2002年03月01日(金) |
第66夜 シロナガスクジラが見たい! レポート |
7/28<金 晴れ、風が・・・少し> オラフスビクのゲストハウス2泊め ▲▽ 今日の予定 ▽▲
午前 ヒマ ぼんやりタイム 午後 14時 クジラウオッチの船に乗る
昼過ぎ、港のそばを散歩していたら、見覚えのある自転車姿。岩崎さんだ。スナイフェルネス半島を一周りしてこの町に入られたらしい。
「ちょっとがんばりすぎたみたいで、腰が痛いんですよ」 「あの、よかったら、今日はこの町に泊まられてクジラウオッチの船に乗ってみませんか」 「クジラ、ですか」 「この町から出るウオッチ船のウリ文句は、ブルーホエール、シロナガスクジラが見られる、なんですよ、それも100%近い確率で。私、あのでかいやつが見たくてわざわざこの町に来たんです」 「それもいいですかね・・」
クジラ船のセールス人みたいな私のせりふに岩崎さんもその気になったらしい。 泊まるところは我が緑のゲストハウスである。 だってガラ空きだもんね。 「お客さんがきた」と、岩崎さんを連れて帰ったらゲストハウスの女将さんはにこにこ顔だった。 「そうか、お客、連れてきてくれたのか、コーヒーを飲め」とか「お菓子を食べろ」と大サービス。 なんかおかしい。 台所を使わせてくれ、なんて頼むショボイお客がまさかネギカモをしょって帰ってくるなんて思わんかったのだろう。
13時40分過ぎ、港のウオッチ船へ岩崎さんといった。天気は悪くない。日がさしている。しかし風がある。それが心配だ。
☆★☆ ブルーホエールに会えるか?レポート ☆★☆
港を出てしばらくしたら、見事なスナイフェルネス半島の姿が目に飛び込んできた。 すくと、どっしり。 頂上の白い氷河が青空に映えてすがすがしい。 それにしても寒い。揺れる。波も高い。風が、着込んだコートや防寒ズボンに当たってブォー、ヒュと音を立てる。切るような勢いだ。 あっというまに手や足が冷えていくのがわかる。
「3時の方向にイルカ!」 乗客は、揺れでよれよれしながら舳先の右に移動する。 15人ほどのお客だ。船も大きいのでさほど混み合わない。 「2時にシャチ!」 確かに。 白と黒の身体がジャンプする。美しい。 最初から、イルカと、シャチとは。なかなか幸先がいい。
それにしても揺れる。まっすぐに立っていられない。沖に出るにつれて波も風も激しくなる。 乗る前に「酔い止めを飲む?」ときかれて、素直に飲んでよかった。
「さあ、我々はビッグアニマルを探しに行きましょう」 クジラを「でっかい動物」と表現するのは理屈的にはわかるが、しっくりとこない。 クジラはクジラ、ほかの大きな動物、たとえばゾウなんかとは違う。 全然ちがうよ。
「ちょっと寒いから、中にいますね」 岩崎さんが船内に行かれた。 寒さは「ちょっと」どころではない。外の、舳先にしがみついている人はどんどん少なくなる。 やはり問題は風だ。 波頭に強い日差しが当たって、海は銀色に染まる。とてもきれいなのだが、クジラ見物にはあの色と波は困る。 凪いで、油を流したような海の日が発見しやすいのだが・・・。
見上げると、船の上、風当たりの強いところに「探鯨台」がある。 長い防寒コートを着込んだ男が望遠鏡でクジラを探している。というよりその人相からして「海をににらんでいる」という感じなんだけどね。 ものすごく寒いだろう、と思う。
私もついに寒さに耐えられず、船内に入った。シートにはすでに船酔いで倒れ込んでいる人もいる。
船はそんなお客の悲惨におかまいなくぎゅいんぎゅいんと揺れて、バリバリと沖を目指して走った。 約2時間走った。
スナイフェルネスの白い姿も見えなくなった。 11時の方向、ブルーホエール」 船内の客たちは「オッ」とばかりに出口に向かう。揺れに足を取られ「こけつ、まろびつ」という表現がぴったり。
そんなにしてまでクジラが見たいの? なんだけど、「私は見たい!シロナガスが見たい!」。 外に出たものの、ものすさまじい風だ。 11時の方向には確かに「飛沫」or「ブロー」・・・波が高い、高すぎる。ブローであっても、これではシロナガスサマの勇姿が見えんではないか。 ブルーと英語で表現される鯨体は流線形だ。 速く泳ぐことに重点を置いて進化してきたボディは美しい。 といっても、私は本で見てあこがれ続けていたのですが。
この後何度か「ブルーホエール発見」のアナウンスがあった。 しかしやっぱりブローのみ、だ。これだけ海が荒れているのに高々と上がる「潮吹き」が確認できるというのはやはりシロナガスサマ、だ。 しかしお姿を一目・・・がかなわないのがむなしいよ。 上部の運転席では海中の姿も確認できているのだろうけど。 「今日のように海が荒れていると、クジラは海の深いところにいるので、姿を見るのはむずかしい」ー見えないと、いらだっているお客の気持ちを見透かしたようなアナウンスが入る。 沖縄でザトウクジラを見たときも同じような話を聞いた。イヤー、悔しい。あー、波が憎い、風が恨めしい。
港を出てから4時間が過ぎた。 お客には「今日はダメだ」の雰囲気が漂い始めた。 「仕方ないですね、もう帰るんでしょうね」と岩崎さんと話しながら「探鯨台」を見れば、おじさんはまだ双眼鏡であちこちを眺めている。 もしかしてまだあきらめてない?この寒さと風なのに・・・。 船はさらに沖を目指していた。 帰る気はないらしい。それから1時間あまり、午後7時過ぎまたまた「ザトウクジラ発見、3時」という放送が入った。 外へ。 確かにザトウだ。 でかい背中には見覚えがある。 ブローブロー、やがて腰から尾ビレを高々とあげて潜水。 この、潜水にはいる前のペダンクルアーチの美しいこと、あらためて惚れ直す。 はねたりとんだりで、役者のザトウクジラさんだが極めつけは、やはりこの尾ヒレのアーチだ。 このポイントで2頭のザトウクジラに出会った。
見あげれば、探鯨台のおじさんもヤレヤレふう。 「しかしこの寒さと風の中、よくあそこで、ずっと探していたもんですね。アイスランド人は我慢強いんですね」 岩崎さんが感心したようにいう。同感だ。 このウオッチ船の料金は、4800クローネ。高い。料金分は見せねばと考えたのだろう。 実直系のアイスランド人ならでは、だ。 シロナガスサマの姿はついに拝めなかったが、アイスランド人気質を見た日だった。
7時半過ぎ、船は2時間近くかけて港に帰った。 7時間半近いウオッチングだった。 時間的にいえば、料金分は船にいたね。
港が見えてくると、スナイフェルネスへ、西に傾いて金色の光を発し始めたお日様の光がきらめく。澄み切った極北の美だ。
ゲストハウスに帰ってご飯の支度をして部屋に持っていこうとしていたら、廊下でドイツ人の女の子に声をかけられた。 今日、同じ船に乗っていた子だ。 「あなた、今日のホエールウオッチ、どうだった?」 「私は、ブルーホエールが見たくてあの船に乗った、見られなくて残念だ」 「でも、いたでしょ」 「ブローだけではなくて、姿が見たかった」 「ああ、わかる、あの世界一大きな動物にはみんなあこがれを持っているわ。私は今日はよかった、大きなクジラ、ハンプバック(ザトウクジラのこと)が見られたから」 「私もハンプバックは好きだけどね、」
などと延々、夕食のラーメンがのびてしまうまでクジラ談義をできない英語でしてしまった。 彼女もクジラが見たくてこの町に来た人だった。 「私、明日もう一回船に乗るの」。 彼女はそう言ってにっこりした。 鯨者やのう。 なんか仲間って感じでうれしかった。
>>>>>>>> 3月1日(金 曇り晴)本日のできごと >>>>>
昨日の原稿につけるマップに説明を書いていたら、一日がおわった感じ。 青年Aから、内子の宿の問い合わせが来たのでメール。 朝から、10日にお会いするKさんよりメールが戻ってきたとの電話。アドレスが少し違ったらしい。すみません。 新聞社のY氏に、「tちゃん」の9日の券についてお願いしてOKをもらった。よかった。
ヤボ用を足しに外に出たら、一気に春めいた感じ。やたらに眠いのはそのせいか? スヌちゃんに、眠気を春のせいにしちゃいかん、といわれたけど、他に原因みつからんしなあ。 Mちゃんより、tel。
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