五行日記
ガム



 10代のリュックサック。

10代の頃から使い続けているリュックサックは、

もうボロボロでところどころに穴が空いてる。

詰め込んできた想いや感情は、空いた穴からこぼれ落ち、

もうあの頃の僕には戻れないことを悟った。

こぼれ落ちた想いは、何処かの誰かを切なくしてるのかな。

2005年07月31日(日)



 埋まった空白。

一向に上向かない気持ちと心の空白を埋めようと

散々迷った挙げ句に重い腰を上げてレイトショー。

劇場に着くまで似たような名前の作品の狭間で揺れる。

結局選んだエピソード3は十分に楽しめた。

埋まったのは2と4の間の空白だったけど。

2005年07月30日(土)



 思えば遠くへ。

そういえば去年の今頃は夏休みをとって

苗場で自然と音楽にどっぷりと漬かって

ただひたすら楽しむことに夢中になってたっけな。

思えば遠くへ行ったもんだ。

今年は夏休みをとる予定すら無いというのに。

2005年07月29日(金)



 車輪の下。

およそ3ヶ月ぶりのライブ参戦。

ワンマンじゃなかった分、何だか間延びした感じ。

トリがArt-Schoolだったのは運が良かったけど。

10月にはArt-School、椿屋四重奏、くるりが来秋。

笑いよりも緊張感のあるライブがいいな。

2005年07月28日(木)



 舐められ猫を脱ぐ時。

新しい職場に来て4ヶ月。まぁ、持った方かな。

上司の態度に我慢できなくて午後から休んだ。

くだらないことで嫌味を言われるのも嫌だったし

何より冷静に仕事を進める自信がなかった。

このままじゃ舐められっぱなしだし、被ってる猫を脱ぐか。

2005年07月27日(水)



 良いことなら良いけど。

このところ感じる胸騒ぎは何なんだろう。

一説によれば動物には地震を予知する能力があるという。

僕の中にも天災を予知する生き物が住んでるんだろうか。

単純に台風が近付いてるからかもしれないけど

何かが起こりそうな、そんな気がする。

2005年07月26日(火)



 臆病にさせる音。

破られることが前提だったあの頃の約束は、

その前提のとおり、ことごとく破られた。

それ以来、僕は臆病になってる。

もう二度とあの音は聞きたくない。

約束が破れたときの音。胸が張り裂けたときの音。

2005年07月25日(月)



 ハレノソラシタ。

甲子園予選は今日が準決勝。

そのスタジアムを横目に目的地へ向かう。

勝ち進んだチームを祝福するように晴れた空。

その空の下で僕はサッカーと野球のダブルヘッダー。

流した汗の量は今年一番かもしれない。

2005年07月24日(日)



 溺れる言葉。

子供の時は毎日のように口にした「さようなら」という言葉。

大人になった今、何故かその言葉が酷く重々しく感じられる。

いつからそんなふうに感じるようになったんだろう。

自分でもいつの間にか封印してしまってる。

言葉にしたらきっと不安と諦めの波で溺れ死んでしまう。

2005年07月23日(土)



 出会い反比例。

交友関係が広がって逆に行動範囲が狭くなる。

別にするつもりもないけど悪いことはできないなって。

知り合い同士が繋がってどこに行っても知り合いと遭遇。

会いたいと思う人だけならいいんだけど

そうじゃないならこれ以上新しい出会いはいらないよ。

2005年07月22日(金)



 がらくたになった日。

鉛が入ったように頭が重い。

錆び付いたように関節が痛む。

飲んで、酔って、ご機嫌で自転車を漕いだ

夕べの代償が高く付いた。

でも二日酔いするときってこんなもんだよな。

2005年07月21日(木)



 つきのない夜。足跡を残す日々。

今にも泣き出しそうな空の下を自転車で走る。

ご機嫌な鼻歌の音符は綿毛のように宙を舞って

タイヤ跡の五線紙にゆっくりと降りていく。

アポロ11号が残した足跡に比べたら小さいけど

こうして僕は月の見えない夜に足跡を残す。

2005年07月20日(水)



 つきのない朝。手探りの日々。

不注意で眼鏡のレンズを片方割った。朝からついてない。

ただでさえ手探りの毎日なのに

コンタクトがなかったら文字どおりそうなるところだ。

探してるものが手の届く範囲にあるかどうかも分からずに

掌を這わすような日々からはもう抜け出したいのに。

2005年07月19日(火)



 今度は耳を傾けよう。

知りたいという気持ちと同じくらい

知ってほしいという気持ちが強かった。

限られた時間の中で聞くことよりも

話すことを優先してしまった。

あまり大したことは話せなかったけど。

2005年07月18日(月)



 暴走するそいつ。

予想はしてたけど、またそいつが現れた。

予想はしてたけど、またそいつの暴走を止められなかった。

勢いに乗ったそいつは、もう僕の手には負えない。

そいつは僕の中にいるのに、どうしてだろう。

そいつ以外の僕じゃ、彼女らの笑顔を得られないからかな。

2005年07月17日(日)



 夏の夜の音。

狭い路地で改造車が徐行もせずに僕の横を擦り抜けていく。

夜の闇の中に耳障りな騒音だけを残して消えていった。

冬の夜ほど静寂が感じられない夏の夜には

胸騒ぎと同じくらい色んな音が聞こえてくる。

サンダルの小石が土踏まずを刺激して少し歩みを止めた。

2005年07月16日(土)



 一人歩きの人格。

一人歩きを始めたひとつの人格がみんなに認められていく。

後に残った認められない人格たちは一様に嫉妬し、

そいつを捕まえようとするけど思うように体が動かない。

いなくなって暫く経てばどうせみんな忘れてしまうだろ。

早くそいつを捕まえなきゃ。早く忘れてもらわなきゃ。

2005年07月15日(金)



 備えあればうれしいな。

一度も信号に遮られずに職場に着いた朝は

何かいいことがありそうな予感がする。

そしてその何かのために心の準備をする。

記憶の中にある言葉の文字を少し並び替えて

ほんの些細なことにでも喜べるように。

2005年07月14日(木)



 夢アングル。

昨日電車から眺めた風景がずっと気になってる。

夢の中では第3者の視点で自分を眺めている時があるけど

車窓から眺める景色はまさにそんな感じだった。

通ったことのある道、渡ったことのある橋…。

至る所に自分の残像を見つけ、今ここにいる僕を見失った。

2005年07月13日(水)



 車窓に想う知ることの不幸。

電車に揺られながら外の景色を眺める。

住宅、店舗、ビル。初めて見る建物の裏側が見えた。

表側を見るより先に裏側を知ってしまうやるせなさ。

これから出会う人の裏側を予め知らされてしまったように。

知られたくないことは知らない方が気持ちは楽だ。

2005年07月12日(火)



 もうすぐベスト10。

好きとか嫌いとか、良いとか悪いとか、

認めるとか認めないとかじゃなく、

何となく持て余してる妙な気持ち。

まるでチャートを賑わしてる曲を聴いてる時みたいに

そわそわと落ち着かないそんな気分。

2005年07月11日(月)



 雨ニモ風ニモ負ケズ。

風は僕らに微笑まず、ただ僕らの熱を奪った。

雨は僕らに味方せず、ただ僕らの羽を濡らした。

それでも高く跳ぼうとする僕らには熱が戻った。

目標は僕らが思う以上に高い場所にあるのかもしれない。

でも僕らならできる。僕らならきっと掴める。

2005年07月10日(日)



 セピア色の昼下がり。

無防備の昼下がりに胸が痛くなるような出来事。

セピア色の記憶は、飛ばしてるつもりの車にも

いとも簡単に追いついてしまう。

「さっき」も「いま」も「あと」も

濁った珈琲を透きとおらせてはくれない。

2005年07月09日(土)



 狂った時計。

変な時間に寝たせいで妙な時間に目を覚ます。

東雲に雀が鳴き始めたのを確認して、また眠りに落ちた。

一度狂った体内時計は簡単には元に戻らない。

こんな曇り空の一日じゃ尚更そうだ。

光が欲しい。心の時計も動かしてくれるような強い光が。

2005年07月08日(金)



 願いが約束へ。

お賽銭に願いを込めたり、短冊に願いを込めたり、

何かと都合のいい僕たち。

ただその願いは日頃何気なくする神頼みとは違って

とても純粋なもののように思える。

来週の約束がそう思わせるのかも知れない。

2005年07月07日(木)



 2歩下がって1歩進む。

例えば分厚い雲の向こうからでも届くような光が

もやもやした胸の中に射し込んできたようだ。

その光が射し込むまで僕は2歩後ろに下がっていたけど

その光のおかげで1歩前に進むことができた。

それはただの1歩じゃない大きな大きな1歩だ。

2005年07月06日(水)



 諦めのおろした帳。

思い描いていたことが形にならない。

悲しみは苛立ちに変わり、そのうち諦めになる。

感情の帳をおろすと自分の場所さえも分からなくなる。

コンパスを持たずに深い森の中に迷い込んだみたいに。

目標を探して空を見上げるけど、雨の空に星は見えない。

2005年07月05日(火)



 雨宿りと閑古鳥。

雨。無性にラーメンが食べたくなった帰り道、

何年か前は良く行ってたラーメン屋に顔を出した。

水代わりにと親父がご馳走してくれた1杯のビール。

退屈だとビールが進んでしょうがないと苦笑いの親父。

じゃあまた時々寄らせてもらうよって内心呟く。

2005年07月04日(月)



 溶け出す前に。

映画を見る予定が天気がいいのでドライブに変更。

灯台の見える場所まで走ってソフトクリームを食べた。

溶けてしまわないように少し急ぎながら。

僕がダメな人間だということもいずれ分かるだろう。

これについても少し急いだ方がいいんだろうか。

2005年07月03日(日)



 三度目のV。

そこに居てくれたからこそ頑張れた。

最後まで観てくれたからこそ頑張れた。

もちろん明確な目標があったことも確かだけど、

それだけじゃここまで頑張れなかった。

僕の得た感動の10分の1でも感じとってもらえたかな。

2005年07月02日(土)



 夏味カレー。

明日のためにカレーを作る。

カレーをぐるぐるかき混ぜてると、それまでの雑念が、

全てその渦巻きの中心に吸い込まれて行くみたいだ。

カレーが複雑な味がするのはそのせいかも知れない。

なんてことを想いながら味見したカレーは夏の味がした。

2005年07月01日(金)
初日 最新 目次 MAIL HOME


My追加