おひさまの日記
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2011年01月31日(月) 猫のキオク

「にゃーっ、にゃーっ、にゃーっ」

買い物へ行く途中、道を歩いていると猫の声が聞こえた。

猫好きなもので、どうしても気になる。
辺りをきょろきょろしても猫の姿はない。

なーんだ。

そう思って歩き出すと、

「にゃーっ、にゃーっ、にゃーっ」

また猫の声がする。
ずーっと鳴いてる。

一緒に歩いていた娘とあちこち猫探し。
そこそこ車通りの多い道路で、
立ったり座ったり、あちこちのぞいたり、不審な動きの親子(笑)

いた!

道を挟んだ向こう側の、路地の入り口に、
猫が座って鳴いている。

「とらみちゃん!!!」

私と娘は、車の流れが途絶えると、
道を渡って猫に駆け寄った。

そう、その猫は「とらみちゃん」だった。



とらみちゃんは、ずっとウチに来ていた通い猫。
きっとまだ1歳にならないくらい。

最初は、ウチの猫、はなのごはんを盗み食いして、
ばあちゃんに、蹴っ飛ばされたり、
ほうきで連打、まさにフルボッコにされていたり(母意外に凶暴…)、
散々な目にあいながら、
エサと寝床を求めてさまようサバイバル系野良猫だった。

その様子(蹴り&フルボッコ)があまりにかわいそうで、
私がはなと同じ時間にごはんをあげるようになった。

すっごく美人な猫なの。
鳴き声も甲高くてかわいくて。
トラ猫なので、とらみちゃんという名前をつけた。

最初は警戒しながらだったとらみちゃんも、
いつしか心を開いて(笑)
仲良くしてくれるようになった。

はなは、テリトリーを侵す猫にフーッ!ってしてたけど、
そのうち2匹もだんだん仲良くなって。



ある日、とらみちゃんにご飯をあげて、
なでなでしていると…

「ん?」

なんかついてる…
股間に立派なものがついてる…

そう、とらみちゃんは女の子じゃなく、
男の子だった。

でも、もう定着していたので、とらみ続行(笑)



1ヶ月前くらいかな、
とらみちゃんの姿が見えなくなった。

毎日来ていたのに、パタッと来なくなった。

口にしないようにしていたけれど、
野良ちゃんだし、どこかで車にひかれちゃったんじゃ…
と、心配していた。

気にかけながらも時が流れた。



そんな今日、思いがけない形での再会。
鳴き声がした先に、とらみちゃんがいた。

とらみちゃんがいた路地の奥には、
昔ながらの立派な家があった。
とらみちゃんは、今そこの猫になっているのかもしれない。
飼われてはいなくても、いい住処なのかも。



道の向こう側を歩いていた私達が、
ねぇ、わかったの?
とらみちゃん。

キミを見つけるまで、ずっとずっと鳴いててくれた。
あんな表通りで。
だから、キミにまた会えた。

猫のキオクの中に私達はいたのかしら?
短い間だったけど、
すっごく楽しかったんだ。
とらみちゃんは覚えていてくれたのかしら?

きっと、覚えてて呼んでくれたんだ、
私はそう思うことにした。

うれしかった。

ウチでは、私がいないと、
母は絶対にとらみにはごはんをあげなかったの。
だからかなぁ、来なくなったのは。
ごはんのない日が何日も続いたこともあったもんね。

だから、来なくなっても仕方ないと思ってた。
動物だし、まず「エサ」なんだろうな、って。

だから、鳴いて呼んでもらえて(そう決めつけている・笑)
すごくうれしかったんだ。
覚えててくれたんだ、って。



屋台の焼き芋屋さんで、焼き芋を買って、
見ると、もうとらみちゃんはいなかった。

心はあつあつの焼き芋よりあったかかった。
涙もろい私はうれしくて泣きそうなんだ。


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