アキヒカ妄想日記
小室麗華



 アキヒカ気まぐれネタ再び。

…なんだかメールまで頂いたり、温かい言葉も頂いて、結構皆様受け入れてくださっているみたいなので、調子に乗ってヒカルお姉様バージョンを。
時代はやはり昭和初期。(好きだな…某小説の影響が強いなあ)
言葉遣いにちょっと引いた方もいらっしゃるようで…すいません。特にヒカルが…ねえ?違いすぎ。
分かってるんだけど…(^^;)今回もかなり違います。

「可愛い私の小鳥さん」バージョンは、また別の機会にということで。Hさん、いいでしょうか?(おい。)


…次は男の子で裏ネタ行きます。はい。

読みたいという奇特なお方は、下にスクロールしてね。







































(ヒカルお姉様バージョン)


「ヒカルお姉様、今宜しくて?」
「アキラさん?ええ、どうぞ」
ヒカルの屋敷でのお茶会に招かれ、何事も無く終了した後に、アキラは一人ヒカルの部屋を訪れた。
「お話があります…お姉様」
いつになつ真剣なアキラに、ヒカルは首をかしげた。何か、この可愛い後輩にしただろうか。ここのところ、忙しくて、あまり話せなかったことは話せなかったが。
窓際に立って、庭のバラを眺めていたヒカルのそばに立つと、アキラは少し背の低いこの先輩を見下ろした。
アキラの家は、いわゆる成金の家で、由緒ある華族の血を継ぐヒカルの家とは大違いだ。アキラのような家のものが出入りするのを、ヒカルの両親はあまり快く思っていないらしいが、アキラがヒカルの一番のお気に入りだったので、アキラがこうしてヒカルの元へ訪れるのは、黙認されているようなものだった。
窓辺に立つヒカルの、少し色素の薄い前髪が、光を反射してとても綺麗だ。アキラと同じ、女学院の制服を着たヒカルの髪が流れ込んでくる春の風にふかれるのを、うっとりとして眺める。
「アキラさん?お話って、何?」
ヒカルの問いに、はっと我にかえった。
そうだ。ここで見とれている場合ではない。今日こそは、うわさの真相を確かめねば。
「聞いたんですが…お姉様、婚約なさるそうですね」
普段なら、アキラの声に隠されたとげに、ヒカルは気がついただろう。だが、聞かれたことに思わず真っ赤になったヒカルは、言葉でなくその表情で答えを返していた。
「本当…なのですか?」
頬をうっすらと染め、ヒカルがうなずくのを、アキラは遠くで見ているような気がした。

…うそ。
お姉様が、婚約だなんて。
そんなの、聞いていない。
でも…確かに、ヒカルお姉様は。

アキラの中で、思考回路がぐるぐると回り始める。
それが本当なら…もう一つのうわさも、本当なのだろうか。
「お姉様、その婚約、お姉様の父上の会社を助けるためというのは、本当なのですか?」
アキラの言葉に、ヒカルは思わずうつむいた。それが、アキラにとって答えになった。
「なんで…お姉様、そんなことでご結婚を決めてもいいの?!」
アキラに強く肩をつかまれ、ヒカルは辛そうな顔で言った。
「でも…私が嫁げば、父上の会社が借りていた借金を猶予してやっても良いとあの方がおっしゃるのです。私は…父上を助けたい」
「じゃあ、お姉様は、そのために愛してもいない殿方のところへお嫁に行くのがいいとおっしゃいますの?!」
ヒカルの体を思わず揺さぶるようにして詰め寄る。輝く前髪がそれにつれて揺れ、きらきらと光るのが非現実的にアキラにはうつった。
「そんなの…許せません。私、嫌です!」
勢いよく、ヒカルの体を抱き寄せた。
「アキラさん…っ」
自分よりも、ほっそりとした体を強く抱く。その温かさを離すまいと、アキラは抱き続ける。
「嫌です…私、嫌です」
「アキラさん…」
ただ、嫌だといい続けるアキラが分からず、ヒカルは困惑する。
自分のことを考えてくれているのは分かる。いくら相手がそう望んだからといって、結局は借金のかたに嫁ぐようなものだ。ヒカルの意思などそこにはない。
「なぜ…?なぜ、アキラさんは私のことを、そんなに心配してくださっているの…?」
ヒカルの問いに、ゆっくりとアキラが顔を上げた。その表情は、どこか冴え冴えとしていて、ヒカルは思わず息を呑んだ。
この見目麗しい後輩は、いつも自分を慕ってくれていた。その感情は、時として怖いくらいに自分をひきよせて離さない。
「…なぜ?それは、もうずっと前から同じですわ、お姉様」
にっこりと、その美しい瞳が微笑む。すいこまれるような瞳に、ヒカルはぼうっとしてしまう。

「…だって、私、お姉様のことを愛しているのですもの」

うっすらと頬を染めたヒカルの、ぽってりとした可愛い唇を、アキラはそっと自分の唇でおおった。
「…ん…!」
驚いたヒカルが、あわてて身じろぎして逃げようとするのを押さえ込み、アキラは口付けを続ける。甘いにおいのするヒカルの唇は、同じように甘く感じて、アキラは何度も何度も口付けた。
「…あ…」
ひとしきり口付けたあと、離れた唇に、ヒカルの吐息が漏れる。
「お姉様…」
初めての口付けに、ヒカルの目から涙がこぼれた。
「嫌…でした?」
流れ落ちる一筋の涙に、さすがのアキラも胸が痛んだ。アキラの気持ちは、当の昔に「憧れのお姉様」から、「愛する人」へと変わっていたのだが、ヒカルはそうでなかったのだろうか。
しかし、そんなアキラの心配は杞憂だった。先ほどとは明らかに違う、恥ずかしさに頬を上気させたヒカルは、小さな声で答えたのだ。
「アキラさん…私も、アキラさんのことは好きですわ…でも…」
「でも?」
ヒカルの言った、「好き」という言葉の真意をはかりかねて、アキラは聞き返す。この反応や、今日までの態度からして、ヒカルが好きだという感情の性質は、アキラのそれと変わりないように思える。
だが…。
「でも…緒方さんが、私をぜひお嫁に欲しいと…」
「緒方さん…?」
聞き覚えがあった。確か、あまりいい話の聞かない金融業者。
ヒカルの父は、事業の穴埋めに、緒方のところへ金を借りに行ったのだろうか。
緒方の会社自体も、緒方という存在も、いい話など聞いた事がない。アキラのなかで、怒りがふつふつとわいてきた。
結局は、ヒカルは借金のかたにとられるようなものだ。そんなことは、許さない。きちんとした金融会社を運営している、アキラの父とはまるで違うという緒方の、人の悪い笑みが浮かぶ。
緒方は、自分の気に入った人間は、手の届くところにいるのなら、なんとしてでも手を出すという。以前、アキラにも似たような話を持ちかけたことがあるくらいだ。
もちろん、アキラは断ったし、何よりアキラの家は成金とはいえ、かなりの数の事業の成功を収めていたので、緒方のような存在は近寄りがたいのだ。
「…じゃあ、ヒカルお姉様が緒方さんのお気に召さなければ宜しいのよね」
「え?」
アキラが何を言い出したのかが分からず、ヒカルはアキラの腕の中で、その整った顔立ちを見上げた。
抱きしめた腕を緩めることなく、アキラは腕のなかの愛しい少女に、笑顔で告げた。

「お姉様は、私が頂きますわ」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




…訳わかんねえ…(汗)。
勢いで書いているから、矛盾とかおかしいとことかばかり。
言葉遣いもねえ…どうしても、このネタでいくとこうなってしまう。
「笑う大天●」で行きたいんですが。これでいくと面白いと思う。
(…まだ書く気か?)

アキラさんには、ヒカルお姉様をむりやりさらって頂きます。
緒方とも戦っていただきます。
…どこまで二人の関係がいくかはこれからの展開しだい。(先があるのか?←いやない。)



…なんだか百合というより…。
やっぱり変だわ。
ごめんなさい。読んで不快になってしまった方、どうかお許しくださいませ。


次は「ミルク。」か、「あふれる思い番外編」を。裏も更新したい〜!キリリクも書きたい!!

2003年10月25日(土)



 アキヒカ気まぐれネタ…。

一応断っておきますが。
今回のは、「ちょっとやってみたいかも〜」的なネタで、本格的にはじめるとか、そういうことは無い…と思います。はい。

何を書くかって?
アキラさんまで女の子化ですよ。二人とも女の子。百合もの。
読みたくないという方、やめておきましょう。
アキラもヒカルも、お嬢様しゃべりです。
時代としては、昭和初期くらいかな〜。
中学時代(それは問題です。)に読んだり見たりした、「くりい●レモン」とかの世界とは違います。ほんのりお姉さまの世界。(なんだそれは?)
亜●ちゃんの人気、知らない人の方が多いだろうなあ〜。

ちょこっと書いてみたいかな〜、なんて。
小室の頭、腐りまくってます…はい。
覚悟の上、お読みくださいませ。
下にスクロールしてね。



















































(アキラお姉様バージョン。)

「ヒカル?」
教会のドアがばたんと大きく開けられて、アキラは静かに後ろを振り向いた。
「アキラお姉様!」
息を切らせて走ってきたのは、前髪の明るさが人目を引く、大きな瞳の下級生。
「ヒカル、ここは神の前ですよ?静かになさい」
「でも…っ!」
祭壇の前、たたずむアキラにヒカルは詰め寄った。
「お姉様、転校されるなんて、お引越しなさるなんて、本当なのですか?!」
目に涙をためて見上げるヒカルの肩にそっと手を置いて、アキラは目を伏せた。
「ええ…来月には、発ちますわ。何せ、遠い異国なのですもの」
「そんな…!」
大きな目がよりいっそうひらかれ、ヒカルの目から大粒の涙がこぼれる。音も無く流れ落ちるそれを、肩から頬に触れた手でぬぐってやると、さらにそれは流れ落ちてしまう。声も無くただ涙を流すヒカルに、アキラは胸が痛んだ。
「ごめんなさい…でも、わたくし達、これ以上そばにいない方がいいのです」
同じ学校の先輩と後輩として出会ってから、もう1年が過ぎた。出会ったときから惹かれたこの明るい髪を持つ少女は、幸いにもアキラを慕ってくれた。ただの仲の良い先輩後輩という関係から、何か違う方向に進んでしまったのはつい最近だ。いいにおいのするヒカルの唇に、自らのそれを落としたとき、アキラの中で何かが声を上げた。
いけない、と。
これ以上そばにいては、きっと…ひどいことをしてしまう。
ヒカルは、ただ自分を慕ってくれているだけなのだ。姉妹がいないというヒカルは、年上の自分を本当の姉のように慕ってくれているだけなのだ。
その純粋な想いを、傷つけたくなかった。そばにいることで、これ以上ヒカルの期待を裏切りたくない。
「ありがとう…ヒカル。楽しかったわ、あなたといて」
ぷるぷるとヒカルが顔を振る。それを追うように涙も頬から流れ落ちるのを、何度も髪を撫でてはなだめる。
「…お姉様…なんで?わたしのこと、嫌いになってしまったの…?」
ヒカルの言葉に、ずきんとくる心が、自分の気持ちの強さを教えてくる。
「いいえ…違います。そうではないの。信じて、ヒカル…わたくしはあなたを傷つけたくはないの」
そう言って、抱きしめたくなる衝動に耐えた。無防備な泣き顔を見せられて、これ以上一緒にいては、もう耐えられないかもしれない。
しかし、それをあおるかのようにヒカルはアキラに抱きついてきた。
「嫌です…っ!」
「ヒカル…」
…限界が来た。ヒカルの髪のにおいに。
「お姉様?」
ぎゅっと抱きしめ返してきたアキラに、ヒカルは涙に濡れた顔を上げる。その頬に、唇に、キスが降ってきた。
「…ん…っ」
触れるだけのキスだったが、何度も繰り返した。赤みを増した唇がやっとはなれたとき、ヒカルは苦しかった呼吸に息を荒くしていた。
「…ぁ…」
「ヒカル…」
ぼうっとしているヒカルの瞳を覗き込みながら、アキラは言わないと決めたはずの言葉を放つ。

「…ヒカルが好きよ…」

答えなど、求めはしない。
拒否がかえってくるのは分かっている。キスを拒否されないのは、ヒカルがまだネンネだからだ。そう思っていた。
だが…。赤い唇から返された言葉に、アキラは声を失った。

「わたしも…アキラお姉様のこと、好きです…」



☆☆☆☆☆☆☆



以上!(爆笑)。
すっきりしました!

…ヒカルお姉様バージョンは…どうしようかな。
書きたい気もするんだけど。
っつうか、これ読んで皆に見捨てられる確率高し…あう。ごめんなさい。

2003年10月21日(火)



 「ミルク。」第1話

アキヒカ子甘々新婚風味を目指して(え?)
今度出す本と同じような話になるかな?甘々です。違うのは18禁かどうかというところだけ。
あ、今度のアキヒカ子本は、10/19イベント限定です。もっていくのも少ないと思うので、もし「イベントに行くけれど欲しい!」と言う方は予約フォームにて予約してくださいな。イベント会場にその方の分をもって行きます。
もし、申し込んだりしても買わなかった方がいたりして、在庫があればその後も通販を受け付けますが…アキヒカ子本がどれだけ出るのかが分からないので、あんまり作りません。うちは超ひっそりこっそりサイトであり、弱小サークルですから(苦笑)。



『ミルク。』




引越しに当たって、準備するものは多い。経験者なら分かるだろうか、初めて家を出るときと言うのは、本当に多い。
部屋探しだけでは終わらないのだ。食器に家具、電化製品、洋服…エトセトラ、エトセトラ。
今まで家で使っていたものを持っていけばいいというのもあるけれど、大体はおいていくことが多い。家に帰ってきたときに、困るからだ。
ヒカルも、16歳で家を出るとは思っていなかったから、そんな準備とか考えとか知識とか、先のことだと思って知ろうともしてこなかったので、その多さには閉口した。
それに、多分時々は家に帰るだろう、と、必要ならあえて一通りそろえるつもりでいた。
だが、実際には、自分が使うもの以外、殆ど買わずに済んでしまった。

「キミが気に入るといいんだけど…」

そう言うアキラに案内された、ヒカルのだというその部屋は、すでに住人を迎えるばかりになっていた。
ベッドも、タンスや机も本棚も、カーテンもカーペットも…何もかも、高級品とおぼしきもので統一され、色もヒカル好みの淡いオレンジに近い薄黄色で整えられていた。
「うわ…」
雑誌に出てくるような、でもきちんと機能性を重視して構成されたその部屋は、一瞬でヒカルの気に入った。
「どう?」
答えの無いヒカルに、アキラが恐る恐る聞いてくるのを、ヒカルは満開の笑みで答えた。
「うん、気に入った!ありがとう、塔矢!」
真新しい家具のにおいで満ちたその部屋を、ヒカルは嬉しそうに見て回る。机の前の椅子に座ったり、タンスを開けてみたり…そうして、おもむろにベッドにぽんと座った。
「進藤?」
そのまま、黙ってしまったヒカルに、アキラが声をかけた。あまりに嬉しそうに見ているのであえて声をかけずにいたのだが、急におとなしくなった恋人にちょっと心配になった。
「…柔らかい」
「え?」
「これ。このベッド!オレの今までのと大違いだよ!」
ぱふぱふと布団をたたき、興奮からか、少し頬を赤らめて言うヒカルに、アキラの中に何かが走る。
(…進藤っ!)
そのまま押し倒したいような衝動に、ぐっと耐えた。
(約束…約束っ!)
呪文のように何度も何度も心の中で繰り返す。
「塔矢?」
「あ、なんでもない…気に入ってもらってホントに嬉しいよ」
にっこりと微笑むことでその考えをおしやり、ヒカルの隣に座った。
「来週からは、キミはここで暮らすんだよ」
「うん…」
ベッドに所在無く置かれていた手を取ると、ヒカルの顔がほんのり染まる。そんなヒカルに、引き寄せられるようにアキラの顔が近づいた。
「……っ」
ぎゅっと、ヒカルの手に力が入るのが分かったが、そのままそっとキスをした。まだキスに慣れていないヒカルが可愛くて、アキラの手にも力が入る。
「ん…」
小さくヒカルが声を漏らした。甘い声に背筋にはしるものがあって、アキラはまたもや衝動をおさえようとしたのだが…。
「…っ?!」
空いた手でヒカルの体を引き寄せようとしていたため、ヒカルの背にまわされていた手に力が入ってしまう。ぐっと抱き寄せ、深いキスをした。
「……っ、ぁ…」
驚きで思わず唇を開いたヒカルの口内に、アキラの舌が滑り込む。
「…ん…」
初めて味わう、ヒカルの口内に、アキラの理性があっさりと飛ぶ。そのまま、舌先を絡め、ゆっくりと体を倒し…。

「…こんの、エロエロ大魔人があっ!」

派手な音とともに、ヒカルの声が新しい部屋に響いた。
「…あ」
ぶたれた頬を赤くしたアキラが、ようやく我にかえり、頬に手を当てる。そんなアキラに、同じように真っ赤になったヒカルは(原因はもちろん全く違うが)すっくと立ち上がると、ぷいと部屋を出て行こうとした。
「ごめん、進藤っ!!」
慌ててその後を追うアキラを、ヒカルは居間で待っていた。
「…約束。忘れたのかよ?」
「いや、忘れてない!けど…ごめん」
つい、という言葉は飲み込んだ。それを言ってしまったら、これから先また「つい」があると警戒されてしまうかもしれない。
それは困る。非常に困る。
「塔矢?」
そのまま、黙ってしまった恋人…来週からは同居人であるアキラを、ヒカルは少しすねたような顔で覗き込む。
その唇は、先ほどのキスのせいか、少し濡れて光っていて、アキラは思わず目をそらしてしまった。
「…ごめん、進藤。忘れてないから」
もう一度、今度は冷静な声で謝るアキラに、うん、とうなずいて、ヒカルはソファに座った。
「…約束、守ってくれないと、オレ…ここにこれないし、いられないじゃんか」
「進藤…」
小さな声で、うつむいたヒカルが言うのを、アキラは感動とともに聞いていた。
つまり…それは、それだけヒカルがアキラと一緒にいたいと思ってくれているのだ。
心の中に、ほんのりと温かいものが湧き上がってくる。
「うん…ごめんね。大好きだよ」
アキラの言葉に、うつむいたまま、ヒカルが、うん、と答えた。
「何か飲む?」
立ったままのアキラが、ヒカルに問いかけると、ヒカルは顔を上げてうーん、と考える。
「コーラ、ある?」
「キミが飲むと思って買ってあるよ」
アキラの言葉にくすぐったい何かを感じながらも、ヒカルは「じゃあ、それ」と注文する。
台所の大き目の冷蔵庫からペットボトルを取り出し、ヒカルにはコーラ、自分にはウーロン茶を入れて、アキラはヒカルの隣へと座る。
一口飲んでから、感慨深げにヒカルがつぶやいた。
「来週からオレ、ここに住むのかあ…」
その言葉に、アキラの中にも急に実感がわいてくる。
「うん…そうだね」
「たくさん打てるな…これで」
「ああ、検討だってなんだって、いつでも出来る」
「オマエと、朝から晩まで一緒なんだな」
「うん」
「…うそみたい」
「うそじゃ困るよ」
「…………………うん…」
コップを置いた手をヒカルのそれに重ねる。そうして、そのまま、ヒカルの頭がアキラの肩にもたれるように倒れ掛かってきて…。

「約束…守ってくれよ?」

釘を刺された。
「…うん」
仕方ないのだ。アキラはため息をつきそうになるのをなんとかごまかし、わずかに重さのかかってきたヒカルの頭に、自分のそれをこつんとあてた。








ヒカルと、一緒に暮らすに当たって、ヒカルの両親からはあっさりとお許しが出た。それはもう拍子抜けというよりも、『それでいいのか?親として』というくらいで、嬉しかったが、言い出したアキラもさすがにびっくりしたくらいだった。
もちろん、この部屋を借りた時点で、ヒカルとの暮らしを考えてはいた。
だが、たぶん、今は時折泊まったりする程度で、それすら許されなくても仕方ない年齢なのだ。誕生日が来てないアキラは、まだ15歳だったから。
だが、ヒカルはもう16歳である。その気になれば結婚できる。
アキラはあせった。
最近、とみに綺麗になった気がする。もともと異性の友人が多いヒカルだが、北斗杯が終わってからというもの、それは格段に増えた。
その上、ファンレターの数も、アキラとはるほどで…付き合い始めてから、まだキスしかしてない(しかもまだ両手で数えるほど)仲のアキラとしては、今ここで、はっきりとした確約が欲しかったのだった。
だから、「結婚を前提に」というつもりで挨拶に行ったとき、つい勢いで一緒に暮らしたいとも言ってしまったのだが。
あっさりとOKをもらい、思わず呆けるアキラに、ヒカルの両親は言った。

「でも、あの…まだまだヒカルは子供ですし、その…そういうコト、は、無いように約束していただけますか?」

つまり。
ヒカルと一緒に暮らしてもいいが、まだキスより先に進んではいけない、ということである。
ヒカルの言う、『約束』は、そういうことだ。結婚については言及されていないが、それも言外に含んでいるのはアキラも承知している。
それだけが目的ではないから、それでいいのだろうが…年齢とか考えれば、それがいいのだろうが。
アキラの中で欲望が戦ったが、ヒカルという存在を確実に自分のものとしたいという欲望が、そのほかの欲望に勝った。


というわけで、アキラの手によって念書が書かれ、ヒカルはアキラと同居することになったのだった。




     
     続く。

  
            ☆★☆★☆★☆★☆★





…こんな話になるんですけれど。
どうですか?
感想などいただけると嬉しい…。ヒカ子はあんまり反応が無いので気になります。
今度限定で出す本は、これのえっちありバージョンみたいな話になるかなあ。
これとは別の話になります。
ネットにはUPしません。再版もしないです。
差し上げたい方がいるので、その方には押し付けしようかと…。
いつもアキヒカ本を押し付けている皆様にはどうしよう…女の子でもいいかなあ。もらってくださるのかしら…(滝汗)。好きな人と嫌いな人に分かれると思うので…。


ところで。
念書って、分かりますか?

2003年10月10日(金)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加