世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年02月06日(水) 第43夜 ★ リアルタイムお遍路日記 ★

2月6日 <水曜 晴れ> 8番熊谷寺門前 たみや旅館泊 歩行距離 22キロ

6時半に朝食ををいただき、7時出発。朝、阿波のおじちゃんがいうには、たみやさんも柳水庵さんも昨夜遅くに電話しした人は満員で断られたそうな。私たちはほんの少し早く予約を入れただけなのにこの違い。ラッキーだったというべきか。

昨日と変わったいい天気。2番さんの納経所で「今日は14度まで上がるらしいよ」
カシミヤのセーターと白の防寒着を上下着込んで、おなかにホッカイロまで張ってしまった私どうすりゃいいのさ。
2番さんは、朝日があったって美しい。なにより、長命杉が厳然とそびえ立っていたのがうれしかった。72番さんの松が半分枯れた状態だったのをこの秋にみたばかりだったので。
あちこちで歩きの人を見る。このじきになのに、、、やっぱり変だよ。

3番さんの弁慶の力石、あること走ってはいたけど、恥ずかしながら場所のチャックができていなかった。今回初めてちんまりとあるところを知った、よかった。なんか、石の前にお賽銭なんかが散らばっていて、お賽銭に節操がない、、?みたいな感じがしてしまった私は罰当たりな奴?か。

温度はどんどんと上がってくるのが背中を流れる汗でわかる。
水をのみたいが持っていない。
「蜜柑、木から落ちてないかな、蜜柑が食べたいな」
さすがに四国、あちこちに蜜柑がなってるのだ。ハッサク、伊予カン、甘夏。木についているものを取ったら「十善戒」に反するが落ちているのを拾って食べるのはいいだろうということで。
そうしたら、同行のkさんが「落ちている、拾ってくるわよ」とあっという間に道ばたの畑の草むらから2個の伊予カンを持ってきた。
すぐに近くに座り込んで皮をむいた。まあ落ちていたものだし正直あまり期待していなかった。少しでものどの渇きがい
やせれば、と思っていただけなのだが、なんとうまい、うまい。感動のみずみずしさと甘さ。「おいしいねえ」をkさんと連発しながらぺろりと食べてしまった。1個を半分にすればと思っていたのだが、2こあってよかったという感じ。野良に座り込んで、気持ちもいい風とお日様を浴びながら食べる伊予カン。極楽。
元気百倍。

初めてまわった95年と一番変わったのは、4番さんへの道、すごくよくなった。4番さんも納経所の位置が変わってきれいになった。
「ワシ、鳴門から自転車で走ってきたんじゃ、82歳じゃ」というじいさんと門前であった。宿では、88歳で歩くというじいさんにあったし、なんかその元気さと根性に脱帽だ。
4番では「今日来たんだけど、お接待だし持っていってください」とかわいいキーホルダーをいただいた。私がいただいたのには、本物そっくりなビスケット。「おなかが空いたら、かじってください」なんてジョークを納経所でいわれた。

5番さんを打って「加寿」で昼食。kさんは豚カツ定食。わたしはおこのみやき。おいしかった。コーヒーはお接待。
水曜で、もう一軒「水源」がお休みだったので、あいていてよかった。
昼から、の本格的にあつくなってきた。水を自販機で買う。

6番さんへは2時半ちかくに到着。だいたい予定どうり。
この近く、別格の1番大山寺は山腹。雪でだめだろうと踏んで、今回は見送りとしたのだが、雪なんてない。おまけのこの天気、行けたよな、と残念だった。
6番さんの美しいトイレに入ってから出発。門を出たら「こんにちは」と声をかけられた。なんと今朝2番で会った、同じ宿だった青年。
「どうしたの?」
 私とkさん、もうとっくに10番くらいまでいってんじゃないの、と話していたのだ。訳を聞くと2番を出たとたんに道を間違ったらしい。その後も間違えつづけてあちこちで地元の人に教えてもらって何とかここまで来たらしい。
どちらかというと口が重そうに見えたのだが、半日でずいぶん明るくなった。
「ご修行させられたわね」
というと素直にうなずく。
変われば変わるもんだ、やっぱり若い子は歩きお遍路、すべきだね。
「7番さん、あのあたりね、表の道へ出たら、右にはいるのよ」とよく教えてわかれる。宿も私たちと同じだというし、ほってはおけないおばさん根性で。

7番さんに私たちがついてお参りを終えてもこない。えーまたま違った?と心配していたら現れてほっと一安心。  

残すは8番さん。4キロあまりの道のり。3時半過ぎだし、まあ5時までには楽勝のはず。
2回目に歩いた高速道路沿いのルートを行く。まともに西日を受ける形になってまぶしいやらやけるやら。何という天気でしょう。あちこちで梅、避寒ざくらの花盛り。5番さん奥の院ではタンポポまで咲いていたもんな。徳島は暖かい。

4時20分、8番着。途中、イチゴやトマトの直売所で「お接待しますから寄っていって」といわれるも、納経時間に間に合いたい一心で丁寧におことわりする。ミカン、イチゴ、トマト、みんな好きなので悲しかったが、心がのこったが。
8番さんはさすがにもう人気がなかった。
本堂と大師堂は山際にあるので、かなり冷え込んできていて、やっぱり冬なんだと思ったことだ。
この寺の雰囲気、好きだ。

5時近く、たみやさん着。
kさんが97年春にまだお元気だったご主人とまわられたおり、ここでご主人が発熱されて3日間も寝込まれた印象ぶかいお宿だ。
たみやさんの奥さんも覚えておられた。
奥さんはお杖を洗ってくださった。
お風呂、洗濯。名古屋のm氏と室蘭のy氏にはがきを書いた。
そのごお茶。お茶請けに出ていた干し柿、うまし、もう芸術的うまさ。

食事時、あの青年、北海道からの40代男性、私たち二人。
青年の道迷いの話や、カンカンラリーの話、いろいろともりあがる。
彼は今日一日で3キロもやせたそうな。道に迷っていて昼御飯を食べる暇もなかったとか。いやはや。私たちとは偉い違いだわい。
たみやさんの奥さんお話だと、今の時期にこんなに歩きの人が来るんんておかしい、とか。
「どうなっているんでしょ」
らしい。
青年にどうしてお遍路にこようと思ったの?ときいてみた。
「友だちが去年の夏に40番くらいまでしてよかったから、おまえも学生のうちに日本一周か四国遍路に行って来い、といわれたから。じゃということで」らしい。20歳のフットワークの軽さよ。

干し柿は自家製らしい、すごい。

明日も昼は14度まで出るらしい。ホントか?すごいなあ。

いい一日でした。

出費
 宿代 6500円 納経料 8カ寺 2400円 お昼 500円 水 130円


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