2004年05月31日(月) |
本日漸く扇風機出しました(蒸しあがってしまう…) |
今日もお題更新はないのです。うーん、書けているのですが……。 どうも、気に食わない。なんだかおかしな感じがするのです。
こんばんわ、色んなものが色んな風におかしな感じ。もえぎです。 うう、ここ二日というもの、なんだか微妙に気分がすぐれません。 一晩眠れば治るだろうと思ってもとんだ期待はずれ。 四肢の倦怠感は乳酸炸裂ぽいですが乳酸出すようなことはしてません。 けだるく、お風呂にのぼせたようなあたまは体温計の結果平熱。 吐き気はないくせに、微妙に気分が悪く、つい横になりがちで。 少し立ち上がっただけでめまいを起こしベッドに崩れ落ちるありさま。 寝付けない。寝付いても、眠りは浅い。 なんなのでしょうこれは。 うーん、プラシーボ効果で片付けるのが一番でしょうか。病は気からです。 あ。因みに、左手親指が痛みを伴っている理由だけは判明しています。 塊転がしすぎてアナログステイックいじりすぎて指が赤く腫れてます。 アホです。でもそのくらい塊魂は素敵なのですよ……! 明らかに指赤いです。明らかに指腫れてます。無駄に力込めすぎ。 あーでも学校の屋上からダイブが出来ないー。 そして商店街のカラスに向けて猛スピードで特攻がかませないー。 王様のプレゼント欲しいなあ。 こんなことしてるから、 ふと気付くとアナコンが添い寝しているような状態に(笑)
文章を同時進行で三本書いています。 ひとつはお題のフェイエリィ。 ひとつは指輪(…)ファラミアさんとこのご夫婦。 もうひとつは―…また、オリジ。しかも新しいの。 街路樹の泰山木の花が、咲き始めて。 それが嬉しくて見上げながら歩いていたら、 その横をこどもが駆けてゆきました。 え?と思っている間にも、盛んに笑い声をあげながら、走っていって。 知らないこどもが、ふたり。ふたごがひとくみ。 そんな幻が見えたような気がして書き始めています。 ちょうど、ひとつ純然たる新しいお話が書きたかったので、 タイミング良かったです。 似てないふたご。たまごはふたつ。でも、とても似ているふたご。 何だかここのところ何を書いても、 恋愛感情がなんちゃらかんちゃらなのばかりで嫌だったのです。 そういうのを書くのは好きですが、全部となるとつまんないのです。 ですから、こどもを。六歳のふたご。大きな花に手を伸ばすふたりのひとり。 ちょっと文章が、がたがたしていて。 目に見えて書き進まないのが口惜しいです。 とても短いものなのに。な。
2004年05月30日(日) |
パソ太郎、現在の壁紙は王子でオンザウェブ |
もうなんなんでしょうこやつは。書いたり休んだり行方知れずになったり―… で、今日はお題更新はないのです。すみませんー。
こんばんわ、ここ数日の沈黙には理由が。もえぎです。 しょっぱなから言い訳がましくて愚かしいですね。がー。 ええと、昨日、検定があったのです。 何か?それは。修了検定。車の。 検定に備え、いっぱい覚えなきゃーということでわやわやしておりました。 そのことを人は俗に『一夜漬け』と言いますがお気になさいませんよう。 なんだかんだと仮免取れましたので、ちょっと一息なのです。 クランク出口危なかったですけれどね。 あまつさえ坂道発進明らかに失敗しましたけどね。 他の所で点数稼いでいたので、ぎりぎりだったそうです。 実技はそんな惨状でしたが学科は平気でした。 というかせめて実技くらいなんとかしないと救いようがありません。 さー来週からは路上です!周囲に散々な意見を貰っています。 そんなわたしの最高時速、ターボブースト三十五キロ。
ここでひとつ、疑問を抱かれた方がおられるやもしれません。 『検定対策の日々が昨日終わったのなら、なぜ昨日の日記がない?』 それに対する答えはたったひとつきりです。 塊転がしまくってました。
クリアしちゃいましたよJaーhaー。 かたまりだまーしーいーいーいーいーぃー。 ああもう。素晴らしい。素晴らしいゲームでした。 ゲームとはかくあるべし!と強く感じました。 EDみたとき、最初の感想は『たまらねえ…!』でした(笑) ああもう。王子。王子大好き。王子大好きです!! どうか王子がしあわせでありますようにと、切に、切に願います。 激ポップにして鬼キャッチー。あのセンスがたまらないのです。 ファミコン生まれて二十一年。技術革新日進月歩。 けれど、このごろのゲームは、なんだかおかしくなりつつあって。 『まるで映画みたい!』という声を、 ゲームの評価において耳にするようになってもうかなり経ちます。 けれどわたしはこれ、ほめ言葉でもなんでもないと思うのです。 ゲームは、ゲームでしょう?映画ではない。 ゲームという媒体でしか出来ないことがあります。 小説でもアニメでも出来なくてゲームにしか出来ないこと。 なのに『映画みたい』なんて言われてしまったら…それは、何なのですか? ―…ゼノファンがこんなこと言っちゃあいけないのでしょうか(苦笑)
とにもかくにも塊魂は心の底からお勧めです。世界観が変わります。 何かを眺めていると異様に転がして巻き込んで塊にしたくなります(笑) 指輪の第二部、二つの塔を、塊魂貸してくれた紺堂嬢と見ていると。 ヘルム峡谷戦、オークの群れを見て紺堂嬢一言。 『転がしてえ……!!』 ええ、あれだけたくさんいたら、さぞかし巻き込めるでしょう。 その言葉にやたらと受けてしまって、ビデオみながら盛り上がっていました。 『誰が転がすの?』『そりゃ王子だからしゃかりき(注:レゴラス)でしょ』 『じゃあ塊はエルフの道具なのか!』『だから援軍に来てくれたのか』 『王様はスランドゥイル王!?』『闇の森の最終兵器……!』 アホでごめんなさい。でも、ちょっとビジュアル的におもしろい……。 わたしは王子→しゃかりき、王様→スランドゥイル王が良いのですが。 アラゴルンが不幸で苦労人なのが好きなエルロンド卿好き紺堂嬢は、 王子→アラゴルン、王様→エルロンド卿を希望だそうです。
は、話がそれました。塊かたまり……。 ハート鷲摑みなゲームです。ハートウォーミング目白押し。 だって、初めてコントローラー握って、どきどき開始を待っていて。 どきどきしながら転がし始めると、BGMで聴こえてくるのですよ。 『ドントウォーリィ Do your best!』って(笑) そりゃやる気にもなります。 途中で一緒に『不埒なミッドナイト Yeah!』 と声を揃えたい衝動に駆られます。激しく。とても激しく。フォルテッシモ。 デザインのポップセンスも秀逸なのですが、音楽がまた素晴らしいのです。 何より感心したのは、音楽が全部社内製作なのですよね。 featボーカルは外注でも、作詞作曲編曲は全て社内アーティスト。 ゲーム内容には関係ないけど取り敢えず有名アーティストに頼む、 といったゲームが多い中。これは素晴らしいことです。 果てしなくゲーム内容に関係ありまくる曲の内容ですからね。 どの曲にもとにかく『かたまり』『ころがす』『まきこむ』『★にする』 な、言葉が含まれているのですから。最高です。
ただ、ひとつ気になることが。 EDのスタッフロールに、プロキオンスタジオの名前があったのですよね……。 あ、あれ?
2004年05月25日(火) |
『ハピネス・アプフェル・ソーイング』 |
あー…どんどん文体が変わってゆきます。安定しないなあ。 しかもどんどん質も落ちてゆく。ギャアー。
こんばんわ、そんな状態でもやっぱり書いてみました。もえぎです。 まあこの突発自給自足企画は、そもそもリハビリ要素が強いですしね。 そんなもんアップすんなやとか思うのですがなにせリハビリなので(意味不明) ああ、BGMが塊フォルテッシモ魂なのがそんなにいけないのか。 12メートルなんて無理です王様ー。ごめんね王子ー。
そんなこんなでもう適当としか思えないお題です。 本日はパイでいってみましょう。 この10のお題は、タイトル全部わざとカタカナにしてます。 軽薄な感じでいいでしょう? でも、パラフィン紙みたいにしたいのが本当の願い。 ぱりぱりした、パラフィン紙のあの感じ……。 そしてエレハイムはお裁縫は下手説を唱えてみたりする。 料理は上手だけどお裁縫は壊滅的なのを希望。いかがでしょうー。 お題、残り五つ。折り返し地点。
『ハピネス・アプフェル・ソーイング』
陶器のバターケースが周囲の様子をうかがうように、注意深く置かれる。そろりそろり、音も立てない動作に続くは、これまた用心しいしい、まっしろたまご。小麦粉は警戒を怠ることなく、とさりと置かれ、お砂糖もまた然り。くちびるにひとさし指を当てるようにして奏でられるひそひそ話の音楽も、つまびくのはやっぱり彼女の細い指。 こそこそかたこん、そろそろこからん。まわりにはだあれもいない?気配だってありゃしない??次々と手を動かしながらも、意識を張り巡らせるのは忘れない。紫苑を灯すあでやかな瞳は、姿の見えないだれかさんに激しく神経をとがらせているようだった。 きゅ、とくっきりとした意思をしめすくちびるはきつくむすばれたままで。笑みなんていったいどこへいてしまったのやら。ぴりぴり、ちりちり。ひとりでひたすら空気を張り詰めさせている間にも、たくさんのものはいっぱいいっぱい並んでゆく。そしてついにはずらりと全員整列が完了した。 三角巾もエプロンも当然装備完了、迎撃せよ!つやつやきらめく銀色の器具たちも、今日は何やらうふふと含み笑いを浮かべて肩を揺らしているように見えてしまうのは、たちの悪い幻視か。そりゃ、やる気はまんまん、ただちょっと…なだけ。よし、いざと覚悟を決めておそるおそる腕まくりしたら。そしたら。 さて、本日のご予定は?
「…今日は何のパイにしようかしら」 「アップルパイがいい」
あれだけぎんぎんに警戒態勢をとっていたのに、その声はまさにふいうちで降ってきた。あわてて振り返る彼女の視線の先には、器用にも、二階へと続く階段のため、二階の床に空けられた穴からぶらりとさかさまになって挙手までしているフェイの姿があった。長い黒髪がだらりと地面に向かっているのも、いっこうに気にした様子はなく、彼はいたって平然とエリィのひとりごとめいた呟きに答えた。 一方の彼女は、気配まで消していた彼にほんのりとあきれながらも、二階に潜むという戦法に気付かなかった自分にかなり頭を抱えていた。
「気配を消されたのはおいといても、どうして二階にいるの気付かなかったのかしら…」 「無理ないと思うぞ。俺、玄関通らずに外から上にあがったから」 「階段使いなさい階段!」 「いや、ちょっと登りたい気分で」 「どんな気分よいったい」 「それよりも、エリィどうしてそんなに俺を警戒してたんだ?」 「こないだのガトーショコラみたいにやっかいなのリクエストされちゃ困るもの」 「あれは俺だって苦労したし喧嘩両成敗だったじゃないか!」 「とにかく用心にこしたことはないでしょ!…って、フェイ?」 「……あ、頭、血、のぼってきた。お、おりる……」
会話の間ずっとさかさまにぶらさがり続けて、すっかりあたまがふらくらしてきたらしい彼は、ちょっとよたよたしながらも、ぱ、と宙に身をひるがえすとくるりと体勢を整え、すたりと一階の床に着地した。片膝を立てて座り込んだままの彼に、だいじょうぶ?と彼女が近づきひょいと腰をかがめる。さっきまでのうろんな眼差しは消え去って、すっかり心配そのものな様子で、まだちょっと赤みのめだつフェイの顔をそっとのぞきこむ。彼は、ああへいきへいきと軽く手を振り、相手を安心させるようやわらかく笑みを浮かべてみせた。魔法のようなその微笑に、ああへいきね、と彼女もつられてゆるやかに微笑む。 ふたりして、よっこらせと立ち上がると、先ほど中断された会話を再開させる。
「で?俺のリクエストはまたやっかいだったのか?」 「いいえ。いっそ、あんまりにスタンダードだったから、逆にびっくりしちゃったのよ」 「……あのな、ひとをそんな奇をてらうのが趣味みたいに」 「ちがうちがう。スタンダードだけれど、ちょっと時季はずれだと思ってびっくりしたの」 「ああ。成る程」 「りんごはもうとうにおしまいよ。今なら―…チェリーパイが妥当じゃない?」 「うん、りんごは終わりだ。でも、だからなんだ」 「?どういう……」 彼女が小首をかしげ、真意を問おうとしたやさき。彼はにっといたずらっこの笑みを浮かべ、半分ひらいたままの彼女のくちびるにそっとひとさし指を押し当てたかと思うと、疾風もかくやとばかりの速度でだあっ!と地下室へなだれこむように駆け込んでいった。その勢いがあまりにすごいものだから、まるで地面にむかって飛び込んでゆくようで。くらい地下室へ彼の姿が消えるとき、その黒髪が彗星の尾のように、流線形に闇色の軌跡を描いた。 ぽかんとしている彼女が、ぱちり・ぱちり、ふたつみっつまばたきをしたかと思うと、地下からにゅうっと小麦色の腕が生えてきた。続いて、軽くけほこほむせている笑顔と、ちょっとほこりのついた漆黒のポニーテールも。 その手にあるのは。
ほんのりうっすら、二本か三本、走るしわ。つやつやとしていたはずの照りも、ややなりをひそめてしまった、ちょっぴしくたびれ気味のりんごがみっつ。このまま皮をむいて食べるに、たぶん果肉が少しすかすかしてしまっていることだろう。つまりおいしくともなんともない。渋々捨ててしまうくらいならば、季節はずれの春りんご、あまくあまく、くつくつ煮込んでしまえばおいしくなるのだ。
「これならコンポートに最適だろ?」 くたびれりんごを掲げてみせて、いたずらっぽく笑ってみせる。だから彼女もそれにつられて。 「ええ、最適だわ」 くすりと微笑み、桜色のくちびるはほのかにりんごを帯びたやさしい弓になる。
パイ生地はあらかじめ、彼女が一生懸命こねておいた。型にしいて、あまいりんごを横たわらせたら、今度は、さらさら溶けないパン粉の雪。シナモンは彼が嫌いだからあえていれないようにする。そして表面の網目を作るのは、手先の器用な彼の担当で。リボンみたいな生地を使って丁寧に、きれいに、編んでゆく。エリィはどうもこの作業だけは苦手で、自分でやるとどうしてもこんぐらがってしまうのだった。ゆえに、ここだけはいつもフェイのお仕事。なんとかその業を盗めないものかしらと、目を皿にして観察する彼女の前で、彼は笑みを宿したままするすると見事にパイを編み上げてゆく。 ほどよいおこげのパイが焼けるまで、ふたりはオーガンディのリボンを使って、アップルパイの網目シミュレート大会をくりひろげてみた。が。彼女の前に出来上がったのはなんかもうわけわからん蔦おいしげる密林だった。
苦笑する彼の前で、ふきげんいっぱい口もめいっぱいの彼女が、ふてくされたまま乱暴にパイをほおばってみせても、誰もそれをいさめることは出来ないのに違いない。 ま。あまいあまいパイに、垂直な機嫌にもすぐさま花が咲き零れますけれどね。
2004年05月24日(月) |
『ショコラーデメカニカルクロニクル』 |
えらく久し振りの日記になってしまいましたが生きています。 なんとか落ち着いてきた感じです。ええ、元気です。
こんばんわ、ダメ管理人で申し訳ありません。もえぎです。 前置きもなにもなくいきなりぷっつり日記を途絶えやがりまして。 いや、ご覧になってらっしゃる方がそうおられるとは思えませんけれど。 それでも自分の管理能力のなさにうんざりします。おのれ。 実家にちょっと帰っていたり、実家パソが使いたくても使えなかったり。 そんなこんなですっかり久し振りになってしまいました。 で、まったく脈絡もなくお題です。本日はケーキです。 んー…かなり書きたかった割にはどうも消化不良ですね。 BGMが塊フォルテッシモ魂だからいけないんでしょうか(笑) 王子大好きだー!亜土さん最高ー!! ともあれやる気のないお題のケーキ。これでお題は残り六つ。 ちょっと呪文みたいなタイトルになりました。
『ショコラーデメカニカルクロニクル』
陶器のバターケースがやわらかい音を立てて置かれる。ことり、というそれに続くは、かたん、と響くまっしろたまご。小麦粉はどすりと力強く、お砂糖もまたどかりと威厳たっぷりいかめしく。次々と色んな音楽をつむぎだすのは彼女の細い指。 ことかたとたん、どすぽすからん。薄い微笑は曇ることもなく、ただうきうきと指を動かしたくさんのものをいっぱいいっぱい並べてゆく。やわくゆるめられた柳眉の向こう、聡明な脳裏には、今からなすべきわくわくの計画がめまぐるしくシミュレートされているのだろう。 三角巾もエプロンも装備完了、臨戦態勢!ぴかぴか誇らしげにかがやく銀色の器具たちは、その瞬間をいまかいまかと待ち望んでいるよう。やる気はまんまん、いそいそ腕まくりしたら。そしたら。 さて、本日のご予定は?
「何のケーキを作ろうかしら?」 「ガトーショコラ!!」
零れた彼女の呟きに対し、待ってましたとばかりに答えたのはもちろん彼。キッチンに立つエリィのすぐ側にある椅子に、うしろまえに腰掛けて。力いっぱい、身を乗り出して、言いたくて言いたくてたまらなかったのか、片手を限界まで伸ばしてびしりと挙手までして。勢いあまってそのまま椅子を倒してしまいそうな態勢で。めずらしく、彼女を早く早くと急かすようにその応えを待っている。それだけ彼の口にしたそのあまい名前は、フェイにとってかなり待望の燦然たるものなのかもしれない。穏やかな漆黒からすぐさまわくわくがあふれだしてしまいそうで、まるで、こどもそのもの。 なのに。 「……何でまたガトーショコラなの」 「……何だよその見るからに嫌そうな顔は」 ぎ、ぎ、ぎぃ、と油のきれたブリキのおもちゃみたいな動きで振り返った彼女の表情は、果てしなく限りなく大変に分かりやすく明らかにイヤそうだった。せっかくの微笑もすっかりなりをひそめてどこへやら、眉間にしわ寄せて、今にもぷぅとほっぺふくらませて、目に見えて不平の意を表しそう。それくらいイヤそう。 けれど当然のことながら、この反応に彼が賛成を表明するわけもない。こちらもむ、と軽くむくれた様子で反論を示す。せっかく楽しみにしていたのに、さらりとマタドールめいてかわされてしまったのだから。しかも反撃つき。ブーイングのように恨みがましげな視線を送ってみても、ちっとも彼女はこたえた風ではない。
「他のケーキはどうなの?『ケーキ』って一口に言ったってたくさんあるのに」 「ガトーショコラがいい」 「だから、他にも種類いっぱいあるでしょ!ロールケーキに、パウンドケーキに」 「ベイクドチーズ、レアチーズ。ホットケーキもあるし、バターケーキもあるな」 「そうそう。いちごのショートケーキ、キャロットケーキもフルーツケーキも」 「ローズマリーのパンプキンケーキ、アップルソース・パンケーキ」 「バウムクーヘンも忘れないでね。ええと、それから―」 「ティラミス、ブラウニー、ブッシュ・ド・ノエル、シフォン・ニサーナ!」 「そうっ。ケーキはたくさんあるのよ、さあ、何がいい?」 「ガトーショコラ。」 「どうしてそう頑ななのー!」 「そっちこそ何でそんなに嫌がるんだ!」
この後もしばらく、ふたりでやいのやいのと繰り広げて、結局フェイがものすごくお手伝いをするということで渋々彼女が折れた。少しふくれたエレハイムが嫌々ながらもしっかりチョコレートとバターを湯せんにかけている後ろで、希望の通った彼が満面の笑みでにこにこしている。が、ここで彼女はほんのりいじわるっぽい星をきらりと一筋瞳に流すと、唇をにまりとこどものようにゆるめた。 しかえししかえし。策謀発動。 「はい、フェイ。これお願いね」 「卵白?ああ、メレンゲか」 とん、と渡されたボウルの中にはとろとろ卵白。いっしょに泡だて器もそえられているものだから、何をせよというのかは、言われなくても見るだけで予想はつく。とてもご機嫌な彼はそのお手伝い要請を断るわけもなく、快く引き受けると、はなうたまじりにかき混ぜ始める。こしゃかしゃゆう小気味良い音を感じながら彼女は彼にくるりと背を向け、別の作業に取り掛かる。口元に咲く、くすくす零れる笑みに気付かれないよう、きちんと背中を向けたまま。
数十分後。
「え、エリィ…あの……」 「なあに、フェイ?」 「メレンゲ、まだ泡立てるのか……?」 「ええ。まだまだね。」 「手、痛くなってきた……」 「でも、まだまだよ。」 「ハンドミキサーは……?」 「こないだね、壊れたの。しばらくエメラダが代わりしてくれてたんだけれど、今留守だし」 「……エリィ」 「なあに?」 「……俺が悪かったです」 「よろしい」 へろへろになりながらぽつりと呟く彼に向けて、体中から太陽の残滓が零れ落ちるような非の打ち所のない大輪の笑顔を咲かせて、彼女はにっこり泡だて器をバトンタッチした。
いくら体力のある彼でも、長時間の慣れない動きで、すっかり手首の感覚がなくなってしまった。してやったりとくすくす笑う彼女のつむぎだす音を浴びながら、ようやく自由の身となった手首をぶんぶか振り、疲れきった溜め息ひとつ。やたらと重々しいそれがおかしくってならないらしく、また彼女が笑う。彼のほうはこうなるともはや乾いた笑いしか出ないが。 結局メレンゲは彼女の繊細な指先によって、見事につん、ときれいなツノを立てた。心の底から感心しつつ残りの作業を見守っていた彼の視線が、型に納まった生地がばたんとオーブンに吸い込まれた瞬間、エリィはくるんと振り返りにっこり微笑む。がしゃこんと銀色の器具を彼に手渡しつつ。 「はい、飾り付けの生クリーム泡立てるの、お願いね」
念願のガトーショコラは見事な焼き上がりで、はちみつ入りの絶妙な甘さで、待望な上に疲労もあったのだから、そりゃもうひたすらにおいしかった。でもあんだけ苦労してつくったにもかかわらず、消えうせてしまうまでは、本当にあっというま。おやつの時間に精も魂も使い果たして世の無常を感じてしまったらしいフェイは、どうにも物足りなげだった。お行儀悪く、口にフォークくわえたまんまぷらぷらさせている彼に、彼女はまたくすくすと笑う。けれど今度はからかいやいじわるを含んだものではなくて、たまらないくらいの愛しさを含んだものだった。 ゆるく微笑んだ彼女は、自分のぶんのガトーショコラをひときれ、彼の口にいれてあげた。
数日後、先生が小型のモーターを手に入れたとふたりに声をかけた。小さすぎて何の動力に用いるべきか悩んでしまい、何を作ろうかと悩んでいると打ち明けると、ふたりは顔を見合わせることさえなく、同時に身を乗り出して同時に顔を突き出した。 「「ハンドミキサー!!」」
更に数日後。その日のおやつは手首の痛くならなかったガトーショコラでしたとさ。
2004年05月13日(木) |
『クッキーカラーバリエ』 |
ひどい雨でした。まさに豪雨でした。台風並み。 そんな中わたしはうとうとおひるね中でした。駄目人間。
こんばんわ、また部屋の改造したいな…もえぎです。 カプセルさんが新しいアルバムの先行アナログ盤を出されるようで。 前のidol fancyと並べてディスプレイしたら可愛いだろうなあ。 レコードプレイヤー持ってないくせに(笑) いもうとぎみのお宅でカプセルさんのお名前をみつけてなぜか嬉しいのです。 あのセンスは凄いです。というか中田さんは色々と反則だと思います。 まあ、カプセルさんは語りだすと長いので今日はやめときます。 ぐあー、アルバム発売記念ライブ、また関西こられないかなあ! 今回もfeatボーカルにEeLさんがおられるのですし。 もっぺん生でこしじまさん見たいです。でももっとゆっぱさんが見たいです。 紺堂嬢は延々『おれはわんたさんがー』と叫んでいますが。 確かにidol fancyプロモは犯罪的な可愛さでした。 そんなこんなで本日のお題BGMはカプセルさん『CUTIE CINEMA REPLAY』で。
お題の内容、やる気なさすぎますか。 確かにかなり刹那的な書き方してますから……季語考えよう季語。 本日は『クッキー』。例によって見直し無しできっと誤字脱字満載。 ふう。昨日はお花色々調べるので大変でしたが今日は平気。 でも調べ物が少ない分なぜか長くなってしまいかかった時間はこっちのが長。 ちくしょう。でもこれでお題残り七つ。 ありとあらゆる表現無視した不親切極まりないお話がどんどん続きます。 しかし本当に独り言みたいなお話ばっかですね(苦笑) あと題名変えそうですこれ。
『クッキーカラーバリエ』
自分の背丈よりほんの少し高い位置にある戸棚を、彼女は軽く爪先立って眺めてみる。ぱん、と開け放たれた明るい色の扉はたくさんの宝の存在をあきらかにする。 きれいな壜につめられたつやつやマーマレード。いやしんぼみたいにおっきな口をあんぐとあけた丸チーズ。宝石を織り込んだタペストリーみたいにぎっしりきっちり並んだ極彩色はジャムの列。乾燥果物、木の実ごろごろマホガニーの籠。香草の束はリネンでくるんで。こんなたくさん、たくさんの。 なのに彼女はこころもちむつかしい顔で、その宝の山とにらめっこ。暁色のかみをくるりとまとめた三角巾が、お料理準備スタンバイなようすをものがたるけれど。むむう、としかつめらしい顔をしている理由にあたるものは、どうもみあたらない。だからふいに、彼はひょこりと彼女のまうしろに姿を現すと、一緒になって戸棚をみやる。もっとも彼は爪先立つ必要これっぽっちもなしで。
「何をそんなにしかめっつらしてるんだ?」 「クッキーの種類が決まらないの」 「いろいろあるじゃいか」 「いろいろありすぎるのよ」 言うと、彼女はふうとちいさな溜め息ひとつ、白い指先を伸ばして、戸棚の中身を次々と取り出しては並べてゆく。それはもう本当に次から次へとひっきりなしで。きりのない魔法のポケット大行進のような様相を呈するほど。そしてほんのしばらくの後には、おもしろそうにそれらを眺めていた彼の前に、どっさりとクッキーの味付け候補が行列をつくったのだった。 その、余りにも有無をいわせぬどっさり具合に、思わず彼は苦笑交じりにふきだした。 「はは、確かに。これは悩むな」 「そうよ。しかもね、どれもこれも量が微妙なのばっかりなの」 「成る程。チョコレートのきれっぱしに、レモンのはしっこ」 「半分こしたりんごでしょう。それに、ほんのぽっちりのいちごジャムに―…」 「てんでばらばらごった煮ナッツ。くるみもピーカンナッツもピスタチオもあるけど全部少しずつ」 「干したレーズンやブルーベリーはてのひらひとつぶんにも満たないし」 「申し訳ばかりにたぷたぷ言うメイプルシロップは哀れなくらいだな」 「クリームチーズはこないだのグラタンの余りよ」 「そのアーモンドスライスなんて枚数数えられるくらいじゃないか?」 「こっちのドライクランベリーだって同じような状況ね」 「ココアは…一人分あるかないかの瀬戸際か」 「お抹茶もきな粉もひとさじくらいしか残ってないわ」
一通りふたりで、ああでもないこうでもないと調べてゆくけれど、やっぱりどうにもこうにも全部が全部ちょっぴしずつだった。どこからか湧き出してでもこないかと、残り少ないいちごジャムの壜をためつすがめつ眺めていた彼がストックはないのかと問うと、彼女は心外だとばかりにぷんすか言う。 「もちろんあるわよ!でも、でもほんの少しはあるのに、それなのに新しいのを取り出してふたをあけるのがなんとなく悔しいの」 どうせ新しい壜をあけるなら、清々しい気持ちであけたいわ、とだだっ子のように付け加える。からっぽになった壜をぴかぴかに磨いてから、さっそうと取り出した新しい一壜をぱかん、と誇らしげな音を立ててあけるのじゃなきゃ彼女的にイヤらしい。でもふたりの前でどっちゃりわあわあゆう群集は、そんな彼女の計画をさまたげるばかり。 あっちも、こっちも。どれかひとつを選んでクッキーのメインにしようにも、やっぱり絶対足りなくなってしまう。少なすぎるのだ。そりゃストックは置いてあるけれども、新しくあけて、このきれっぱし軍団のひとつが無くなったところで、後続はまだまだいるのだ。 イヤなところをガマンしてストックを開封すべきかどうか、譲歩を検討するあまりやたらとしかつめらしい顔になってしまっている彼女の横で、彼もどうしたものかと思案顔。しかしふいに、その表情にぴかりとひらめきが走った。おとがいに当てていた指をはなして、ううむううむと考え込む彼女に、エリィ、と呼びかけると振り返る彼女にやわらかな提案。 「全部、いれちゃったらどうだ」 「そんな。フェイ、パンデピスじゃないんだから」 「いや、いくらなんでも全部『混ぜろ』とは言わないって。そうじゃなくて」 「『混ぜる』のではなくって、『入れる』…の?」 「そう。それなら全部使えるだろ?」 「……ようし」 穏やかに笑う彼のいわんとするところを汲み取って、アーモンド色の瞳にくすぐったいくらいのいたずらっ子をみつけて、彼女はきゅ、と三角巾のリボンを結びなおした。
その日の午後、お茶に訪れた友人連中に、焼きたてのクッキーは問答無用に大好評だった。なにせ、皿の覆いを取ったとたん、卓の周囲にわっと歓声が巻き起こったくらいなのだから。けれどもその反応も無理のないこと。 上品な水色の文様が描き込まれた大皿に整然と並べられたちいさな四角いクッキー。それだけならたいして驚くようなことでもないのだけれど、問題なのはその彩りと種類。同じ形同じ大きさ、そしておそらくベースとなる生地も同じなのだろう。プレーンとして焼き上げたならきっとみんな同じ味だ。なのにそこに整列しているのは、あまたの種類のいくたの味。チョコレートがあるかと思えばそのお隣は赤いベリー。くるみとメイプルシロップが手を組んでいるかと思うと、抹茶とマカダミアナッツが同盟を結んでいたりする。レモンの風味、クリームチーズの芳醇さ、それにきな粉のいざないときたら! たくさんのたくさんの種類。たくさんたくさんのクッキーだけれど、ひとつの味はほんの数個しかなくって。だからあっちもこっちも血で血を洗わない決死の争奪戦。大絶賛の嵐を浴びて、ふたりは視線を交わして、ふたりにしかわからない理由でくすくす笑いあった。
『なんて名前のクッキーなの?』 問われて。答える声音は笑みをたたえた二重奏。 「「『戸棚の大掃除』」」
2004年05月12日(水) |
『ビター・スウィート・ア・ラ・モード』 |
ぎゃ。昨日のお題、書きたいこと一個書き忘れてました。 『どうしてエリィは白を選んだか?』。理由。また改訂版出します……。
こんばんわ、なにがどうしたのかわたし。もえぎです。 ええと、本日ものんきに更新です。あは、何かが自分でもおかしいです。 なんだか下調べ不足のまま一時間弱で書けてしまいました。 BGMはストロベリーマシンさんのcrazy kiltです。ちいさなおうちー。 殴り書きとはこのことを言うのですね。最低だー。 お風呂上りの一時間で大絶賛湯冷めしながら書いています。 知らず知らず熱も出ていたらしく、あくちが切れて痛いです、わーん。 そんなこんなでひとりごとみたいなお題更新。 本日のお題は……なんだと思われます?タイトルでもうバレてますね(笑) というか長いよタイトル。そしてちょっと深夜ラジオとかぶってるよ。 で、残りはあと八つ。
『ビター・スウィート・ア・ラ・モード』
『ベリーをつんできて!』
ボウルを片手に泡だて器をかしゃこしゃゆわしながら彼女が歌うように笑うから、彼はふたつへんじでぴゅいと家を飛び出した。 軽い足取りは音もなく、慣れた様子でそこらを駆け回る。さて、彼女のことばが意味することはなんなのだろうと、今更考えながら。けれど、ひょいと親しい茂みを覗き込み、予想通りつやつやと黒光りするはちきれそうなベリーを見つけると、考え事などすぐさま脇に追いやられてしまう。彼はにこりと満足げに笑みを浮かべると、汁気たっぷりのそれを器用な指先で次々と摘み取ってゆく。でも、頂くのはほんの少し。いちどきにたくさん取ったりしたら、今度挨拶に行っても顔を合わせてくれないのだ。欲張りはいけないから、お願いしてちょっとだけおすそわけしてもらうだけ。 赤いベリーもいるよなあ、と残すベリーを選定しながらありかを思案してみるけれど、ふと意識を手元に呼び戻される。みごとに熟れたおおぶりの黒いベリーを摘もうとしたのに、そのベリーはまだ茂みにくっついたまま。やたらに力がこもっていて、なぜだか引っこ抜かせてくれない。 あれ?と驚き首傾げ。よくよく指先を見つめてみて、ああ!と彼はゆるやかに笑った。 「ごめんごめん!お前のぶんだったのか」 決死の覚悟で、むんずとベリーをつかんでフェイと引張りっこするちいさな影。茂みの側のぶなの木に住まいを構えるちいさな主。ふわふわ栗色の子リスに、彼は笑いながら誠心誠意謝罪を述べた。もちろん、摘みかけのベリーはちっちゃなライバルに譲り渡して。 ごめんな、と最後に囁きかけて、彼はひらりと身を翻して、もう一度森に姿を消した。子リスの殿は、ほっとした途端、ベリーをかかえたままその場にぺたりと腰をついてしまった。本人以外誰にも聞こえないような、かすかなかすかな安堵の吐息を漏らして。
それから彼は、目をつむってでも歩ける心地良い森の中を、足音も立てずに走り抜ける。時には新しい月見草の群生地を見つけ、時には器用にひょひょいと枝をつたって幹を駆け上り思わぬオレンジを手に入れて、時にはさまざまな表情を見せるいろとりどりのラズベリーたちに頬を緩めて。 これくらいかな?と腕の中で盛んにあまずっぱく騒ぐ獲物たちを確認し、またやんわりと微笑う。
はやしたてるような下草をさくさく駈けて、馳せて。ことばの真意を楽しみに胸躍らせて、巡らせて。 ばあんっと、静かとは言いがたく、けれど決して乱暴などではなく、扉を開け放つ。
「ただいまっ」 「さあ、パティシェのご到着ね!」
ほっぺにクリームつけたまま、三角巾の彼女が振り返る。さんさんと輝くような微笑は、さっきつかまえた太陽の果実に似ていた。きらめきさざめくようないたずらっぽい声音は、やっぱり歌のようだった。ここでエリィはようやく、ひみつを明かそうとした。ひみつの答えを、彼の視界から舞うようにどくことにより、おひろめした。 くすくす笑う彼女の前にあったのは、ふうと息をふきかけるだけで、ふるふる崩れてしまいそうな、おっきなプリン。あまいバニラが離れた彼のところにまでその腕を伸ばしてくる。きっと、彼女みたいにくすくす笑っている。香ばしいカラメルのかわりに戴いているのはほのかなアーモンド色。ミルクの吐息が守護のよう。あまいお城の周囲には、控えめなミントの森に鮮やかに流れるストロベリー・フルス。 仕上げをお願いね、パティシェさん?上目遣いで唇を桜の弓に。だから彼も心得顔で、お気に召すまま、とおかしみをたたえた瞳のまま獲物を放り投げた。
その日のおやつは、クリームとストロベリー・ソースに囲まれて、はらはらとミントの降る、たっくさんのベリーのばら撒かれた、おっきなプリンでした。 ちょっと傍らに、うさぎのオレンジを伴った、ね。
2004年05月11日(火) |
『レイニーキャンディードロップス』 |
どうしたことか。むちゃくちゃ筆ノリが良いのです。久方ぶりです。 こんなにもだかだか書けるのなんて、本当、久し振りでびっくり……。
こんばんわ、まずはひとつめ。もえぎです。 早速ですが昨夜ほざいていた10のお題、一個目です。 見直しもなにもしていない上一時間で仕上げるという極悪っぷりです。 けれど予定通り、三千字以内でおさまって、ほっとしていたり。 ともあれひとつめ。お題は『キャンディ』。残るお題は九つです。
……の前に、ひとつだけ。昨日の日記を訂正。 『罵られるのも慣れました』 ごめんなさい、嘘です。まだ、いまだ、慣れません。 それでは突発殴り書き企画へゴー(最低)
『レイニーキャンディードロップス』
がらがらがら。ざらざらざら。 大粒の宝石のようにして、けれども玉にはけして似つかわしくない音をがなりたてて零れ落ちるそれらを、彼女は興味深げにしげしげと眺めていた。ぱちくりとした紫苑の水面は、さもおもしろげに笑っていて。カラフルな滝を操る彼もまた同じような眼差しをしている。 「これが、飴なの?」 「ああ。ミドリが分けてくれたんだけど―…結構な量だな。今更気付いた」 ごがん。最後の一粒が袋から脱出して、用意していたおおぶりの白い皿に、随分と元気な音を響かせた。小さな卓を挟んで向かい合うふたりの間に、どっかと鎮座したあまい岩山はかなり峻厳で、なかなかの威容をもって佇んでいる。その名はおそらくどんぐりやま。 初めて見るらしい様子で、一番手近にあった巨大な飴玉をひとつ、つまんでみる。くるみよりもまだふたまわりは大きなあめだまおばけは、エレハイムが今まで全く見知ったことのない物体だった。だからゆっくりと、彼女は観察してみる。
いかにも体に悪そうな、過激な彩りは、思わず笑ってしまうくらいアナーキーなカラーリング。表面にびっしりと霜のようにまとわりついているのは、一粒一粒が判別のつくくらい目の荒い砂糖の塊。 それになにより、この大きさときたら!ぽん、と気軽に口へ放り込もうもなら、半刻は解放してくれないのではなかろうか。ごろごろ舌の上を転がそうにも、余りにおっきなものだから、あるだけで口の中がいっぱいになってしまう。片側のほっぺに寄せようものなら、すぐさまちょっとした子リス体験が出来てしまう。 まったく、こんな飴玉なんて聞いたことがないわ!だから彼女はついつい笑い出してしまった。
「すごいあめだまね!ふたりでやっつけるには、かなりの強敵だわ」 「全くだ。日持ちがするもので良かったよ」 くすくす言いながら漏らすエリィに、彼は困ったような、嬉しいような、笑みを浮かべる。そしてその弱り顔がまた、とても似合ってしまっているものだから、また彼女はくすくすゆってしまう。けれど、ふと。冗談みたいな霊峰を構成する巌の中にある何かに気付き、白い指を伸ばすと、きれいに整えられた爪が砂糖にまみれるのもいとわず、えい、と一粒引っ張り出した。その所為で、お山の一角にがらりと小規模な雪崩が発生した。 その音に、どうしたのかと目をやってくるフェイに向き合うでなく、彼女はそれをつまんだまま顔を上げ、窓から差し込む光に透かしてみる。 「ねえ、フェイ。これ、エメラダみたい」 にこりと微笑み、くすぐったげな微笑を、いたずらっこのように斜めに投げかけてくる。 その指先にあるのは、あまったるいメロンのエメラルド色。 彼も、心得たとばかりに微笑み返した。
「じゃあ、このほんのり赤味を帯びたあんずはマルーだな」 「あえかなピンクのももはマリアね」 「バルトは…果てしなく真っ赤なりんごか?」 「ううん、バルトにはこの明るすぎるカナリアイエローのレモンを推したいわ」 「ビリーは冷たくはじける水縹のサイダーで」 「天真爛漫にはなやかな紅のいちごはセラフィータかしらね」 「シグルドはどれだろう…銀色が一番似合うんだけど、無いしな」 「これはどう?いっとうあまい魔法みたいなチョコレート」 「うん、あたりだ。同じ系統だけど、これは誰になる?」 「なめらかな絹めいたココアね。穏やかでレトロでふるいかおり…ゼファー様だわ!」 「深海の群青なソーダはケルビナか」 「それじゃあカナリアイエローのレモンはトロネ?」 「レモンはバルトで使っちゃっただろ」 「む。ならバルト取り消し。バルトりんごでいいわ、レモンはトロネよ」 「照れくさそうに頬を桜色にするさくらんぼはドミニアかな」 「しゅわしゅわ策謀めいてたゆたうコーラは先生ね」 「上品な紫水晶のぶどうはメイソン卿で決まりだ」 「渋くて一筋縄でいかない苔色お抹茶はリコでお願い」 「これは」
山積みあめだま、お行儀悪くちょっとおもちゃにして。いきなり言葉をひたりと止めて、彼が彼女の前に突き出したものは。やんちゃな漆黒が静かに奉げ、紫苑の瞳に映りこむものは。 「エリィだな」 太陽の祝福浴びてさんさんと輝く花嫁の果実。暁の紅にして日輪の化身ともなるそれを、彼はそっと、ぽかんとした彼女のくちびるに転がしこんだ。つい口にしてしまい、おおきなそれを受け取った瞬間、ぱ、と鮮やかなものがエリィを彩った。 あまずっぱいオレンジと、その花を咲かせた彼女の微笑と。 「じゃあフェイはこれ」 舌の上を巨大あめだまころころ中なので、ややろれつが回らないまま。彼女はお返しとばかりに、彼にあめだまをおみまいした。かなりの早業だったので、それがどのような彩りを宿しているのか、すぐさま彼はわからなかった。ただ、なんだか白っぽいように感じたので、フェイは壮絶に嫌な予感がした。 あめだまで白色といえば薄荷である。でも、彼はあのすうすうする感覚がどうにも好きではなくて、いくら微量であっても含まれていようものならチョコレートケーキだろうがクッキーだろうが手を出さない。なのに今、彼女が笑顔で文字通りくらわせてきたあめだまは彩度を持たない。ならば――
が。
「……カルピス?」 ぐるごる口の中を転がしてみる。ほっぺはとっくにげっ歯類。おそるおそる味わう彼に、彼女はしてやったりと鮮やかに笑う。 「フェイ、薄荷嫌いだものね」 とっくに心得ていますとも、とまた笑う。してやられた彼もつられて笑う。そうして、ふたりで声を合わせて高らかに笑いあった。 まだまだそびえるマウント・どんぐりを前に、ふたりはずっところころとあめだまを転がし続ける。たいした会話も交わさず、時折くすくすと声を零しあうだけ。昼下がりの陽光の中、のんびりとしたあまい静寂だけが漂って、かき乱すものなど何一つ存在しなかった。 と。ふと、彼が思い出したように呟いた。ころころ。ころころ。転がしながら。 それに。彼女はなんでもないように囁いた。ころころ。ころころ。転がしながら。
「そういえば、キャンディとドロップって、どう違うんだろうな」 「別に構わないのじゃない?あまくておいしいのだから」
それもそうだと、ふたりがまた笑いあったのも。またころころ。転がしながら。
久し振りに。久し振りに取り出して。セットして。電源入れて。 久し振りに。ふつふつ体を駆け巡る感情に声を上げました。
こんばんわ、とても、久し振りに。もえぎです。 深遠宇宙に大気の青。いわずとしれたPS2。 サーガをするために、そのために買ったあの本体。 それに、久し振りに、あるソフトを入れたのです。 PS2でなくても再生出来る、もう古い?ソフト。 けれどわたしにとっては永遠に近いソフト。 闇の中プリズムの果て。冷たい音を立てて鞘走る紅い未知数。
ああ、エレハイム。あなたはどうしてこんな。 途中のデータから再プレイ。ビリー加入の辺り。 無駄にユグドラうろつきまわり、 懐かしいにおいにむせかえってめまいがしそう。 ラトリーン、ジェリコ、マルセイユ。クルー名これだけ言えれば合格? 海図も魚雷もアンテナも、いつもお手入れご苦労様。 機関室のおやっさんは女の子に弱いのです! ユグドラとファウンデーションは空気がとても似ています。 けれど、わたしは規模が小さくごたごた込み入った、ユグドラのが好き。 何度も見たはずなのに、いつでも新しいことに気付きます。 飛び跳ねて飛び跳ねて。地面を揺らして世界を回して。 他愛のない言葉ひとつひとつが途方もないよろこび。 ナースさん、船室のクルー、立たされぼーずな誰かさん。 ジョシなんかと遊べるかよ!でもおねえちゃんはいいおとこのこ。 『READY?』声を合わせて力も合わせて飛ばす銀青色のギア。 名前もない。知らない。でも、生き生きとした人たちの吐息。 わたしはどうしてもあの惑星が好きなようです。
エレハイム。今更気付きます。 わたしはずっとフェイが好きなのだと思っていました。 けれど、結局、飛び抜けて好きなのは彼女でした。 そして彼と彼女が共にあることがたまらなく好きなのです。 よくよく見てみると、わたしが今まで書いてきた拙いお話たち。 それらの殆どは、エリィの視点で書かれたものでした。 幾らフェイのことを書こうとしていても、それらは全部彼女の瞳で。 強く、聡明で、美しく、脆い。『愛と憎しみの間を揺れる』。 母であり娘であり相反する。ヒト。 とても―…とても、おこがましいことなのですけれど。どうか怒らないで。 わたしはどこかで、彼女になりたかったのかもしれません。
もし未来。わたしが誰かのおかあさんになったとしたら。 わたしは、その子の何度目かのお誕生日にゼノをあげると思うのです。 その頃にはもうPS38とかFF173とかが出ているやもしれません。 だから『えー、そんなのふるーい』とかって文句言われるでしょう。 それでもわたしは、その子にゼノをあげると思うのです。 たぶん、高校入学前くらいに。『おめでとう』って、笑って。 わたしにとってゼノとはそういうもの。
最近、おもうときがあります。 もうわたしだけ?わたししかいない? 何年も何年も前のソフトのことをおもい続けているのはわたしだけ?と。 まあ…そもそも取り扱いカプがカプだけに、 ジャンル内でも肩身狭かったりしますが(笑) あと、接触者対存在好きはシャイボーイシャイガールが多い傾向ですし。 それでも。 あんなに泣いて、あんなに笑って、あんなに感動した。 陳腐な言い回しですが。 お肉が食べられなくなったり、悲鳴をあげたり… あの世界に呑まれて溺れてしまった。 そんな風に感じたのは、わたしだけだったのだろうか、と。 周囲が妙に、がらんと空虚。 サーガのエピ2はもう来月なのに、どんどん悲しくなってしまいます。 何だか、一度訊ねてみたい気がします。 サーガはしてるけど、ギアスは知らない、って方に。 貴方は何をどう思って感じながらそのソフトを遊んでいるのですか?って。
……ひとりでも、かまわないのでしょう。 最後のひとりになってしまっても、わたしは彼らが大好きです。 罵られるのも慣れました(苦笑)
だからちょっとした企画発動。 『お菓子で接触者対存在10のお題』(今適当に考えた題名) クッキー、ケーキ、パイ、タルト、マフィン。 ゼリー、アイス、プリン、キャンディ、ドリンク。 以上十個のお題を用いて、日記にこっそり書いていこうと思います。 きちんと全部書き上げられるか心配ですが……。 短いお話ばかりにするつもりなので、なんとかなるかと。 前にも企画をどーたらこーたら言いながら不発に終わりましたが。 今回は、きちんと。します。はい。 出来るだけ早いペースを目指して。 でもまだ、きちんと考えてるのケーキだけだったりするのは秘密です(笑) それから『ドリンクはお菓子じゃないぞ』という突っ込みは禁止です。
PW読み直してたら変な体勢だった所為で足の痺れたもえぎでした。
2004年05月07日(金) |
鋼の騎士は黒衣の赤の |
明日はおでかけの予感?葵嬢の動向によりますが。 でも明後日は確実におでかけ。ええ、インテへ(笑)
こんばんわ、ビデオたくさん返しにいかないとー。もえぎです。 GW中は、とてもたくさんビデオを借りたのです。 紺堂嬢のお泊り以外はおっきな予定がなくて時間があったのも理由ですが。 一番の原因は、近所のビデオ屋さんが空前絶後の大セールをしていたこと。 新作旧作問わず七泊八日で一本百円だったのです。わーい。 それで、見たいようなどっちでもいいようなのを色々借りてきました。 で、全部で四本借りてきたのですが……その中の一本が。問題で。 いえ、紺堂嬢との観賞用に借りた二つの塔(吹き替え版)も問題なのですが。 ふふふ、ファラミア役の声優さんが、 フルバの彩女さんだと知った時の衝撃ときたら。あーやて、あーやてさ……。 まあそれはさておき。問題の一本。 借りようかなー、大好きだけどどうしようかなー。 字幕版しかないのよなー、これは絶対吹き替えじゃなきゃ嫌なんやけどなー。 とか思いながらも、つい見つけてしまった時のときめきには抗えず。 笑ってやってください。借りちゃいましたv 『ナイトライダー』
英語だろうが字幕だろうがやはりキットは可愛かったです。 いちいち胸キュンキュンさせながら観ておりました。ときめきまくり。 けれどこれが日本語吹き替えであのお声であったりしようものなら。 わたしは即・倒れ伏していたことでしょう。ときめき死寸前。 何をやってもいちいち可愛くて。ナイト財団バンザイ。 ―…ですから、余計に。 キットが痛いおもいをするのを、見るのは、たまらなくつらくていたい。 テレビシリーズで彼が壊れた時も、子供ながらわんわん泣いたものです。 あのきれいな漆黒の体、ひゅんひゅん灯る知的な紅。 なめらかにやわらかく、何処までも何処までも穏やかな声音。 最期の言葉は……思い出すのもつらい。
だから、キットが殺される光景は顔ひきつりまくりです。 殺さないで、殺さないでこのきれいな車を!と思うのです。 復活した時の喜びは計り知れないものだと分かってはいても。 やさしい彼にはいつもあのままでいて欲しいと願ってしまうのです。 ああ早く映画公開してくれないかなあ……!(まだスタッフも決まってない) ど、どうしましょうね。映画が公開されて。もし。 その昔アメリカのユニバーサルスタジオにはキットが実際いたそうです。 近づいたり、乗ったりしたら話しかけてくれるのだそうです! ですから、映画化されて大反響でゆくゆくは女子高生を中心に大流行で。 USJにキットがいる、なんてことになったりしようもなら。 わたしは年間パスポート購入して毎日のように通うに決まっています。 何故か?理由は一つ。『キットだから』。ラヴ。
そうそう…字幕版のナイトライダー観て、思ったこと。 やっぱりあの二人は良い関係ですね。だってこんな遣り取りです。 ≪話がありますマイケル≫ 『何だい』 ≪私を見て≫ 『気分でも悪いか』 ≪いえ私の外見を≫ 『いつも通り素敵さ』 ≪変わらないのがイヤなんです≫ 『お前はまだ3歳の幼児だ』 ≪人間ならそうですが車は早く老けて当然です≫
キット、可愛v(笑) 余りの愛しさに、一番好きな遣り取り必死にリスニング。 全くもって自信ない上に一部欠けてますしね。 というか日本語でさえ聞き間違い王なのに何故に英語が分かろうか。 ともあれ、この会話は英語の方が良いやもですね。テンポが素敵。 『お前に年はない』(No,You,KITT.You are ageless.) ≪本当?≫(I am?) 『時を超えてる』(You’d flight time.) ≪私が?≫(I do?) 『そうだ』(You do.) ≪ありがとうマイケル≫(Thank you,Michael!) 『いいんだ』
だから貴方はどうしてこんなに可愛いのキット……! 胸キュンキュン言いっぱなしです。ああ可愛いったら。 それで、リスニングしてて一つ気にかかった点があったのです。 マイケルが、ことあるごとに語尾につける言葉。『バディ』って。 はてどういう意味なのかしらと思い英和辞典取り出して。 ぺらぺらめくってもスペルが分からないことにはどうにもこうにも。 ボディじゃあるまいし…まさかべぃびーでもなかろうに……。 うーむと悩んだ挙句、ふと思い浮かんだ単語。『buddyか?』 で、どんどん繰ってみると、ビンゴ。ありました。 周知の事なのやもしれませんがわたしは果てなく無知なので。 buddy。相棒、ですってね。 あと、アメリカ英語の俗語で、呼びかけのおい、とかお前、だそうで。 アメリカン水戸黄門且つ寅さんなマイケルの呼びかけとしてはぴったりです。 大切な相棒だとおもってくれているのですね……。『どうした、相棒』って。
キット、キット。早く貴方に会いたいったら。 けれど無駄な装備は要りません。変形しなくても貴方は底抜けに素敵。 ただあなたはお喋り出来て空が飛べてレディーファーストで何ヶ国語も話せて電子ロック解除出来て可愛らしければ十分です(多いよ) 早く帰ってきてくださいね。愛しいナイト。
観て見て話して転がして。 大盛り上がり大会というでもないくらいの二人大会は夜明けまで。
こんばんわ、話し込んだら午前四時。もえぎです。 先日は友人の紺堂嬢がお泊りにきておりまして。 午前二時には部屋の電気を消したのに、そこから始まる夜会話(何) 闇の中で話し続けて気がついたら午前四時でホギャーです。 ブラインドの隙間から差し込む朝日を見たのはサモ3の徹夜以来です。 楽しかったイエー!というはっちゃけた喜びではないのです。 ただひたすらに嬉しくて嬉しくて何やっても静かに嬉しいのです。 お菓子も美味しいって言ってもらえて大満足なのです。 塊も転がしまくりましたし(笑)なーなななななーなーなー。 でも対戦だとどうしても勝てない!くやしい! くそうヨッシーのクッキーなら負けないのに!また今度勝負だ紺堂嬢。
でも会話とか思想とかがちょっと危なくなりそうで怖いです。以下会話。 『ああ王子可愛い…王子愛しい……』 『無垢やから。王子。』 『世間様はどうなんやろ。ファンサイトあるんかな。カプがあったら笑うが』 『ええっ。じゃあ、ハニー(いとこ)とか?』 『王子vハニー!?でもハニー性格わからんよ』 『いとこは巻き込んだら性格わかるよ。巻き込んだものリストに載るから』 『じゃあいとこ達とで話とか作れたりして』 『エース(いとこ)は名前からしてライバルぽいよな』 『あははは!第二位王位継承者とかで王子をライバル視しとるの?』 『で、ハニーを巡ってエースが王子に宣戦布告したりで…』 『三角関係!?個人的お気に入りベルベット(いとこ)も絡めて欲しいかも』 『ベルベットは性格判明しとるよ。ちょっとワガママで勝ち気な感じ』 『ちょっとー!可愛いんですけどベルベットー!!』 『女の子はあとイチゴチャンもおるし。じゃあ他のいとこも勢力分けして…』
アホですかわたしら。 念のために申し上げておきますがキャラはこれですからね。 因みにいとこみ含めた紹介はこちらに。 でもこれでやたらに盛り上がりまくってしまった自分達がかなり切ないです。 ポプのせいなのかどうなのか、 最近イロモノに対しても度量があるようになってます。 すみませんアホです。でも王子が余りにも愛しすぎるものですから。 塊大きく出来なくてステージクリア出来ないとき、王様に婉曲に婉曲に、 真綿で首を絞められるように責められる王子には胸が痛んでなりません。 一生懸命に転がし、固めて、大きくする王子の姿が好きすぎます。 塊マンボで酔わせて王子……! いや、塊魂は本当に秀逸です。素晴らしいです。最高です。 フリークスやテイルズシリーズなどで最近ナムコには凹まされまくりですが。 塊に関しては、心からの賛辞を贈ります。 ナムコにここまでの底力があるとは思っていませんでした。桁外れです実に。 おみそれしました、ナムコ様。
他にも紺堂嬢の初描き指輪絵を貰ったり。 そして何故かその初描きキャラがエルロンド卿だったり(笑) 『エルフや人間や女の子は描けんがドワーフは描ける』と言われたり。 既にレゴラスが名前を呼ばれていなかったり(しゃかりきで通じる) 王の帰還観に映画館行ったらチケット完売で観れなかったり。 でも時間が空いた分別のことでたっぷり遊べたり。 帰って欲しくないので力の限り妨害してみたり。 そんなこんなで楽しい二日間でした。
……ね、紺堂嬢。土曜日お泊りに来ません?(笑)
2004年05月03日(月) |
だれもがいる、ちいさなおうち |
本を読んでもうとうとしても、お菓子作ってもなんだかぼんやり。 おかしいな、と思ったら微熱がありました。あらあら。
こんばんわ、お出迎え迎撃態勢完了。もえぎです。 部屋中ぴっかぴかーな上に食料(というか、お菓子)はたっぷり。 これで夜通しはっちゃけようが喋ろうが塊転がそうが平気です。 熱も全くたいした事ないので一晩眠れば下がるでしょう。 明日の雨はひどいそうで。だから出歩くことはなく、多分ずっと部屋の中。 いっぱいいっぱいお喋りするのです。時折塊転がしながら(しつこい) 部屋の改造を始めてから、お客様を迎えるのは初めてなのです。 どんな反応を示してくれるかなあと今からどきどきだったりします。 でもまあ、わたしは、誰かが一緒にいてくれるのが一番嬉しいです。
先日言っていた、『好きだけど読む気のしないシリーズ』な、本。 読み始めたとか言ってましたが、今日読み終わりました。 アンの夢の家。 わたしはアン・シリーズとてもとても大好きなのですけれど。 アンの愛情までしか読んでいなかったのです。 いえ、なんだかもう…モンゴメリ女史が書かされているような気がして。 伝記を読んでしまったからでしょうか? 本人はもう終わりのつもりで書いてもどんどん次回作を求められて。 それで気の毒に思えてしまって読む気がしなかったのです。 やっとこさ読み始めたのは、ちょっとした心境の変化と探究心。 前者は個人的なことなのでどうでも良いのですが、後者は単純。 『大きくなったポール・アーヴィングはどうなったのだろう』です(笑) あの、大きく綺麗な夢見る瞳をした可愛い子がどう成長したのか気になって。 キース家の双子の成長も気になりましたしね。 デイヴィーがどんな紳士になっているのだろうなんて、 考えるだけでくすくす笑ってしまいそうで。でも双子はドラのが好き。
で、感想。ちょっと驚き。 前作の『アンの幸福』を読んだときよりは軽い驚きですが。 アンの幸福はびっくりしまた…飛び上がりそうでした……。 ええと、どうでしたかね。そう、手紙の文句が凄かったのです。 アンオリジナルの文句ではありませんが。ええと、確か。 『うやまいたてまつるあなたさまへ』でしたっけ。 『あいしたてまつる』だったか…。 とにかくそんな出だしで手紙は綴られ、あのひとへと送られる。 それを目にしたわたしの驚愕ときたらありませんでした。 『何があったのクイーン・アン!?』とあわてふためきそうでした。 何があったのも何も全部分かっているのですけれど。それでもびっくり。 ただ、アンは、そういうのを嫌っているイメージがあったので。 空想なら良いのですが現実となると…ってこれじゃあアメリですね(笑) ああ話がそれてゆく。夢の家の感想は何処に。
一番どうしてくれようと思ったのはここらのやり取りですねー。 『もう、それだけ聞けばどこか近くに小川があるかどうかなんてたずねる必要はないわ。それではあまりに欲張りすぎるというものだわ』 『ところがあるんだよ――現実に庭のひとすみを突切っているんだ』 『それではあなたが見つけたその家こそ紛うことなきあたしの夢の家だわ』 このふたり……ほんの数年前が嘘のよう。 砕けた石盤の欠片も、キャンディの欠片も、よく思い出せるのに。 なんだろう、文体にも少し変化が感じられますし。 ふたりとも知的水準が同レベルゆえ成り立つ他の会話もたまらないものです。 しかし第一にあるのは円熟味を増したアンの性質なのでしょう。 それでも昔と全然変わらないあの豊かな精神は衰えることがありません。 世界中にあなたの腹心の友はいます。と、思えます。 小さな夢の家に、むせかえるほど満ちている幸せの香気。 レスリーでなくとも、 誰だって羨んでしまうであろうふくいくと甘い、あたたかな。 どうしようもない絶望もありながらも、やはり幸せにあまい。 世界一の花嫁と花婿のおはなし。 ああ、もうここでおしまいおしまいめでたしめでたしなら良いのに。 シリーズはまだ続く……。
そして成長したポールが十九歳なのに衝撃(笑)
2004年05月02日(日) |
あの子の髪の感触さえまだおぼえている |
明後日は紺堂嬢がお泊りに来ますー♪おでむかえおでむかえ! 雨降り明日は部屋でおとなしくブラウニーでも焼いて準備しておきましょう。
こんばんわ、学校の側の泰山木につぼみをみつけました。もえぎです。 おおきなはっぱにちいさなつぼみ。 昔の武将はあの綺麗な花びらを盃に用いたそうですね。風雅なことです。 なめらかにやわらかく、 真珠と金の粉をまぶしたような花弁は白木蓮に似た印象。 あくまでわたしの中でのイメージですが。 その香には紛うことなき水の香がします。わたしの大好きな。 記憶も色も物も雰囲気にも、好きなものには全て水の香がします。 今日の空は午後になるとご機嫌斜めで。 でもそのかわり、木々はいきいきとしていました。 鈍色の空に若葉の萌黄(笑)が映えてうつくしかったのです。 この季節のこの色がとても好き。だから自分の名前にまでしたのです。 水と、森と、土の香。たまらなくこころよいかおり。 さあ恵みを!と若々しい腕を伸ばす木々のむせかえるような芳香。 芳香と呼ぶには余りにも清らで爽やかなものですけれどね。 すきなものは、ゲームも、音楽も、小説も、みんなこの香を宿しています。 サーガのエピ2にも、この香がするでしょうか?
『こどものためのもの』 それは、下手をすると、とんでもなく嘘くさくて陳腐で信じられない文句。 ほんとうにほんとうにこころから。 そうおもって願って生み出されたものが幾つあるでしょう? ああ、それに。いくらこっちがそう考えて生み出したとしても。 本当にそれが子供に受け入れてもらえるかどうかは定かではありません。 子供の欲望も多様化し肥大化し、 彼らの手にすることが出来るものは果てなく溢れているのですから。 こちらが勝手に抱いているステレオタイプへの押し付け幻想なのやも。 いいや、お説教なんて書く気はありません。欠片だって。 ただ―― ―…子供は、六年前まで神様。 こんな考え方があるのだそうですね。 知ったとき、あ、いいな。と思い、とても好きになりました。 六年前までは神様であった子ら。 その子らに、その子らと、笑いながらお話できるような。そんな。
ちいさな消しゴムのきれっぱしがおちていた。 そうじの時間になってそれはほうきでちりとりにおっぱらわれそうになった。 ほこりにまみれざらざらな消しゴムのかけらが、ひょいとひろいあげられた。 ほうきを持ったおとこのこがいった。 『すてないのか?』 ちいさなちいさな、もう消しゴムともよべないもの。 ちいさなちいさな、てのひらがそっとやわらかにつつみこむ。 わたぼこりによごれて。砂つぶがまぎれ込んで。 消しゴムのきれっぱしをりょうてでいだいたおんなのこはにっこりわらった。 『かわいそう。』 ほうきを持ったおとこのこはわらった。 『ゴミなのに!』 それでも、おんなのこはにっこりわらっていた。 てを、ほこりまみれにしながら。
―…わたしはちいさなあの子に書いてやりたいだけなのかもしれない。 消しゴムを『かわいそう』だと拾い上げた、ちいさな、あの子に。 だとしたらそれはもう子供のためのものではない。 ことばはどこへゆくのだろう。
2004年05月01日(土) |
無慈悲なメスはどこまで必要? |
さくさく開始の黄金週間。そして本日月初め。 いそいそ急いだ映画の日。ファースト・ディ!
こんばんわ、ミトン観てきました。もえぎです。 ああ可愛かった。あああ可愛かった。 入場する際、館員のおねえさんがプレゼントをくれました。 どうやら入場者(先着)に配っているようでした。 なんだろう、と見てみるとそれは。 赤い毛糸でちまりと編まれたちいさなちいさなミトン型バッジ。 白と黒のビーズを用いて、きちんとあの模様も入っているのです。 勿論すぐさま部屋に飾りました。可愛い♪ ミトンのミトンとおそろいのミトン作りたいです(分かりにくい文章) この場合なべつかみのミトンになりますけれど。 でも、キルトガーゼ使ってフェルトで模様を縫い付けたら、きっと……。 お休みの間に作ってしまおうかなあ、などとほんのり画策。
ビデオ屋さんが大セール中なので、いっぱいビデオ借りています。 昨日日記更新していなかったのは延々ビデオ観てたからです。 で、今日は映画館行ってからビデオ屋さんでまたビデオを借り。 部屋に戻ると今度はスーペリアル・スイートかけながらお菓子作り。 紺堂嬢が誕生日に贈ってくれた角型を用いてのチョコレート・ブラウニー。 意味もなくアレルギー対策用にたまご牛乳バター不使用ブラウニー。 真っ赤なカフェエプロンに手作りへなへな三角巾装備。戦闘・開始。 ―…なんか結構楽に作れたのですが。 ブラウニー楽しいですね。今度はお抹茶のブラウニーでも作りたいです。 調子に乗ってきなこクッキーの下ごしらえまでしてしまいました。 来週紺堂嬢がお泊りにくるので、そのお出迎え準備です。
映画観て。音楽聴いて。お菓子を作って。 焼いてる間に本読んで。 『♪そんな毎日 あぁ幸せ』? (EeLさんの『カンフー・マスター』より『幸せな日』)
ミトンとても好きなのですよ。 真ん中にあるのはどうしようもなく子供だから。 ただこどもを、ひたすらにこどもをおもって作られている。 わたしも―…そうありたいけれど。 こどものためのものは、 何よりも上質でとにかく良いものでなければならない。 わたしはそんなに優れたものを作ることが出来ません。 こどもに。こどもに、しあわせになってほしい。けど。 わたしは無知で無学で醜いからとてもとても届かない。 でもミトンに、哲学は必要だろうか? あれほどたまらなく優しくきれいなものを切り刻む必要はあるのだろうか? ちょっと、このところ。こんな状態です。 スランプとかどうとかいう問題以前に、書くことが出来なくなっています。 答えが出ないのです。まだ。まだ……。
そしてこっそり下妻物語が観たくなってきてたりします(笑) いや、最初は『ああ、絶対観ねえ』とか思っていたのですが。 予告編がえらく気に入ってしまったのです。予想外でした。 それについてはまた後日ですー。
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