世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年02月07日(木) 第44夜 ★ リアルタイムお遍路日記 ★

2月7日<木 晴れ 風強し> 歩行距離 22,8キロ 焼山越え半分

今日も晴れている。7時、たみや旅館出発。たみやさんの奥さんは丁寧に見送ってくださった。いいお宿だった。自家製の干し柿の味も絶品だったし。
法輪寺近くの西條のおばあちゃんのところに寄りたいとkさんに頼む。99年に、60年間善根宿をなさっているということでお話をお聞きしに行ったおばあちゃんなのだ。87,8歳のはずだし、お元気かどうか心配だったのでたみやさんでお聞きしたら、お元気のようだ、ということだった。
聞いたり探したりしながら探し当てる。
「ごめんください、おはようございます」
出てきた奥さんに自己紹介をしたら、ああと思い出してくださった。
「うちのおばあさん、足を骨折して自由にうごけんのよ」
 ご主人もお体がご不自由なので大変で、今は善根宿を休止いているとのことだった。
「あんたにあいとうて、1週間前からお大師さんいお願いしとったんよ、お大師さん願い聞いてくれたわ、よかったわ」
ほとんど涙目で喜んでくれた。私もうれしくて目はうるうるした。
おばあちゃんの足を指すって、お大師さんとお仏壇にお参りしてお茶をいただいて辞した。kさんも一緒にお参りしてくださった。
おばあちゃんは、縁側をあけて、不自由な体を起こして「私の分もお参りしてや」と送ってくださった。
奥さんは羊羹をお接待でくださった。

9番さん、境内の茶店がなくなってきれいになっていた。
きれいにはなっていたけど、さみししい。
きけばもう2年ほどにもなるとか。

10番への道にはいる。お遍路印が充実している。
地元の方がいろいろとつけてくださってるので迷うことがない。ありがたいことだ。日の光が弱い。晴れているが、冬の日だ。十番さんのたもとに着いたら、地元の女性が一緒に登ろうと寄ってこられた。
一緒に行くと、なんと昨日迷って疲れました、という20歳の若者の姿。
「どうしたの?」
ときいたら「あの、上まで行ったら、ないし、また戻ってきました」
「ない??お寺がないって」
うなずく青年。
この上だよ。333段の石段があるんだよ。
でも、わかんないいんです。途方に暮れた青年A。
9番でも一緒になったんだけど、10番はわかりやすい、迷わないから自分でいってごらん、といったらここまではきたということなんだわね。
ほんじや一緒に行くか。
石段の途中に水かけお地蔵さんがるのだが「僕、ここで引き返したんです」
「あんた、上まであがらないかんわ、ここは途中よ」地もとの元気なおばちゃんがあきれたようにいう。
「そうなんですか」
かなり結構変わっている青年Aだぞう。

10番さんの境内は梅が咲いてぬくかった。2月なのにいいんだろうか。
ここは南面した観音さんと北面した観音さんと2体おられる。今回、初めて裏の観音さんをお参りした。青年Aは、私たちおばさん組とともにいくことになった。私たちは早くないけどみちは間違わないと思うよ、ということで。
大型バスの団体お遍路さんと一緒になった。歩く人も多いが、団体でまわる人も目立つ。ホントにお遍路にoffシーズンがなくなりつつある。

八幡の町中のスーパーでお昼を買いに寄り、お茶をごちそうになった。
風が強くて体が疲れる。吉野川上の沈下橋で、とばされそうな恐怖を覚えた。でも、天気はいい。お日さまは出ている。

12時50分12番藤井寺着。
門前の藤ノ木が冬の気配を漂わせている。それ以外は日溜まりで小春日和。門前で昨日の宿で一緒だった北海道の兄さんと途中であったおじさんに出会った。
お参りをし、境内でご飯を食べる。途中でいただいたおみかん、きょうも拾ってしまった甘夏がデザート。うまかった。
青年Aに甘夏やふかし芋を分けた。 
青年A,おばさんになついた。素直な、おぼこい子である。

いよいよ最後の難所、焼山越えで柳水庵までいく。
きつい。厳しい。右足があがらない。事故でダメージを受けた右足の筋肉のなさを改めて思い知った。
途中、何人かの人に山道で会う。やはり快晴のせいだろう。
長戸庵、きれいになっていた。子育て地蔵山のお顔が何ともいえずかわいくてよかった。
最後の難所を越えて、何とか4時半近く柳水庵着。
まあ予定どうりだ。
庵主さんご夫婦、変わらずお元気で、kさんと私が自己紹介をしたら、なんと思い出してくださった。もう80歳近いはずなのにすごい記憶力だ。
五右衛門風呂も懐かしい。何しろ暖まるし、お湯が優しい。薪で精魂こめてたいてくださるおかげだろう。
夕御飯もすごいごちそうだった。
青年Aと先についておられた千葉からの65歳の女性と私たち二人の4人でおいしくいただく。
煮物、揚げ物、酢の物2品、鮭の焼き物、わさびずけ、茶碗蒸し・・・・とにかくテーブルに並べきれないくらいのごちそう。それのどれもおいしい。
みんなきれいに平らげた。

食後、お話をする。
このごろはホントにあるくひとが増えたこと、いろいろな方がおいでること、キャンセルの電話をしないでキャンセルをする人がいることなどを話された。6年前と変わらず、穏やかで快活なお話ぶりだった。

青年Aは通しで歩くというので、野宿の場所やら、善根宿のお宅などの情報をあげた。

今日の出費
宿6000円 納経代 3寺 900円 昼食 630円 洗濯 150円


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