書簡は、ネウガードのセラフィンさんからのものだった。
「昨今の交渉決裂を受け、我が国はクロスロードへ宣戦布告を行う。 ついては北西同盟の条項に基づき、貴国にジグロードへの築城支援並びにクロスロードへの開戦を依頼する。 ネウガード セラフィン=ネウ」
「いよいよか・・・」 『どうしたの?』 「ああ、戦争が始まる・・・」 『・・・・そうなんだ・・・・』
疏埜馥は少し寂しそうな顔をして、俯きながらそう言った。
ただ、困ったことに、選管に権限を渡したばかりだった。 この書簡を受け取っても、何もすることは出来ない。
「疏埜馥、出掛けてくる」 『うん・・・ご飯・・・どうしようか?』 「いっしょに食べるから用意しておいて・・・って、きっと軍務にも招集かかるよ」 『じゃ、私も一緒に行くよ・・・』
いつもの服に着替え、疏埜馥を抱えて王宮に飛んでいった。 外務執務室に飛び込んで、アンシに書簡を手渡し、当面の指示をした。 そして、外交官のヴィージェを北西同盟の会議場に連れて行き、対応を協議させた。 その後は疏埜馥を通じて軍務大臣のアイリッシュとヴィージェで支援・開戦を協議するようにお願いした。
結局、全てを終えて帰宅したのは深夜だった。 軍務で会議中の疏埜馥はまだ帰ってきていない。
「何も選挙中に・・・」
いや、選挙中なんて関係ない。 例えば、他国からの侵略戦争なり、NPC国家戦であれば、そんな悠長な事は言ってられないのだ。
「スムースな情報伝達、権限の委任か・・・」
いろいろと考えながら机に突っ伏して眠っていた。 肩には、毛布が掛けてあった。
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