水野の図書室
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2018年は月に2回は更新したい。


2004年02月28日(土) 桐生典子『緑の手』

先月、『まなざしの行方』(「紅迷宮」、祥伝社文庫、2004.01.17記)で一目惚れした
桐生サマ、『緑の手』にも痺れました!

──「 わたしはわたしを繁殖させたい。その欲求が恋にかりたてるのではないかしら」

ウヒャー!カッコいいー!たまりません。わたしを繁殖、繁殖ですよ。
恋愛小説で、男の人が浮気の言い訳に使うセリフでなら、何度か目にしましたが、
あ、でも、これほどカッコよくはなかったです。「遺伝子を残したい」とかいう類です。
女性のセリフで、「繁殖」だなんて、、、ドキドキですね。実際、言われたら怖いかも。

タイトルの『緑の手』というのは、植物を育てるのが上手な人のことのようです。
緑の手を持つ主人公が、すっごく魅力的で、清楚なエロティシズム?が、いやはや。。
自分の恋人を紹介しちゃいけないタイプです。ふと浮かんだ主人公のきれいなお顔は
常盤貴子さんでした。(常盤さん、どんどんきれいになっていきますね)

花について、なんで今まで知らなかったんだろうと思うことも、いろいろ。
桐生流ゾクゾク感、ぜひお試しあれ。


2004年02月25日(水) 新津きよみ『彼女の一言』

小中学校で、すべての面においてライバルだった二人の女。将来の夢は二人とも
小説家になること。そして、大人になったとき、ひとりは夢を叶え、小説家として
デビューしますが──。

新津きよみお得意(と思う)の心理サスペンスに女の嫉妬がしっかり練り込まれていて、
ぐいぐい引き込まれていきました。たった一言に執着するなんて、ほんとにライバル
だったんだと納得するには充分すぎるほど。「おめでとう」だけじゃ、足りませんか・・?
その一言が欲しいという気持ちはわかりますが、わかるけど、うーむ。。
なんか、すっごく視野の狭い小説家ですよ、これじゃあ。。

小説家、ですか…憧れます。いえ、わたしの場合は、小説家になるんじゃなくて、お隣に
小説家が住んでいる、っていうのがいいですね。うひゃ、サザエさんじゃん!(笑)
それでですね、町内の不思議な出来事とかヘンな夢を見た話とかを、お隣の小説家に
話に行って、一緒にお茶するのがいいです。で、時々、原稿待ってる編集者に睨まれて
追い返されたり。。うふ。隣に小説家が引っ越してこないかなぁ〜← 妄想の世界



2004年02月20日(金) 小池真理子『死体を運んだ男』

このところ、祥伝社文庫のミステリーに吸い寄せられております。
祥伝社文庫って、紙色と字体が目に優しいというか、読みやすいですね。
紙が白すぎるものは疲れます。まあ、何より、作品次第ですが。

今日から読み始めた「蒼迷宮」は、先月読んだ「紅迷宮」の姉妹編みたいなもので、
やはり女性作家10名によるミステリー短編集。他に「緋迷宮」というのもあって、
このままいくと、次は「緋迷宮」に飛び込むことになりそうです。
迷宮強化月間!・・んー、なんだか意欲が湧いてきますっ。

最初のミステリーは小池真理子『死体を運んだ男』。
劇団員の妻を温かく見守る夫の話なのですが、この人、自他共に認めるお人好しで、
自宅に劇団員が寝泊りしても文句ひとつ口には出さず……。ところが、劇団員達の
留まることを知らない態度に、家は合宿所みたいになっていき──。

ひ、ひどい妻なのですよぉー!演劇に熱心なのは良いことですが、どんなことでも
度を超すと大変なことになります。
オチがちゃんと用意してある小池真理子の短編の中でも、このオチは・・なんだか
腹がたって、もどかしくて、悲しくて、気が抜けるような、複雑です。

はじめの2ページで主人公を取り巻く状況がわかり、すっと入って、読み進むうちに
ガラリと空気が変わり、ラストで唖然!おお!これぞ短編!といった感じで大満足。
「蒼迷宮」、絶好のすべりだしです〜♪


2004年02月17日(火) 皆川博子『想ひ出すなよ』

「ミステリア」(祥伝社文庫)も今日でおしまい。読んでるときは早く早くと先を急ぎたく
なるのに、最後のページを捲ったとたん、なんとも言えない寂しさが・・。

『想ひ出すなよ』──タイトルは アイルランドの男爵で劇作家、ロード・ダンセイニの
散文詩「巨きなけし」の一節から。
ある少女が友達の家の離れに暮らす女性と親しくなっていくのですが、その女性は
友達の父親のお妾さんで……。当然、まわりの大人は、少女がその女性に近づく
ことを快く思わず──。

まったく、大人って勝手です。自分の家の庭に離れを建てて愛人を住まわせたり、
子供の質問に窮すると、はぐらかしたり、頭ごなしに怒ったり・・。
でも、説明のしようがないこともあります。子供には教えたくない世界とか、ね。

戦前は、大人と子供の間には確固とした線引きがあったんですねー。いつからか、
大人も子供もなんでも一緒で、信号待ちにケータイ取り出してメール・チェックする
小学生にも驚かなくなったし、若いコの言葉をムリに使うオジサマもいるし、どこか
ヘンだよ、この国は!エイジレス美人をめざすのもいいけど、、、、ピンクの口紅は 
年齢制限があるでしょ、その歳ならではの美しさがあるはず!(と、信じたい)
若づくりは一歩間違うと、痛々しいのですよ。
あぅ、話がそれてしまいました。

シェイクスピアの戯曲の中でもあまり知られてない「タイタス・アンドロニカス」が登場
するあたり、作者のシェイクスピア好きが窺がえて、なんとなく嬉しくなるものの、
戯曲にのめりこんでいく少女に不安をかきたてられます。本は、いろいろな世界を
見せてくれますが、復讐や苦悩や裏切りばかり読むのは、いかがなものかと。。

丁重に丁重に書かれた秀作。ずっーと頭の隅に残りそうな予感です。
「見るな」と言われたら、見たくなる。「思い出すな」と言われたら、忘れません。ハイ。
10編どれもが個性的な「ミステリア」、よろしくてよ☆← こういうのも若づくり。笑


2004年02月15日(日) 菅浩江『鮮やかなあの色を』

テーマである離人感という言葉を小説で目にしたのは初めてです。
離人感とは、鬱の一端で、簡単に説明すると、人と離れてしまった感じのことで、
(あぅ、これじゃあまりに簡単すぎ)自分自身・自己の身体・自分のまわりの事物に
ついて、生き生きとした現実感が感じられず、自己に疎遠なものとしか感じられない
感覚なのだとか。。原因はストレス?のように思える主人公の細やかな性格に
ハラハラしっぱなし。

心を病みつつあるOLの日常を覗いていたつもりが、途中からSFチックに!
その切り返しの鮮やかなこと、面白さ急上昇。うーん、こういう手があったとは!
缶入りの美味しいクッキーを食べていたら、紙の下にもう一段クッキーが並んでる
のを発見した嬉しさに似てます〜。笑

心が晴れると、空もきれいに見えますよね。
凹んでいると、何を見ても、つまらなかったり。。
つまりは自分の気持ち次第ということで・・明日もはりきっていきましょ♪


2004年02月13日(金) 山岡都『メルヘン』

暴走族だった過去をもつ男と孤独な少女の出会いは──。

あぅ、、暗い。。息苦しー。
タイトルから勝手にストーリー展開を考えてはいけないと、つくづく知りました。
読み終えて、先にくるのが、疲労感。

短いけど、今日はこのへんで。。


最近、アクセスが急増しております。(タジタジ)
「自殺」「鉄道自殺」「不倫・殺人」の検索からいらっしゃる方が多くて。(オロオロ)
な、なにか参考になったでしょうか?(オドオド)
作家名で多いのが「重松清」。調べてみたら、中学、高校入試の定番作家でした。(ニコニコ)


2004年02月09日(月) 近藤史恵『あなたがいちばん欲しいもの』

自分がつきあっている彼にストーカー行為をしている女がいると、相談を受けた
探偵事務所が調査したところ、意外なことがわかってきて……というお話。

女性作家アンソロジー「ミステリア」(結城信孝編・祥伝社文庫)の7番目の作品に
なりました。結構衝撃的なものをずっと読んできたので、んー、うす味です。
ミステリー味も、ホラー味も、どこか物足りないような・・。
面白くないわけじゃないんです。作品の順番で損してるような気がします。

それにしても、探偵事務所って、小説にはよく登場しますが、実際のところは
どうなんでしょうか?家庭内のことや恋人のことを探偵事務所に相談する人って
多いんですか?「探偵をやってます」という人と出会ったことがないのは、探偵の
数が少ないのか、探偵という素性を隠す必要があるのか、これから出会いが
あるのか。。うーむ。

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今日、秋田へ行って来ました。近いようで遠い、秋田。きれいな街でした。
詳しくは後日。
稲庭うどん美味しかったです。きりたんぽ買ってきたので、明日はきりたんぽ鍋♪


2004年02月06日(金) 明野照葉『増殖』

昨日に続いて、怖い世界です。あなたの隣にあるホラー、って感じ。

離婚した女が、念願かなって喫茶店を始めます。・・この離婚の理由が曖昧で
とってつけたみたいな上に、タイミングを狙っての計画離婚・・いいなぁ(オイオイ)
思い描いていた通りにした店は、調度品も音楽もカップも質のいいもので統一。
・・ここ数年、雑誌やテレビで取り上げられてる自宅カフェの雰囲気ですね。
季節にあわせて模様替え、なんてのも楽しいよ、きっと。

ところが、何もかもうまくいっていたはずの店に、奇妙な客が来るようになり、
奇妙な客は奇妙な客を連れてきて、だんだん、店は奇妙な常連客の溜まり場と
化していきます。そして、いつのまにか──。

きちんとお金を払う客に、「来ないで」とも言えず、笑顔で迎えるしかないなんて、
つらいですよー。実際、来て欲しくない客が常連顔で長居していて困ってる店が
あるんじゃないでしょうか。

喫茶店に限らず、「いらっしゃいませ」を使う仕事は大変ですよね。
客商売をするには、相当な覚悟が必要なようです。


2004年02月05日(木) 牧村泉『ドールハウス』

こここ怖いっ!
子供を事故で亡くした母親が、模型の子供部屋を作っていくうちに──。

ドールハウス作りが趣味の女性、と聞いたら、手先が器用でセンスが良くて優しい
笑顔をたやさず・・なんて、勝手にイメージしちゃうんですけど、没頭しすぎて
趣味の領域をでたら、狂気の世界ですか?とり憑かれていくプロセスを、巧みに
見せてもらった気がします。
ゾクゾクしていき、ラストでドッキン・ヒャーー!

ドールハウスって何?という方は日本ドールハウス協会へどうぞ。
ただのミニチュアの世界じゃないんです。中世ヨーロッパの王侯貴族達の間でも
とても贅沢な趣味だったそうなので、その精巧さ以上に、キットの値段にびっくり。

庶民の趣味じゃないですねー。ステイタスを感じます。

趣味を聞かれて、読書です、と言ったときの相手の反応── 
1.好きな作家は?
2.最近読んだ本は?
3.ふーん、安上がりだね。
確かに、安上がり、読書だけなら・・。


2004年02月03日(火) 加納朋子『牢の家のアリス』

仁木探偵事務所の仁木順平と助手の安梨沙が、事件を解決するアリスもの。
今回も大事件!産婦人科医院で赤ちゃん誘拐事件ですーー!

密室の謎には……んー、もうひとひねり欲しかったような気もしますが、
加納朋子らしく、きれいにまとまり、ちゃんと解明してくれるのは嬉しいですね。
助手の安梨沙の方が、事務所を仕切ってるのが見え隠れするあたり笑えたり、
仁木は、とことん良心的(おひとよし、とも言う)探偵なので、この先、経営は
大丈夫かと心配させられたり、、読んでいて、気持ちに余裕が持てます。

大変な事件なのに、なんだかほのぼのしているのは、仁木と安梨沙のキャラ
のせいだけじゃなさそうです。なんてったって、加納朋子ですから。

加納朋子──大好きな作家です。出会いは2年前の2月、『魔法飛行』で。
ミステリーなのに、癒されて、優しい気持ちになれるんです。
『ななつのこ』『掌の中の小鳥』(創元推理文庫、2002.2.22〜3.5記)も良かったです。

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今日は久しぶりに雪が舞いました。
来週の月曜日に秋田に行くことになって、そわそわ。往復8時間弱の日帰りです。
秋田も寒いでしょうか・・。


2004年02月02日(月) 新津きよみ『返しそびれて』

うわー!(と叫ぶほどじゃありませんが)、2月です。で、すでに2日!
今気づいたんですが、1/28の日記に、また明日、って書いてました…。
4日間の空白が!毎日、来てくださっていた方、申し訳ありません。

先月から女性作家アンソロジー「ミステリア」(祥伝社文庫)を読んでおります。
10人の女性作家によるミステリアス・ワールドといったら、篠田節子に続いて
新津きよみはレギュラーでしょう。女の嫉妬を描いたら、それはそれは、
謎に満ちて恐ろしぃーのですよ。。陰湿で陰険で陰鬱で、陰々づくし。

おそるおそるの『返しそびれて』……こ、こわい&ちょっぴり、せつなさも。
借りた本を返しそびれているうちに、その本の存在自体も忘れていた主人公は、
ニュースで、本を貸してくれた人物が殺されたのを知り──。

もともと、人から何か借りることに、どことなく抵抗があって、貸し借りはほとんど
しないんですが、これを読むと、ますます、人から何か借りるって、人間関係を
微妙に操作するんだなぁとよくわかります。貰ったつもりでいたのに、相手は
貸したつもりでいる、っていうのも、なんだか、、……ありそうな話。
そして、借りるものにもいろいろあるんですねー。借りないのがベストと納得。

世の犯罪の多くも、借金がはじまりだったりするし。。


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