世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年01月01日(火) 第九夜 アスワン行き夜行列車

 はじめ、アスワン行き列車、夜八時という連絡をもらっていたのに、後で10時に時間変更。心配だったので、八時でも間に合うように駅に行きました。突如変更、ありそう・・・な感じの国ですから。
中国やインドで、何回もソレで茫然自失したもんね。

 ラムセス駅までは地下鉄です。
 アラビア語酔いしそうなほどあのミミズ文字に悩まされるエジプトですが、地下鉄の駅名は英語表記で利用しやすいのです。
 のり方は簡単。自分の行く駅の料金を払って窓口で切符を買います。発券機はありません。
 地下鉄のラムセス駅に着いたものの、出口がいくつもあって駅への道が分からないと男性にきいたら、周囲に人垣.結局英語の出来る人がその「人垣山」から出てきてくれて無事にたどり着くことが出来たという次第。エジプト人さん、親切です。

☆☆☆☆☆

とりあえず駅インフォメーションでチケットを見せて時間確認。
「9時30分になったら、あのゲートにいけ」
 インフォメーションのおじさんは、ニコリともしないで八番口を指していいます。どうやら、10時発は確定みたいです。となると、待ち時間2時間あまりをどうすごすか・・・だよねえ。
 インフォメーションは駅のコンコースの真ん中にあります.あんまりすみに行くとかえって危ない気もするので、荷物と一緒に立ちんぼう。すると、何やら騒がしい声.駅の到着ホームのほうから男達がダッダダッダとスクラム組んで怒涛のように押し寄せてくるじゃありませんか。ポリスが付き添っていますが、男達の流れは怖いような勢いがあって、わたし私は暴動でも起きたのかと・・思わず、インフォメーションを囲う柵の中に逃げ込みました。それを目ざとく見つけた流れの男達の列がまがります。男たちの顔は笑っているのですが、何なの、これ.
 そのときやっぱりわたしの近くで人待ち顔で立っていた若いエジプト人の女の子が「大丈夫、怖くないわ」
「この騒ぎは何なの?」
「知らない、でも心配ないわ」
「あなたは、誰かを待っているの?」
 わかいきれいな彼女が一人で立っている姿はとても目立ちました.それもジーンズにシャツのカジュアルな格好で。あの長い衣装を着ていないのです。
「ええ、夫。わたし、結婚しているの」
また、男達のウワー、ギャワーと言う声がしてきました。
「また、もどってきた、あの男性たちは何をしているの」
「大丈夫、彼等は何もしないわ」
 やってきた男たちは1回目より増えていました.数百人はいるでしょう。集団は勢いがつくといつ暴走するかわからんよ・・と思うわたしは彼女のように「大丈夫」と無邪気にいえません。そういう時、旅人は絶対にターゲットになりますから。
「あなたはどこから来たんですか、この国は好きですか」
 また、また。この騒ぎの最中に。
「日本から。この国は、好き・・よ。みんな親切です」
 彼女の夫はソルジャーで今日は帰ってくる日なので迎えに来たこと、じぶんはまだ学生で将来は先生になりたいことなどを話してくれましたが、あの男集団がまた人数を増やして戻ってきたので気が気ではありません。
やがて白い軍服に身を包んだ彼女の夫がやってきました。りりしい若い人です。彼女とはお似合いのカップルです。
「あなたは、ここにいないほうが良いわ」
「ではカフェテリアに行きます」
 夫さんが、わたしの荷物を引っ張ってカフェまで連れていってくれました。やれやれ、です。
 でも、もうあの男集団は戻って来ませんでした。「おわった」ようです。
 あれって、何だったんでしょう。
 力があまっている若い男達のガス・パワー抜きをオマワリ付きで毎晩しているとか。駅構内三周マラソンとかって・・・。あの晩の、ラムセス駅男デモの意味or正体を知っている人は教えてください。

カフェテリアではシャイをオーダーしたのにお茶に加えて、ケーキとテッシュ、ミネラルウオーターが一緒についてきました。
「これは頼んでいません」
「ノウ プロブレン」
はあーー、アンタはそうでも、わたしには大ありだよ。きっと使ったり食ったりしたら課金するんだろうな・・・。まあ、一種の押し売り。
<他の人を観察していたら、そうでした>
 お茶一杯でねばった一時間半。
 感動したのは、わたしが2エジプシャンポンドと20エジプシャンポンドのお札を間違えて渡したら、ウエイターのおじさんが「間違っているよ」と、お金の説明をしてくれたこと。更には「間違えないように、気をつけて」と、注意までしてくれたことです。 
 観光客をだまさない誇り高いおっさんに出会いました。

☆☆☆☆☆

アスワン行き夜行特急一等車は横三人がけ。2つはつながっていて、1つが独立した一人がけ席になります。わたしのような一人旅には最適のシートです。外国人観光客が大方の車内は、戦争の影響で観光客激減の時期、空いていました。
クーラーがききすぎて寒かった・・・この電車を利用しようという人は寒さ対策を、と言っておきましょう。
乗り心地は可もなく不可もなく。トイレは汚いという噂でしたら、行きませんでした。
赤道前後十五度の国々と中国でトイレに期待をしちゃいけないというもんです・・。

朝、外を見るとまさにに田園風景でした。
土で作った家、日干しれんがを積み上げた建物、窓にガラスはありません。牛で耕作をしたり、らくだに荷をつけて運んでいます。ゴマの収穫期のようで刈り入れをしていました。
エジプト人がパンにつけるタヒーナという酸っぱいペースト状のジャム?はゴマで作ります。わたしはこれ、好物でした。

ナイル川が列車のすぐ脇を流れ、人が水浴をしています。
たか、ナイルは寄生虫がいるから水泳厳禁、足をつけるのもだめとガイドブックに書いてありました。友人の三枝子さんからもそういういわれたのですが・・現地人は泳いでた・・体にナイル抗体でもあるのかしらん。あれも不思議でしたなあ。

車窓から見えるカイロと全く違う生活ぶりにしばし見とれました。

途中ルクソールで大勢降りました。
アスワン11時半過ぎ到着。
もちろん遅れてつきました。
外は熱い、カイロよりもはるかにドアッと熱い空気が電車を降りたとたん、客引きのお兄さんと共に襲ってきました。



>>>>1月1日 本日のできごと>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>
 
今年も平和に郷里新潟での正月。早坂暁氏脚本の「夢千代日記」をビデオで見る。
昼から雪だ。
甥のPCで遊ぶ。オタク系な甥のPCにはあやしげなソフトがたくさんはいっていておもしろい。

2002年から、こういう感じで「本日・リアルタイム版」も入れることにした。
「一年の計は元旦にあり」
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