2002年02月17日(日) |
第54夜 う、馬に乗ってしまった!! |
7/16<日 雨> ヴァグストアYH3泊め
朝7時、YHのほかの客よりも早く食事を済ませて、近くの農場へ出発だ。昨夕、ママさんに肉の焼き方を習いながら、明日も雨だったら、近くの農場を見学したい。 日本の子どもたちにアイスランドの農場生活をレポートしたい、なんとかならないかと頼んだのだ。
晴れそうにもないし、1日うちにはいたくないし、2度目の草原大冒険も出たくない。靴をボイラー室でやっと乾かしてもらった。汚れてもいいけどぬらしたくない。 彼女は私の頼みを「いいわよ」と、いとたやすく引き受けて近くの牧場にアポを取ってくれた。
約束は8時。車も、人も通らないリングロードを歩いていると、だんなが追っかけてきて送ってくれた。 そして牛舎まで連れていって「頼む」らしきことを牧場主に言って、帰っていった。多分、ママに「ちゃんとあの日本人を牛舎まで連れて行って、よろしくと挨拶してこい」と言われたんだと思う。 だんなの知恵とは思われぬ。
牧場では、乳搾りや乗馬をさせてもらい、お茶とお菓子までごちそうになって、昼過ぎに帰ってきた。 牧場の奥さんのルーベさんも、ママも明日は天気がよくなる、という。 彼女は、バスの時刻表を持ってきて、このバスに乗って、ここへ行ってと私の氷河ツアーの予定まで立ててくれた。期待しょう。 ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
◎ アイスランドのファマーズライフレポート ◎
ドアを開けると「ウンチ、オシッコ、ムアーッとするあたたかさ」ー牛のにおいが押し寄せてくる。
「おはようございます。私は、日本から来ました。アイスランドの農家の生活を日本の子どもたちに紹介したいので見学させてください」 [OK、いいわよ」 笑顔で返事をしてくれたのはルーベさん。 だんなさんのグローラ氏は、にこりとシャイな笑顔を見せる。彼は英語を話すのが苦手らしい。もっぱら活発そうなルーベさんと話すこととなる。
作業場は真ん中がくぼんでいて、高くなった両側に5頭ずつ牛が入場する。すぐに動かないよう固定して少し手しぼりしてミルクの乳成分チェック。 OKとなったら乳首の周囲を消毒して四つ又に分かれたミルクしぼり器をつける。オッパイからミルクを垂らして早くしぼってくれといわんばかりの牛くんもいるし、怠けて座り込んでしまうやつもいる。 びっくりしたのはしぼり器をつけたまま、すさまじい勢いでオシッコをたれ始めたのがいたことだ。 「ジャー」という音がすごくて、私は思わず飛び退いた。ルーベさんは、時々背中にかけられることもある笑う・・・。 ミルクしぼりの完了は1頭5分から10分。すごくはやい。
「あなたも、しぼり器やってみる?」 「え、私にできるかな?」 「大丈夫、この牛は気だてがいいから、け飛ばしたりしないわ」
そういわれて、おそるおそる四つ又しぼり器を、乳首に持っていく。 機械は意外と重たくて、オッパイは、ふにゅふにゅで、5センチほどのしぼり器の穴にはまらないしで結構むずかしかった。 でも牛くんは、いやがりもせずに待っていてくれる。確かに性格穏やかだ。 「あなたは簡単そうにやっているけどむずかしいのね」と言ったら、 「そう、でも慣れたら簡単よ」 「大変な仕事でしょ」 「朝6時から始めて、10時過ぎまで働くわ、でも私はこの仕事がすきなの。牛も人間と同じように一頭ずつ性格が違ってかわいいしね」
ミルクのたくさん出る冬場はもっと時間がかかるという。 10時過ぎ「私たち一休みしてコーヒータイムにするけど、あなたもどう?」 お言葉に甘えることにした。 アイスランドでは、入り口で靴を脱ぐ。りっぱな玄関こそないが、日本と似ている。 真新しいおうちは、清潔で明るく暖かかった。 キッチンのテーブルにはルーベさんとグローラ氏、それと二人の子どもたちがそろった。ヤークックくん<14歳>とティンナちゃん<9歳>だ。 「ヤークックは、夫の、ティンナは私の最初の結婚でできた子どもなの。ヤークックはふだんはレイキャビクで中学生なんだけど今は夏休みだから」 とは、ルーベさんの説明だ。 30代後半か40代初めに見える二人はそれぞれ再婚者同士。こういうことは、アイスランドではよくあることらしい。
ルーベさん手作りのケーキとコーヒー、しぼりたての濃厚ミルクをいただきながら、日本の学校のこと、気候のこと、歴史のことなどを話した。 おもしろかったのはアイスランドでは、「水泳」が体育とは別に正規の教科としてあることだ。 英語は、中学からだというが、周囲が使ったり、テレビからの影響<アイスランドのテレビは、アメリカの番組や映画が多い>で自然と覚えてしまうらしい。 ヤークックはとても恥ずかしがり屋だが、ティンナは、甘えん坊だ。私が持っていったおみやげの切手をあげると、とても喜んでおねえさんがコレクションしているアイスランドの切手を持ってきてくれた。 二人とも、日本の同年代に比べて素朴でおおらかな印象を受けた。
来たときから外にいる馬が気になっていた。「乗ってみたい」と言ったら「晴れていたら干し草刈りで忙しいんだけど今日は天気がよくないから、時間もあるし」と、なんと乗せてもらえることになった。 ドヒャー。言ってみるものである。 さっそくルーベさん、「彼女が馬に乗りたいというから手伝って」と、ほかの仕事をしていたグローラ氏まで巻き込んでの大仕事。 そう、乗るには、放し飼いにしてある馬を捕まえて、鞍をつけなければならないのである。 鞍や手綱をつけるのを嫌って逃げ回っていた馬を二人は見事に捕まえて、おとなしくさせた。 どうやら馬も犬と似ていて「わしが主人だ、命令を聞け」的扱いをするとおとなしくなるみたいだ。馬小屋の壁にはたくさんの馬具や金具がかけてあった。どれも使い込んだもので、車が普及する前のアイスランドの移動手段は馬だったんだと実感させられた。 ちなみにアイスランデックホースは、道産子と同じくふつうより少し小型だ。 二人がまず乗って見せてくれた。 早足から、駆け足へー。 とても美しい姿だ。 聞けば、二人とも8歳くらいから乗っていたという。なーるほど。 「ティンナもヤークックも、それぞれ自分の馬を持っているのよ」 ルーベさんは牧場の馬を指した。 子どもが馬を持っているなんてパソコンもってまーすなんていうよりカッコいいぜ。 でも、私も子どもの頃、弟と共有で山羊の飼い主だったけどね。 さて、いよいよ私の番だ。 「夫が馬をひくから暴れないわ、大丈夫」 というルーベさんの言葉に勇気を得て、エイヤーと決心して馬によじ登る。 獣のような、油のような馬のにおいがプーンとする。なんとか座ったものの、馬もへんなやつが乗ったぞとわかるのだろう。暴れる、暴れる。振り落とされないようにしがみついて、思わず「きゃー、怖い!!」と大声。
「だめ、大きな声を出したら馬がびっくりするでしょ」 ルーベさんのきつい一言。
それでもグローラ氏がぐっと手綱をひくと馬はおとなしくなった。さすが、である。 ゆっくりと動き出した馬に意識して体を柔らかくリラックスして身をあずける。タイで象に乗ったときのことを思い出したが、あのときより地面は近いところに見えている・・・ダイジョウビ、だ・・。
馬小屋まで往復数百メートルの冒険。なかなかだった。 それより、なにより、突然やってきた東洋人の図々しい頼みを受け入れてくれた二人に感謝。 「日本とオーストラリア、グリーンランドに行きたい」というルーベさんに「日本に来たら案内するから」と約束して、抱き合って別れた。 心が通いあった時間だった。
>>>>> 2月17日 本日のできごと>>>>>>>>>>
昨日やり残しの掃除をして何とか見た目はきれいになったが・・・。11時に、親戚のmちゃんが来る、その時間までにはきれいになったが・・・。実はあちこちまだ汚い。しばらくどこにも行かないんだし、ポイント掃除をしよう。
mちゃん、シリアスな相談事。そのわりには二人して、ピザの36センチとビール、美味しいケーキ屋さんのプリンなどなどで、なにやら宴会ふう。 おみやげにママがつくったノッペイをもらった。新潟の郷土料理。今晩のおかずだ。うれしい。
4時ころ、mちゃんが帰って少し眠ってから<昼ビールは効く>、直木賞「肩ごしの恋人」を読んだ。 面白かった。こういう女の友情・・が成立すること、ありそう。しかし、それだけ魅力的な男の子がいなくなったチュウ、嘆かわしい現実もあるってことだ。昨日読んだ田口ランディのものと、話は違うけど、気配と手触りは似ている。
雨だ。高知も降ったらしい。お遍路で行き会った青年Aくんから昨日から何度かメール。すっかりとメル友化してしてしまった。 昨日は暴走族がこわくて不眠。今日は宿に泊まるらしい。
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