samahani
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2004年03月18日(木) |
赤かぶは赤じゃない (子どもに教わったこと 2) |
昨日の日記の続きです
9歳で小学校3年生のアンディくんは、形容詞という言葉を知っていた。日本語のいろいろな単語も知っている。例えば「う」のつくモノは何があるかな? と言うと、うし、うさぎ、うみ、うどん、うちゅう・・・などと答えることができる。
大きい象−小さいねずみ、などの例を出して形容詞と名詞を勉強していたときだった。赤い、白いなどの形容詞を出して、赤いものは何があるかな?と言うと、
「赤いは、レディッシュ?」 とアンディくんが訊いてきた。 「えっ!? レディッシュ?」 私は、レディッシュという単語を知らなかったので、あせってあわててしまった。彼は、“ redish ” とスペルまで教えてくれたのだけれど、私の辞書には載っていない。うーん、分からないゾ(汗)。あっ、そうか、ラディッシュのこと? そうだね、ラディッシュ(赤かぶ)は赤いよねと言い、私は(ホントは紫色なんだけどな)とか思いながら、ボードに「かぶ」と書いた。
アンディくんは、「違うよ、 radish じゃないよ、 redish だよ」と、なおも教えてくれているのに、私はまだ分からなくて、RとLの発音がちゃんとできていないことを指摘されているのかな? なんて考えていた。
レッスンの帰り道、車を運転していて、私はハタとひらめいた。彼は、赤の red に、形容詞を作る -ish をくっ付けた新しい単語を言っていたのだ。 (例えば fool に -ish をつけて foolish になるような) たぶん意味は「赤みがかった」というような感じだろう。
英語で red というと、名詞の「赤」と形容詞の「赤い」の両方の意味がある。前回、赤、白、黒など の色の名前をおぼえたばかりで、次の週に「赤+い」を教えられたら、形容詞の red に「い」がついて「赤い+い」という感じになるのだろうと、アンディくんは考えたというわけだ。
違うよ、赤いは、「赤っぽい」じゃなくて「赤そのもの」のことだよ、と次の時には教えてあげなければ・・。
それにしても、辞書に載っていないから、いまどきの言い方なのかしらんと訝り、家に帰ってから息子に redish って知ってる?と訊いてみたら、当たり前じゃん!と言われた。 だって辞書に載ってないよと言うと、日本語だって「あかっぽい」なんて言葉は辞書に載ってないでしょと言われてしまったのだった。
ああ・・、 redish も知らない先生でごめんよ、 Andy。
2004年03月17日(水) |
奇遇ですなぁ! (子どもから教わったこと 1) |
Tokyo kids に日本語を教えるのも今日で4回目になった。初めは、挨拶やら物の名前などを教えていたのだが、それだけで間が持つわけもなく、日本語で通すのも無理だと悟って、英語で説明するようにもなった。
大きい−小さい、早い−遅い、長い−短いなど、ボードに新幹線(早い)や自転車(遅い)の絵を描いてみたり、重いの時には重いものを持つ格好をしたりして、いくつかの単語が出たあとで、こういう形容詞はみんな「い」で終わるんだよと言おうとして、「はっ! 形容詞なんて言って分かるのかしら?」と思った。なので、すこし自信なさげに「こういう言葉をなんていうか分かるかな?」と訊いたら、子どもは “ adjective ? ”と返してきた。なーんだ、知っていたのかとホッとした。
これによく似た思い出がある。
昔、福生市の横田基地の近くに住んでいた頃、基地のアメリカ人が地区の公民館で英語を教えているクラスに通っていたことがある。そこでは、NHKの続基礎英語のテキストを使っていて、その中の例文に What a coincidence ! (奇遇ですなぁ!)というのがあった。ビジネスマンがふたり、初めて会って自己紹介をしている時に、出身地だか出身大学だかが同じだと分かり、「奇遇ですなぁ」と言うという設定だった。
それからしばらくして、ボストンに住むことになり、息子の通う幼稚園にしょっちゅう顔を出すようになった。ある日、5歳の女の子ふたりが話している会話を何気なく聞いていると、おばあちゃんの話をしていた。「ケイトのおばあちゃん(名前)なんて言うの?」「メアリーだよ」「ジュリアのおばあちゃんは?」「私のおばあちゃんも、メアリーなのよ」「Oh ! what a coincidence !」
そばで聞いていた私は、ぶったまげた。5歳の女の子が「奇遇ですなぁ」って言ってるっ!すごぃ!と思ったのだ。 けれど、よく考えてみれば、この会話は、「私のおばあちゃんもメアリーよ、へぇー、偶然ねー」とふたりで言っていたに過ぎない。
英単語を自分の憶えた日本語に置き換えると、現実とのギャップに戸惑うことになる。 子どもの言った “ adjective ” という単語も、形容詞というよりも、日本語で小学3年生が習う「飾りの言葉」というような意味合いだったのかもしれない。
ところで、NHK続基礎英語のテキストの What a coincidence ! も一応、役に立ったわけですが、(合計8年近くのアメリカ生活で)あれ以来、一度も聞いたことがない。・・・・ということに、この日記を書いていて、ふっと気づいてしまったのでした。
2004年03月07日(日) |
Don't let the weather fool you. |
ワシントンはここ3日くらい、17℃を越えるほどの暖かな日が続いていて、私の気持ちは春がきたみたいに弾んでいる。今日も、子ども達が虫捕りカゴを持って裏道をうろうろしてるのを2階の窓から微笑ましく眺めていた。
家の前でお隣さんに出会って、「いい天気ですねー」って挨拶したら、
“ Don't let the weather fool you. ” と、返事が返ってきた。
「(このまま春になるはずがない、きっともう一度寒くなるから)お天気にだまされないでね」という意味だ。
と言っても、私には、なんとなく意味は分かっても、正確に聞き取れなかったので、側にいた夫に後でこっそり聞いたのだけど。
「天気があなたを馬鹿にする」の前に、let が付いているので 〜させるのを許すとなって、さらにその前に Don't が付いているから、「させない」という意味になる。
ほーぉ、そんな言い方は、私には決して思いつかないわ、なるほどねー、と感心して(相手はネイティブなんだから感心することでもないんだけど)、ちょっと得した気分で、こういう些細なことで嬉しくなれる自分に、さらに嬉しくなった私なのだった。
なんだが頭の中まで、春ですねぇ。
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