水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2004年12月26日(日) |
谷村志穂『ガラス魚』 |
離婚して九州の実家に戻った美佐子は、町の観光課から頼まれて、東京から 来たテレビクルーのために、温泉客を装って魚釣りをすることになり──。
平凡な結婚生活の裏で、夫には愛人がいて、子どもも出来たことを知り、失意 のどん底状態だった美佐子が、生き生きと動くテレビクルーと接することで、 前向きに、今を楽しむことを学んでいくのは好感が持てます。 美佐子のこころを温めるカメラマン。そのカメラマンは、ディレクターと出会った ことを大切にしている……ゆえに、人はひとりじゃないということでしょうか。
釣り上げられる太刀魚の描写がきれいですね。透明感って、女性は大好き!
これで、谷村志穂強化月間終了です。 全体を通して感じるのは美意識みたいなもの。タイトルからもわかるように、 谷村志穂の美意識の高さを感じる一冊で、繊細な美しさのカバーをめくれば、 筆者の写真のパーフェクトなこと!主人公も自分磨きに余念がありません。 女はいつも美しく。と、メッセージを受け取りました。
2004年12月25日(土) |
谷村志穂『ルーキーたちの春』 |
病室のテレビで野球中継を見る享は、かつてプロ野球に入るのが夢だった──。
「妖精愛」(集英社文庫)8番目のお話は、夜の世界を抜けて、いきなり病室です。 野球を諦めて商社に就職したというのに、新人研修のマラソンで急性腹膜炎に なり、入社早々入院することになるなんて、まったく、タイミング悪いですね。
同情します。他の新入社員との競争に出遅れたと思うのもわかります。まして、 運動部出身の体入社(!)ならなおのこと。でも、まあ、よくあることよ。 と、励ましたくなるような享クン。テルモス持ってお見舞いに来る彼女もいるし、 研修で気が合いそうな同僚もしっかり見つけているではありませんか。 なんとなく爽やかな好青年の印象で、入院しているのを忘れそうな明るさが◎。
「夢は育てることができる。夢は躾しなきゃいけない」と話す同僚村上クンも◎。 響きあう素敵な言葉にグッときました!夢は追うばかりじゃいけないんですね。 恋にも手入れが必要なように。
2004年12月22日(水) |
谷村志穂『ブルー・ラグーン』 |
5年前に別れた元婚約者からの電話に、今の自分をせつせつと話す女、30代。 別れたことを悔やんでいると言ったのに、その電話は、結婚式に出て欲しいと いうものだった── ヒェ〜元婚約者の結婚式になんか、出られません!! 出られるわけありませんっ!一体、どんな顔していたらいいんでしょうかぁ〜?
しかーし、彼女は出席します。元婚約者のご両親に、ちゃんとご挨拶もして。
……とても真似できない……。「妖精愛」に登場する女性たちは、ストーカーもどき あり、真夜中は別人みたいなのあり、極めて個性的。 はっきりわかるのは・・主人公は【美人】らしい。。そして、自信満々なんです。 弱りきっているような横顔を見せても、正面から見たら、自信満々。 身に付けるものは、よ〜く考えて。香水だって、もちろん、使い分けます。
谷村志穂の描く女って、刺激的ですね。常に臨戦態勢なんですもん。
2004年12月17日(金) |
谷村志穂『美味しいポップコーン』 |
何も考えていないようで、実は、考えている。気軽に恋をしているようで、実は、 相手をよく見つめている。相手は100%自分に夢中でも、自分はそうじゃない。 そんな女の子のお話。ふわふわしているようで、男には見えない芯があるんです。 女は強かです。← したたか、を漢字にすると強かだと発見!知ってた?
短編小説の良さのひとつに、つかの間の瞬間移動みたいなものがあって、この 作品を読みながら、ポップコーンのいい匂いがするクラブへ行ってきました。
若いっていいなあ〜。偶然、出会った人と名前を交換できるのは若さですよ。 「俺ね、コウイチ」なんて、言われても、ちょちょっと、自分の名前を教えるのは 抵抗あります。(名刺がないと安心できなくなっているのはいかがなものか・・。) 「どんな奴が好み?」なんて、聞かれても、、、、ねぇ。 若いふたりなら、並んで食べるポップコーンが似合います。
2004年12月12日(日) |
谷村志穂『チェーン』 |
昼は地味な高校教師、金曜の夜に別人の装いでクラブ通いをする女のお話。 恋がしたいのか、愛がほしいのか、ど〜もよくわかりません。
自分の誘いに男がのるか、確認作業の繰り返し。目が合った男を、ただ単に じっと見つめる古典的?手法で、誘うだけなんですよ。こんなので、ついてくる 男ですから、土曜の朝には後悔する一晩の情事。後悔しても繰り返すのは、 その瞬間の高揚が忘れられないから、か……。
驚くのは、、主人公のタフなこと!金曜の夜、女友達とワイワイ食べたあとで、 家に帰って、シャワー浴びて着替えてお化粧変えて髪をブローして、鏡の前で 変身した自分にうっとりしてから、レッツ クラブ活動ですもん。
うーむ、とても真似できません。黒人と視線絡めるとか、ムリですって。 でも、何かが心につめをたてるんですよ。 自分にはできないとわかっているから、なおのこと、主人公の姿を確認したい。 そんなところかもしれません。
2004年12月07日(火) |
谷村志穂『のぞき部屋』 |
こういうのを、ストーカーと呼ぶんじゃありませんか!? 恋人に執着するあまり、彼の行動を見張るために部屋を借りる女のお話。
大好きな彼が、仕事から戻ったかしら?とか、もう眠っているかしら?とか 考えるのは楽しいですよね。それは、理解できますよ。でも、彼の部屋に 他の女が来ているのでは?なんて疑うようになったら、それは、たぶん、 ストーカーのはじまり。好きだから、を言い訳に、ストーカー症状は進行して いきます。
彼が今、何しているかな?と思い巡らす時間は、素敵な時間でも、何から 何まで恋人の生活の全てを自分の目で確認しないと気がすまないなんて、 怖くもあり、哀れでもあります。
主人公は34歳。10歳年下の彼を失いたくないという気持ちは感じられても、 心から愛しているとは思えない。何かにのめり込みたい。違いますか?
2004年12月04日(土) |
谷村志穂『アロエの女王』 |
恋って不思議なもので、夢中なときは、ただもう夢中なのに、醒めてしまうと なんだったんだろうと思うんです。ふたりの気持ちが盛り上がっている時は、 どんなことでも上手くいくのに、恋愛温度が急降下しだしたら、もう、手のうち ようがない。そんな感じ。
『アロエの女王』の恋人たちは、ふたりで家具屋へ行き、ベッドを選びます。 コーヒーカップひとつ選ぶのでさえ、楽しくて仕方ないような頃、あれこれ迷い ながらのお買い物は、至福のひとときですよ。係りの人の長すぎる説明に つきあえるのも、自分たちが幸せだから。。
な・の・にー、 ある日突然、別れはやってくるのです。 それにしても唐突な展開の『アロエの女王』。あん、これからじゃないのぉ? と苦情を言いたいところで、幕切れ。恋の終わりはこんなものなのかも。 ハネムーンに行ったときより、プランニングの時が、何倍も楽しかったという のに似ています。ふたりで一緒に暮らす日を夢見ているうちが華なのね。
いつの間にか、2万アクセス。ありがとうございます。
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