愛より淡く
DiaryINDEX|past|will
昨夜、真夜中に突然電話が鳴った。
電話は、私のすぐ近くに置いてあったのだけど、それまでぐっすり眠っていた私も、それですぐに目が覚めてしまった。
それでも私は、怖くて電話に出ることができなかった。
こんな夜中に電話だなんて、不吉な知らせに違いないと思って、どうしても電話に出る勇気がなかった。
呼び出し音を聞いている間、ありとあらゆる不吉な知らせを思い浮かべて、恐ろしくなってしまっていた。呼び出し音を耳にしながら、じっと身を縮めていた。冷や汗が出て、心臓の鼓動が激しくなった。
電話に出たら最後、その内容を聞いてショックのあまり気を失ってしまうかもしれないと思った。
電話が止まるのをひたすら祈るしかなかった。
やがて電話は止まった。
すぐにまたかかってくるかなと思ったけれど、かかってこなかった。
「何でもありませんように。何でもありませんように」
とひたすら祈りながら身体をこわばらせていた。
動悸は、なかなかおさまらなかった。
「なんでもない。なんでもない」
自分に強く言い聞かせながら、眠りに入っていた。
5時過ぎにまた電話が鳴った。
今度は覚悟を決めて、恐る恐るとった。
長男の友だちからだった。
長男に聞けば、早起きする必要があったので、寝過ごさないように、友だちにモーニングコールを頼んだそうだ。
最初の電話もその友だちからのようだった。
ああよかった。本当によかった。と胸をなでおろしたのだった。
この間のときめきは、気がついたら、きれいさっぱりなくなっていた。
それはなぜか?
このところずっとテレビで見かけなくなってしまったから。
姿を見なくなったとたんに、冷めてしまう程度のものだったのだ。
当然といえば当然のような気もする。
それに加えてこのテンションの低さでは、まあもうどうしようもないという感じ。
先日、小学校時代からの友人から久しぶりにメールが届いた。
件名は、「今すごく真剣に悩んでいるねん」
というようなもの。
え? 何かな? 何かな?
と、思い当たるありとあらゆる深刻な悩み事を想像しながら
中身を確かめてみると
たった一行
「前髪切った方がいいかな?」
とだけあった。
このところ私は、ある人のことがとても気になっている。
その人のことを考えるとそわそわして落ち着かずときめいてしまっている。
といってもテレビに出ている人だけど。
この間は、その人の名前をうわごとで呼ぶ自分の声で目が覚めたくらいだ。
こういうときめきは、ずいぶんと久しぶりだ。
その昔、あるドラマの主人公にときめいていた頃を思い出す。
その主人公が、スケッチブックを抱えながら湖のほとりを歩くシーンとか
夜更けの公園でちょっとはにかみながらシャドウボクシングの真似をするシーンとかが
たまらなく好きで今でもすごく印象に残っている。
まあそれはおいておいて。
初めてその人をテレビで見た時の印象は、めちゃくちゃ濃くて不気味であまりよくなかったけど
そのうちに、いつも一生懸命でラブリーな人だなあ、という印象に変わってきて
そしてつい最近、あるテレビ番組を観ていて、ぶっちぎりでトラックを駆け抜けるその人の勇姿に胸がきゅんとなってしまったのだ。
そういえば昔から私は運動神経が発達している人に弱かった。
その昔、学校の中庭でランニング中の男の子とすれ違った瞬間にその男の子を好きになってしまったことがある。その子が夢中で走っている時に額から流れ落ちる汗がきらっと光った瞬間、完全に心を奪われていた。いわゆるひとめぼれ?
テレビでバレーボールの試合観戦中に、バックアタックが見事に決まった瞬間にその選手の熱烈なファンになってしまったこともあったっけ。
かなり単純。
でも「何かに惚れる瞬間」ってそういうものなのかもしれないとも思うけど。
まあ他愛もない片思いだ。
|