Journal
INDEX|back|next
2001年12月26日(水) |
軽度の罹病 ●デッド・ゾーン(S・キング) |
3日連続休演日も今日で終わり。
演出家を囲む、プロデューサーたち主催の忘年会に誘われていた。1年間苦労を共にしたプロデューサー諸氏であるし、この演出家がいなければこんないい仕事させてもらえないぞといった感じの恩師ではあるが、行く気にどうしてもなれず、断ってしまった。
もともとの宴会嫌いもあるが、そこで腹から喋ることのできない自分やら他人やらのことを思うと、例えそれが自分の将来に関わる政治的に大事な集いと分かっていても、駄目だった。
わたしは相変わらずの馬鹿であることを立証した。
読みかけのキングの最終頁を閉じてから、忘年会欠席の連絡。昨夜の遺産で食事。 でも、その後の時間がどうも過ごし辛く。色々な意味で過ごし辛く。
結局、何も、為さずに、時間を過ごした。
それではどうにも眠れないので、日付が変わってから、映画を観ることにした。録画したまま未見だった「シンドラーのリスト」。多忙の余り映画を観る習慣がすっかり薄れ、ビデオを収納しているケースは押入の隅にあり、4分の1しか開いてくれず、それが一番手近の「未見」だった。
部屋の明かりを消して、ビールを飲み、チーズのかけらを口に運び、煙草を吸いながら、観た。 きっと、これを観た世界中の人と、ほぼ同じ思いに囚われて、部屋の明かりを再びつけた。
幸福、不幸。富裕、貧困。戦時、平時。幸運、不運。誠実、不実。楽観、悲観。作り手、受け手。聖、俗。天然、人工。天国、地獄。生、死。 暖かい部屋でわたしが受け取るものは、見方によって、あらゆる二元論を肯定するものであり、否定するものであり。
確かなのは、錯綜する思いすべてが、作り手である自分に跳ね返ってくるということ。
かつては、人が創ったものに何某かの思いを抱くと、明日の仕事への活力になった。それが今は、逆に今の仕事を疑ってかかる方へと向かう。
わたしは、軽いやまいに罹っているらしい。
今のところ、まだ処方箋もない。
重かったら困るな。
そんな1日だった。
|