょう。
加納は自分でも、妻に疎まれる理由がわかっていながら、またまた嫌われる
ような行動に出てしまいます。仕方ないですねー。性格だから。

加納にも妻にも心当たりのない一枚の写真が、不気味なミステリーの味わい
をだして、冷たい夫婦関係を一段と冷たいものに感じさせます。
まあ、結婚こそ最大のミステリー。先が読めません。


2005年01月04日(火) 鈴木光司『大山(だいせん)』

別れた妻と子どもに会うために、山陰本線で長崎へ向かう染谷が半生を
振り返る物語。昨日読んだ三喜男に続き、染谷も妻との出会いをしっかり
覚えています。男の人って、みんな、こうなんですか!?
軽い眩暈でクラッ。。。大切な人との出会いの一部始終を覚えているのは、
自分の人生も大事にしているということなのでしょうか?

小説から受ける染谷の印象は、正直で真面目で、一生懸命なんです。
そんな染谷が妻子と別れるきっかけとなった、世に言うバブルって、目には
見えない魔物みたいで、怖いですね。借金で離婚というのも哀しすぎ。。

ラストは、あー良かった良かったの安心型。
わたしなら、夫の借金返済まで郷里で待つなんてできないです。
借金なら、わたしが返します。なんて。笑


2005年01月03日(月) 鈴木光司『目覚めれば目の前は海』

2005年の初読書は、鈴木光司「サイレントリー」(新潮文庫)を選びました。
「リング」のイメージが強烈な鈴木光司ですけど、短編集では、ぜんぜん違う
雰囲気を楽しめます。裏表紙には“人生をいとおしむ静かな7つの物語”って
ありますから、人生をいとおしむ一週間にできたらいいなと思います。
(毎日更新できる?できそう?できます、できたら・笑)

最初の物語は『目覚めれば目の前は海』。
24年前、妻と出会った瞬間の光景を思い出す三喜男が、出会いから結婚
までを話す相手は……。
こんなふうに出会いのときを鮮明に覚えていてもらえる妻は、幸せでしょう。
出会いのときだけじゃなく、行きたい場所、言った言葉、どんな服装で、仕草
は、こうだったとか。。

人が、結婚するのは、誰かに自分のことを覚えていてほしいからなのかと
思えてきます。結婚しなくても、誰かを愛するのは、誰かの胸に自分を深く
刻みたいから。そして、誰かを強く受け止めたいからなのかもしれません。


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