水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2004年01月28日(水) 篠田節子『水球』

臨場感たっぷり!証券会社が破綻するその場にいたら、きっとこんな感じですか。。
高卒の証券マンが粉骨砕身の努力で得たものは、崩れるときはあっけなく──。

豪邸はあっても、職場から遠いのは良くないですよ〜。通勤は重労働ですもん。
部下の女性が独り暮らしで、職場の近くに住んでたら、ぜったーい、中継基地に
したくなります。休息だけじゃ終わりません。居心地良くなるばかりでしょ。

んー、この主人公にいろいろ意見したくてウズウズです。
高卒、高卒、って、自分を卑下しすぎじゃありませんかー。
まあ、証券会社での高卒の立場が想像できないわけじゃありませんが。。
愛人に対しても、自分の身を守ることばかり考えていて、んもー情けないー!
頑張ってるからって、仕事も愛人も家族も、なんて、欲張りすぎ!

大きな世界にいるようで、所詮、小さな世界がすべてなのは、誰もが同じなのかな。
とりとめのない感想になったところで、また明日。


2004年01月27日(火) 桐生典子『いちじくの花』

先週読んでたミステリー・アンソロジー「紅迷宮」(祥伝社文庫)で桐生典子に心奪われ、
週末は桐生典子の作品を探して書店巡りでした。ネット書店では【取り扱い不可】!
!!エエッー、どーゆーことーー!取り扱い不可、って!!← 怒+寂しさ

探していた作品には会えませんでしたが、「ミステリア」(祥伝社文庫)に作品発見!
これも「紅迷宮」同様、文芸評論家の結城信孝氏が選んだ作品集なので、安心して
お買い上げ。うーん、最近、結城氏のセレクトショップに通いつめてる感じです。

そんなこんなで、「ミステリア」を開き、前の方は飛ばして『いちじくの花』に。
ゴメン!大御所、篠田節子らを skip しました。明日読むのでお許しを。。

で、『いちじくの花』、えらいえろいのですわん。(← 照れてるの)
『まなざしの行方』とは、ちょっと違う雰囲気で、今度は、妖しさ増量。
母親と女子高生の娘が暮らす古い家で、娘が入浴中に見た幽霊があらわれたのは、
ホテルのベッド。妻子ある男と過ごす娘のからだに異変が──。

ミステリアス<エロティシズム
真鍮のシャワー、白いホーローの浴槽、モザイクの床・・ドキドキ×ワクワク×ソワソワ
の書き出しから、大きな波を越えて、ラストのしっとりとした落ち着き具合がいい感じ。

いちじくは[無花果]と書くのに、花があるなんて驚きです。。
果肉の中の粒々が花のつぼみだなんて、し、知らなかった。。知ってた?


2004年01月23日(金) 小池真理子『ロマンス』

ミステリー・アンソロジー「紅迷宮」(祥伝社文庫)の悼尾を飾るのは『ロマンス』。
最後にふさわしい存在感があって、さすが、小池真理子、期待を裏切りません。

恋人にふられ、一緒に行くつもりでいたクラシックコンサートにひとりで行った男に
初老の紳士が話し掛けてきます。それが、ふたりがつきあうようになったきっかけ。
知性と教養あふれる紳士は、話題が豊富で会話も楽しく──。

ひゃ!男&男のラブストーリーなのかと、あわてました(あわてることもないけど)。
紳士にちゃんと愛する奥様がいて、安心したのですが、ですが、ですが、、、
こういう展開になるとは……素敵なオノロケ話の先に待っていたのは狂気の世界。
こころの用意がなかったので、またまた、あわてました。オロオロ。。

一途な愛って、怖い。

「紅迷宮」10編の中で一番印象に残ったのは、桐生典子『まなざしの行方』でしょうか。
他の作品もすぐ読みたい!という気持ちです。


あ、そうそう、昨夜止まったエアコンが、今朝は、しっかり動きました。
寒くて、ベランダにある室外機を確認してないのですが、何もなかったんですよね
(と、思うことにします)。


2004年01月22日(木) 永井するみ『落花』

♪あのー日 あのー時 あーのー場所でぇ 君ぃに会えなかぁぁったらぁ〜
僕ぅらは いつまでもぉぉ  見知らぬっ ふたりの ままっ♪

そうなのです。ラブストーリーは突然に、なのです。
あの日、あの時間に、あの場所にいたから、ふたりは出会って恋に落ちた・・
もし、ほかの人と出会っていたら、その人と物語がはじまっていたかもしれません。

そんなもしもを考えると、出会いの不思議に胸がいっぱいになります。
そして、ものごとすべてに良し悪しがあるように、出会いにも、良い出会いと悪い
出会いがあるようです。人は、誰かに影響されながら、誰かに影響を与える動物
ですから、場合によっては、人生を大きく左右する出会いもあるんです。

ただ、出会いは絶対的なものではないので、自分の過ちを、あの人と出会った
せいだなんて、考えるのはつまらないですよね。出会って良かったと思いたいし、
思われたい。そんなことを見つめた『落花』、女のかいがいしさと冷酷さに唖然。。


寒い1日でした。現在23時50分。風強く、吹雪模様。
エアコンが、ついさっき、止まってしまって、さささむいですー!
こんなときに故障ですか?昨日は元気に明るく?動いてたのにぃ〜エアコンよ。
リモコンでいろいろやってみたものの、×。明日電話するので、よろしく三菱サマ!


2004年01月21日(水) 小沢真理子『天鵞絨屋』

女ひとりで切り盛りする喫茶店に、ビロードの古風なストールを纏った若い女が
来た時、店主は驚きます。なぜって、そのストールは自分の物だったから──。

興味深々な書き出しに手をひかれて、どんどん迷路をすすんでいきました。
プロットがやや複雑で、過去と現在を行ったりきたりですが、読みやすいので
苦にならないですね。(あんまり複雑だと挫折することあり)

・・不倫は哀しい。
不倫相手への憎しみが、その子供に向けられるのはゾッとします。
何年か前に、両親の留守中に幼い子供が火事で亡くなり、捜査の結果、
亡くなった子供の父親の不倫相手の放火だった──ということがありました。。
不倫に端を発した事件に、何の罪もない子供が巻き込まれるのは、憤り以上の
ものがあります。
不倫って、心身共に重労働なんですね…。不倫を扱った小説はいろいろ読んで
きましたが(この日記内を検索したら、22作品ありました)、『天鵞絨屋』は、
ものすごーく、重いです。フゥ〜〜〜 ← おなかの底から深いためいき


2004年01月20日(火) 森真沙子『笑うウサギ』

みょーに不気味です。そして不愉快にも。

銀行の営業マンが、大口定期が見込めそうなお客から、ある依頼を受けます。
断わればいいのに、NO!と言えないのは、営業成績がふるわないからで、
このお客、預金をちらつかせながら、営業マンをシモベにしてしまうんですから、
んもーーーーイヤなお客ですっ!

怖いやら腹立たしいやら、心はせわしなく、一気にラストへ猛ダッシュ。
で、疑問は疑問のままで、とりあえず幕は下りた、という感じ。
どーも、すっきりしません。

モヤモヤしたまま……。

それにしても、銀行マン、ここまでやるのでしょうか。
子供の頃、お得意様の家の雪かきをするギンコウさんを見たことありましたが。。


2004年01月18日(日) 篠田節子『失われた二本の指へ』

幸せそうに見えて、不幸せな人と、不幸せに見えて、実は幸せな人がいる。
仲良さそうに見えて、つめたい関係の夫婦がいれば、ケンカばかりしていても、
愛情と信頼の絆で強く結ばれている夫婦もいる。本当の気持ちなんて、本人に
しかわからない。暴力を振るう夫を持つ妻は、不幸か?そんな男とは、早く別れろ
と他人は考えるかもしれない。なんで、そんな暴力的な男がいいんだ、と他人は
不思議に思うだろう。殴られても、その男がいいという女もいるのだ。男女の絆の
不条理は他人にはわからないのである。

と、せつせつと訴えたくなるような『失われた二本の指へ』。
福祉事務所で働くケースワーカーが、仕事で訪問した家で、かつて一緒に仕事
をした女性と再会して、その環境から救おうとするのですが──。
ケースワーカーの職責の重さは想像以上です。

篠田節子の短編は、ストーリーテラーとしてのSF的なものと、男女のドロドロな
愛憎劇なものがあり、どちらも面白いですけど、愛憎劇の方は、もーぐいぐい
引き込まれていきます。愛がさめたあとも不倫関係を続ける男女の苦しみを
描いた『秋草』(「らせん階段 ─ 女流ミステリー傑作選」ハルキ文庫、2003.06
05記)には、引きずり込まれました。
愛と憎しみは表裏一体。。こわ。


2004年01月17日(土) 桐生典子『まなざしの行方』

・・ハマりそう。特異な感覚を持ってらっしゃるようで、ついていきたい、桐生サマ 。
ドキドキを越して、バクバク!冷やかで突き放したような文章がたまりません。

主人公は78歳。傍目には老人でも、自分では老人扱いされたくない平均的老人。
旧友の病気見舞いに訪れた病院で見かけた美しい入院患者に淡い恋心を
抱いたことで、思いもよらぬことに……。

好きな人が、今、何をしているか ── あれこれ考えるのは楽しいけれど、もし、
離れていても、その人の一挙一道が見えてしまったら、嬉しさを通り越して苦しみ
の方が大きくなるかもしれませんね。

   ── 眼球とは、脳が一部突起したものである。
                    ……くーーっ、カッコいいー!

ところで、
綿矢りさ・19歳、金原ひとみ20歳、と芥川賞受賞作家の年齢が取りざたされて
いますが・・

作家の年齢で、わたしが驚いた最上級は──
ローラ・インガルス・ワイルダーが『大草原の小さな家』を書き始めたのが65歳だった。
です。その頃(スペイン内戦・日中戦争の頃)の65歳っていったら、しっかりすっかり
お婆ちゃまでしょ?高齢社会となった現代、ワイルダーの65歳を超えて、80歳の
新人作家が出てこないかなぁと期待しております。
ハードボイルド+ミステリー+ラブラブ+ホラー+ビジネスのヒント+盛衰の論理
+人生の知恵+……てんこ盛りで斬新なものを!欲張りな読者です。笑


2004年01月14日(水) 光原百合『橋を渡るとき』

人それぞれ苦手というか怖い場所があるようで、『地底に咲く花』を読んだ時に
地下街や地下のレストランが苦手な自分に気づいたんですが、昨日、友人と
食事していて、「エレベーターに人がどんどん乗ってくると逃げ出したくなる」とか
「洞窟、と聞いただけで冷や汗がでてくる。狭い所は怖い」なんて話になって、
なかなか興味深いものがありました。どんな原体験があるのか、知りたいような
知らない方がいいような。。

そんなこと考えながら、読み始めた『橋を渡るとき』。
キャー、びっくりです。ストーリーは、同じ大学のサークル仲間の由希子と美杉が
電車の中で怖いものの謎解きをしていきます。美杉が子供の頃に怖かったのは
テレビ番組が中断したときのテロップ。由希子が今でも怖いのは、電車が川を
渡るとき。なぜ怖いのか、美杉の推理が冴えます。

電車にゆられながら、こんな名推理を聞いたら、グッときそうです。
理詰めで説明するんじゃなく、思いやり120%でいい感じ。

蘭と新一(青山剛昌『名探偵コナン』)、駒子と瀬尾さん(加納朋子『魔法飛行』)
みたいな由希子と美杉。。わたしだけの名探偵か・・いいなぁ〜♪


2004年01月12日(月) 五條瑛『地底に咲く花』

建築現場の日雇い作業員と性風俗嬢の出会いと別れ・・
どんよりとした余韻が何とも言えません。せつない、とは少ーし違います。

作業員の仕事が、都会の真ん中に新築される高層マンションの打ち込み作業で、
地面を掘り起こしているというのが印象的ですねー。狭い日本のあちこちに、
工事中の現場があって、その中には地下深く掘っているところがたくさんあると
いうことは、ぽっかりあいた巨大な穴があちこちに・・こ、怖い。
不気味だけど、そんな穴があってこそ、ビルが建つんですよね。
地下街も地下駐車場も穴だったんだ・・。実は地下街で買い物するのは苦手です。
一種の恐怖症かもしれません。地下のレストランも苦手。ですが、スーパーや
デパートの地下食品売り場は平気です。なんでかな・・?

れれ?話がストーリーから逸れてしまいました。

入国管理法が絡んでくるあたり、五條らしさも。

作家になる前は、防衛庁で軍事情報収集をやっていたという経歴は
見逃せません。2作目の『スリー・アゲーツ』で'99年、大藪春彦賞受賞。
ごじょう あきら、女性です。


2004年01月11日(日) 柴田よしき『どろぼう猫』

昨日に続いて、登場するのは、いやな女です。
中学時代の同級生と久しぶりに再会したら、、綺麗になっていた。
これって、すごーく気になるんです。で、彼女の部屋に遊びに行ったときに、
好みのタイプの男性が訪ねてきたら、やっぱり気になります。
どういう関係かな?って、誰もが思いますよね。しかーし、誘惑しようなんて
考えますか?そんなことで優越感をもつなんて、つまらないと思うけど。

誘惑することに全エネルギーを注ぐ主人公が、どこか憐れで滑稽で、、でも、
憎めないんです。必死なんですもん。

意外なラストに、ちょっと怖くなりました。
隣の芝生は青い・・
The grass always seems greener on the other side of the fence.


2004年01月10日(土) 唯川恵『いやな女』

重松清の「日曜日の夕刊」(新潮文庫)で、たっぷり家族愛に浸かったあと、
ミステリーかホラーを読みたくなって選んだのは、「紅迷宮」(祥伝社文庫)、
ミステリーアンソロジーです。文芸評論家の結城信孝氏が選んだ女性作家
10名の短編を収録したもので、なかなかすごい顔ぶれ。期待が膨らみます♪

最初は、唯川恵の『いやな女』。
仕事のために好きでもない男の愛人になっている女が、高校時代の同級生
と一緒にいた若い男を誘惑し──。

ひぇ〜、なななんて、、なめらかな誘惑!
こここんな、、キザなセリフがさまになる男は、、3年前のクリスマスに読んだ
『22歳、季節がひとつ過ぎてゆく』(幻冬舎文庫)の本城圭一郎サマ以来です。
(あ、これも唯川恵でした。どことなく男の雰囲気似てます・・。)

ふたりの女のいやな女対決が、、それはそれは、楽しくて楽しくて。
いやな女なのに、ふたりとも頑張っているので、キライにはなれないんです。
もし善人対決だったら、息苦しくなると思うんですが、悪女ぶりを見るのは
・・・・・・・好き。(自分には、そんな大胆なことできないからですね、、笑)
どんでん返しラストも良いです〜。。スッーゾクゾクッ。ゾクゾクしてたら、
『青の使者』(「短編復活」集英社文庫、2002.12.30記)も面白かったのを
思い出しました。『青の使者』の女対決も・・読む方は楽しくて楽しくて。。


2004年01月08日(木) 重松清『卒業ホームラン』

「日曜日の夕刊」(新潮文庫)最後の作品になりました。
いろんな家族愛を見てきて、12編目は父親と小学6年の息子が登場です。
父親は少年野球チームの監督、息子は背番号「16」で補欠の7番手。実力主義を
つらぬく父親は、少年野球最後の試合に、息子を補欠のまま臨みます。

公平さを重んじるばかりに、補欠の子供たちの親からは文句を言われ、監督って、
大変ですよねー。ウチの子は、オンリーワンでナンバーワンなわけです。フゥー。

監督の細やかな気持ちの揺れがこちらにストレートに伝わる傍ら、息子の気持ちに
あまりふれないので、かえって、もどかしさがつのるばかり。
出番がなくても声援を送る息子の笑顔が眩しいですね。なんだか痛いくらいです。
練習を重ねてもレギュラーになれない息子に、父親は、中学に入ったら部活は
どうするのか尋ねます。対する答えが明確で純粋で、目の前がパパッーーと
明るくなりました。

すがすがしい気持ちで読み終えて、すっきり。
12編どれも読みごたえがありましたが、特に『後藤を待ちながら』はズッシリきました。
これで629円(税別)はお買い得!


2004年01月07日(水) 重松清『柑橘系パパ』

うーむ、確かに父親は、少しクサいときもあるような気がします。
母親にだって、匂いみたいなものはあるけれど、なぜか父親の匂いって、
気になりだしたら、どうしようもなく気になるんですよね。匂いだけじゃなく、
口ぐせとか、しぐさとか、思春期の娘が父親を見るとき、その厳しさは審判員以上
かもしれません。

何かで読んだけど、誰でも歳をとると、加齢臭というイヤな匂いがでてくるらしいです。
ヒトミちゃんのパパは気をつかって、柑橘系オーデコロンをつけているのに、パパは
クサいと、消臭スプレーを家中にまくなんて、それはあんまりです、ひどすぎるよ、
ヒトミちゃん!← 『柑橘系パパ』の主人公、中3女子、どこか行くならマツキヨ。

ヒトミちゃんのすることに、ハラハラしながら読むうちに、ラストは……。

ヒトミちゃんのパパにひとこと─ 娘に遠慮は、いらないんじゃない?
もっとガツンといきましょガツンと。(・・と、言うのは簡単なんですよねー)

家族を見守る作者のまなざしが素敵です。


2004年01月06日(火) 重松清『後藤を待ちながら』

うるうるしちゃいました。涙がこぼれそう……。

中学の同窓会。久しぶりの再会に喜んだ「僕」は、後藤が来ることを知ります。
後藤・・いつもみんなにからかわれていた後藤。いじめていたなんて意識はなく、
教師たちも冷やかに見ていたのに、ある日突然、自殺を図った後藤。助かった
あと転校してそれきりだった後藤。そんな後藤を待つ「僕」は──。

いじめがモチーフのものは、読むのもつらいですね。ぐんぐん引き込まれながら
遠い記憶の中で探すのは、やはり、いじめられていた子の面影。
特定の子を囃し立てたり、その子に面倒な役目を押し付けたり、、思い出すと
苦しくなります。ヘラヘラ笑っていたその子の胸の内を思いやることもせずに。。
何度かあった同窓会に出てこないのは、仕事が忙しいだけじゃなくて、みんなに
会いたくないからなのかな……。わたしの記憶の中の子は、自殺なんてしなかった
けど、もしかしたら1度くらいは考えたこともあったのかもしれない。いろんな思いが
渦をつくって胸に迫ります。

「僕」の悔しさに共感しながら、思い出した中学時代は楽しくほろ苦く・・。

「いじめ」で、この日記内を検索したら、6作品ありました。
中でも、乙一『死にぞこないの青』(幻冬舎文庫)はショックでした。。


2004年01月05日(月) 重松清『サンタにお願い』

これも短いお話ですが、なかなか良い余韻が長持ちしています。
浅田次郎の短編が、ぎゅぎゅっとエキスを濃縮した高級コンソメスープなら、
重松清の短編は、ミネラルとビタミンが効率よく配合された上質サプリメントゼリー
という感じ。不足していたものを補ってもらった気がします。忘れていた何かを
思い出させてもらった気もします。

なんだか今夜はこのまま静かに過ごしたい気持ちです。
後日、続きを書き・・書くかもしれません。(微笑)


2004年01月04日(日) 重松清『すし、食いねェ』

重松清って、小説書くのうまいですねーー。って、作家ですもん。
こんなふうに、自然体で書いて、読み手を楽しませ、やさしい気持ちを
伝えられたら・・いいですよね〜。んー、小説書きたくなってきました。(笑)

短編集「日曜日の夕刊」(新潮文庫)の最後に文芸評論家の北上次郎氏が
解説されていますが、重松清の構成のうまさは宮部みゆきと並ぶと・・。
北上氏も重松清のうまさに感服ですか・・。
そうなんです。構成がうまい上に、微に入り細を穿つ心理描写に、こちらの
気持ちまで見透かされそうでドキドキしてくるんです。

『すし食いねェ』── ある平凡な家族に、突然、テレビ出演の声が掛かって
壊れかけた夫婦の絆が……というお話。

妻が離婚を考えるときって、こんなときかもしれません。
そして、幸せを感じるときって、こんなときなんですよねー、きっと。
家族って、煩わしいこともあるけれど、ないよりあった方がいいのかも。。

短編集のタイトルは、「日曜日の夕刊」。あってもなくてもかまわないけれど、
あった方がいいもの。……なるほど、ネ。


2004年01月01日(木) 重松清『さかあがりの神様』

新年あけましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願い致します。


初詣に行きました。神様に、わたしの願いは届いたでしょうか。
「学問の神様」「商売の神様」「縁結ぶの神様」などは知られていますが、
「さかあがりの神様」がいる、って知ってますか?

さかあがりができない子供の前にあらわれる「さかあがりの神様」は、
さかあがりのコツをわかりやすく教えて、あっというまに、さかあがりが
できるようにしてくれるのです。

2004年最初に読んだのは、重松清「日曜日の夕刊」(新潮文庫)より
『さかあがりの神様』。さかあがりができない娘に特訓する父は、かつて
自分もできなかったときに、さかあがりの神様が来たことを思い出します。

さびしさが漂う父の子供時代の回想と、境遇は違っても、やはりさびしさに
健気に向かいながら鉄棒を握る娘の心模様が静かにふれ合い重なって
とても奥行きのある素敵な世界になっています。

読んで良かったと素直に思える作品。心はホッカホカ♪



水野はるか |MAIL
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