samahani
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ここワシントンDCエリアにはもう5年8ヶ月も住んでいるというのに、私はまだ一度も美容院に行ったことがなかった。 一番の理由は、こっちの美容師さんの技術が下手で、メチャクチャにされたという話をよく聞くからで、2番目の理由は、高いから。と言っても、日本の美容室と同じくらいの値段なんだけれども、普段の生活費が安いから、70ドル(=7500円)が高いと感じられるのだ。
例えば、牛乳は1ガロン、2.69ドルだから、(1gallon=3.78liters;$1=106円)で計算すると、牛乳は1リットルあたり、75円だ。ガソリンは1ガロン、1.69ドルだから、1リットルあたり47円。一番安いシチュー用の牛角切り肉は1ポンド、2.99ドルだから(1pound=453g)、100gが69円である。ちなみに、メリーランド州は食料品には税金がかからない。
今日、DCのダウンタウンに所用で出かけ、1時間ほど時間をつぶさなくてはいけなくなり、目に付いた美容院にふらりと入ってしまった。
カットなら伸ばし放題になっていても我慢ができるけど、白いものが目立つようになってきたのは気にかかる。白髪を染めるためだけに日本に帰ることを思えば、もし下手でも安いもんだと自分を納得させ、お願いすることにした。
着ていた上着を預かってくれる気配がないので、「これどうしましょう?」と訊くと、「あそこにコート・ルームがあるから自分で掛けてきて」とのこと。コート・ルームに入って上を見ると、棚には折りたたまれたケープが置いてあった。それも自分で身につけるということらしい。余分なサービスは一切してくれないのだろうか。日本の過剰なサービスになれている身には、物足りないと言うより、すがすがしくさえある。
鏡の前に座ると顔にクリームもつけず、直接“染め液”を塗り始めた。日本では、はみ出した染料から肌を守るためのクリームを塗るのに。それから、アシスタントの女性が、わりと丁寧に塗っていったけれど、どう見ても全体に行き渡っていないうちに液がなくなってしまい、頭の後ろ側は、全部できていないのに終わりにされてしまった。けど、後ろ側は自分では見えないから、まーいっかと思ってしまった私も、同じくらい「てきとー」である。
洗髪するために、椅子に座り、背もたれが倒れるだろうと待っていたら、頭だけをシャンプー台の中に置いたままシャンプーが始まってしまった。つまり、普通の椅子に座っていたという訳なのだ。少し高い位置にあるシャンプー台に首だけを後ろに倒して髪を洗うので、首が硬い台にあたって痛い。当たり前のようにウィーンと倒れる日本の美容室の椅子はなんて偉大なんだと、へんな感動をした。
シャンプーのあと別料金でブローもしますか?と訊かれた。日本では、丁寧すぎるくらいにブローをしてくれて、ああ、髪が痛むよぉなんて思っていたから、無しで済ませられるならその方がいいと思い、「要りません」と答えると、ほんんっっっっとーーーにっ、なんにもしてくれなかった。コート・ルームで自分の髪に触り、絞ったら水滴がしたたり落ちた。やっぱりブローもしてください、と引き返そうかと思ったけど、時間もなかったし、手持ちのパーパータオルで髪を拭き、半乾きのまま店を後にした。
いやー、ほんとにすごいョ。あれで「終わりです」って言えるんだもの。ブローはしなくても、タオルドライくらいは、してくれるだろうと思った私が甘かった。
いろいろ経験してみるもんだねーって思った。そこそこ気に入った仕上がりになったからこそ言えることなんだけれど。
2004年02月25日(水) |
Tokyo kids |
仕事の依頼の電話がかかってきたのは月曜日のお昼だった。あさってから仕事できますか?と言われ、話を聞いてみると、9歳、7歳、4歳の男の子3人に日本語を教えるということだった。男の子たちは兄弟で、日本語はあんまり喋れなくて(当たり前か)、そのうえお母さんは日本人ですって、どひゃー、メチャクチャ大変そう。
なんとなく彼らの前で英語を喋りたくない。子どもって無意識に残酷だから、「おばちゃんの英語、なんかへんね」なんて言われたりしたら私、深く傷ついてしまうだろう・・。
とにかく、そのくらいの歳の男の子3人が素直にお母さんの言うことを聞いて、日本語を覚えるのは、今となってはとても大変で、けど一週間に一度、1時間半、外の先生に習った所で、凄く上手にはならないだろうから、憶えるというというより、日本語に慣れる、興味を持つ、きっかけになる、等のことが期待されているわけで・・、だから、日本語で通してしまうことにしよう。幼稚園の先生みたいになろうという気持ちで引き受けた。
「こんにちは」と挨拶から始めて、大版のフラッシュ・カードに描かれた絵を見せながら、名前を覚えたり、どっちが好き?、どれが好き?という質問していったり、「にんじん、好き、ない」って言うから「好きじゃない」という言い方を教えたり、「日本語には英語がそのまま使えるのがいっぱいあるよ」と言って、コンピュータ、タクシー、バス、ハンバーガー、スプーンなどを日本語の発音で言う練習をしてみたり・・・、そしたら、コツを掴んだ子どもたちが、最後をはっきりと言えばいいと思って、「コンフェッティイ」( confetti = 紙吹雪 )と言ったので笑ってしまった。ごめんよ、ちょっと遊んでしまったの。
たった1時間半といっても、4歳の子は飽きてしまって、おにいちゃんたちの邪魔をするので、「そういう子は外で待ってるお母さんのところに行ってね」と部屋の外に出したら、5分ほどして、「本人がちゃんとしますって言ってるから入れてください」とお母さんと一緒に戻ってきた。それからは、ちゃんとできるようになったのだけど、こんどは真ん中の子が、他の子の邪魔をし始めて、また同じように外に出した。
カードを取って隠したり、ふざけてつつきあったり、目を指しながら口と言って、わざと間違えたり、それはそれはしっちゃかめっちゃかで、しずかにぃー!、(カード)かえしてくださぁい!、ちゃんとすわってぇ!、などと何十回も言わなければならなかったのは、ある意味予想通りだったのだけど、終わった時に、部屋の外で様子を聞いていたらしいお母さんに、「たいへんですね」って言われて、「うっ・・・」と返事に詰まった。にこっと笑って「はい(大変です)」と返事をした。
予定では、あと7回、毎週水曜日に日本語のレッスンをする。グループ名は、「東京キッズ」。もうすぐ、東京に住むことになっているからだ。
男の子たち、みんな、日本のことを好きになってくれるといいな。
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