世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年02月23日(土) 第60夜 えっ、ラトビア人なの?

7/22日<土 晴れ 風強し>   アークレイリYH4泊め

昨日見た交通事故のことが頭から離れない。

私が長い旅に出ようと決めた理由の一つに97年秋に遭遇した大事故がある。
旅先で右を歩いていたのに、つっこんできた車にとばされた。頭を打って死んでいてもおかしくなかったと警察官にいわれた。
入院、手術、リハビリ、示談交渉と、すべてが終わるのに2年以上かかった。よく頑張った自分へのご褒美と、長い旅から無事に帰ることで「不安」<事故のPTSD>から解放されたいという思いもあった。
旅をしながらたくさんの新しい体験を重ねることで、「目の前に車が迫って死ぬと思ったその瞬間」をひんぱんに思い出すことはなくなりつつあった。
いいことだ、「心のリハビリ成功」と思っていた矢先だった。
どこかに意地の悪いカミさんがいて「忘れたらアカンぜよ」といっているみたいで気持ち悪かった。
こういう発想をすること自体がPTSDでと以前精神科医にいわれたが・・・


 ぼんやり、くよくよしていたら、10時近かった。「ノン二・トラベル」へ出かけないと、である。午前中しかやっていないのだ。

昨日の事故現場をいやでも通らないと行けない。反対側を歩いた。風が強いが日差しも強い。
現場では、日の光に割れた窓ガラスの破片がきらきら光っていた。

ノンニトラベルでは、昨日会った女の子が一人でカウンターにいた。
「こんにちは、私にこと覚えている?グリーンランド行きのチケットを取りに来たんだけど」
「OK、できているわよ、」
彼女が出したチケットを確認してカードで支払う。
私のヴィザカード、マグネットが壊れたんだけど、この国では番号を入れてくれるので「マグネットがダメだから」と断られなくて助かる。
飛行機代込み3泊4日、日本円にして10数万円、こんな大きな「買い物」はこの旅で初めてだ。高い。
でも3食付きだから、グリーンランドにいる間は食べる心配をしなくていい。
これは少しうれしい。

私が確認をしている間に電話が何本かなった。
「Could you Speaek in English?」
彼女はそう応対する。
不思議だった。
「どうしてあなたは英語で話して、と言うの」
「だって、この国の言葉、話せないもの、わからないのよ」
「え、どうして?」
「私、ラトビアから来ているのよ」
「ラトビア? あのバルト海のそばの・・・」
そう、あなた私の国を知っているの、ととてもうれしそうな顔。
聞けば、クリスチーナというその女性は、夏の6,7,8月だけアイスランドに働きに来ているのだという。
「別に珍しくないわ、たくさんの人が夏だけ働きに来ている、私の友達はツーリストインフォメーションで働いているもの」
考えてみれば夏の間だけでこの国の人口ほどの観光客が来るのだから、他の国からの助っ人も必要でしょうな。
「ラトビアってどんな国?」と聞いたら「私の国のこと話してあげる」とクリスチーナは2回へ駆け上がると、とラトビアのパンフレットを持ってきた。
「小さい国よ、でも歴史が古くて美しい町がたくさんある、景色はアイスランドに似ているけど、もっと暖かいし物価も安い、ぜひ来てみて、いい国よ、私は自分の国に誇りを持っている」
クリスチーナはそう胸を張った。

「ロシア人は英語が話せないのにあなたはうまい、どうして」と聞いてみた。
「みんな、私の国とロシアを一緒にするけど全然違うのよ、もっと近代的だし西欧的。教育システムだって違うの、一緒にしないで」と抗議された。

その後、日本に興味があるという彼女から「日本の若者は休みの日はどんなことをして過ごすのか」
「東京はどんなところか」
「日本の結婚式はどういう風にするのか」
という質問を受けた。

そんなことを話していたら、あっという間に昼となった。クリスチーナは気だてのいい子だった。
彼女と別れて、町中のお店をのぞく。アークレイリはアイスランド第二の都市とはいいながら、小さい町。メインストリートは1本だ。あっという間に尽きる。
結局YHに帰って昼寝をした。こんな日があっていい。


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寝坊したので、すっ飛んで出かける。「一眼レフ入門」という講座を申し込んでおいたのだ。
ためになった。

帰り、昼ご飯にお寿司をかったら、バイトの店員さんが私の前の人の料金を間違えて、半分でもらっていた。
私はその女の人がすっ飛んで消えたのであれ?と思って、すぐにああ!と気がついたのだが。
黒のカシミアコートを着た、髪をマリーアントワネットを描いていたころの池田理代子みたいにしたきれいな女性だったのに、高々340円をゴマかしたんだわよ。ダハー。
バイトの男の子、不機嫌そうなオバカそうな子で、気がつきもしない。女性があっという間にいなくなったので、私も言わなかった。ぼやぼやしていたら、教えたけどね、それにしてもあの女、すばしこかったわ。姿はきれいだけど、心は灰色だね、真っ黒とは言わないにしても、何で「あなたお金ちがうんじゃない?」と言わないんじゃ。おおやだ。これも不景気のせい? 違うわな、心の問題だわな。

午後から、昼寝、と思ったら愛媛から伊予柑がきた、プレゼント、ありがたや。
ネットショッピングで買った「百観音霊場」の掛け軸のモトもきた。

お遍路青年Aから、メール。今夜は野宿らしい、高知も冬だからな、大変だ、がんばっている。その先の野宿ポイントや格安宿情報を流した。

PC原稿、あと2本未完成のままだけど、今日は休日としよう。

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