世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年02月21日(木) 第58夜 北アイスランドの中心アークレイリ 静かな白夜の町

 7/20<木 晴れのち曇り>  アークレイリYH泊
 
このYHは広い。キッチンが、3つ、シャワー、トイレは4ヶ所。洗濯機と乾燥機も2台ずつある。なかなかの充実ぶりだ。

 朝食の後、市の中心まで歩く。きのうバスで来た道をひきかえせばいいわけ。15分というところか。
この町も、レイキャビク同様、徒歩サイズの町である。バスターミナルのとなりにツーリストインフォがある。いろいろなパンフレットがあって、すでに情報が欲しい観光客がたくさん来ていた。

「私は、リクエストが2つと、質問が1つあるのだが、」とカウンターで頼む。
「フン、フン。それで、リクエストは、なに?」
「まず、フッサビクでホエールウオッチしたい、2つめはレイキャビクのツーリストインフォで、アークレイリから、アスキャツアーが出ていると聞いたので、申し込みたい」
「OK。ホエールウオッチは明日行けるわ、天気も明日は大丈夫よ。だけど、アスキャの日帰りツアーは無理、だって、遠いのよ、レイキャビクの情報は間違っている」
 エー。
 「でも、私はアスキャに行きたいわ」
「ミーバートンから出ているからそこから参加しないと」

 日本だったらこういうとき、とりあえず「お客様、申し訳ありません、」の後に遠慮がちに「ミーバートンからなら」とか、なんとかいうだろな。
「ツーリストインフォがまちがっている」・・・と堂々とはいわんわな。

「でも、ミーバートンは、混んでいて宿が取れなかった。どうしたらいいの」
 彼女はうなずくと、電話をかけて、まずホエールウオッチの手配をしてくれた。それから「ミーバートンから、少し離れていてもいいわよね、アスキャツアーのバスは、宿まで、あなたを、ピックアップに行くはずだから」
「もちろん」
彼女は、いくつか宿を当たってくれた。
あった。
VOGARというキャンプサイトのキャビンで、スリーピングバックアコモデーション<寝袋持ちの泊まり>1泊1550クローネ。
YHの料金より少し高いくらいだ。
ここに2泊してアスキャに行くことになった。
宿にピックアップに来てくれる時間は朝7時30分、ツアーの料金は6000クローネ。参加したときに払う。
彼女は、すべてを紙に丁寧に書いてくれた。

「質問というのはなに?」
「この町から、グリーンランドに飛行機が飛んでいると日本のガイドに書いてあったけど、ホント?どこに行ったら申し込める? それから、この町の見所は?」
「グリーンランドには飛んでいないわよ、だけどグリーランドツアーのことだったら、ノンニトラベル<NONNI TRAVEL>に行くといい」
「ノンニトラベル?」
「そう、ここから、5分よ、行ってみて」 
 さらに、この町の名所として「植物園、ノンナフース、博物館、プール、フリースエイ島」などを教えてくれた。
そして「そうだ、今晩、9時30分からジャズコンサートがある、無料だから行ってみたら」と場所を地図に書き入れてくれた。   

いちおう窓口の観察をして、一番親切そうな応対をしている人のところに並んだのだが、大当たりだった。
「注意観察と選択」は読めない、聞けない、話せないの三重苦人間の知恵である。

ツーリストインフォを出た後、「ノンニトラベル」に行ってみた。
町のメインストリートを北に上がった広場の前にあった。
ガラス張りの店内をのぞくと、若い女の子が一人カウンターに座っている。
「8月の1日頃にグリーンランドに行きたい、予定は4,5日、でもグループツアーはいやだ、個人で行きたい、そして私の旅のモットーは、安全で安く、楽しくだから、安いチケットと、宿を希望する」
私は、「こんにちは」と言った後、そう頼んだ。
窓口にいた女の子は、にっこ、にっこと聞いている。

「あなたは、日本人でしょ、この国は小さい、あなたの国のように会社同士の競争がない、だから安いチケットというのは、ないんだ、グリーンランドに行くのは高いんだよ」
奥のデスクで仕事をしていた背の高い鼻の下にお髭を蓄えたおじさんが出てきて、苦笑いしながら言った。
聞けば、東グリーンランドのクルスク往復の飛行機代約6万円、3泊の宿代も含めると1000USドルー10万円以上になる。

「高い、ちょっとまって、考える」
「いいよ、ゆっくり考えて」
と言いつつおじさんは、私がリクエストした飛行機のチエックを始めた。
1日はない、2日に出て、5日に帰ってくるようにすればある」 
「宿は、YHでもいいんだけど。それか、この安いホテルでも」
さっきからすすめられているのは、何しろ高級ホテル、「チープ」をあきらめきれずに「ロンリープラネット」に出ていた安宿へ連絡を付けてくれと頼み込んでみた。
グリーンランドに学校の寄宿舎をを利用したYHまであるというのをこのガイドブックで知ってびっくりしたんだけど・・・ネ。
YHは、少し冒険かも、だ。
何しろあの植村直巳サマ<彼のファンです>が探検したグリーンランドだもんね。

「ここは、うちとは契約していないんだけど・・」
しかし粘ったかいあって、おじさんは渋々ながらもグリーンランドまで電話を入れてくれた。しかしつながらない。番号がもう使われていないようなのだ。
「これ、古いわ、1997年。最新版じゃない」
 ニコニコしていた女の子が、ロンリープラネットの出版日をチエックしていった。  
あちこち電話して丸善でやっと見つけた、3300円もした本なのにだ、そりゃないよ。
確かに宿の値段とか、少し古いなとは感じていたんだけど・・・。
結局、さんざん考えた末に「えいや!!」と3泊4日の豪華旅行<1000USドル>を決断した。
おじさんの親切と、にっこにっこ笑顔の女の子が気に入ったこともある。 

チケットとバウチャーは明日、と言われたのだが、明日はホエールウオッチに行くと言ったら、じゃ、あさって土曜の午前中なら開いているからそのときに、となった。

帰りにYH近くのスーパーに寄って買い物。この国特産のサーモンのハーブ漬けを買った。
部屋をシングルルームに代えてもらったので、今日はプライバシーがある。少しほっ。500クローネほど高いが、いいだろう、だ。
野菜入りラーメンの昼食の後、昼寝をした。
そして夜、サーモンの夕食の後ジャズコンサート。

教えられた場所に行ってみると、カフェの中にある小さなホールだ。開演10分前、もうかなりの人が階段状になった座席やろうそくのともったテ−ブル に着いている。さっそく飲み物のオーダー取りのお兄さんがやってきたので、コーヒーを頼んだ。
ジャズといえばタバコの煙とお酒の香りの中で聞くというのが私の今までの体験だが、ここはタバコを吸う人も少なくとても健康的だ。
静かに聞き入る人たちの姿もまるでクラシックのコンサ−トだ。短い夏の白夜を楽しむ町の人たちの生活の一部を見た気がする。

夜11時近く、YHへ帰った。
もちろん明るい。
広場では、どう見ても小学生か中学生の少年たちがスケボーに興じていた。
夏の白夜を惜しんで遊ぶ・・子どもたちの姿だった。

>>>>>>> 2月21日 本日のできごと >>>>>>>

パソコンの原稿を1本書いて、はがきや手紙やらの処理。3月のシンポジウムの素案を固めないといけないのだが、ウンウンうなるばかりで進まない。困った。
うなりすぎて、ストーブの前で寝ころんでいたら、寝てしまっていた、我ながら脳天気。
午後、ゴミの日ではないのに出してあったゴミをネコが食いちぎって散乱。腹を立てながら後始末。トイレの水の弁の修理を頼むついでに不動産屋のおじさんに怒りのチラシを管理者である不動産屋の名前ではっていいか、と聞いたら「お願いします」とのこと。やるぞ、日本語と英語で、ったく。

このところ、ほのぼのと春めいている。
やっぱり春が来るっていい感じ。

お遍路一緒にしたkさんから、野田名物「醤油羊羹」をいただいた。

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