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2002年01月01日(火) どこにでもある休日 ●ポロポロ(田中小実昌)

 目覚めると、とってもいいお天気。でも、いたく寒い。
 昨日、風邪の一気呵成なる悪化に懲りているわたしは、自粛して、今日も家に籠もり、あれやこれや。

 さて大掃除、というほどの元気もなかったので、とりあえず、書棚の整理を試みる。手をつけてみると、これが実に大変。いったん秩序の枠から外れると、本というものは嵩張ることこの上ない。しかも放り出しては、記憶のしおりに誘われて頁を繰ってしまうものだから、まったく埒があかない。

 埃のせいか、ようやく落ち着きをみせていた我が鼻の粘膜がやおらむずむずし始め、途中で断念。

 読んだ当時、ノートに書きとめておいたものの、何処にいってしまったやら。そんな大事なことばたちが、たくさんあった。
 いくつかをキーボードでパソコンにおさめておく。

 それにしても、ざっと数えてみると、2千冊以上ある。もちろん、現在の狭い部屋に全部出せるわけはなく、3分の1は押入と物置の中なのだが、いや、それにしてもだよ。まあ、2日3日に1冊のペースで読んでいれば、いくら売ってもそんなもの。お世話になっているなあ、ことばたちに。物語に。
 書棚とソファに囲まれたお気に入りの場所で、お正月気分も何もなく、どこにでもある休日を過ごした。
 恋人といられないから寂しい、とかいった感傷は意外となくって、あたりまえに、幸せだった。あたりまえに、暮らしていられて。


 Hold on tightly, let go lightly.(死守せよ、そして軽やかに手放せ)
 というピーター・ブルックの言葉に再会して、今年の自分の歩く方向を少しだけ考えた。
 築いてきたもの、培ってきたものから、今年わたしは少し離れて、独りで歩いてみようと思っている。
 単に、逃げたり、方向転換したりするのではなく、わたしは彼のことばの示すような決然とした毅然とした態度で、独りになれるだろうか?

 というようなことを、無為の1日の後に考えるのも変なもの。云うは易し。考えるだけなら誰でもできる。

 さて。明日はどんな休日?


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