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2001年06月03日(日) 本を読みたい。物語が欲しい。

 本。読んでないなあ。日曜の朝のお楽しみ、新聞の書評欄を車中で読みながら、そう思った。
 1週間ほど前からP・オースターの「ムーンパレス」を再読し始めたが、何しろ、ベッドに入って5分読むと眠くなってしまう。困ったものだ。朝の電車はまるまる眠ってしまうし、帰りは仲間たちとおしゃべりしているから読書って感じじゃない。少なくとも30分はベッドの読書をしないと眠れないわたしが、5分でぐっすり、なんだものなあ。

 と思っていたら、仕事が1時間早く終わって、11時までやっている新宿の本屋に駆け込めた! 残念ながら手持ちが2000円しかなかったので、文庫を2冊購入しただけで帰ったが、久しぶりの本屋にわくわく。川上弘美と、保坂和志を購入。

 さて。話は戻って、「ムーンパレス」。オースターファンのわたしは94年に柴田訳が発売された当日購入して、確かまる1日かけて一気読みした。そして、「こんな青春小説読んだことない!」と読後しばらく「ムーンパレス」のことばかっり考えていた。それから2度ほど再読。今もまた、数ページずつ読みながらドキドキしている。
 始めて読んだ時、主人公と同じく屈折した青春を、モラトリアム期を、わたしは生きていた。同じく恋のときめきを生活の糧としていた。そして今、わたしは郷愁をもって主人公を追う。
 良書は読み返されるべきだ。
 かつて2本の仕事をご一緒した演出家が、なんとこの「ムーンパレス」を劇化せんと稽古中だと言う。なんとまあ大胆なことを! と思いつつも、わたしは楽しみにしている。
 記憶の結晶、記憶の残骸としての、美しくも痛ましいダンボール箱の山を、果たして見せてくれるかしら?

 仕事が本番に入って、わずかながら自分の時間が持てるようになるには、7月の中旬を待たねばならない。夏の陽射しを傍らに飾った涼やかな日陰で、日がな1日読書することを夢見て、今宵も眠ろう。
 



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