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2001年10月26日(金) |
悲しくても、美味いものは美味い。 |
眠ったのは朝7時。 次の仕事のプロデューサーからの電話で目覚める。なんというか、どうでもいい話。 仕事の資料ビデオを目覚めない頭で見た後、図書館へ。近所の、非常にドメスティックな、とるべき所のない図書館。それでも図書館は図書館、っていうような場所。
恋人から電話があって、夕食に誘われる。 いちばんのトピックは、近々パリにフランス語の勉強にいく、ということ。それをいきなり申し訳なさそうに話すので、問うてみたら、奥様もご同行、ということなのであった。 昨夜ベルンハルト・シュリンクの短篇を読んでからメンタリティーの弱っているわたしは、突如予期せぬ涙腺の緩みまくり攻撃に襲われ、必死になって言い訳する。「あなたのことだけで短絡的に泣いているのではない」ということを。 実際それだけではない。それだけで泣けるのだったら、この年になってこんなにストレートな恋などしない。でも、火をつけたのは、紛れもなく目の前の恋人だったので、わたし自身がいちばん困っていた。 お気に入りの、賑やかで庶民的なイタリア料理店は、今宵も感動的にうまい料理を出してくれ、確かに泣いてはいたけれど、パンを追加して皿のソースを余さず拭うことだけは忘れなかった。 会話がなかなか続かなかった夕餉だったけれど、少なくとも、「美味しい!」と感動を目と目で交わすことで、時間が過ぎていった。 美味しい料理は、偉大。供してくれた料理人たちは、もっと偉大。
わたしたちは、美味しい食事とお酒をともにした喜びを携えて、分かれに分かれに帰途についた。 自分はなんとたくましい女なのだと、我ながら感動しながら、帰りの電車の中でシュリンク氏の次の短篇を読み、引き込まれ、電車を乗り過ごした。
家にたどり着いてみたら、思いがけず酔っていた。 一人でワイン1本飲めば、そりゃあ、そこそこには酔うわよね。 それにまあ、こんな下らない個人的なことを、こうして書いているということだけでも、わたしは元気になった、ということだ。
とりあえず、眠ったら、また明日がやってくるのだものな。
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