2001年12月26日(水) |
第三夜 ピラミッドざんまい 1 交渉 |
エジプトといえばとりあえずピラミッド、ですよね、やっぱり。 朝食後、ホテルにある旅行オフィスに男が座っているのを見届けて入りました。 「わたしは、これらのピラミッドに行きたいのであるが、タクシーはいかほどなりや?」 と、男にあらかじめ用意しておいたメモを見せました。
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「ギザ、サッカーラ、メンフィス、ダシュフール・・OK・・」 男はしばらく考えた後に「150エジプシャンポンド<約4500円>では如何か?」 「高いと思うのである、もっと低価格にならずや?」 「ダシュフールは砂漠のまん中に位置する、遠い、適正な値段である、さらにはこのコースはハードである。二日のコースである」 「無理であるのか」 「いや、可能である、だが高くなるのは、当然である」 バックパッカーの友「地球の歩き方 エジプト」には一日チャーターしても100ポンドぐらいと書いてありました。あの本は、現地の人の儲けまでしぼりとってしまうような価格設定をする傾向があるし、150、という額は、少し高いがすごくボラれてはいない感じではあります。 「OK、その値段を受け入れます。しかし、わたしはいくつかの要請を持っています」 ここからが正念場。 「日本のガイドブックは、エジプト人男性は外国人女性に性的いやがらせ<セクシャルハラスメント>をすることがあると書いています、わたしは紳士のドライバーを必要とします。それから土産物屋に連れていくといいますが、わたしは土産屋に行くことを希望せず」
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男は真剣な顔つきで聞いていたが「エジプト人男性は、そんなことはしません・・」。 「いいえ、わたしのガイドブックには体験者の話がたくさん書いてあります」 この頃の「地球の歩き方」は、昔はさして書いてなかった「旅のトラブル」・・金盗られた、痴漢にあった、だまされた系の話がウジャウジャ。行く前にそこを読むと人間不信、行くの止めよか、の気分になってしまいます。エジプト編も同様でした。 旅行者なんてだまされる存在である、少しボラれんのはしょうがない、と考えているわたしにしてみれば、ッタクよ、と思うのですが・・。 「歩き方」本はメジャーになりました。なりすぎました。いろんな人がこの本を携行するようなって、苦情も多く寄せられるようになったのでしょう。致し方ないことですね。 「あなたのお国の女性はひとりで旅はしません。しかし、私どもはします、文化はちがいますが、性的いやがらせが不愉快なのはわたし共も同様なり」 まじめで堅物らしい人相の男は言いました。 「確かに信用のおけるドライバーを手配します、土産屋にも行かないように言いつけましょう、もし彼が約束を破ったら、あなたにはお金をお返しします、夕方、わたしはまたこのオフィスに在駐します、苦情があったらお聞きます」 こうして、150エジプシャンポンドを払うのと引き替えに「イヤらしくないタクシー運転手、土産物屋に行かず」の交渉を成立させたのでした。
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