クロスロード落城・・・・
使いの者から連絡が入ったのは、夜が明けて直ぐのことだった。
「・・・・」
実質、丸一日も経過しない戦争。
その事実を受け入れなくてはならない。
無論、勝者も敗者も、である。
わしは、疏埜馥の部屋に行った。
「疏埜馥・・・」
疏埜馥は、微睡みの中だった。
『・・・旦那様・・・どうしたの?』
「ああ、戦争は終わった。あっという間だった」
『そう・・・・』
そんなやりとりだけして、王宮へと向かった。
静かな会議室の掲示板に、選挙の結果が張り出されていた。
さっき家に帰る前の、選挙が終わって直ぐの事を思い出していた。
「ノックしようにも扉がないな」
「そりゃ良かったわね」
「一年以上も待たせてすまんな」
「別に・・・謝られることじゃない」
そういって、目も合わさずに笑った。
「もうすぐ結果、出るわね。まぁわかっていることだけれど。
・・・おめでと」
「さんきゅ」
「6代目か・・・
いい加減、玉座は『大人しく』なったかしらね・・・?」
「さぁな」
『玉座には魔物が棲む』と、よく二人で話していただけに、お互い苦笑いを浮かべていた。
「まぁ、選挙は終わったが、問題はこれからだ」
わかりきったことを、敢えて口に出した。
「・・・始まるな」
「そうね・・・・・・」
やけに寂しそうな顔を浮かべながら、そう言って別れた。
・・・・これから、二人の夢の続きを描き始めたが、その絵柄が合うことは、もう二度と無かった。
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