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2004年12月17日(金) 今。

■どうも好きな小説の、好きな物語の、傾向が変わってきている。
絲山秋子氏の「袋小路の男」を読んで、そう思った。ちょっと前だったら、きっと好きだった。人間誰しも持ち合わせる自意識やら他者への依存心、悲観と楽観のいったりきたりを、指さえ触れぬ奇妙な恋の中で丁寧に描いていく。うん。きっと前だったらとっても好きだった。でも、今は感じないんだな。
 きっと、人と人が、事象と事象が、ぶつかってないからなんだろう。恋を描いているというのに。
 自分が、たくさんの他者と、肉弾戦のようにぶつかりあって仕事している時期でもあるし、心の落ち着かぬ青年と、激しくぶれあう恋をしているからだろうか?
 自分を傷つけない気楽な内省には興味がない。メイ・サートンや秋元松代のような、激しい内省に心が動く。
 
■明日、わたしの仕事の流れの中で、ちょっとした勝負の日。若い売れてる俳優たち、年上の難しい俳優さんたちと渡り合う。頑張りどころ。それなのに、今夜は肩の力が抜けていて、悪くない感じ。さて。明日、大仕事の真ん真ん中にいても、このまま楽にやれるかどうか? きっと気負ってるんだろうなあ……。


袋小路の男
糸山秋子著

出版社 講談社
発売日 2004.10
価格  ¥ 1,365(¥ 1,300)
ISBN  4062126184
「あなた」とは指一本触れないままの12年間、袋小路に住む男にひたすら片思いを続ける女を描いた究極の純愛小説。川端康成文学賞受賞の表題作を含む3篇を収録した短篇集。『群像』掲載を単行本化。 [bk1の内容紹介]

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