おひさまの日記
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「にゃーっ、にゃーっ、にゃーっ」
買い物へ行く途中、道を歩いていると猫の声が聞こえた。
猫好きなもので、どうしても気になる。 辺りをきょろきょろしても猫の姿はない。
なーんだ。
そう思って歩き出すと、
「にゃーっ、にゃーっ、にゃーっ」
また猫の声がする。 ずーっと鳴いてる。
一緒に歩いていた娘とあちこち猫探し。 そこそこ車通りの多い道路で、 立ったり座ったり、あちこちのぞいたり、不審な動きの親子(笑)
いた!
道を挟んだ向こう側の、路地の入り口に、 猫が座って鳴いている。
「とらみちゃん!!!」
私と娘は、車の流れが途絶えると、 道を渡って猫に駆け寄った。
そう、その猫は「とらみちゃん」だった。
とらみちゃんは、ずっとウチに来ていた通い猫。 きっとまだ1歳にならないくらい。
最初は、ウチの猫、はなのごはんを盗み食いして、 ばあちゃんに、蹴っ飛ばされたり、 ほうきで連打、まさにフルボッコにされていたり(母意外に凶暴…)、 散々な目にあいながら、 エサと寝床を求めてさまようサバイバル系野良猫だった。
その様子(蹴り&フルボッコ)があまりにかわいそうで、 私がはなと同じ時間にごはんをあげるようになった。
すっごく美人な猫なの。 鳴き声も甲高くてかわいくて。 トラ猫なので、とらみちゃんという名前をつけた。
最初は警戒しながらだったとらみちゃんも、 いつしか心を開いて(笑) 仲良くしてくれるようになった。
はなは、テリトリーを侵す猫にフーッ!ってしてたけど、 そのうち2匹もだんだん仲良くなって。
ある日、とらみちゃんにご飯をあげて、 なでなでしていると…
「ん?」
なんかついてる… 股間に立派なものがついてる…
そう、とらみちゃんは女の子じゃなく、 男の子だった。
でも、もう定着していたので、とらみ続行(笑)
1ヶ月前くらいかな、 とらみちゃんの姿が見えなくなった。
毎日来ていたのに、パタッと来なくなった。
口にしないようにしていたけれど、 野良ちゃんだし、どこかで車にひかれちゃったんじゃ… と、心配していた。
気にかけながらも時が流れた。
そんな今日、思いがけない形での再会。 鳴き声がした先に、とらみちゃんがいた。
とらみちゃんがいた路地の奥には、 昔ながらの立派な家があった。 とらみちゃんは、今そこの猫になっているのかもしれない。 飼われてはいなくても、いい住処なのかも。
道の向こう側を歩いていた私達が、 ねぇ、わかったの? とらみちゃん。
キミを見つけるまで、ずっとずっと鳴いててくれた。 あんな表通りで。 だから、キミにまた会えた。
猫のキオクの中に私達はいたのかしら? 短い間だったけど、 すっごく楽しかったんだ。 とらみちゃんは覚えていてくれたのかしら?
きっと、覚えてて呼んでくれたんだ、 私はそう思うことにした。
うれしかった。
ウチでは、私がいないと、 母は絶対にとらみにはごはんをあげなかったの。 だからかなぁ、来なくなったのは。 ごはんのない日が何日も続いたこともあったもんね。
だから、来なくなっても仕方ないと思ってた。 動物だし、まず「エサ」なんだろうな、って。
だから、鳴いて呼んでもらえて(そう決めつけている・笑) すごくうれしかったんだ。 覚えててくれたんだ、って。
屋台の焼き芋屋さんで、焼き芋を買って、 見ると、もうとらみちゃんはいなかった。
心はあつあつの焼き芋よりあったかかった。 涙もろい私はうれしくて泣きそうなんだ。
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