Journal
INDEX|back|next
しばらくじっくりと本を読んでおらず、欲求不満気味。本屋に寄る時間もないので、未知の作品のページをめくっていくワクワクが味わえない。 昨夜は、最近再読していなかったお気に入りの本をベッドに持ち込もうと、書棚をしばし眺め、ポール・オースターの「ムーンパレス」を手にとった。 書き出しからドキドキする。自分の日常から遠くてうれしくなる。 わたしの現在の日常は、社会人として、ドーンと責任を負ってしまった、分刻みの生活。「ムーンパレス」の主人公は、フィジカルにもメンタルにも、金銭にも自分の未来にさえも囚われず、大学生活を始めた青年。その自己陶酔的で破壊的で盲滅法な人生哲学が懐かしい。うれしくなって、眠気がすぐに訪れ、読んでいるうち知らぬ間に眠ってしまった。 現在の生活を愛しているし、大きく路線変更したいとは思わないが、こうして書物の中で、ありえた自分、ありえたかもしれない自分の人生を体験することができる。それは喜び以外のなんであろうぞ。書物(特に物語だな)の中には、眠れる自分が、時として、いる。揺り起こしちゃあマズイものをいっぱい我が身に飼っているから、わたしはここまで書物に傾倒するのかもしれぬ。
珍しく12時前に帰れたので、返しそびれていた図書館の本をブックポストに放り込んできたり、不在のため受け取れなかった書留を遠くの郵便局まで自転車飛ばして受け取りに行ったりと、なかなか忙しい深夜の時間を過ごして、この時間。お風呂につかって、さあ、また、明日。
|