わたしの感覚が無感動になったのかと思った。 けれど、予約特典DVDの映像に、他愛もなく涙を浮かべるわたしがいました。
こんばんわ、考えれば考えるほど分からなくなるので。もえぎです。 だんだん考えることすらしなくなってきてしまいました。 どれほどこの出来の悪い頭を痛めても理解へは至れない気がします。 なぜあんなことをされたのか。なぜあんなことをしようとおもったのか。 なぜあんなことを承認しおくりだそうとしたのか。 ワカラナイ。
問題です。以下の言葉は、いったいなんのことでしょう? 『ハレンチ』 『友情デコピン』 『母と娘のロードトゥドイツ』 『ピッチャー返し(ライナー)』 『義理の息子よ義父(ちち)の背中を越えてゆけ』 答え。わたしが二人技ににつけた愛称。
『ハレンチ』→ケイオスくんとシオンさんの二人技。 当初は世間様と同じセクハラセクハラ言うていたのですけれど。侘助嬢が。 『違うよ!セクハラは上司から部下に対して行われるものやもん! だから…だから、ケイオスくんはセクハラじゃないねん!ハレンチやねん!!』 と、主張するものですから、じゃあハレンチに決定となりました。 因みにわたしはまだハレンチ手に入れていないのです。クリアしたのに。 ゆえに、『まだ生ハレンチ見たことないー』『動く生ハレンチが見たい』 といった風に使用されています。あと、紺堂嬢からのメールには。 『ハレンチを水着装備の状態でやってしまった』と書いてある始末です。 傍から見たらなにがなんだかですね。
『友情デコピン』→ジュニアくんとケイオスくんの二人技。 背中合わせで仲良しで良いことです。 でもジュニアくんがデコピンしているように見えて仕方がないのです。
『母と娘のロードトゥドイツ』→シオンさんとコスモスの二人技。 ファミ通のDVDで見たときからこれはギャグだと信じています。 とはいえ、まだゲーム本編で手に入れていないのでどうにもこうにも。 シオンさんとコスモスが空を渡るでしょう?なのでこんなイメージ展開が。 空渡り→少林サッカー→W杯→次回はドイツ といった具合でロードトゥドイツなわけです。母と娘なのはそのままんまですね。 未亡人の母を悪い虫から守るべくお父さんの遺言のまま動く宇宙最強の娘。
『ピッチャー返し(ライナー)』→ジン兄さんとケイオスくんの二人技。 ジン兄さんが刀振るうというよりバット代わりに用いているように見えて見えてもう。 しかしピッチャー返しならばケイオスくんに返るはずなのですけれどね。 でもピッチャー返しが一番語呂が良いのです。打球はきっとセンター方向ですが。 合併話が出てきても、野球はまだまだサッカーに負けるものか! 今のプロ野球界を悪くしているのはひたすらにナベツネです。ナベツネ諸悪の根源。 お前が『金さえあれば良いもんじゃない』とか言うなナベツネ!!(怒)
『義理の息子よ義父(ちち)の背中を越えてゆけ』→ジギーとジュニアくんの二人技。 最早説明するまでもなさそうですが。そのまんまです。 ジギーの背中を越えてゆくときのジュニアくんは台詞つきでお願いします。 台詞の内容は勿論『お…お義父さあーん…!』で。 どんどん義理の親子化が進んでますねこの二人。 いやそもそもジギー、モモちのお父さんじゃありませんけれど。 なぁーんか婿養子にでも入りそうな勢いでしたので、もうパパで大丈夫です。 で、そこにジュニアくんが入ったらまあなんて素敵完璧しあわせ家族。
結論。一つたりとも正式名称覚える気なし。 というか、正直に申し上げれば、『二人技要らんので一人技返してください』。 お願いします…これ以上、ユーザーを失望させないでください……。 わたしの好きなものを返してください。 一人技、装備品、アイテム屋さん、効果音……光田さん、田中先生、高橋監督。 お買い物が出来ないかなしみがどんなものだか。お買い物の楽しみ。 ステータスバランスを整えるため、なにを装備しようかな?とわくわく考えて。 わたしはこんな戦略を講じるのがとても好きなのです。 けれど今回、全ては数字。キャラ固有エーテルも技もなかったことになって。 キャラそれぞれの個性が殺されてしまっていてレベル上げも楽しくなくて。 ただ、数字。記号。……それだけ。
―…クリアから一晩経って、漸く、少し、落ち着いてきました。 それでもまだ胸の奥でタールがぶすぶす黒い煙でくすぶるような嫌な感覚。
こんばんわ、もうちょっとだけ、報告をしてみます。もえぎです。 クリアしてすぐ、浮かんだ表情は『無表情』でした。 けれどそれはただなにもないだけではなく、混沌としたものでした。 絵の具で黒色を使いたいとき、用いる選択肢が純粋な黒色だけではないこと。 様々な絵の具を無茶苦茶に混ぜ合わせて出来上がる混沌とした黒もあるということ。 わたしの浮かべた無表情はありとあらゆる感情がごっちゃになった上での。 混沌とした、無表情。
笑い声を上げなかったのはそれがすぐ狂った哄笑になると思ったから。 悲鳴を上げなかったのはそれがすぐ絶望的な咆哮になると思ったから。 どちらもしなかったのはどちらもがいずれにせよ激甚な怒号になると思ったから。
『滅べ』と言われているような気がしました。 ED後、ぼんやりしていると、窓枠が優しく誘うかのようでした。 『私に足をお掛けなさい』と。 わたしに滅べと仰せなのだと思いました。 一瞬本気でサイトを閉めたくなりました。 昨夜、あちこちのサイトさんで感想を見て回り、癒されました。 ああこんな気持ちなのはわたしだけではなかったと思い。 そのお陰でやや立ち直りはしましたけれど。 (特にチャットではありがとうございました……!!) 色々なものが語る以前の問題です。ので、感想を一言で表すと。
『なぜ、こんなひどいことを?』
上手な素人より下手な玄人と申します。 しかし、それにしても、これは、まがりなりにもプロとして酷すぎると思うのです。 イベントの演出に何度か眉をひそめました。 音楽の使用方法に幾度も顔をしかめました。 台詞回しには悪意さえ感じられました(特にシオンさん) 町の人の台詞もそう。ゼノの空気が悲しいくらい感じられませんでした。 あの底抜けの軽薄さがわたしにはどうしても理解できませんでした。 ゼノの台詞は心地良い荘重さがあり、世界を繋ぎとめる錨のよう。 けれどそれが重苦しくはなく、時に茶目っ気もまじえたそれがたまらなく好き。 なのに今回は町の人の言葉は表層を漂泊しているに過ぎませんでした。 わたしはゼノがとてもとても大好きなのです言葉が追いつかないくらい。 ですから、無思慮に酷い言葉を用いたりすることはとても嫌なのです。 けれど、どんなにどんなに考えてみても納得がいかない。 ゆえに今回は。愛するがゆえにやや辛辣にさせて頂きます。 ゼノに憎しみなど抱いたことはありません。考えたこともありません。 それでも今回、わたしはともすれば憎悪に乗っ取られそうになりました。たびたび。
ゼノは、『ありとあらゆるものを与え、ありとあらゆるものを奪い』ました。 エピ2は『苦痛のみを与え、ありとあらゆるものを奪い』ました。 この差は歴然。 ゼノの魅力といえばなにをおいてもその物語性でしょう? なのにこの魚のぶつ切りみたいにてんでばらばら寸断された展開はどういうことです。 まるで『バラバラのカガミ』。しかも繋ぎ合わせても一枚にはならない。 音楽は、梶浦さんにはなんの罪もありはしません。 ただ光田さんの偉大さとその存在への身の焦がれを思い知らされました。 根本的に音楽が世界観に不向きなのです。 叙情的な場面にエレキギターが強すぎて場の雰囲気がめちゃめちゃだったり。 場を茶化すようにされて悲しくひいてしまったり。 とにかく壊滅的に合わなかったのです。 慣れ、というものを期待しましたが駄目でした。 最後までわたしはイベントにおいて一度も鳥肌を立てることはありませんでした。 涙なんて欠片だって浮かびませんでした。同様に笑顔も。 まるで、場面と音楽が、分離してしまった卵とバターみたいで。 いくら混ぜても混ざらない。解離したままそのまんま。 撥水加工が施されたようにお互いにはじきあって、全然体に馴染まない。 光田さんの場合は、あまい雨上がりの露のように、しっとり肌に馴染んだのに。
唯一向上していたのは映像やもしれません。とても綺麗です。 けれどわたしは、EDまで一度も『綺麗な微笑』を見てはいません。 特にケイオスくん。 ケイオスくんって、いつも穏やかに薄い微笑をたたえている印象があります。 なのに今回、全くケイオスくんの微笑を見たおぼえがないのです。 これに関してはシオンさんも同様でした。 リアル路線にすることにより、感情表現が豊かに、とスタッフさまは仰せでした。 でもわたしはエピ2で殆ど感情を感じられませんでした。 エピ1のほうが遥かに表情豊かだったように思います。 ―…どうしてスクウェアが、エニックスと合併せざるを得なくなったか。 それを鑑みれば、おのずと答えは出たはずです。 これじゃあ何故モノリスソフトが創設されたのか解らなくなってしまいます。 モノリスはですね、一言で表すならば、『誠実』だと思うのです。 なのに。今回、それにヒビが入ってしまったようでした。
ただひたすらにつらかった。自分のことなどどうでも良かった。 ただ彼に会いたくて、プレイをやめると恐いことをたくさん考えてしまいそうで恐くて。 何かに急かされているのに、脅されているように、びくびく怯えながら続けて。 気がつくと二日以上食事抜きでろくに睡眠も取らず二十一時間以上連続プレイ。 その果てに待ち構えていたのはただ『なにもない』でした。 アトレーユが見たのは多分こんなだったでしょう。 微熱だろうが、目眩だろうが、立ちくらみでその場に倒れるように座り込もうが。 体力が落ちて半時間も立っていることが出来なくなろうが。 必死になって二年以上挟まれたままだったしおりの先を読み進もうとした。 なのに―…
殺戮マシーンになることを求められているような気がしました。 小野不由美さんはコラムで、FF5の時点で既にそう感じてらっしゃったそうでしたが。 世界も宇宙も人物も自分自身も、全てが記号と数字にされたようでした。 わたしの嫌うそれにならなければ読ませない、と突きつけられて。 だからわたしはひたすら苦痛を感じながら読み進み、辿り着いたのは。 『なにもない』。
このままでは、エピ2は、任天堂におけるバーチャルボーイになります。 (=忘れたい過去。触れられたくない過去) このままでは、サーガは、わたしの最も嫌うことを求めてくるように思います。 ですから。お願いです。お願いですから。 ユーザーに、『こんなことをやらされるくらいなら死んだほうがマシだ』 なんて思わせないでください……!!
監督、監督。どうかお戻りを。タスケテクダサイ。 それともわたしがいけないとお思いですか。あんな祈り方だったからと。 わたしがした黄金の光輝への『お願い』なんて他愛もなさ過ぎましたか。 他の誰かの『お願い』のがより強くて、それが叶えられたのですか。 これが最大多数の最大幸福なのですか。 ならば。どうしたら。
延々続く無表情。 声も音も何もなく、ただ、無表情な涙が頬を伝うだけ。
2004年06月28日(月) |
ファンタージエン喪失 |
にばんめのじょじし。 そこにあるのは。
こんばんわ。おわりました。もえぎです。 以上報告終わります。
今のわたしはこれ以上はなにを言い出すかわからないので。 いないとかすくないとかかなしいとかうれしいとかせつないとかつらいとかいたいとかひどいとかくるしいとかぜつぼうとかそれ以前の問題。 ただパラドックス的に。 『なにもない』があるだけでした。 こんどこそ報告終わります。では。
ゴメンナサイ…ゴメンナサイ……。 間に合いません、でした……。
こんばんわ。申し訳ありません。もえぎです。 もうこの言葉しか口にすることが出来ません。 申し訳ありませんでした。 お題、出来上がりませんでした。
熱がひかないわ酷い悪夢で目が覚めるわ夢の内容は最悪な方法で人が死ぬまでの経過をみせつけられるものだったわしかも殺されるのは身内だわ遮断機に頭突きかまされるわ左折するときバイク巻き込みかけるわ青信号で停止して注意されるわ昨日のぷいぷいうらないで最悪だったわなどなどで空前絶後のローテンションなのです。 ベッドによこたわればそのままずぶすぶと地面にまで沈み込みそうなくらいで。 どうしてこんなに悲しいのか分からないくらい悲しいのです。 ふとんにくるまって声を殺してしくしく言い出す始末。 そしたら自然とこめかみもずきずきしてきますしね。 食欲も湧かず、晩ご飯も作らずにぼんやりしていました。 あともうすこしなのに。どうしてこんなにかなしいのか。
なんとか無理やり床から体を引き離して起き上がり、ケーキ作りました。 お菓子って、作っているときの気持ちがとても反映されるのです。 悲しい気持ちで作っていると、出来上がってもおいしくありません。 きれいに焼き上がった、ハニー・スポンジケーキ。 味見はまだしていません。
おめでとう、と。おめでとうと言いたいのに。 そんな言葉の前に立ちふさがる形のない影。 声にならない。告げられない。ただ音のない涙だけ。 たぶん、わたし一番嫌なタイプのユーザーですね。 あれが違うこれが違うとあらさがしをしてしつこく言って。 本当に。嫌なユーザー。 スタッフさまがたには煙たくてうっとうしくて、羽虫のようでしょう。 自分の醜さをまざまざと思い知らされるから、だからかなしいのでしょうか。 やっぱり嫌なユーザー。
お菓子をつくって。 爪のお手入れ、マニキュア失敗。ぬりなおして。 部屋の片付け。明日の準備。 ―…まるで、デートみたいですね?(苦笑) そう、数年ぶりの逢瀬。まだ三度目の逢瀬。二度目だって凄い間隔で。 けれどわたしが待っているのは、一番最初のあの子。 ちいさな、こども。デートのお相手はあなたです。黄金の光輝に触れ得る子よ。 ただあなたにあいたいだけ。
ゼノは、わたしにとって、良くも悪くも中心のもの。 うちのお城にある、あの二本の太い心柱みたいなもの。 地面に立つため必要な、支えを失っては、耐えられません。 心柱だけを取り替えることなんて出来ないのですから。 周りを全部解体して、たくさんの職人さんや棟梁がいて、やりなおす。 そうでなければ倒れてしまう。わたしの心柱。
二年前。日付が変わると同時に携帯がなりました。 友人から。『おめでとう!!』と。 みんな、わたしにとってのゼノのことを、よく知っていてくれるから。 わたしは笑顔で『ありがとう』と返しました。 今のわたしはそう言えるのかわかりません。
さあ。もう。 明日のわたしはどうしているのやら?
2004年06月22日(火) |
強いニヒリズムを。我に。 |
いまだに低調マイテンション。前夜祭でも開きたいところですけれど……。 なにせ平日ですし、ひとりごと大会間違いなさそうですね(笑)
こんばんわ、お題を急がねば。もえぎです。 なんだかここにきて筆の調子が悪いです。文章おかしいです。 ややスランプの予感さえしますが、もうそんなこと言ってられません。 残った指がたったこれだけです。まだ現実味に乏しいのに。 最後のお題は、ある意味わたしの集大成なのやもしれません。 わたしがあなたにのぞむこと。わたしがあなたがたにいのること。すべて。 けれど書けているのはまだ三割程度。しかも中身はあなぼこチーズみたいで。 泣いても笑っても恐がっても凹んでも。あと二日。
明日はお祝いのはちみつスポンジケーキを焼きましょう。 本当ならばオレンジの皮のすりおろしを入れたいところですが。 皮のためだけにまるっぽオレンジ一個買うのが嫌なのです。 オレンジオイルの余りがありますし、それを入れましょうか。 それともグランマルニエ(オレンジのリキュール)を入れましょうか。 とにかく。お祝い。静かに静かに。 で、今日既にヨーグルトとブルーベリーのパウンドケーキを焼いておきました。 一日でなんもかんも作ろうと思うと大変なので。今日のうちに。
わたしはよろこべるのだろうか。どうでしょうね、にちぇ。 最近何故だか貴方が好きだったりしますよにちぇ。
2004年06月21日(月) |
タルトタタンにシナモンはおいしくないそうですよ |
もうあと。これだけの日。 でも胸を占める気持ちの六割は不安。二割は悲しみ。―…どうしたら。
こんばんわ、台風大好きおおはしゃぎ。もえぎです。 不道徳なことだと叱られてしまいそうですけれど、台風大好きです。 風はごうごう、雨はざかざか。わくわくするなというのが無理です。 で。そんな天気に晩ご飯のお買い物に出掛けて。 たいして強い風雨ではなかったのですが、一応傘をさして行って。 お気に入りの傘にるんらるんらしながら歩いて行って。 帰り道、雨はさほどなのに風が強くって。雨粒角度が斜め十五度くらい。 これはもう傘要らんわと諦め、開いた花をぱさりと閉じて。 そしたら、さしてないほうが雨当たらないような感じでご機嫌で。 徒歩二分くらいの距離をそのまま歩いて帰宅。 その後、部屋の掃除して、ちょっと違和感を感じて。 更に後、晩ご飯の支度して、またちょっと齟齬をおぼえ。 めまい、くらくら、立ちくらみ。 おかしいなあ。おかしいなあと不思議に思っていると、ふと気付きます。 『熱を測ってみよう』と漸く考え至り、体温計をしぴんと装備。 台風雨降りうぉーきんいんざれいん。結果。
しっかり熱出してました。
アホです。
それにしてもつくづく自覚症状に乏しいです。 でも動物のお医者さんの菱沼さんよりかはマシですよね!(くらべるな) ああもうすぐ。うんとすぐ。 そらおそろしくさえありますが、お題完成を口実になんとか自分をもたせています。 サーガ迎撃のため、わたしは木曜から完全ひきこもり態勢です。 食料も用意して、ええ、お祝いのケーキも焼かなくては。 はちみつ入りのおっきなスポンジケーキを作りましょう。 タルト型がこないだ百円ショップで手に入ったのでそれも使いたいです。 何もかもをその来るべき日にそなえ、こなしておきます。 なんだかんだと言いながらやりますよ。 ただ、結果がとても不安。エピ2がもたらすものは二つに一つと思えるから。 天にも昇る至福の愉悦か。窓枠に足を掛けたくなる深淵の絶望か。 さあ。どっち。
2004年06月19日(土) |
『ケーゼファブリクシュラーフェン』 |
お題更新。ふーやれやれ。間に合いそうですね。 でもお題に必死で日記がちっとも書けません。書くの好きですのにー。
こんばんわ、あたまがつきつきします。もえぎです。 ズキズキなほど強くないのです。つきつきするのです。 んー知恵熱でしょうか(笑) エピ2もうすぐなのに…どうしてこうも……。 やっと、やっと高橋監督のお言葉が聞けましたのに。 それでもまた、あたまがつきつきします。ああつきつき。もう嫌。
で、お題です。タルトです。たまにはこんなのもありかと。 手抜きとか仰らないでくださいね。 というか、タルトが一番悩んだお題だったりします。 ずーっと考えて、やっとぴかりと浮かんでしっくりしたのが今日のです。 これで残りはあとひとつ。 一番書きたかった最後のひとつ。早く書きたい……! そしてまた題名が適当ですぐ変わりそうです。わあん。
『ケーゼファブリクシュラーフェン』
ひかりがまどろみ風はねぼけて。 全てのものにうつらうつらと舟を漕がせ、しあわせな航海に乗り出させてしまう、陽気。指を伸ばせば触れられそうな、うららかな昼下がりの木漏れ日が、シャンデリアのように窓から降り注ぐ。部屋中うちじゅうそこらじゅう、睡魔の吐息が満ち溢れ、逆らいがたく心地良いいざないがうふふと笑う。 ふと、うとうと陽光が何かに気付く。おもい瞼をこすりこすり、部屋の中から聞こえる、かすかな音に耳を澄ます。どうもそれは規則正しく繰り返されて、しかもひとつではないようだった。ふたつの異なるささやかな音が、光の降り積もる音さえ響き渡りそうに静まり返った小さな部屋で、たいそう控えめな二重奏を演じているようだ。
おっきなソファがそのうちにはあって。それはとてもとてもおっきくて、やわらかくて、大変具合の良いソファで。珍しいパターンなのは、彼女が偶然発見してとても気に入ったレトロなテキスタイルを、器用な彼が古いソファに新しく張りなおしたからで。 それはとてもとてもおっきなソファで。だから、ふたりなら、何とか一緒に横になれる。
ちょっとぎゅうぎゅうな感じをさせながらも、フェイとエリィはソファに転がり、すやすや寝息を立てている。狭いだろうに、と思えるのに、ふたりの寝顔にちいとも苦しげなものはなく、安楽この上ない。 ソファの背もたれ側に彼は仰向けになり、けれどやや奥によるようにして、横たわる。片方の手は胸の上、もう片方の手は背もたれの上に。随分とリラックスした様子で、どうやらぐっすりと眠り込んでしまっているようだった。一方彼女は背もたれの反対側、ちょっとこづかれたら、ころりと床に落ちてしまいそうな危険な位置。なのに当の本人は、まるで快い海辺のカウチに身を預けているかのような安息っぷり。こなたは胎児のように、胸を抱えるかのように、少し猫めいて丸まっている。彼の肩辺りに横顔を沈め、少し奥へ身を引いてくれたお陰で出来た僅かな空間に、そっとその身を預けている。口の端に灯った微笑は消えることなくほのかにひかりを放ち続ける。 お互いに、なんとも絶妙に均衡を保てる体勢を取っており、目が覚めても体が痛い、などということはこれっぽっちもなさそう。 ではどうしてこうもふたりはおひさまさんさんの頃合に、眠りこけているのか。答えはすぐそこ。
きらり。きらん。いたずらっぽい陽光が、テーブルの上を照らし出す。そこには―…きれいにからっぽ、なのに後片付けされていない、午後のおやつの支度があった。 きらりん★銀のカトラリー。いつも彼女が丹精込めて磨いている愛用の銀器も、今はちょっとクリームにまみれて。僅かにたゆたう宝石のようなハーブティーは、雫となってガラスのカップにきらめいている。レモンのスライス、ハニーディッパー、どれもこれも並べられたままほっぽかれてしまって。中央に鎮座する真っ白い大皿はものの見事にからっけつ、でもそこに、答えを導く欠片がぽつり。 ぺりぽり、さぞかし良い音を立てるだろう、タルトの欠片。どんなに上手に食べてみても、一欠けだって零さずに食べきるのは至難の業。ここから察するに、本日のおやつは何かのタルトだったのだろう。そして次に気にかかるのは、先程の。銀のフォークにくっついていた、金色とろとろクリームの正体。カーテンを揺らしながら、風がそろそろ近づくと、部屋中にぱ、とクリームの香が満ちた。 ああ。と、ひかりも、風も、すべてが微笑んだ。
見事な金色クリームは、うんとうんと濃厚なクリームチーズの黄昏黄金。
チーズタルトは、いいやチーズがほんのちょっとでも含まれたおやつは、ほんのちょっと食べただけでもすぐおなかいっぱいになってしまう。なのにこのふたりは、おっきなタルトをふたりがかりですっかりおなかに収めてしまったのだから。そのおなかいっぱいっぷりは押して知るべしである。 おなかはいっぱい、日差しはうららか、そしたら後片付けなんてかったるくなってしまうに決まっている。ずんずん重さを増してくる瞼をなんとかかんとか押し上げようという気概さえ起きなくって、片付けなんて後にしよう、と彼はとろとろしながら彼女に提案。どうしようかしらと、彼女は一瞬迷ったけれど、起案者は答えを待つこともなく、こてんとソファに転がってしまって。そしてよじよじと奥のほうに寄ると、きちんと彼女のスペースを確保すると、そのまますうと睡魔の手を取った。 おひさまはこんなに高いというのに。こんなにすやすや眠り込んでしまうだなんて?こうなると彼女の答えがどうなるかは決まっている。あえかな微笑のまま、エプロンも外さずに、そっとソファへ細い体を滑り込ませた。 たまにはこんな、悪甘いいざないがあったって。
数時間後、ふたりを訪れた先生が、ソファに転がるわるいこふたりを見つけ、『おやおや、なんてお行儀でしょうね!』と笑みを噛み殺しながら呟いても、わるいこふたりはすやすや眠りこけていましたとさ。
たまにはこんなわるあまい。ね。
2004年06月17日(木) |
『ロンリィ・アプフェル・オラクルズ』 |
むちゃくちゃ歩き回った二日間。どういうことだ。 『きっと今日はすやすや眠れるよ』と言われても嬉しいやらなんやら。
こんばんわ、お泊りサーガムービー鑑賞会及び塊大会終了しました。もえぎです。 うをー、足がだるいー。筋肉痛の予感が切ないです。 でも楽しかったです。塊対戦魂。燃えました。 3D酔う酔う言うてた侘助嬢が一番あくどいプレイをしたように思います。 無力に見せかけておいて、ここぞとばかりに塊ぶつけるのを狙ってきます。 恐ろしい子です。返り討ちにしたりされたりしてました。 それにしても塊は、やってると実に性格が出ますね……(笑)
サーガも鑑賞会でした。やっぱりシオンさんとコスモスの協力技はギャグです。 『要所要所、きちんと押さえているのだが何かが根本的に間違っている』 という評価に落ち着きました。いや、大好きですけれどねあれ。 うあーあー、あと一週間ってどういうことですかー。 このテンションの平静さは何なのでしょう。 積み木ですか、彼の姿が確認されていないからでしょうか(笑) ひとつでもなにか、わたしにとっての朗報があればなあと思うのです。 たとえば『エピ2、カトマサさん参戦確定』とか。 この一報があるならば、わたしは瞬く間にハイテンションでどうなっちゃったってです。 カトマサさん参加されませんか…お願いできませんか……。 千年祭の不在という悲しみをどうにか埋めて頂けませんかカトマサさん。
で。お題です。あと一週間でお題三つは流石にきついので急いでいます。 本日はマフィンでゴーです。意外に時間かかりまして、二時間くらいで。 他のお題はだいたい一時間ちょっとなのですが。 どこがどうしてどこが長くなったのか原因不明です。ううむ。 そして今までのお題と違い、なぜか題名がすんなり決まりませんでした。 というわけでかなり適当なタイトルになってしまいギャアです。 すみません、これこそ、変わる可能性極めて大です。 これでお題は残りふたつ。クラムっておいしいですよね。
『ロンリィ・アプフェル・オラクルズ』
「クラムだ」 真後ろからわくわくとさも嬉しそうに零れた声に、彼女は思わず振り返ろうとし、見やった先には―…もはや言うまでも無い。振り返るも何も、エリィのほんとうにすぐ後ろ、くるりと首を動かしただけで頬が触れてしまいそうな場所に、彼がいた。まるで彼女の肩にあたまをひょいと乗っけたように見える体勢で。 そんな距離に近づかれたのに、ちっとも気づかなかった。これは果たして喜ぶべきなのかそれとも嘆くべきなのかと彼女は一瞬思考を巡らせてみようとしたけれど、結局やめてしまった。だって彼はとても楽しそうに微笑んでいるし、自分だって今、ついついつられて口角をあげてしまっているのだから。 だから彼女は苦笑なんて忘却の彼方に追いやりながら、くすりと笑みを宿す。ちょっと作業を中断しただけなのに、エリィの白い指からはクラムがぽろぽろとはがれ落ちていった。 「正解。クラムよ。マフィンに乗せるの」 「じゃあ今日のマフィンは―…ええと、クランベリー?」 彼女の答えに、フェイはきょときょととキッチンを見回して、そこに広げられている材料類を視認し、その中に真っ赤な干したベリーの姿を発見すると、すぐさまおやつの内容を推量してみせた。まるでおおきな黒わんこが宝物を探すような一連の動きに、彼女はちょっと吹き出しそうになってしまったけれど、見事に核心をついてくる彼の洞察力には素直に感心してしまった。だって、それは、見事に正解を射止めていたから!
「あたり。でも、ほんの一瞬でよくすぐそこまでわかるのね」 「そりゃ、鍛えられてるから」 「ふふふ、確かに。いままでどれだけたくさんのお菓子を作ったり、食べたりしたことか」 「もう何種類かさえも忘れたな。数え切れないもんだから」 「そうね。私も、両手足の指で足りなくなってきた頃から、カウントやめちゃったわ」 「でも今日は、ちょっと不思議に思ったんだ」 え?と彼女が問いかける前に、フェイはもう一度、しげしげとクランベリーマフィンになるべく待機しているおのおのがたを眺める。そこにいるのは小麦粉、お砂糖、くるみにたまごにクランベリー。サラダ油とちょっとのお塩とバニラエッセンス。いくつか片付けてしまったのもあるので、現在出されている材料はそれくらい。彼は一つ一つを数えるように確認すると、おとがいに手を当てて首を傾げながら、くるりと彼女に視線を戻す。 「マフィンの中身、クランベリーとくるみだけじゃあ、さみしくないか?」 ちょっと痛いところをつかれて、思わずエリィはう゛、とおかしな声を出してしまう。やっぱり彼の洞察力は侮れないわ、と再認識してしまった気分だった。どうしてこうも次々と放つ矢の全てが真ん中を貫き通してくるのかと。 だから彼女は渋々ながらそれを認める。そしたら彼は、ああやっぱりと呟いて、得心がいったことをしみじみと実感するように何度も頷いた。その間中ずっと、やっぱりさみしいよなー、うんうん、さみしいよやっぱり、と盛んに彼が連呼するものだから、エリィはなんとか反論すべく、ちょっと腰が引けつつも言葉を投げかける。
「で、でも!その代わり、くるみはいつもより多目にしたし、クランベリーだってそうよ」 「うーん…それでも、やっぱり、さみしい」 「クランベリーに合うようなくだものがもう無いの」 「そうだなあ。季節のものと合わせると、味のバランス悪いし」 「ほどよい甘酸っぱさが良いのだけれど。私には思い当たるところがないわ」 「エリィだって、好きでちょっとさみしいマフィンを作るわけじゃないもんな」 「そうよ!私だって当然、たっぷりぽてぽてしたマフィンのが好きだもの」 「ははは、そりゃそうだ……って、あ!!」 途中でちょっと、あんまりにも追求されたエレハイムがぷいとふてくされた表情でそっぽを向いたとき、やわらかく笑った彼がふいに大きな声を出した。誰にも気付かれることはなかったけれど、フェイの深遠宇宙の瞳にちかり、いたずらっぽいはぐれ流星群が一つきり、一筋きり、軌跡を撒いた。 ほんのちょっぴしだけそっぽを向いて、彼から視線を外していた彼女が、どうしたのかと彼に振り返ったときには既に、フェイの姿はこつぜんと消えていた。 だからただ、紫苑の瞳に映ることが出来たのは。凄まじい速度で地下室へと飛び込んでゆく黒い流星の残像という、どこかしら既視感をおぼえるような光景だけ。
いつかしら。いつ見たのかしら。と、彼女がおやつの味と一緒に思い出そうと記憶の糸を手繰り寄せていると、どうも今度は記憶とは違った展開になっていることにだんだんと気付いてきた。 前回は、ほんの数回ぱちりとまたたく間に、すぐさま床からブロンズ色の腕がにゅうと生えてきた。けれど、今回は、いくら彼女がまばたきをしてみても、おそるおそる地下室の入り口に近づいてきても、ちいともかの力強い腕は姿を見せなかった。その代わり、下の闇の中から、がんがらごっちゃん、がさごさごそがさと、必死に何かを探索するような音だけが響いてくる。明かりも持たずに地下室へ身を躍らせたのだろう、彼を照らすひかりも周囲を照らすひかりも、そこには微粒子だってありはしなかった。まさにあやめもわかぬ。 「フェ…」 「あった!!」 手元も見えないだろうに、どうやって探し物をしているのか、それに何を探しているのかと、なんとなく心配になってきたエリィが、彼の名を口の端に乗せようとしたとき、まるでその瞬間を見計らいでもしたようなタイミングで、嬉々とした声が地下からのぼってきた。それこそ、それそのものがひかりを放つかのように、太陽に祝福された音で。 何をどうやったらあの暗闇の中で判別がつくのか、エリィにはちっとも分かりゃしないけれども、とにかく彼ははしごを迷いもせずに探し当て、確かな歩調でのぼってきた。きょとんとする彼女の前に、ほんとうのひかりの下に、その姿を現す。 前よりも更にたっぷりしっかりほこりをかぶって、すっかりおしろいのように体中にはっつけてしまった彼が、咳き込みもせずに、ただちょっと動悸をはあはあゆわせながら、肩をやや上下させて。それでも確かにおひさまの子供である、満面の笑みを宿して、彼女に『それ』を差し出した。 あ。と彼女が軽く息を呑む。視線の先。ブロンズ色の手の平に包まれた。もの。
「最後の、ひとつ!」 こくん、と一度荒い呼吸を嚥下してから、高らかに告げる。 彼が記憶の星できらりと思い出したもの。急いで取りに出かけたもの。こないだもそうして地下に潜ったとき、見つけたではないか!と意識の端に引っかかっていたルビーを閃かせたから。 フェイは、貯蔵庫にただひとつっきり残っていた、りんごをエリィに手渡した。 エリィは、春に咲き初めたばかりの真白き林檎の花のような微笑をフェイに返した。
いくら女神が争った果実とて、季節のずれた今はちょっとお疲れ。だから、ほんのりお砂糖をまぶして、しっとり安らがせてあげましょう。シナモンをかければもっと良いのだけれど、と提案するように彼女は呟いてみるけれど、彼の激しい抵抗に諦める。けれど、そもそも最初からだめだろうなあと予想した上での発言だったので、その反応は結局予想通りだった。一応、言ってみただけらしい。 さてさて、ほんのりほどよくしっとりりんご。色々まぜておいた生地に合流すると、そこに散々さみしいと言われ続けたくるみとクランベリーも遂に参戦。そしたら後は、ちまりと可愛い型に入れたら、待望のクラムを乗せて。じっくり焼いたら出来上がり! あまいかおりが部屋中に満ちて。そこにそっと添えられたりんごの香にやわらかく瞳緩めて。
「これで、最後だ」 「冬までおあずけね」
春に最後のおやつを前に。りんごとクランベリーのマフィンを前にして。ふたりはくすりと小さく笑い合って、きちんと手も合わせて。 「「いただきます」」 しばらくお目にかかれない、なかなかお会いできない、甘酸っぱい客人にしばしの別れを告げた。時々ちょっと、ぽろぽろクラムを零しながら。
窓の外には青々とした葉を揺らすりんごの木。
2004年06月15日(火) |
『レイニーキャンディードロップス』改訂版 |
明日はおでかけ♪GO!GO!です。しかもお泊りですきゃほう。 更にたくさんのたのしいことも、うやうやしていて…わくわくです。
こんばんわ、お題更新とみせかけて実はフェイント。もえぎです。 いっちばん最初に書いたキャンディの改訂版です。 書き忘れたことがあったので、書き足してみました。 お暇でしたら、どこがどう変わったのか見比べるなんてのもありまです。 でもあんまり誤字脱字については言及しないでやってください(苦笑)
あいたた。指、ちょっと火傷してしまいました。 明日お邪魔する葵さんちにお礼として贈ろうと、お菓子を焼いたいたのです。 オーブンから取り出すときに、知らず知らず触れてしまったようで。 熱せられた角型にです。いたた。 でも、とても軽いものですし。そのうちさくさく治るでしょう。 けれど困ったことに、火傷箇所が親指なのですよ! とてもとても困ります。とてつもなく困ります。 だってこれじゃあ、明日、塊転がせないじゃないですか!(笑) はい。アホです。
そして書き足しお題、キャンディのおはなし。 どうして彼女はその味を選んだのか。 彼女は勿論その色ですが、なにゆえ彼をそれに? こたえは。さいしょのさいしょの。うんと最初の叙事詩の所為。
『レイニーキャンディードロップス』
がらがらがら。ざらざらざら。 大粒の宝石のようにして、けれども玉にはけして似つかわしくない音をがなりたてて零れ落ちるそれらを、彼女は興味深げにしげしげと眺めていた。ぱちくりとした紫苑の水面は、さもおもしろげに笑っていて。カラフルな滝を操る彼もまた同じような眼差しをしている。 「これが、飴なの?」 「ああ。ミドリが分けてくれたんだけど―…結構な量だな。今更気付いた」 ごがん。最後の一粒が袋から脱出して、用意していたおおぶりの白い皿に、随分と元気な音を響かせた。小さな卓を挟んで向かい合うふたりの間に、どっかと鎮座したあまい岩山はかなり峻厳で、なかなかの威容をもって佇んでいる。その名はおそらくどんぐりやま。 初めて見るらしい様子で、一番手近にあった巨大な飴玉をひとつ、つまんでみる。くるみよりもまだふたまわりは大きなあめだまおばけは、エレハイムが今まで全く見知ったことのない物体だった。だからゆっくりと、彼女は観察してみる。
いかにも体に悪そうな、過激な彩りは、思わず笑ってしまうくらいアナーキーなカラーリング。表面にびっしりと霜のようにまとわりついているのは、一粒一粒が判別のつくくらい目の荒い砂糖の塊。 それになにより、この大きさときたら!ぽん、と気軽に口へ放り込もうもなら、半刻は解放してくれないのではなかろうか。ごろごろ舌の上を転がそうにも、余りにおっきなものだから、あるだけで口の中がいっぱいになってしまう。片側のほっぺに寄せようものなら、すぐさまちょっとした子リス体験が出来てしまう。 まったく、こんな飴玉なんて聞いたことがないわ!だから彼女はついつい笑い出してしまった。
「すごいあめだまね!ふたりでやっつけるには、かなりの強敵だわ」 「全くだ。日持ちがするもので良かったよ」 くすくす言いながら漏らすエリィに、彼は困ったような、嬉しいような、笑みを浮かべる。そしてその弱り顔がまた、とても似合ってしまっているものだから、また彼女はくすくすゆってしまう。けれど、ふと。冗談みたいな霊峰を構成する巌の中にある何かに気付き、白い指を伸ばすと、きれいに整えられた爪が砂糖にまみれるのもいとわず、えい、と一粒引っ張り出した。その所為で、お山の一角にがらりと小規模な雪崩が発生した。 その音に、どうしたのかと目をやってくるフェイに向き合うでなく、彼女はそれをつまんだまま顔を上げ、窓から差し込む光に透かしてみる。 「ねえ、フェイ。これ、エメラダみたい」 にこりと微笑み、くすぐったげな微笑を、いたずらっこのように斜めに投げかけてくる。 その指先にあるのは、あまったるいメロンのエメラルド色。 彼も、心得たとばかりに微笑み返した。
「じゃあ、このほんのり赤味を帯びたあんずはマルーだな」 「あえかなピンクのももはマリアね」 「バルトは…果てしなく真っ赤なりんごか?」 「ううん、バルトにはこの明るすぎるカナリアイエローのレモンを推したいわ」 「ビリーは冷たくはじける水縹のサイダーで」 「天真爛漫にはなやかな紅のいちごはセラフィータかしらね」 「シグルドはどれだろう…銀色が一番似合うんだけど、無いしな」 「これはどう?いっとうあまい魔法みたいなチョコレート」 「うん、あたりだ。同じ系統だけど、これは誰になる?」 「なめらかな絹めいたココアね。穏やかでレトロでふるいかおり…ゼファー様だわ!」 「深海の群青なソーダはケルビナか」 「それじゃあカナリアイエローのレモンはトロネ?」 「レモンはバルトで使っちゃっただろ」 「む。ならバルト取り消し。バルトりんごでいいわ、レモンはトロネよ」 「照れくさそうに頬を桜色にするさくらんぼはドミニアかな」 「しゅわしゅわ策謀めいてたゆたうコーラは先生ね」 「上品な紫水晶のぶどうはメイソン卿で決まりだ」 「渋くて一筋縄でいかない苔色お抹茶はリコでお願い」 「これは」
山積みあめだま、お行儀悪くちょっとおもちゃにして。いきなり言葉をひたりと止めて、彼が彼女の前に突き出したものは。やんちゃな漆黒が静かに奉げ、紫苑の瞳に映りこむものは。 「エリィだな」 太陽の祝福浴びてさんさんと輝く花嫁の果実。暁の紅にして日輪の化身ともなるそれを、彼はそっと、ぽかんとした彼女のくちびるに転がしこんだ。つい口にしてしまい、おおきなそれを受け取った瞬間、ぱ、と鮮やかなものがエリィを彩った。 あまずっぱいオレンジと、その花を咲かせた彼女の微笑と。 「じゃあフェイはこれ」 舌の上を巨大あめだまころころ中なので、ややろれつが回らないまま。彼女はお返しとばかりに、彼にあめだまをおみまいした。かなりの早業だったので、それがどのような彩りを宿しているのか、すぐさま彼はわからなかった。ただ、なんだか白っぽいように感じたので、フェイは壮絶に嫌な予感がした。 あめだまで白色といえば薄荷である。でも、彼はあのすうすうする感覚がどうにも好きではなくて、いくら微量であっても含まれていようものならチョコレートケーキだろうがクッキーだろうが手を出さない。なのに今、彼女が笑顔で文字通りくらわせてきたあめだまは彩度を持たない。ならば――
が。
「……カルピス?」 ぐるごる口の中を転がしてみる。ほっぺはとっくにげっ歯類。おそるおそる味わう彼に、彼女はしてやったりと鮮やかに笑う。 「フェイ、薄荷嫌いだものね」 とっくに心得ていますとも、とまた笑う。してやられた彼もつられて笑う。そうして、ふたりで声を合わせて高らかに笑いあった。 けれど、ふと。彼女の瞳にほんの邯鄲、ひらめく影。たまらないほどの憂愁を帯びたそれは、決して彼に気付かれないように。悲哀なんてすぐに煌きに変えてしまえば良い。ただ、ふと。そっと。思う。 わずかに伏せられた深遠な紫苑の向こうに、宇宙を灯して。口の端に淡い微笑を揺らめかせて。 ……『あの頃』。あなたがいた場所も、あなた自身も、哀しいくらいに、真っ白だったから。と。 涙がそそがれることはない。でも。透明なそれは流される。だから彼女は、彼をカルピスと思った。白い。自分の色でありながら、全てにそまりゆき、そして白いその色を保つ。混沌とした白。でも。 ころりと転がるあめだま音色が一瞬消える。彼女が微笑む。 それは『あなた』の色だからと。
まだまだそびえるマウント・どんぐりを前に、ふたりはずっところころとあめだまを転がし続ける。たいした会話も交わさず、時折くすくすと声を零しあうだけ。昼下がりの陽光の中、のんびりとしたあまい静寂だけが漂って、かき乱すものなど何一つ存在しなかった。 と。ふと、彼が思い出したように呟いた。ころころ。ころころ。転がしながら。 それに。彼女はなんでもないように囁いた。ころころ。ころころ。転がしながら。
「そういえば、キャンディとドロップって、どう違うんだろうな」 「別に構わないのじゃない?あまくておいしいのだから」
それもそうだと、ふたりがまた笑いあったのも。またころころ。転がしながら。
2004年06月14日(月) |
『キラキラカラットテクニカラー』 |
ああ。せかいがうつくしい。こんなに、こんなにうつくしい。 こんな感覚は去年の奇蹟の三月二十一日以来です。奇蹟の薔薇の冬の日の。
こんばんわ、本当に昨夜は話二つ書けてしまいました。もえぎです。 眠ったのは結局午前五時半だったので、いっそ今朝ですね(笑) でも、睡魔も襲ってこなかったのです。ひたすらに書いていました。 きっとフェイエリィを書くのは公式に反する悪いことなのだろうなあ、と感じながら。 公式の見解に果てしなく準ずるならば、EDの後ふたりはさよならなのでしょう。 システムの呪縛が解けて、ヒトは解放されたのですから。 けれどわたしはとてもあたまがわるいので。 あんなに必死に走って。あんなに相手をおもいつづけたふたり。 それら全てを『定められた』『操られていた』『単なるプログラム』とは思えないのです。 だって、そうでなければ何故ふたりは娘を作ろうとしたのか。
好きなのです。好きなのですよ。どうしようもないくらい。 世間様から石投げられるくらい悪いことであったとしても。 限りなくマイナーで『そんなの正しくない』と言われるとしても。 あのふたりがしあわせではいけませんか……? 軋んだ欠片は百億の。走ってゆけるのはふたりだと歌うではありませんか。 でも、ふたりにむけられるのは憎悪だけなのですか。 引き裂かれ続けてもなおいたみはつまびらかで薄れはしない羽。 あの凄絶ないたみを、わたしは、嗤えませんし疑えません。 わたしは愚かであたまがわるいのです。 でもあのふたりはわたしにとってのはてないもの。 だからこうして、まだ、物語を綴っているのです。
そんなこんなでお題です。昨夜せかせか書いていました。 今度はゼリーということで。うーんタイトルがちょっとまだぐらぐら…。 候補が二つありまして、いまだに決めかねているのです。 そのうちタイトル変えちゃうかもですね。 でも、このなんともいえず軽薄な感じのも、お気に入りです♪ 残り三つ。エピ2までに出来るかどうか。
『キラキラカラットテクニカラー』
きれいなまあるい瞳がふたつ、驚きに彩られたまま、ルビーに澄んだ硝子の向こうから覗き込んでくる。ぱちん、ぱちん、と幾度か瞬く間にも、しげしげと一身に何かを見つめることをやめようとはしない。 ―…いや。何かが、おかしい。 ひょいと軽い身のこなしで彼が立ち上がると、その前にあったいちごのゼリーがふるん、と揺れた。 彼は色硝子ごしにものを見ていたのではない。テーブルの上に置かれていた、なんとも見事にてらてら輝く、ゼリーそのものをじっくり眺めていたのだった。
「これはまた…壮観だな」 「でしょう?」 感心した様子でしみじみと呟きながら彼女に向き直ると、新たなゼリーの皿を手にしたエリィは、至極満足げな笑みを浮かべて返した。フェイの側まで歩いてくると、一足ごとに、鮮やかな銀朱色したゼリーがふるりと揺れる。そしてふたりは並ぶと、改めて目の前の卓を見やった。 フェイが感嘆の声を漏らすのも無理はない。エリィが自信たっぷりにおひろめするのも当然のこと。だって、そこを埋め尽くしているものの正体ときたら!
オレンジ、メロン、りんごにはちみつ。サイダー、レモン、いちごにココアにエトセトラ!宝石と呼ぶには少々安っぽいやもしれないけれど、それでも十二分につまびらかな色彩をばら撒くテーブルいっぱいのゼリーたち。そっくり返るくらいにつん、とすました輝石はそりゃ確かに綺麗。でも、このカラフルインチキジュエリーは、子供たちの目を満天の星のようにきらめかせることの出来る魔法を含んで、ふるふるきらきらさんざめく。 窓から降り注ぐ太陽の祝福を浴びて、ひややかに、なよやかに。ゼリーはその内側に星屑とおひさま粒子をいっしょくたに灯し続ける。
手近にあったあんずのゼリーを手に取ると、彼は緩く目を細めた。夕焼け色のあまいそれは、僅かにくすんで、身に帯びたひかりさえも少々物憂げに見えた。フェイは、そんな風に見えたことがまたおかしかったらしく、そっと笑みを深くした。 「これはきっと、ミドリたち、喜ぶだろうな」 「あら。大人だって嬉しいと思うわ」 ことり、とその手にあった皿を置くと、やわらかな反論。紫苑の瞳をこどもっぽく、くるりと芝居がかって動かして。くすくすと今にも零れてきそうなかすかな笑い声はまだ口の端に留まっている。 「だって、私も作ってて、とてもわくわくしちゃったもの」 こんなにきらきらするとは思っていなかったのよ、と、あまい指先の持ち主は笑う。ずっと冷蔵庫に閉じ込められっぱなしのカラフルご一行、やっとこさ固まって、陽光にその身をかざした途端、えもいわれぬ煌きを放ち始めたのだから。その光の最初の一筋を目撃したのは、よいしょ、と型から取り出した彼女。いきなりの出来事に、思わず息を呑み、そして次の瞬間口元を微笑みの弓にしてしまった。 その時の様子をくすくす楽しげに語るエリィに、彼もつられて笑みを零す。そしてちょっとだけ、その瞬間に立ち会えなかったことを悔しく思った。今度は絶対一緒に見ようと、心中密かに誓いながら。 「ともあれ、ご苦労様」 「いえいえ、どう致しまして。―…あ!そうそう、ねえフェイ」 彼のかけたねぎらいの言葉にそっと返していると、彼女はきゅうに手の平をぱん!と合わせて表情を輝かせた。ぶどうのゼリーよりもうんと透き通って、鮮やかに曇りない眼差しに、ほんのりいたずらっぽいものを乗せて。きょとんとしているフェイを残して、足音軽くぱたぱたとキッチンに戻ると、すぐさまぱたぱたと彼のもとへ戻ってきた。後ろ手に何やら隠した体勢で。 またも、くすくす。ひみつのもたらす悪甘さ。その蜜を少し楽しんでいるような様子の彼女は、やさしいやさしい企みをこれから今からごろうじましょう、と言わんばかりで。 「これはね、とっときのゼリーなのよ」 彼女はそれを早く伝えたくてうずうずしているだろうけれど、彼だって、それが何だか早く知りたくてわくわくしている。エリィの言葉は唇に人差し指をあてながら話しているような音だった。 「さあ、これはいったい何のゼリーでしょう?」
じゃんっ、と彼女が差し出したのは、花咲き乱れる春の庭が描かれた皿で。問題のひみつな一品は、その鮮やかな花々に対抗するでなく、服従するでなく、まるで同化するように一体となって、中心に鎮座すると共に全体の雰囲気を醸していた。 色は黄金。見目麗しい一片たりとも混じりけなしの。体内には無数の気泡を抱いて、それがまた太陽を浴びると、笑いさざめくようにして一斉にきらめきだす。まるで気紛れなはちみつのさざなみのようだ、と彼は思った。しかし困ったことに、投げかけられた問いに返すべき、このゼリーの名はとんと検討がつかなかった。 んー…と、しばしおとがいに手をやって、眉間にしわ寄せかねないしかつめらしさできらきら金色ゼリーとにらめっこを繰り広げる。そんなに真面目に考え込まなくても良かろうに、それでも彼は実に真剣に考え込む。彼女はもう慣れたもので、それこそ日輪のような微笑のまま、フェイをそっと見つめ、答えを待っていた。
「うーん…りんごにしては澄みすぎてるし、白ワインにしては濃すぎるし…」 「りんごはいちごの隣のものよ。白ワインは、そこの洋梨の入ったのね」 「金色のものって、そうそうないよな。しかもこんなに見事な黄金なんて」 「私も最初見たとき驚いたの。なんてきれいな黄金色かしら!って」 「そこに惹かれて、とっときのゼリーにしてみたのか?」 「ええ、そう。だって、とっときに相応しいきらきらゼリーでしょう?」 「うん。本当に綺麗だ―…あ!ひょっとして、スパークリングワインじゃないか?」 「ぶー。はずれ。でも、ちょっと近づいたかしら」 「近い、じゃなくて近づいた、か……余計悩む言い回しだな」 「でもノーヒントよりは良いんじゃない?」 「はじける金色、はじける、はじける……」 「しゅわしょわ、はじける、あまい金色……」 「分かったー!シャンパンだろっ!」 「ああ惜しい!すっごく惜しい!でも、ぶー。はずれ」
この後も、頭を抱えそうになりながら様々な名前を思いつくまま口にする彼と、なかなか出てこない正解にこちらも頭抱えそうになりながらも次々と回答にぺけをつけてゆく彼女の、真剣なのかおもしろがっているのかよく分からない問答は暫く続いた。 確かなのは、ふたりとも、最早正しい答えがどうこういうよりも、ふたりできゃらきゃらと騒ぎながら言葉で遊ぶのを楽しんでいるということ。とてもとてもささいで、ささやかで、他愛も無いことを今更のように。 そんな時間もいつかは終わり。数え足りないほどの名前(時にはとっぴょうしもない名前もいくつか含まれてはいたが)を搾り出した後で、遂に彼は降参した。でもまあ、このふたりの場合、勝ち負けどうこうの話ではないので、白旗もさほど意味を持つものではないのだけれど。ともあれ彼は苦笑と共に諦めて、彼女からの答えを求めた。 さてさて。この、稀有なる黄金を帯びたるゼリーは、一体何者なのか?と。
エリィはあえかな微笑を灯すと、すっ…と、彼にくっつきそうなくらい側までやってくる。両手で不思議のゼリーを奉げ持ったままだったのを、ふいに右手を離し、ふるりと揺れる黄金ゼリーの数センチ手前に止めた。ぴたり、と微動だにしない細い指は何かの合図を待っているようで。 「これはね」 ささやくように、ひそやかに。深海からひみつめいて放たれるひみつの正体。そっとフェイの瞳を覗き込むと、無限の深遠宇宙には、彼女自身の姿が見えた。真っ直ぐに、なんのてらいもなく見つめてくる彼の眼差しは、いつもいつでも変わらない。 だから彼女は視線をひとつに繋いだまま、艶やかに、くすぐったそうに微笑んだ。整えられた桜色の優美な爪が、そっと黄金の確かな水面に触れたかと思うと、真白き木蓮の指は、やわらかく彼の唇に添えられた。ぱ、とゼリーのほのかな甘味の残滓だけが、何かを呼び起こそうとするように彼の記憶に声をかけてくる。清涼な爽やかさ、重みのない甘さ、ああ何だろう。知っているのに!と。 そして彼女はちゃめっけさえ感じさせて福音を撒く。たまらないくらいの微笑をそのままに。 「シャンパンゴォルド・ジンジャーエール!」
ああ成る程と、悔しさをにじませもせず、感慨深げに彼は嘆息する。知っているのに分からない、もやもやとした気持ちが晴れただけで大変満足らしい。そして彼女も、彼がそうしてすっきりさっぱり満足している様子に、満足したらしい満面の笑みを咲かせた。 はい、残念賞ね、と。彼女は銀のスプーンを手に取ると、黄金ゼリーをひとすくい。ちょっと高い位置にある彼に向かってそれを差し出してみせる。そしたら彼の反応はいわずもがな。咄嗟の本能的な反応として、口をあーと開くと、当然そこへ入るのは。 ぱほん、と閉じた口の中で、はじけた残り香澄明感。それは疑いようも紛いようもなく、しっかりばっちりジンジャーエール。身をもって正解をおいしく確かめていると、自然、口角は嬉しげに上がってきてしまう。あまい魔法は誰にだって顕在。 答えを堪能する彼に、彼女は微笑む。彼女自身が味わっているかのように、嬉しそうに。
その日出された残念賞。それは、特賞も三等賞も、なんであっても同じものが出されてしまう、意味のない意味のあるなぞなぞだったそうな。
2004年06月13日(日) |
ただひとつのよろこばしいウロボロス |
どうして今まで読んでいなかったのか。どうして。 ああ理由は分かっていること。これで良かった。きづいた今はただ涙にくれる。
こんばんわ、あの、本、が。もえぎです。 先日もとある本との出会いでえくえく泣いていたわたしですけれど。 今日読了したての本については。もうなんともいえません。 ああ。なんて本だろう。なんておはなしだろう。なんて…方だろう。 かつてわたしはこの本に手を伸ばしたことがありました。でも読まなかった。 伸ばしかけた指を、触れる直前でぴたりと止めてしまいました。よく、覚えています。 本棚になかなか手が届かなかったので、おそらく幼稚園か小学校低学年かそこら。 題名を見て興味をひかれて指を伸ばす。でも題名を考えて疑問をおぼえ指を止める。
『「はてしないものがたり」なら、「はて」がないのだから、 いくら読んでも読んでも読み終わらないのじゃあ?』 『それならご飯も食べられないしほかになにもできなくなって、困るなあ』
―…だから触れなかったのです。あれっきり。 それを今。十何年もの時間を越えてやっと触れてひもときました。 『何を今更読むのか』と、とっくの昔に読了済みの方は嗤われることでしょう。 でもわたしは頭悪くて無知なので。読むのです。愚かと嘲笑われても。 一番良いタイミングで出会った気がします。今、で、良かった。 なんて方だろう。なんて書き方をするのだろう、ミヒャエルおじさん。 だめです……おもいがありすぎて、言葉が詰まってしまいます。 ただ漠然とおもいます。
『わたしはたぶんあそこへゆきました』
知っているのです、知っていますとも! 金の瞳の君に相応しいお名前を差し上げはしなかったやもしれません。 それでもわたしはあそこへ赴いたことがあるとおもうのです。 もしくは別の国だったのやもしれないです。でも、たぶん、行った。 だからこそわたしはこんなおもいでこんなきもちでこんなことをしている! 本でも、本以外の方法でも。道があったから。 そしてわたしがゼノを好きなのも、この理由ですね。 ゼノギアスがわたしにとってのディ・ウンエントリッヒェ・ゲシヒテだったから。 ええ、「はて」がなかったのですよ。
読み終えたら心臓を殴られたように涙があふれた。 色のある死の切なさにも、白いやさしい竜が死の毒に苦しんでも、 あの勇敢なる少年が胸から血を流して塔から落ちた永遠のようなときも、 決して泣かなかったのに。 ただ、前半の、盗みを犯した少年が読みふけるあたりで瞳を湿らせた程度だったのに。 おはなしが終わり、解説が始まったところで、爆発的に涙があふれた。 思い切り声を出して泣いたのなんて久方ぶりでした。 わけも分からず声を上げて。泣けて、泣けて、ならなかった。 ただ胸がひきつれたように満たされた。
書かないと。書かなければ。 ミヒャエルおじさんみたいに書けないのは当たり前のこと。 わたしはわたしのさえずる指で書くのです。 拙いわたしのインチキメルヒェン。 それが、あそこへ至る扉となるDie Unendliche Geschichteになれたらと。 もっと、深く深く。潜ろう。 ファンタジーとメルヒェンの差異は?単純なお話にこそ力が? それは国家の守護者教育にあげられていたことに通ずる? じゃあプラトンかアリストテレスかどちら? おじさん、おじさん。ミヒャエルおじさん。 大好きです。お会いしたかった。
こんな日には。こんな夜には、何も書かずに休むことなどできません。 いくつかはなしを書き上げてから眠ることにします。
蛇はその尾を離してはならない。この場合は。
2004年06月12日(土) |
吐息のようにそっとでなくてもいいので積み木をください |
書きあがったオリジが鬼のように自信ありません。わー恐いー。 ……まあ、ダメならダメで、またサイトにでも上げてみましょう。
こんばんわ、ゲーム誌ちらほら観察。もえぎです。 何を観察するかはもはや言わずもがなですね(笑) でもわたしが一番見たいものはどうしても載っていないのですよ。 サーガ情報があちこちに載っていても、わたしが求めるのは。 いや確かにアベルとネピも当然なのですが。もっと、求めるもの。 『高橋監督のお言葉』。 どっか、どこかにインタビューありませんでしょうかね?
週刊ゼノサーガにならあるのでしょうか。今回、わたし買っていないのです。 どうせまた後で総集編が出るだろうと思いまして(前回の教訓) それに……買う気がしません。気が重くって。 あかさがでかなりショックを受けた、担当さまの豹変をまだ引きずっています。 まるで別人みたいなコメントに、もうあかさが買う気も無くなってしまったといふ。 そんなわけでザプレへの印象が悪くなってしまったのです。恐くなりました。 全く、ソフトバンクのゲーム誌はTheスーの頃からの付き合いだというのに! スーファミ時代から親しい気持ちを抱いていましたのに、こんなにあっけなく。
監督の、お言葉が聞きたいのです。 もうなんやかんやで色々と翻弄されまくりで凹んだりトドメさされたりなのです。 この一月くらいから、監督のインタビューを拝見していない気がします。 どれだけ打ちのめされても監督のお言葉さえあればおそらく立ち直れます。 いまだにテンション低空飛行なわたしなので、どうしても、求めるのです。 魔法の妙薬みたいな、監督の、お言葉を。
とかなんとか言いながらゲーム誌を一通り立ち読みしてきて(買いなさい) ふと気付いたのは。ええと。その。 なんだか微妙にケイシオっぽい気がするのはわたしの気のせいなのでしょうか?(笑) カレーをみやぶってたり、実家に行ってみたり、私服をジュニアくんと最初に目撃したり。 シオンさんとケイオスくん仲良しなの好きなのでちょっと嬉しかったりです。 あと、ジュニアくんとケイオスくん仲良しなのも好きなので何か嬉しいです。 だから、この三人が一緒なのがとても嬉しいです(笑)
いまだにアルベドが恐いのです。 色々と、自分の届かない場所にいるのが明らかな感じなので、余計に。 不可知のものを恐ろしく感じるのは人間の本能的なものですし。 前から延々言っているのですが―…やはり、どこか、通じているように思います。 アルベドとイールズオーブァは。 イールズオーブァ(通称イール)は、夜麻みゆき先生作品に出てくる人物です。 わたしはアルベドが登場してからというもの、 どうも彼と似ていると思えてならないのです。 乳白色の髪に澱んで澄んだ紫水晶の瞳。金色の髪に金色の瞳。 色合いは全然違いますし、口調だってちいとも似ていません。 それでもわたしは似ていると思うのです。 例えば。
『刻の大地』九巻で。 心の整理をつけるのに不器用なイリアが過去を語りだす。 泣きながらずっと自分を責めながら思い出す彼女の前で。イールは。 傍らにあった燭台に、自ら、まるで雑作も無いことのように、思いっきり手を下ろす。 凄まじい音を立てて、手の甲まで貫きとおさんばかりに、針が突き刺さる。 それを目の当たりにして、自分ではないのに『痛い』と悲鳴を上げるイリア。 (因みにわたしはイリアのこの反応が物凄く理解できます…) でもイールは、手からぼたぼたと血を流しながら、微笑さえ浮かべる。 血に濡れそぼった右手で彼女の額に触れる。血が彼女にうつる。 『あなたは案外自惚れが強いんですね』と彼女の過去を整頓しながら。 『素晴らしく美しいモノをあなたは目の当たりにしていた』それを知っているから。 『なのにあなたは何をぼんやりとしているのですか?』自分の血を舐めながら。 まあここまでならそう似ている、とまで申しませんが。問題は以下。
十六夜がどうしてざくってしたの、いたいようとハンカチを渡そうとして。 そしたら今更のようにイールは呟く。いたい?どうして? 急に彼は堰を切ったように、狂ったように哄笑する。 『そうです!いたい!あはははっ、いたいじゃないですか!はははは』 ……このあたりが。 いや、わたしはいつも感覚でものをいうからいつも論証に欠ける。 きちんと筋道立てて理論的に論じなければなりません。 とはいうもののやっぱり感覚的なんですこれも……(泣)
うーむー、以前、言ったことの流用なのですけれど。 イールはおっそろしく、とんでもなく頭の良い人。 世界の見え方が違えば嗜好も思考も感覚をも異なり、それは遠い場所。 天才と狂人は紙一重で。イールはそれを体現していると思うのです。 そしてアルベド。わたしはまだこの人が分かりません。遠い場所にありすぎて。 だからまだ、この人が天才なのか狂人なのか両方なのか判断がつきません。 ゆえになんとも言えないのです。どう見たら良いものやらと。 で。結局、最初の本能的なものに従い、アルベドが恐いままなのです。 エピ2で少しはアルベドの、理解のしっぽでも捉えられたらと思うのですけれど。
いやその前に最優先で捕捉すべきはアベルとネピですが(笑)
オリジ一本書きあがりました。やれやれ……。 これで多少は落ち着きました。さて。残るは。
こんばんわ、エピ2発売までにお題終われるだろうか…もえぎです。 残り四つ。うち、三つはもうどう書き進めるか決まっています。 しかし一つが、どうにも固まりません。んー、どうしたものか。 多少絞れてきたので、もうちょっと悩んでみます。 エピ2までに色々書き終えたかったのですが……さぼりすぎですか。うわあん。 ジュニモモはなんかもう無理っぽいのです。間に合いません。 けれど、お遊び息抜き短文のガイシオ(笑)なら出来るやもです。 んー…シオンさんって、どんな型のドレスが似合うでしょう。 個人的には古代ギリシアの女神が着てるような簡素なの希望なのですが。 そうなると肩のラインがあらわになりすぎますし。 ストールでカバーってのもありふれすぎですし…うーん。 シオンさんなら上品に着こなされることでしょうから、何をまとうでしょう。 こんなとき、服の知識に疎いことがひたすら悔やまれます。 以前ドレスに関しては調べてみたことがあるのですけれど。 果てしなさ過ぎて、途中で力尽きてしまいました。アホー。 因みに、どうして調べていたのかと申しますと。 『サモ1でセシルさんの結婚式衣装とサイサリスさんのドレスについて』 な、話を書くためでした(笑)サイサリスさん好きですー。
来週はお天気続きのようで良かったです……。 久し振りに、みんなで遊ぶのです!うわあすっごい久し振りです。 トロイ見に行ってー、雑貨屋さんめぐってー、塊オールナイト。 最後のほうがちょっと妙ですがあまりお気になさらぬよう。 遂に侘助嬢が塊魂にはまりました!よっしゃあこれでフルメンバーです。 みんなで転がして巻き込んでぶつけて戦えます。 塊対戦フォルテッシモ魂。楽しみですー♪
2004年06月09日(水) |
いまだにジェットコースター乗ったことないやつ |
今月分の映画観てきましたー。ジャン・レノはかっこいいなあ……。 孤高の猛禽のような五十代。でもコメディ(笑)おかしいったらもう!
こんばんわ、近所の映画館はジョニー・デップ祭り。もえぎです。 お誕生日なのだそうで、オールナイトでジョニー・デップまみれ。 侘助嬢おすすめのスリーピー・ホロウもやるみたいです。 ビデオで借りようかなあと一瞬思いましたがやめました。 なぜならわたしはホラーに弱すぎるから。恐いの嫌。 観れるホラーの限界はゴーストバスターズです。 …って言ったら『それホラーか…?』と返されてしまいました。 ええ、ホラーです。ホラーでしょう?ホラーなんですってば!
書こう書こうとしてタイミングを逃していたお話。 葵嬢が教えてくれた、高橋監督がそらおそろしく思えるようなお話。 あ。でもその基準はあくまでわたしの中でです。 なので、『普通やん』とかって鼻で笑われるやもしれませんが。 わたしは頭悪いので。ちょっとしたことにも、いちいち驚くのですよ。 嘲笑われるのでしょうけれどね。
で。そのお話ですが……。 葵嬢が、調べ物をしていて辿り着いて、みつけたのだそうです。 皆様ご存知グノーシス。ギリシアな感じのにくいあんちくしょう。 グノーシス主義はキリスト教の中においても異端とされるそうで。 その思想はユングと通じるものがあるそうで。 現在伝わってる聖書の中にも幾つかの種類があって、パターンがあって。 グノーシス主義についての著述がされている聖書は……聖書は。 わたし、とてもびっくりしたのです。 聖書の中でグノーシスについて書き残した人達は、遊牧民族なのだそうです。 ―…おわかり、ですよね? 咄嗟にこんな連想を始めてしまいますよね? 遊牧民族→牧畜→牧羊→牧羊者…→『ガゼル』
まったく、いったい何処まで考えてお話を作られたのですか監督!? 底知れぬところで全てがぴたりとくっついていて。 あっちもこっちも今更ながらに驚くことばかり。 どれだけ精緻に、綿密に、世界を形作られたのか。 監督はあの世界を分子から構築されました。 気の遠くなるような細かな作業。まるでかみさまの創生ですね。 だから監督のお食事はそれこそかみさまの食事では思えてきます。 それでデザートはフレイアの果物なのですよ(笑)
神聖化は、あまり、しないほうが良い。 とは思いつつもやはり監督は凄すぎる方です。 あと。すこし。 次なる叙事詩はわたしをどんなにしてしまうのでしょう? 底無しの絶望か。天上へと至る愉悦か。さあ。いかに。 貴方の言葉が聞きたいです。監督。
そして今夜は少々わけあり徹夜で不埒なミッドナイトをイエーです。 眠らない…眠らない……。
2004年06月08日(火) |
「豚の死んだ日」はマドンナBのじゃないですっけ?(独り言) |
ちょ…ちょっと、すごいものを読んでしまいました……。 立ち読みしてて衝動買い。だって最初の十ページくらいで泣き出してしまって。
こんばんわ、『わたしはこれがよみたかったのだ』。もえぎです。 文章のありかた…おはなしのありかた…。このところ、ずっと悩んでいて。 ようやくそのこたえのはしっこを、つかまえた気がしました。 凄い。凄いのです。こんなのって。 ぼろぼろ泣き出してしまう。いとしくてくるしくてもだえそう。 読んでいて、途中でぱたりと本を伏せて置いて、涙ぐんで。 ほんの、短いおはなしがたくさん。本当に短い。 なのにどうしてこれほどまでやさしくてあたたかで零れるのはあまい涙。
旅をするはなびらが魚の子らにはなす、その古風な口調の優美さ。 目の悪いおばあさんのために、困りながらもお経をとなえる白狐のあいらしさ。 にこにこしながら『おいしいおかしがございます』―と書いた赤おにの愛しさ。 細い炎のような星が、どろだらけのかささぎをすすいで黄金星となる清らかさ。
そして。 開始数ページで、立ち読みのわたしが泣き出した。台詞。 ああやばいこのままでは本気で泣くと、慌ててレジへ向かいました。 しくしくとあたたかなふとんで泣き出したこども。 お母さんに問われて言ったこども。 『どうして、だれも、あのりゅうをかわいがってやらないの。』
―…たまらない。 わたしは、昔から悲劇があまり好きでないのです。 だから、シェイクスピアや『アビリルのあがない』で目を赤く泣き腫らすのを楽しむ アンの気持ちが、そこだけがよく分からなかったのです。 世界はこんなにもかなしいものがたくさんあるのに、 それ以上のかなしみをどうして好き好んで求められなければならないのかと。 弱い考え方ですが、そう思ってしまうのです。 わたしは、こんな話で、ぼろぼろと泣きます。 映画や本でよく見かけるコピー『泣ける!』とかいうのは信用しません。 だってそれは泣かすのが目的みたいで嘘っぽいのです。 たあいもない、と鼻で笑われるやもしれない。でもわたしはたまらない。
ちいさく、うつくしい、ささやかなせかい。 平安貴族の求めた世界はそれ。 他愛のない平穏。 わたしの求める世界はこれ。 それと。これと。今日のほん。 みんながおぼろげな線で繋がっているのやもしれない―― 取り敢えず、お題の最後をしめくくる一節だけは決まりました。 まるでホビットの冒険みたいに。
ごめんなさい、本当なら今日は、 こないだ葵嬢に聞いた話を書こうと思っていたのです。 高橋監督がそらおそろしく感じてしまうほどのお話を。 あと、アルベドとイールズオーブァの関連性とか。 けれど今日は。思いがけない伏兵により吹き飛んでしまいました。 また明日にでも書きますね。要望があるとは思えませんが(笑)
今日はありがとうございました、ひろすけおじさん。 すてきなお話を本当にこころから。 少しだけ、道が見えたように思います。
2004年06月07日(月) |
『フロォズン★フロォズン』 |
えらく間があきましたがお題をアップです。 うう、なんだか予想外に重い上に長い上に意味ない……(最低)
こんばんわ、チャットの航路はどうなることか。もえぎです。 はじめてのこころみー、チャット設置。 初日にお客様があって大変嬉しかったのです♪ お相手ありがとうございました! け、けれど久し振りのチャットでやや舞い上がっておりました。 かなり雰囲気のおかしい口調になってしまっていて。 なにか失礼なことを申し上げてはいまいかと今更心配しています。 うあー、せっかく来てくださったのにー。アホー。
おしゃべりはいいものですねえ。 それが、同じものを好きな方とその好きなものについて話せるのなら。 ともあれこのままテンションを上げてゆきたいところです。 その一環としてゼノ音楽を聴きまくっているのですけれど。 見事に逆効果になりました(笑) 懐かしい、素晴らしい楽曲に思い出と共に酔いしれて。 けれどそのぶん、その奏で手、光田さんの不在が一層際立ってしまって。 またこっそり、へこり、となっているのです。アホですね。 クロノクロス(未クリア)のサントラをこっそり流してみたり。 早くクリアしたいなあとか思いつつ曲の凄まじさに涙してみたりで。
エピ2の音楽は。なんだか…足元がすうすうするのです。 ポプのおかげで、音楽の聞き取りが多少出来るようになりました。 身につけたそのアビリティで、どうしてすうすうするのか耳を澄まして。 わかりました。 光田さんの音楽はベースとドラムがぴったり寄り添う重低音が素敵なのです。 クロスの時にそれは最高潮に達したように思えます。 だって吉良さんのあのギターときたらいったい何ですか……! ベースやドラムは、いちごタルトのパートシュクレ。 とろりとしたカスタードはギターや鍵盤、おっきないちごはボーカルさん。 それらがおいしいのは一番底でぺりぽりおいしいパートシュクレあってこそ。 あのどっしりとした縁の下のなんとやらがあるからこそなのです。 エピ2の音楽は…焼いたメレンゲみたいです。おいしいけれど。でも。 土と水と風と。 光田さんの音楽は、肺の中までたぷとぷ水に満たされます。 胸のうちが溺れてゆく。
本日のお題。アイスです。 なにやら予想外に重いわ長いわ意味ないわと最悪の方向です。 ちなみに昨夜、チャットに出ていなかったのはこれが原因です。 『明日にはアップできたら』ーなどとぬかしつつ書きあがらなくて。 それが申し訳なくて、三時までひたすら書いていたのです。 しかしスランプなのかなんなのか。えらくがちごちになってしまいました。 内容が内容ですので、タイトルで重さをカバーしようかと思ったのですが。 どうも嘘っぽくてうさんくさいですね。 こんなのパラフィン紙じゃありません。ごわごわの藁半紙……。 わたしが書きたいのはふたりの日常。ごくありふれた他愛のない平穏。 それが永遠でありますようにと願いますが、カトマサさんは仰います。 『風はすすり泣き 海は身をよじる 星々はきしみ 時ははじけ散る みはてぬ夢は いつか終わり そう 愛は永遠なんかじゃない』(SMALL TWO OF PIECES) カトマサさんが仰るのです。う、と思いながらも押されてしまいます。 でも、この歌詞には当然のことながら続きがあります。とても素敵な。 『けれど……』と。 永遠なのかどうかなのかなんて分かりゃしません。 でも、わたしは書こうと思うのです。 あなたたちの一秒一秒をためいきのようにきりとって。 残るお題は、四つ。
『フロォズン★フロォズン』
何を言い出すのかと思えば。 突然の、彼の発表に、彼女は目をぱちくりとさせた。ただでさえ大きな紫苑の瞳が、いっそう印象的に際立って見える。しばしきょん、と見開いたあと、我に返ってしぱしぱ慌てて瞬く。かなりびっくりしている彼女に向かい、自信満々の彼は、もう一度高らかに宣言してみせた。 「今日は、俺が作るから!!」
「……で?で??なに作るの?」 お手伝いをしてくれるのはいつものこと。一緒になってまぜたりこねたり作業をしてから、一緒になっていただきます。それがふたりにとって常のこと。 なのに今回、いかなる事象がかたむいて彼をうながしたのかはよく分からないけれど、とにかくフェイが主導となってお菓子を作ると言い出した。こんなの初めてのこと。 だから、エリィが好奇心の権化となって、キッチンに立つ彼の手元を、すぐ横からのぞきこむように興味津々つきまとっても、無理のないこと。何を作るのどう作るのとだだっこのように質問やつぎばや。まとわりつくようにぴったりしてくる彼女をじゃまっけに感じることさえなく、彼はおかしみを宿したアーモンドの瞳を笑わせるだけ。しかしそろそろ、彼女が放つたくさんの質問にひとつくらいは答えようと、彼は言葉ではなく行動で示した。にんまりと口元をいたずらっ子にして。 しぴん★と得意げにどこからともなく取り出したものを、彼女に向けて、じゃんっと掲げてみせる。
「なあに?……冷凍みかん?」 じい、と彼の差し出したものを凝視してから、いぶかしげに半眼になる。そう、そこにあるのは、いかにも冷たそうに、ひえひえとした空気を周囲に撒いているみかん色みかん。ちょっとくたびれたような皮の感じが、それが生のものではなく、一度かちこちにされたものであることをものがたる。 口にした名前が、どうも間違いではないであろうことを確認した彼女は、実にうろんげなものを見るような眼差し。彼の宣言、行為、思惑…この凍ったみかんによって成り立っているのだろう一連のもの。全ての根源は冷凍みかん。でもどうしてもこの繋がりが読めない。彼女の明晰な頭脳をもってしても。果てしなく激しくうさんくさそうにするエリィの態度もなんのその、彼は得意満面。嬉しそう。 「あたり。でも、ただの冷凍みかんじゃないんだ」 「どこからどう見ても冷凍みかんなのだけれど……」 「違う違う。半分解凍しておいたから、半冷凍みかん」 「みかんのかたまり加減はともかく、これがどんなおやつになるの?」 「まずは」 そう告げると、彼は、鷹揚とさえいえるような動作で。まるで手品でもはじめるがごとき芝居がかった仕草で、彼女に向き直る。それがあまりに自信に満ち溢れた表情と指先で行われるものだから。めいっぱいあやしげに見ていた彼女も、ついつい手を引かれるように視線を吸い込まれてゆく。
「まず、皮、剥くだろ」 「ふんふん」 ちょっと力ない風の皮が、めむめむとはがれてゆく。 「で、今度は白い筋取って」 「ああ、これ取らなきゃ美味しくないのよねー」 人によっては意見が分かれるのだが、このふたりは同じらしく、筋をきれいに取り去ってゆく。 「そしたら袋から取り出して」 「うんうん、缶詰に入ってるのと同じ状態ね」 凍らされてもなんのその。ぴかつやとしたあまずっぱいみかんが姿をあらわす。 「最後に冷凍庫にイン」 「そうそう……って、え?最後?」 つい相槌を打ってしまったのをあわててきりかえして。けれどエリィが問い返す頃には、彼によって冷凍庫の扉はばたむ、と閉ざされていた。
しいん。と。 しばし沈黙が落ちて。 冷蔵庫のう゛う゛う゛う゛とうなる音だけが響いて。 中途半端な静寂に満ちて。 で。
「……以上。」 「以上!?以上って、以上ってフェイ!」 息もつかせぬ早業で、すぐさま彼女は問い詰める。というか、食ってかかる、のほうが真実に近いやもしれない。かなり険しい形相だったりするが、それでもその秀麗なかんばせは変わらないのだからたいしたものである。 けれど、まあ、エレハイムの追求っぷりも、当然といえば当然だろう。なにせ、あれだけわくわくさせておいて。もったいぶって。さあさ今からはじまる稀有なるショウタイムをご笑覧あれ!とさんざ期待させておいて。その果てが冷凍みかん再冷凍。 至極当たり前の反応に、彼は、あははと笑うだけだった。さも楽しそうに。そんな反応は予期していた、といわんばかりに堂々と。それがまた、彼女の気に入らないものだから、状況は一向に打破される気配すらない。 「これおやつじゃないわ確実に!誰がなんと言おうと!」 「ははは。俺はおやつだと主張するけど」 「だってこれ。これ。解けかけたふにふにみかんをただもう一度しゃっきりさせるだけじゃない!」 「ちゃんと皮剥いたりしてしたごしらえしたし。作業は色々としてるぞ」 「でも、混ぜたりこねたりふるったり、全然苦労してないわ!」 「作業工程で差別するなよー。立派にこれも、調理じゃないか」 「で、でも…そもそも、これどんなおやつだとあなたは言うの」 「これ?これはな」
ここでフェイは、ふいに口をつぐんだ。口角を軽く、からかうようにあげてみせるけれど、それにはあまり説得力がなかった。なぜなら、彼の漆黒の双眸は今そっとやわらかに半分伏せられ、穏やかな原初の海めいた、けれどどこかしら掻きむしられるかなしさをおぼえる深海の凪をたたえていたから。 深すぎた紺が闇色に達してしまった瞳の彩りに気付いて、エリィはどきりとして言葉を止めた。彼がそんな眼差しをするとき、というのは、特定のとあることに関するときであると知っているから。 やさしすぎるひとの傷みがかすかに脈打つときだと。
「小さいころさ、母さんとよく作ったんだ。お手軽シャーベット!って」 「お母様と……?」 「そう。うんと小さいころな。凄く暑い日、俺がなにか冷たいのをすぐに食べたいってだだこねて」 「……」 「そしたら母さんが、じゃあ、一緒に作りましょうって」 「二人で、みかんのしたごしらえしたのね」 「ああ。あれくらいの作業なら、子供でも楽に出来るからな」 「ちいさなあなたは、得意になって手を動かしたのね」 「それくらいしか出来なかったから。あの、小さな手じゃ。だからとても楽しくて嬉しかった」 「お母様はそれを見越して一緒にしましょ、って仰ったのだわ」 「暑さも忘れたよ。たのしくって。母さんなりの避暑策だったんだろうな」 「あなたが夢中になってる間に、暑さはどこかへ消え去ってしまって」 「そして思い出すころには」 ぎぎ、と冷凍庫の扉を開く。ゆっくりと。わずかな笑みをたたえて。冷えた空気は真っ白く、淡いもやが這い出たようだった。雪の女王が漏らした誘惑の嘆息か、それとも記憶を閉ざす忘却の抱擁か。いかなるいざないが指を伸ばしてきても、それは、『変わらず』。
「ほら。完成」 にこり、と涙もとうに失せた微笑をもって、それを取り出してみせる。彼をみつめるべきか、それとも彼のもつものをみつめるべきか。一瞬悩んだのち、彼女は視線をフェイのてのひらへと移した。 先ほどまでつやつやと、ゆたかな水気を含んでふふふとさざめくように笑っていた表面は、微かな霜を宿して。予想通りにふにふにっぷりはしゃっきりっぷりへと背筋を伸ばして。やわらかにはじける弾力性はもうないけれども、そこにはしゃくしゃくと小気味よく、そしてひえひえと甘酸っぱく、口内をおもしろく満たすであろう柑橘アイスと化したシャーベット状のみかんがあった。
な?と同意を求めるように、肩をすくめておどけるように彼が笑いかけてくるから。その奥にある、薄れはしても消えることのない彼を彼たらしめる憂愁の色を感じ取って。それを感じ取れるのは同じ悠久の刻を共に生き続けた彼女だけで。だから。
「ええ。できあがりね」 こぼせない涙はなにも全てが悪なわけでなく。彼女は、少し露を宿した紫苑をやわらかくたわめて、同意を込めて微笑み返す。とおく。とおい。なにかを内包した、どこか泣き笑いにも似た微笑で。 ふたりはひえたみかんをお互い、手にとって。ひょいと口に放り込み、しゃりしゃりとその感触を楽しむように味わいながら、笑みを交し合った。ぱ、と体中にしみ渡るようなあまずっぱさがつめたさと共に駆け巡って。かなしいくらいに澄んだ微笑は、ようやくほっと一息ついたようだった。
「な?れっきとしたおやつだろ?」 「ええ。とっても素敵な、お母さんの味」
しゃくしゃくいいながら透明な会話。 口の中でまだひえひえしているみかんを感じながら、彼女はふいに片手をのばす。 すこし、冷たいような指が彼の頬に触れた。 冷たい頬を冷たい指がつつんだ。 彼女は泣き笑いのように微笑んだ。
「とてもおいしいから。今はちょっと、ふたりで横になりたい気分だわ」
調子に乗ってますか。すみません。チャット置いてみました。 期間限定ですし。お暇な方、よろしければゼノな語りの夜はいかがでしょう?
こんばんわ、お題がまだ書き上がっていません。もえぎです。 あと少しなのですけれど。ちょっと書きづらいのやもしれません。 長さでいえば、お題の中で一番短いはずなのですが。 明日にはアップ出来たらと思います。 それにしてもチャットですよ。ついに置いてしまいました。 今まで何度か設置を考えながらもずっと見送っていましたのに。 それほどまでに、現在の状況が感じの悪いものということでしょうか。 ……あんまりお客様が見えるようには思えないのですけれどね(笑) なにせここは荒野の辺境、更にジャンルも肩身が狭く。 そしてファンの方々はシャイボーイシャイガールが大半。うわあ。 しかしそれでも設置してしまったのです。サイは投げられました。 たのしい時間が、過ごせたら、いいのになあ……。
晩ご飯が出来上がって、さあ食べようと机に運ぶとき。 ぱたぱた歩きざま、電気ポットの近くにひょいとあるものを置きました。 それからいただきますをして、ごちそうさまをして。 食器洗い終わったら、さきほどのあるものを手に取ります。 それはあったかポットのすぐ側で、随分早く室温に戻ったたまごとバター。 ごしゃごしゃ、わしゃわしゃ。 泡だて器で空気を入れて砂糖を入れて真っ白バターに混ぜ上げて。 たまごも入れて、ふるった小麦粉、更に白・白ふうわりと。 ここでちょっと初のたくらみ。 実は、これは、差し上げものを作っているのです。 なので、相手が気に入ってくださるようにと、ちいさなしかけ。 ちょっとあまっていたマーマレードをぽてりと落として。 最後の策謀、グランマニエル。
こないだ初めて洋酒を買ったのです♪飲みません。お菓子専用。 ラムとグランマニエル。 あと、コアントローとキルシュヴァッサーがあれば完璧です。 でもキルシュはなかなか可愛い瓶がないのですよ。デザイン重視。 ほんの50ccしか入らない小瓶は、わたしにとってバニラエッセンスと同じ。 これでお菓子に、ちょっとだけ、ちょっとした、技が使えます。 けれど、作っているさなか、においだけで少し酔ってしまいました(笑) 垂らしてるときにも、少し手についてしまって。においが離れなくて。 ちょっとかいだらすぐさま顔がのぼせそうです。うう、きつい。 相変わらず、我ながら、お酒弱いです……。
そんなこんなで焼きあがった、マーマレード・パウンドケーキ。 パウンドケーキは数日寝かせたほうが、味がしみて美味しくなるのです。 なので、早めに本日、焼いておいたのです。さて、おいしくなるかな? 喜んでもらえたら、いいな。
2004年06月04日(金) |
テレビCMで自らの鼻歌を流した男 |
あは。あははは。 かなしいときにやさしくされると、すぐに、うれしくなってしまいます。
こんばんわ、祝・塊魂オンザウェブ復活!もえぎです。 ああ嬉しい。ああ嬉しいったら!! そもそも塊の公式サイトは大好きで、現在も壁紙にしていますが。 開設当初から閉鎖までのカウントダウンが始まっていました。 そして先日、とうとう数字がゼロとなり。さみしいながらも閉鎖決定。 けれどもついつい足を運んでしまい―…あることに気付きました。
閉鎖されたサイトのトップ。もう入り口は消えうせて。 王子がばいばい、と手を振っている。 けれどもその台詞は『また明日ー』
……あれ?と思ったのです。 いえ、本来ならそう驚くほどの台詞ではありません。 わたしが塊魂大好きな理由のひとつでもある台詞なのです。 セーブして、『ゲームを終わりますか?』と聞かれて。 はい、と答えてゲームを終了させると。 いつも王子が手を振りながら、また明日、と言ってくれるのです。 おわかれのことば、でも再開を前提としたことば。 わたしはこんなささいなことが大好きで大好きで。 ゲーム終了するたび、つい笑みを誘われ、こころの中で返してしまいます。 『おやすみ、王子。また明日』と。 その大好きなことばが、閉鎖されたサイトのトップを飾っているのです。 単純なわたしはその言葉につられて、次の日もサイトを訪れました。 そしたらトップがまた変わっていました。 おでかけしようと家を出た王子が、何かを思い出して慌てて取って返します。 ぱたんと扉を閉じたなら、家の煙突からあがる煙。『また明日』 今度こそ、あれ??と思いました。 で。凝りもせずに訪れた昨日。なんとも胸が痛甘くなるような新しいトップ。 紺堂嬢曰く『生まれたての小鹿を見守っているようだった……!』なトップ。
倒れ伏した王子。ぴくりとも動かない。 立って、立って、王子!と応援するのです。 すると王子はその細い体を、ゆっくり持ち上げようとして。 がんばって、がんばって!と更に応援するのです。 けれど王子は立ち上がれず、再び地面に崩れ落ちそうになります。 そんな王子見たくないよ!と泣きそうになりながら応援するのです。 すると。あっ、という短い驚きが漏れたあと。 王子は立ち上がり、舞い上がり、告げます。 『塊魂オンザウェブ復活!!』と。
……あのスタッフさんがた大好きです。ゆうさま……!(笑) 良い意味で、ユーザー心理をきちんと把握してくださってる。 それがとてもうれしい。スタッフさまがた大好きー。 塊がわたしにもたらしてくれるものはその殆どが笑顔。 たくさんの嬉しい楽しい素敵なものを与えてくれてにこにこしてしまう。 最近、どうも、凹み気味でしたので。 それはとてもとても心躍る、地に足つかない快いわくわく感でした。 ありがとう、塊魂スタッフのみなさま。こんなに楽しかったのは久方ぶりでした。 でも八百メートルに届かないです……!(笑)限界は七百五十メートル。
ぜのぴったんよりも塊ゼノサーガ魂のほうが良かったのではとか思います。 ええと、そうですね。ストーリーはこんなの。 シオンさんがいないとき、コスモスのメンテをしているアレンさん。 しかしアレンさんがアレンさんたる所以はアレンさんだからなので。 どがらしゃぐっしゃんとコスモスをプチ破壊。 シオンさんに知れたらと青褪めるアレンさんに、コスモスは淡々としたもの。 プログラムぐっちゃになったのをエンセフェロンで集めてきます、みたいな。 まあ適当な話なので適当に流してください。 とにかく、シオンさんが戻ってくるまでにコスモスが塊転がすのです。 転がして巻き込んでプログラムを塊にするのです(笑) ゼノサーガフリークスこんなのだったらわたしは意地でも買いに行きます。
―…うれしいはずなのにな。まだ、しつこく、かなしい。 たくさん激震があったから、まだ、揺れているのでしょう。しつこいったら。 ・デザイン変更に大きく凹んだ ・光田さんの不在に激しく凹んだ ・ゼノサーガフリークスで鬼のように凹んだ(トドメ) それ以前にもあったたくさんの要因が絡んで。 ・世間様との齟齬二種 ・あかさが担当者様の豹変 ・たくさんの口汚い男声 ・好きなものを嘲笑われ踏みにじられ再び ・喪失 うん、自分で自覚している要因はこれだけですね。 どうしたら解決できるのか。もう今月なのに。 ううん、解決しようともせず恐くて逃げたのはわたしの責任。 かなしくて放棄してしまった。 向き合わ、ない、と。
2004年06月03日(木) |
Light My Fire. |
ファミ通DVD買いました。見ました。 三年前のDVDを取り出しました。見ました。
こんばんわ、この。かなしみは。もえぎです。 サーガの最新映像を見ました。何度か、繰り返して。 エピ1発売前のDVDを発掘しました。見ました。 なんだかもうたまらなくなってしまって。 PWを取り出し、サーガの設定資料集を取り出し。 見たいところをピンポイントでぱらぱらとしておりました。 色んな感情が駆け巡るのです。ああ、もうこんなにも経った、と。 けれども、どうしても、最終的にいきついてしまう言葉があります。 何があろうとそれを最後の頼りにしてしまう、言葉。 『皆さんゾハルに“お願い”してみてください』― PW、冒頭にある高橋監督のお言葉。 今読み返してみるとむしょうに泣けて仕方がありませんけれど。 どうしてでしょう。どうしてだろう。 この言葉があったからこそわたしはずっと貴方を信じていました。
むかしむかし、いつの頃か―…。 どの本で読んだか少しうろおぼえなのですけれど。 むかし、若さと文学的野心、そして新思想に熱く燃えていた書生さんたち。 そんな書生さんたちが集まるサロンがあったそうな。 そこで、『おはよう』や『こんにちは』の意味として用いられていた挨拶。 この挨拶が、今のわたしの心情を最も真に物語ってくれる気がします。 『君よ、悲しいではないか』!
嬉しいはずなのに。どうしてこうも泣いてしまうのかが分かりません。 もう今月ですよ?エピ1の頃の状態とはえらい違いです。 それはエピ2までの間にたくさんの激震があった所為が大きいのでしょうが。 わたしはもう多くのことがかなしくてたまりません。 だから素直に、わくわくと、楽しみに喜んでらっしゃる方がとても羨ましい。 いちいち情報が出るたびにベッドに倒れ付しているわたしは馬鹿みたいです。 昨夜だって、さあもう寝ようとふとんをひっかぶった後。 痛烈に『千年の祭りはもう二度と開かれることはない』と気付いてしまって。 それがかなしくてかなしくてならなくて、声を殺して泣いている始末。 いくら泣く時でも、声は出しません。出せません。 声を上げて泣く方法なんて忘れてしまいました――
エピ2の音楽が嫌なわけではないのです。 最新映像を見て、以前に感じた違和感が消えていてほっとしましたし。 けれど―けれど…『きれいすぎる』と感じました。 確かにきれいなのです。民族音楽とテクノがきれいに混じっていて。 それはサーガの世界観に似つかわしいと思いました。 でも余りにきれいすぎました。 空気。そう、空の大気、みたいな音楽。 どっしりとした大地の感触がないのです。 光田さんの音楽には、えもいわれぬような土と緑と水のかおりがして。 エピ1の頃は物語に合わせてとても硬質なものになっていて。 だから今回、大地あるミルチアで。 さあどれだけ土の音色を奏でてくださるだろうと楽しみにしていて。 けれど音楽は澄み切った玲瓏な、冷たい宙の音。 微かに消毒液のにおいがつん、と鼻腔をつつく。 それを確認すると、千年祭の不在がまざまざと思い知らされて。 かなしくて。ならなかったわけです。
どうしてこんなにかなしいのか。 たぶん、わたしは余りに『ゼノギアス』が好きすぎた。 あれを超えるものはもう現れない気がします。
そこで―…ちょっと考えていること。 今月はもうサーガ月です。 ので、期間限定でチャットを置いてみようかと画策しております。 閑古鳥が鳴くのは目に見えておりますけれど(笑) ゼノ絡みで色々とお喋りがしてみたいなあ、と思うのです。 そしたらちょっと打ちひしがれぎみのわたしも奮い立つかなあ、と。 頑張ってジュニモモ(ケイシオあり)小説書けちゃうやもしれないです(笑) あ、色即是空の樹をご存知の方も大募集です。熱烈歓迎。 もう一度あの樹の下に集えるような気分を味わえたら。 ああ、だってあそこはなんて心地良く楽しかったのでしょう! うーん、でもそもそもこのサイトお客さん少ない上に、 接触者対存在好きはシャイボーイシャイガール率が高し……。 やっぱり、意味ないでしょうか?(苦笑)
―…どなたか。どうか。 らいとまいふぁいあ。
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