日記

2008年01月31日(木) もしかなうのなら、かささぎにでも託して


Q. もえぎさんもえぎさん、今日はどんな作業をしましたか?
A. ウロボロス彫ったりウロボロス縫ったりしてました。


こんばんわ、上記の真相はオンリで(笑)もえぎです。
や。オンリでおひろめできます…よね……?何やら徐々に不安が込み上げて。
いやいやここはがんばらないと。どうにかこうにかやり遂げないと!
でないとわざわざゾハルまで縫ったかいがありません。
ここだけ見たらほんと何してるんでしょうこのひとって話ですね。

不思議です。
オンリまでもうさほど日にちは残されておらず、カウントダウン状態で。
それは同時に、ゼノ十回目のお誕生日までのカウントダウンでもあります。
もっとあわあわ焦ってもよいはずですのに。
やることは山積みで、焦る要素はいくらでもあるはずですのに。
作業をしていると、奇妙に穏やかで、気持ちが凪いできます。
何と申しますか。わたしは、呼吸をするように、ゼノが好きなようです。
ひとつひとつ、ゼノに関するものに触れるのが、快くてなりません。
それは作業であったり音楽であったり思い出だったりするのですが。
こうもひたすらに、だいすきなものがあろうかと思います。

ひとつ、ふうわり触れるたび。様々なものが溢れ出す。
ここはあんな風だった、台詞がこんなで…ふたりはこんなだったり、他のみんなはこうしてて、そうそう、プレイしてるわたしはこうだった!などなど。
もうすぐ指折り数える十本目だというのに、記憶はあきれるほどにつまびらか。
そりゃ、つらいイベント、苦しい戦闘、悲鳴をあげるような展開もありました。
連戦で挫けたり、実際コントローラー放棄したり、ジャンプで落ちたり落ちたり落ちたりも。
なのに、全てをひっくるめると、何もかもがいとしくてならないのです。
そして心から『ありがとう』と言いたくなってしまいます。
まあ、シェバトの老人連中とガゼルの老人連中は除外やもしれませんけれどね(笑)

十歳のお誕生日が近付くにつれ、いよいよ考えるのです。
どうしたらこの気持ちが届く?どうしたらこのありったけのおもいを伝えられる?
……色んなことが、ありました。打ちのめされたこともありました。
けれど、どんなことがあっても、どうしても信じてしまうものが、あるのです。
あの頃も今も気持ちに変わりはありません。

素晴らしいお話をありがとうございました。
だいすきな人たちに巡りあわせてくださってありがとうございました。
ありとあらゆるものを奪いありとあらゆるものをくれてありがとうございました。
ゼノが世界にいてくれて、出会うことができて、わたしはほんとうにしあわせでした。
うまれてきてくれて、ありがとう。


この万分の一でも、伝えることができたなら。



2008年01月30日(水) かみかみ迷宮


こないだの日記読み返したら支離滅裂で笑いました。
やはり風邪でふらくらした頭で書くとろくなことになりませんね。


こんばんわ、戒めの意味も込めて訂正はしませんが。もえぎです。
はやいとこ風邪治ってくれないかなあと、夜寝るたびごと思う日々です。
適度に頭もゆだっているのでしょう。
今日も、手がむくんでいるのを見てぼんやりと思うのがこれで。
『あー…指がぶっとい。むくんでるなあ、きっと不燃物がいっぱいたまってるのやわ。……あれ、今何かおかしかった?あ。不燃物ちがうちがう。燃えないごみかわたしは。腐敗物やわうん。……って、もっぺん違う。腐ってどうする。ああああ風邪で何かもう言葉さえろくに出てこん』
老廃物でした(長いこと悩んでやっと出てきた)

なにがなんでもオンリの日までには治ってくれないと。
……何か、当日になったら突然に完全復活しそうな気もします。
何と申しますかこう。気力のみで。
まあ、殆どよくなっておりますので、完治までカウントダウンですけれどね。
しかしこの気の毒な感じの声が早くどうにかならないものか!

げほえほ咳き込んだりしつつも、昨日はおでかけだったのですよ。
友人連中に頼んで、紙屋さんに行ってました。
わたしはオフラインで活動って殆どしないので、紙とかには疎くって……。
文字書きはどうしてもオンラインに主軸を置いてしまうと思うのですが、いかがでしょう。
で、初めて紙屋さんに足を運んだわけなのですけれど。
一口に紙屋さんと言っても、凄いのですね!
色やら厚み、質感なんかも、本当に多種多様で。
何もかもが珍しくって、楽しかったです。
なかでも、意味もなく感心してしまったのは、そのはかり方でした。
わたし不勉強なもので、紙を種別するのに、『重さ』を用いるだなんて知りませんでした。
チョコレートのはかりうりみたいで、おもしろかったです。

で。ぺらぺらのコピー本なれど、出すとなれば頑張らないとなので。
友人に色々相談して、助言を貰って、ようやっとまとまりました。
思っていたような紙も買えましたし、ほくほくです。
内容もあと数回読み返せばどうにかなりますし、ラストスパートです。
接触者対存在本の表紙は頑張りますよ!
半透明でランチョンマットでレースペーパーがぼなぺてぃな感じです。
これで表紙をイメージできた方がいらしたら、ご一報ください(笑)

さあ。こんなに書いちゃった以上は、いよいよ落とせなくなって参りました。
まけるなー。おー。


>二十九日
・1時の方

そのお話は初めて伺いました(笑)だとしたら、監督はお喜びなのでしょうか。
あ。そういえば、以前何処かで見たと思うのですけれど。
何でしたっけ。インタビュー映像だったか公式の企画だったか……。
ともあれ、そこで、監督の机を拝見したことがありました。
そこにガンダムウィングのゼロカスタムがあって叫んだ記憶があります。
スパロボ参戦、どうなりますことやら。情報、ありがとうございました(ぺこり)


・16時の方

素直に喜べないのが勿体無くも切ないような気持ちになってしまいますね(苦笑)
まあ、エピ2のダメージは、ナムカプで随分と癒されはしたのですが。それでも。
あの日に刻印された恐怖というものは拭い去りがたいものですから。
もう比較するのはやめましょうか。この話をしても、誰も幸せにはなりません。
ただ監督の言葉だけを待って、祈るように、裁断を請います。
ホァアアア通販ですか!?そ、それは考えていないのです。
何せぺらい本ですので…申し訳ありません。お言葉、ありがとうございました!



2008年01月28日(月) 長らく留守にしておりました



日記書くのがえらく久し振りです。一応本の内容は殆ど仕上がりました。
……けれど、他の困りごとが。


ご無沙汰しております!もえぎです。
原稿原稿用事と原稿、とあわあわしている間に、何やら大変なことが。
ここ暫く動きのなかったモノリスさんに怒涛の展開ですね。
まさかこうも盛大に動きが発覚すると、逆に反応に困ります。
殊に今回は。

新世界主人公ペアスパロボ参戦って。
しかもコスモスまで参戦って。
どういうこと?

しかもわたし、最初友人からの速報で断片的にしか知らなくって。
『え、スパロボ?スパロボたって、コスモス機体がないんじゃあ…(今にして思えば『ディナがあるでしょう』とか考えられるのですが、その時は相当混乱しておりまして)それに新世界ペアなんて更にロボもってないよ。どないするのいったい…って、はっ、小牟エルデカイザーか?エルデカイザーに乗る気か!?うわあやりかねないよ小牟なら』
などといった具合に、わたしの中で情報が錯綜しまくっておりました。
結局あちこち情報確認して落ち着きましたが、かえって悩みが深まってしまいました。

こうして一応新作みたいなのが出たのなら、新世界布教本作る意味ないのでは?とか。
何やら必要性がなくなってしまった気がします。
中身は殆ど出来ているのですが、よもやこの時期にこんな展開になろうとは。
あと、コスモス参戦が、バージョン4というのが。
ファンの方には大変申し訳ないのですけれど、あのデザイン……好きではありません。
他にどう表現したものやらと悩むのですが、きぶんがわるいのです。
更に参戦作品がスパロボなわけでしょう?
わたしよく知らない上偏見もあるのでしょうが、何かスパロボって怖い印象があります。
周囲にプレイしている人がいないので分からなさに拍車がかかっているぽいです。
ただ、スパロボをしているおとこのひとは、むやみに怖く思えます。

他にも、モノリスさん新作三本同時進行って大丈夫なのかしら、
とか要らんことも考えてしまいます。
けれど、とうとう光田さんとモノリスさんが繋がった、
ということは意味もなく泣きたくなります。
しかもメルマガで、光田さんが新作のことをかなり褒めていらっしゃいましたし。
あるべきものがあるべき位置に戻った。蘇神さま?(笑)
ころんとすぐに喜びのまま、信じそうになると、びしゃりと毒のような雷に引き裂かれます。
『あの日のことを忘れた?』と。
ああ。エピ2。
最後まで信じようとして信じ抜こうとして粉みじんに打ち砕かれた日のこと。
日に日に腕が細くなって、見る見る体力も気力も失せていった。
ほんの三十分も立っていることができなくて、肌は青褪めていくばかり。
もうあんなおもいは嫌。

ばかですね。うっかりかなしくなってきてしまったのです。
そして挙句の果てに。
『モノリスさんと光田さんタッグ+スパロボ参戦にびっくりでどっきりでがっかり?でカオス+ここ最近の寒さ=風邪でダウン』
という、どうしようもない状況に陥っていた今日この頃です。知恵熱ですかこれは。
漸く熱も下がって身動きが取れるようになってきました。
が。寝込んでいた所為で原稿の見直し作業が進んでいないという罠。ギャー。ホァー。

信じたくても信じられない。信じようとしない自分が嫌になってきます。
蘇神さまに天照る神、更には黄金の光輝にも。信じたいと、祈りたい。



>二十七日
・12時の方

……まさかこんなことになるとは、でした。
スパロボには疎いもので、推測でしかものを言えないのですけれど。
何かサーガ組からもう一人くらい出そうな気が。予想としてはケイオスくんあたり。
買うか否かは続報次第か、ひいては発売後の評価次第やもしれません。
まだ怖がっているような状況ですので、食指が伸びるまでには至らないのです。
情報、ありがとうございました(ぺこり)



2008年01月12日(土) 折れない心をください


ああいかん。そろそろくじけそう(笑)
オンリまで一ヶ月きっちゃいましたよどうしましょう。


こんばんわ、オフラインで活動されてる方を心から尊敬します。もえぎです。
おおおお。こんな、こんなぎりぎりな作業っておそろしい……!
みんなうきうきゼノオンリ。とうとう一ヶ月をきりました。
だというのに、もえぎさんはまだまだ準備がおろそかなままです。
きっと皆様、疾うに本なんて完成しちゃってて自信満々なのでしょうねえ。偉いなあ。
わたしの作業工程なんて現段階でさんざんですよ。

・接触者対存在本(骨はできた。肉もそこそこ。でも表皮までは張れない…)
・新世界布教本(志がどんどん低くなっていきそうです。くじけそう。ボスケテー)
・ブックカバー作製(…………一番くじけそう)
・東京行き交通手段(人生初の夜行バス)
・宿泊先探し、そして予約(おとまりおとまりー)
・ジブリ美術館予約(行きたいなあ…)

書いててだんだん泣きたくなってきました。
夜行バスに関しては、経験者である紺堂嬢(同行者)に頼み込んだのですが。
残るもの全部こなさないと。ああでも、わたし他にも用事がうあああ。
……がんばります。
このような事態を招いたのは、ひとえに自身の怠惰が原因です。
気合い入れなおして作業するため、暫しネット離れますね。
とにかく今は頭を一旦新世界へシフト!BGM変更!おいでませ新世界。
ただ。ただ。
ブックカバーだけはそろそろ無理っぽいです…あああ申し訳ありません!
精神的な余裕がありません。本ができて、心にゆとりがあればかかれるでしょうけれど。
こればかりはやや絶望的ではあります。

原稿はともかくとして。もう一つ、悩みがあったりします。
わたし、ほんとにオフラインには疎くって。紙の種類とかちっとも分かりません。
イメージはあっても、それを形にできるのかが著しく不安です。
プリンタさんもやばいくらい年季が入ってる子なので、不安の二乗。や。三乗?
もっともっときちんと準備をしておけば、ぎりぎりに慌てることもありませんのにね。
年始早々、計画性のなさに溜め息が零れます。
む。でも愚痴ってる暇があるのなら、きりきり働きます。おー!

それではしばし、せっしゃこれにてどろん。



2008年01月08日(火) ながいながいの

あーもーどないしましょゼノがちょうしたい。
具体的に挙げますと漂流イベントが見たいのです。漂流したい!


こんばんわ、あそこは屈指の名イベントですよね。もえぎです。
もし接触者対存在好きの方に好きなイベントは?と訊ねましたら。
かなりの高順位に入るのではないかと思っています。
最近本当にフェイもエリィも好きすぎて、何か笑えてくるほどです。
どうしてこんなに惹かれてならないのでしょうね。
これだけ長い付き合いなのですから。いいかげん感情が薄れても、とか思いますのに。
断然鮮やか。極彩色。
それに…怒られてしまうやもしれませんけれど。
わたし、フェイエリィのお話、書ききっていないのですよ(笑)
まだまだ書き上げていないものが、たあっくさん、あるのです。
もし全てを書ききったらどうなるのかと、ふと思ったりもしますが。
当分、そんな事態はうんとこさ先のことになりそうです。
これだけの年月を経ても、満たして、捉えて、はなさない。


そして盛大に流れをぶち壊しますが、のばしにのばした大河最終回感想ー。
もう次の大河始まっちゃってますのにね(笑)つくづく世間様との速度に相違が。
うー、何せ何処から語ったものやらわけわからなくなっちゃったのですよ。
どうにかまとめようとした矢先に紅白が以下略。
最後の最後の十行感想。
せっかく最後なのですから、もう十行もへったくれもなく箇条書きな方法も考えましたが。
言わずもがなの春日山のかわいらしい甥っ子さんで盛り上がりすぎたため却下。
語りすぎるに違いないので、リミッター的な処置で、十行感想いきまーす。

・三条さんと於琴姫さまの会話が好きです。特に、於琴姫さまの、問いかけ方が
・そして毘沙門堂でお祈り中の母子も
・甲斐と越後、どちらでも、待っておられる方の描写入るのがとても好きでした
・村上さんVS真田のおとうさんおとうさん!?おおおお燃える!
・義信さまと自分では命の重みが違うと言い切るかんすけさんがだいすきです
・『そろそろ劣勢なので退き陣を考えて…』『ぅ我に続けぇぇえええ!!(単騎特攻)』
・ひとの話聞いてください軍神(笑うところですかあれは)
・三太刀なのに傷七太刀ぶんって、どんな切り方したのですか軍神(流石軍神?)
・直江のおとうさまの切りつけに始まり、最後は…ボロミアみたいでしたかんすけさん
・帰還。奪還。……胴合わせ。ああ、何か卒業式みたいでした。武田卒業式

色々と残念な感想で申し訳ありません。
うう、終わるのが嫌でした。
いまだに、もう日曜の夜に会えないという事実が寂しくて仕方ないです。
でも去年一年、本当に本当に楽しませて貰いました。

於琴姫さまのおなかにいらしたのはどなたでしょうね?
仁科さんか松姫さまかなーと思うのですが。
このお二人どちらが先のお生まれでしたっけ。
因みにわたしは菊姫さま1563年生誕説でお願いします。(1558年説よりこっちのが好き)
三条さんへの問いかけが、ああ確かに於琴姫さまだ、と思わせるもので好きでした。
雲になりたいなあみたいに語る三条さんに『雲ですか?』と訊ねるのではなく。
『流れて行きたいのですか?』(うろおぼえ)と小首を傾げて微笑まれるさまが。
あと、かんすけさんの台詞も好きでした。
『人間は全て平等で、全ての命は等しい!』という現代の考えに真っ向から立ち向かう。
ああいう台詞を言わせて、しかも重く、嘘のないさまは素晴らしいと思います。
最後の戦いっぷりは、板垣さんを彷彿させる見事なボロミアっぷりでした。
一方軍神はひとの話聞かずに単騎駆けですし。
かんすけさん追いますし。
宇佐美さんの兜の前立てが御幣って、とても似合って素敵でした。
かんすけさんと見事な対照でした。
最後、ミツさんの台詞で終わって。武田家その後でうああああってなって。
おなかいっぱいになってから、ふと気付きました。

あれ毘沙門堂って女人禁制なんじゃ?

おもいっきり入っちゃいましたね、桃姫さま(笑)
まあでもおてて合わせてお祈りな卯松さまが可愛らしかったので全ては大丈夫です。
そんなこんなで。実は本日、卯松さまはお誕生日にあらせられます。
新暦計算だと、今日がお誕生日になるのだそうです。
こんなところで、こんな流れで、申し上げるのも失礼やもしれませんが。
お誕生日おめでとうございます、景勝さま。
以下はまたも懲りもせず、書いちゃった代物です。
せっかくのお誕生日に申し訳ありません景勝さま。
ライブ舞台裏、裏方さんの暗躍?例によって、反転しております。





『毘沙門天スーパーライブ・舞台裏』

 越後の軍の出陣前は、軍神ライブが定番です。そういうことになっているのですお願いします。戦を前に、緊張だけでなく、何故かむやみにうきうきと胸ときめかせ高揚気分になっている城内にて、頭を抱える方もいらっしゃるわけでして。必ずしも全ての人々が、かのライブを待ち望んでいるのではない証左として、直江のおとうさまは苛立たしげに廊下を歩いておりました。
 暫くすると向こう側から、とうの探し人が現れて。直江のおとうさまは思わず、足音をずだんずだんさせながら、太くどっしりとした声を響かせました。ちょっと、怒鳴りかかるようにも、聞こえました。

「宇佐美殿!!」
「おお、これは直江殿」
 若干こめかみがひきつりそうになっている、直江のおとうさまに対し、琵琶島の主は何処までも温厚な様子で返します。穏やかな声音に、薄く笑みまで浮かべているさまは、とても軍師という職業の持つ言葉の響きに似つかわしくないものでした。
 しかしその、のんびりとしたさまに、直江のおとうさまの苛立ちはつのるばかりです。
「今日は一言言わせて頂きますぞ!」
「さて、何にござろうか?」
「いわずもがな!例の戦意高揚イベントじゃ!!」
「毘沙門堂前での出陣ライブですな」
「いかにも。御屋形さまや宇佐美殿の言うように、確かに統率力アップや戦意鼓舞に一応効果はある」
「人気絶大ですからなあ」
「されど!特設物見櫓だの会場整備だの、要らざる予算がかかっておるのも事実!!」
「人足やら建設費、櫓の材料費などもばかにならぬのは、確か」
「これから戦を控えておるというに、戦費以外がかさむなどとは愚の骨頂!!」
「いやいや、直江殿。実は、そうでもなかったりするのですぞ」
「何……?」
 取り敢えず、言いたいことは言い切って、一息ついた直江のおとうさまに対し、宇佐美さんはあくまでにこやかです。ごそごそと懐に手を入れると、きらきら光り輝く薄い紙をしぴん★と取り出し、人差し指と中指で挟んで見せます。
「いやあ、VIP席以外にも特典付きアリーナ席のチケットとか用意しましたら、ばか売れしましてなあ」
「なっ……!?」
「春日山はおろか、越後国中あちこちの若い娘らから熱狂的に受け入れられまして。やはり特典に御屋形様直筆サイン(『第一義』)入り掛け軸をつけたのが、大きかったようで。反響に驚き、思わずグッズ展開したところ、呆れるほどの売り上げとなってしまい、ぶっちゃけ金蔵増設な勢いで金穀が集まっておるのです」
 ほらこれが噂のプラチナチケット、と手にしたきらきらの紙を手渡してきます。ぺらぺらの、うんと薄くて軽い紙を受け取っただけですのに、直江のおとうさまの体は重く何かにのしかかられたように、その場へくずおれました。
 ぽん、と宇佐美さんが肩を叩きます。にこやかな笑みを刷いたまま。
「さ。共に観戦しましょうぞ」


・数十年後

「――ゆえに、この金蔵は、金穀に満ち溢れているのだ、とこの書付には記されております。景勝さま」
「…………」
「しかしよもや、当家の財力にかような理由があろうとは存じませんでした。金山のみではなかったのですね」
「……おぼろげに覚えておるような気がする。わし……」
 ぽつり、と漏らされた言葉に、若き家宰はおや、と薄く微笑みます。こちらも若い越後の主は、遠い過去の記憶を糸でたぐるようにしながら、思わず視線を虚空に向けてしまいましたとさ。



2008年01月07日(月) 秋の七草は食べたら大変


ノドがやや痛むため自発的にホットレモンを作っておりましたら。
やっぱり家族から『風邪?』と訊ねられてしまいました。


こんばんわ、すっぱあまくてからだはほこほこ。もえぎです。
一気にこのまま回復してくれたら良いのですけれどね。
まあ、元々そんな盛大に風邪ひいたわけでもないので、予防みたいなものですが。
大事が出来しないうちに、対処しておかないと。
それにしても、ななくさがゆおいしーい。昔の人は偉いです。
おかゆも食べて、あとはぐっすり眠ればすぐさま全快!……多分!


ななくさがゆなのですから、年が明けてはや一週間ですか。
と、いうことは、あの衝撃的極まりない紅白軍神からも一週間以上が経過して。
早いものです。
良くも悪くもインパクト絶大だったがくとさん謙信さま。
このあとに謙信さま役をする方は気の毒だ…と思っておりましたら。
早々に次の謙信さま出ちゃいましたね(笑)まつおかさん。
あの鬼のように分厚い原作上下巻を二時間にまとめるなんてどだい無理です。
せめて五時間×二夜連続くらいでないと。
なのでわたしちょろりとしか見ていないのですけれど。昨夜のてんとちと。
のっけから色んなものかっとばしまくってて笑いました。
でも一番笑ったのはコスプレしてる方がいはることでした。
あれはどういうことなのでしょう。

そしてついついがくとさんご本人が気になってウィキペディア見てましたら。
愛車がポンティアック・ファイアーバード・トランザムという事実にはじけとびました。
何故。何故……!!
それはナイトじゃないですか。わたしの愛しいナイト2000の車体じゃないですか。
まんまナイトの80年代トランザムではないようですが、でもトランザム。
貴方は軍神だけではなくナイトにまでなられるおつもりですか。
ああもう何処からつっこんだら良いのか。
紅白軍神で、あれほど『ツッコミ』という言葉に無力感をおぼえたことはありませんが。
この事実もまた近いものがあります。

そしてこんな流れのままこっそりもへったくれもないのですが私信を。
東のおやかたさま!あれはびっくりしますよね!(笑)
そうけんびちゃでむせても無理はないと思います。
もういっそ越後勢は出陣前いっつもああいうノリで良いと思います。強いわけです。
笑って頂けて良かったです。なにせ、書かずにはいられない衝撃だったので。
戦国部屋…うーん、どうしましょう(笑)いま少し悩もうと思います。
せめて、十回目のお誕生日が終わるまでは。



2008年01月06日(日) 洗いものをすると、水がいたいほど冷たい寒さで

てーりゃー。あまりにも冷え込みすぎて、危うく風邪ひくところでした。
まだ油断はできませんし、防寒対策しっかりしないと、いけませんね……。


こんばんわ、若干ふらふらしつつもがんばるところはがんばらないと。もえぎです。
しかし無理をしすぎて体調壊して新刊落としたら救いようがありません。
ほ、ほどほどに…加減しつつです。おー。
接触者対存在本(厚さぺらぺら)に、ちょろりと喫茶話をつけるつもりなのです。
せっかくお誕生日に出す本なのですし、記念に出張気分です。
でも拙宅のお客さまでないと、明らかに分からない内容ですけどね。喫茶(笑)
まあ、あくまでちょろりと。おまけ気分ですので。
出てくるメンバーは、喫茶全員+イドになりそうです。
どういうわけだかわたし、夏喫茶からイドを書くのが楽しくって。
普段、あまり彼を書くことってなかったですから。かえって新鮮で楽しいようです。
ただ喫茶という時点で何かを盛大に間違えていますが。
フェイとエリィ、そこへイド、という三人組が楽しい模様。
彩りで見ても綺麗な並びですね、この三人。
…あー、何度目ともしれない再プレイがしたくなってきました。ゼノ。


話は全然変わるのですけれど、最近読んでてびっくりしたご本があります。
是非是非おすすめなので、思わず語る次第です。
年末に読んだのですが、大変な衝撃を受けました。
去年読んだ本の中で、トップ3には入るだろう素晴らしいご本でした。
むしろ去年の百二十冊の中での一位、と言いたいくらいです。
そう言いたいのですが、その…歴史小説系と同じ土俵で比べるのはどうかと思い。
(だって素敵な景勝さま小説も色々読んでごにょごにょ)
だからといって、児童文学なら一位、というのも何やら評価が狭小な気がして。
まあ、とにもかくにも素晴らしいご本なのです。

それは、アトリーの『氷の花たば』。
凄いのです。とにかく凄いのです。
わたしはイギリス文学とはとにかく相性が悪いのですが、これは別格です。
こうもひたりと、心に濡れた絹でもまとわせるように、
隙間なく寄り添われたのは初めてです。
相性の良いイギリス文学でいうと、ブライトン以来でした。
衝撃でした。
美しい。美しいのですが、地に足がついている。
あくまで視線は淡々と、なのに自然に対する敬愛にも似たものが感じられる。
伝承がしっかりと生活に息づいて、衒いではなく、それを発展させている。
その簡潔な見事さ。

短編集でして、六つお話が入っていて、中でも一つ、凄まじいのがあります。
子供に恵まれない、貧しいきこりの家に生まれた、待望の女の子。
天使のように愛らしいその子は、さくらんぼの頬に、さくらの花のような肌をしていました。
ゆえに名前はさくらの花、と名付けられました。
驚きました。
イギリスのお話なのに、こんなところでさくら。
いえ、英語ですからチェリー・ブロッサムなのですけれど。でもさくらです。
この発想にびっくりしてしまいました。
しかもさくらがお話の鍵になって、あちこち色々出てきてどきどきします。
また展開が凄いのですよこれが。
冬、古いさくらの木に雪がついて、まるでさくらの花が咲いたよう、なんて描写があったり。
日本人が大好きなさくら。イギリスの方が見たらこうなるのか…と。
あちらの方は淡いピンクより、白だと感じられるみたいですね。
読んでいて、大変心地良かった。

わたしにとっては、久方振りに全面的クリティカルヒットでした。
思わず同じ作者さんの別作品まで借りに行ってしまったくらいです(笑)
そっちも負けず劣らず素晴らしくて、ほくほくしておりました。
ただこの作者さんの短編、全てが翻訳されているわけではないのですよね。
もっとたくさん読みたいなあ…と貪欲に思ってしまいます。
翻訳がんばって頂けませんか、いしいももこさん(御年、ももとせ!)とか願います。
百歳で多分現役ってかっこいい。このご本の翻訳時点で八十八歳くらいのはず。

上記のさくらのお話、タイトルは『木こりの娘』なのですが、原題どうなのでしょう。
気になって調べてみようとしたのですが、ごめんなさい英語はからきしです。
ドイツ語なんて『わたしはアスパラガスです』レベルです。度し難い。
とまれこうまれ。おすすめです!


>五日の!

あけましておめでとうございます!至らぬ管理人ですが、本年もよろしくお願い致します。
何よりのお誕生日年、こうなれば成人式や還暦までも、お付き合いさせて頂く所存です。
新年早々ふにゃりとしていて、申し訳ありません。
けれど、わたしとて、多少は打たれ強くなったつもり……です。
ただ。この身より、だいすきなだいすきな方々を傷つけられるのが、つらいのです。
あんなにも素晴らしいのに、と。
お言葉、ありがとうございました。がんばっていきます!
今年一年が、あなたさまにとって、素敵な年でありますように。



2008年01月04日(金) あまいの(味覚)+あまいの(ふたり)=?



三が日も終わりまして!さあさ、きりきりがんばらないと。
松の内とは申しましても、やるべきことはてきぱきと。


こんばんわ、本来なら三が日のうちから、やっとくべきでしょうに……もえぎです。
年末のゼノ気分は最高潮だったのですし、やろうと思えば早々に取りかかれたはず。
それもこれも紅白が以下略。
まあ今更ぼやいても仕方がありません。がんばるのみ!
お陰さまでアフォリズムは完成しました。あとはタイトルを変えるかどうか悩むだけです。
アフォリズムにおまけでつける、書き下ろし喫茶出張版に取りかかったのですが。
やたらに筆ノリ良くって笑っちゃいそうでした。
接触者対存在というだけで、筆はうきうき喜びますのに。
そこへお菓子が加わると、更にはりきりうきうきになるようです。
何処までもいやしんぼ魂ですね。
自分でもどうして瞬時にケーキの味付けを五種類思いつけたのかが疑問です。
アバウトなことしか考えておりませんでしたのに、書き出すとはやいはやい。
でも油断は禁物です。
だって新世界本のほうはまだちいとも手がつけられていないのです。
更に、わたし全然関係ないことで、もう一つ書かなければならないことがありまして。
そっちも忘れないように、なので。本当に油断は大敵なのです。
がんばるぞー。おー。
……時々、意識を軍神に持っていかれそうになるのをこらえつつー。

とにもかくにもゼノが好きです。
こういう風に、全肯定みたいなファンは嫌がられるとは承知していても。
けれど誤解なきよう申し上げますが、わたし全てを肯定してはいないのですよ。
気にかかる点が、ないわけではありません。
鬼エンカウント率を筆頭として。
ジャンプ中エンカウントで動き停止やめてとかバベルとかバベルとかバベルとか。
でもですね。あまりに、好きすぎる点が多すぎるのです。
色の白いは七難隠す、と申しますでしょう?
ゼノの場合はそもそも難が七つすらなかったりして。
だから、悪い点がごいごい埋もれて、すると忘れて、うっかり全てが好きになってしまう。
ゼノ、という作品自体のみではなく、これは接触者対存在にも言えるやもしれません。
知っておりますよ。あのふたりたちが嫌いで嫌いで仕方のない方もいらっしゃると。
そういう方たちにとっては、ファン自体が、許せない存在にも思えるのでしょう。
ですから、昔からずっと、怖かった。
あのふたりたちが好きなことで、どなたかを不快にしてしまうのが怖くて怖くて。
息をひそめていなければならないと思って。
――でも。アンソロのお話を耳にして。
つい気が緩むと泣き出してしまいそうなくらい、嬉しかった。
好きでいても良かったのだと。
ふたりとも躁鬱激しくて凹み出すときりがなく転嫁は得意だし時折子供のようだし不器用でワガママで自己犠牲で理想主義すぎるところがあって欠点だらけで不完全でそれで。
……だいすきなふたりで。
それらを踏まえた上で、わたしは、あのふたりたちがだいすきなのですよ。
だいすきな点が多すぎるのですよ。

何処か諦観にも似た気持ちで思います。
ああ。わたしはゼノが大好きです。



>三日
・Aさま

あけましておめでとうございます!こちらこそご挨拶が遅れまして。
昨年はたくさん、感想をありがとうございました。
更新自体は滞りがちでしたのに、いっぱい素敵なお言葉を頂いてしまって。
とてもほのあたたかな、お人柄の伝わるようなお言葉、大変励みになりました。
まだまだ修行中の身ですけれど、今年もできうる限り、がんばろうと思います。
新年のご挨拶、ありがとうございました。本年も、どうぞよろしくお願いします!(ぺこり)



2008年01月03日(木) あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます!もえぎです。
ごあいさつが三が日ラストとやや遅れてしまいましたが、おめでとうございます。
ふつつかな管理人ではございますが、本年もどうぞよろしくお願い致します。
なにせ今年は、大切な大切なお誕生日が控えているのですから。
我が身よりもずっと、いっとう大切な、お誕生日が。

……新年早々こんなこと申し上げるのもどうかとは思いましたけれど。
すみませんが、どうか聞いてやってはくださいませんか。
あのですね。わたし年末、もうゼノのボルテージが限界だったのです。
ステータスMAXな勢いでした。臨界点突破なくらいでした。
ゼノが好きで好きで泣けてくるような状態だったのです。
来るべき十周年に向け、最も相応しい受け入れ態勢といえます。
なのにですね。
なのに。










紅白軍神降臨ですべてが吹き飛んだおおつごもりをどうしてくれましょうか?










何あれ。ねえ、あれは何だったのですか。
我が家は大晦日、家族揃って紅白なのがお定まりとなっているのですが。
とんだお茶の間クラッシャーでしたよ。
むしろわたしは耐え切れませんでしたよ。
丁度少し前に漢検DSにはまっている父から『DS本体充電しといて』と頼まれていたので。
『あ、充電行ってくる』と言い残し、居間から自室に退避。
そこでくずおれました。
家族の前で、そうできないのは。
わたしのすること好きなものはいつもおかしいらしいので。
嗤われてしまうのです。
この身が嘲られるのは良いのですが、
好きなものそのものを軽侮されるのは耐えられません。
だから常に隠してばかりです。

まあそれはさておくとして。問題はあれですよ。紅白軍神。
上手いこと、当日の午後に総集編やったばっかですのにね。
おせちのお手伝い等で全部を見ることはできなかったのですが(録画済み!)
冒頭とラストだけは見ることができました。
開始十分でミツさん退場という光速展開に衝撃を受けました。
OPを見ながら『ああ…大河もこれで見納めかあ』などとしみじみしておりましたのに。
よもや紅白に降臨するとは思わないじゃないですか。
や。歌わはるのは存じておりましたが、あんな全力で上杉とは思わないじゃないですか。
むしろあれどちらかと言うとがくとさんより謙信さまだったじゃないですか。
鎧は川中島のそのままで、指物も、幔幕も、見慣れたもので。
思いもよらぬ形で、『おしまい』と諦めていた大河が甦りました。

歌詞の内容見ながら『誰にあてた歌になるのかしらこれは大河関係ないとは分かっていても歌ってはるお姿がまんま謙信さまやからそう思わずにはおられんわ。おやかたさま?おやかたさまにあててるの?もう一度会えるの?第五回川中島?むしろ特番?次はいつお会いできるのですか謙信さま』
などと冷静に混乱しておりました。
しかも歌の途中で『はっちゃけ★軍神グラフィティ』とか流れ出すので余計に。
まあその映像の中に景勝さまのほぺむにー(注:ほっぺたをむにーした場面)
が、入っていたので無駄に叫びとも笑いともつかないものが込み上げてきましたが。
惑乱してるわりにはそれなりに平静なのですよ。
後ろで演奏してるバンド侍ズの具足を必死に見定めようとしてました。
細川の殿がギター弾いてはると思いました(笑)だってあの山鳥の尾の兜はー。
ベースは一の谷に釘の後立て?(うろおぼえ)資料で見たことあるのですけれどねえ。
いったいどなたのだったか忘れてしまいました。
あとは鯰尾の兜と、南蛮兜に思えましたが。変わり兜勢揃い。
まさか、がくとさん前もって、かっこよさそうな具足ばっかセレクトしといたのでは。
足軽勢ノリノリ。統制完璧。戦意高揚。
……戦行く前には必ずライブしてるような気にさえなってきました。
まあ総括しますと。全体的に大笑いでした。
最後の最後にとんでもないものをくやしいけれどありがとう公共放送。
お陰でわたしの年末は色んな意味で大打撃でした(笑)

他にも紅白は、ビューティーな新九郎さまが出てはったり。
最後にナレーションで宇佐美さんが出てはったりと、大河後には嬉しい趣向。
あと紀香ねえさんきれいでしたし(どさくさまぎれに何を)
我が家では割と好評な紅白でございました。
いくとしくるとしが流れる中でも、わたしの脳裏に浮かんでいたのは。
『春日山 戦の前の 楽しみは おたちめしと 軍神ライブ』(季語なし・字足らず)
とかでした。
こんな年末ってほんまどういうこと。

年が明けてすぐ初詣。至上稀に見る寒さで、早々に帰宅して。
午前二時前滑り込んだ床で見た初夢が。
『あー、こんなところに孫子の旗売ってるー。ちょっと欲しいかもしれない。上杉どこかなあ。おお!こんなところにファミコンのカセット!タイトル「古事記」!?ああっ!大谷の殿のグッズが!はっ、向こうに毘の旗発見ー!!うふふあはは…』
こんな初夢て。

絶対に紅白の所為です。
初春のっけから目覚めて凹みそうでしたが、初夢は一日の夜に見るもんだと気付き復活。
無事、まともな初夢を見ることができました。
……よかった、あのうふふあははなのが初夢では年のはじめからわたし憐れすぎました。
しかし、本当に凄かったですあれは。色んな意味で。
この勢いのまま、がくとさん再来年…いえいえ、来年の大河も(とうとう来年になって!)
もっぺん、謙信さま役をしたがるのでは。
でもがくとさん謙信さまはお手洗いで亡くなりそうな気配がありません。
むしろお手洗い行かない、みたいな。


……年のはじめ。のっけから、戦国満載な日記で申し訳ありません。
ほんと、様々なものをしっちゃかにされてしまったのです。
もしお見逃しの方で、気になった方は、以下へどうぞ。音にご注意。
ttp://www.youtube.com/watch?v=sQK_d95GatU&feature=related
そして更に以下。思わず書いちゃった、妄想文でございます。
念のため反転。だって、あんなの見せられちゃいましたら……。
でも。何よりアレなのは。
なんとはなしに紅白がくとさんを録画しちゃってて、
結果こういうことになっちゃったわたしだと思います。
壮絶な自爆。
しかも、よりにもよって、大河最終回の後に……。





『毘沙門天スーパーライブ』

 越後の兵は出陣前、おたちめしが何よりの楽しみにございます。上杉は日頃節制を心がける家風ですが、いざ戦ともなると、それに備えるため、ごはんが見違えるように豪華になるのです。なので、これから命のやりとりが行われるとは分かっていても、ついついごはんを喜んでしまいます。これこそ軍神の思う壺なのやもしれません。
 さてこの日も。春日山にて、出陣の準備。がつがつとごはんをかっこみながら、足軽たちがわいわい話し合っています。

「あー、やっぱごはんうまいなー。ごはんさいこう」
「いつもこうならいいけどなあ」
「でもそうなると、いつも戦、ってことになるけどな」
「それは嫌。くー、でもごはんは捨てがたい」
「まあまあ。食べられるうちに食べとこ…それに、早くしないとおやかたさまのライブが!」
「おおそれだ!それを抜かしちゃ話にならん!!」
「急いで食い終われ!いい席取りに行くぞ!」
「最前列最前列!!」
 せっかくのごちそうを、味わいもせずにむりやり咀嚼し飲み込んで。手に手に切り具足を携えて、我先にと毘沙門堂前(ライブ会場)へと、まろびそうになりながら駆けてゆきます。
 その様子を、障子を開け放した室内から眺めているのは、軍神の姉君にございました。暫く足軽たちの動向を観察しておりましたが、ふいに踵を返すと、衣擦れの音も涼やかに、部屋へ戻ります。そうして畳に腰を下ろすと、その傍らには、ちょこりと端座しているご子息の姿がありました。
 桃姫さまは、若君さまに薄く微笑まれます。
「いつもながら賑やかなこと。されど、こたびもライブによって、戦意は鼓舞されましょう」
「ははうえ。おじうえから、『アリーナ席を用意しているからおいで』といわれました」
「なりません。兵たちにも、舞台にも、近すぎると危険です」
「……うのまつは、みては、なりませぬか?」
「そうは言うておりません。わたくしと一緒に、VIP席(特設物見櫓)から見ましょう」
「はい、ははうえ」
 はにかむようにして嬉しさを表す息子を愛しげに見やりながら、桃姫さまは密かに嘆息します。かような幼な子をアリーナ席になどと、最初からVIP席に呼べば良いものを…と呟きかけますが、最後の言葉を飲み込んで、口の端を上げます。
 その程度のこと、軍神は疾うから思いついていたはずです。けれどもそう言い出さなかったのは、遠く離れたVIP席よりも、うんと近いアリーナ席で、己の勇姿を可愛い甥っ子に見せたかったからでしょう。
「困った子」
 軍神の姉上は、くすくすと声を零しながら、不思議そうに小首を傾げている息子の頭を、軽く撫でてやりました。



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