おひさまの日記
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2004年08月21日(土) |
「ママ、どうしてあの子はお指がないの?」 |
昨日行った近所のお風呂屋さんでアンナにお友達ができた。 子供っていいね。 すぐ友達になっちゃう。 アンナと年も一緒の人懐っこい可愛い子だった。 ふたりは相当ウマが合うらしく、ずっと楽しそうに遊んでいた。
その子は、ママとおばあちゃんと一緒だったので、 私はママとおばあちゃんと色々話していた。
その子は生まれつき左手の指が2本しかないのだそうだ。 気付かなかったけれど、言われて見て見ると、親指と小指しかない。
その子のママは、それでずっと苦しんできたと話す。 来年小学校に上がることで、間違いなくあるであろう、 周囲からの心ない中傷をとても心配していた。 保育園でもそんなことがあり、やめさせてしまったと彼女は言った。
私はただ黙って聞いていた。
お風呂上がりにみんなでかき氷を食べようということになって、 脱衣所に戻った時、 アンナは初めてその子に指がないことに気付いた。 「どうしたの? おてて、どうしたの?」 その子はにっこり答えた。 「指ないんだよ」
アンナは涙ぐんで私のところに走ってきた。 「ママ、どうしてあの子はお指がないの?」 私はアンナにこう言った。 「あの子は生まれたときからお指がないんだよ。 そういう子も世の中にはいっぱいいるんだよ。 お指がなかったり、おててや足がない子もいるんだよ。 おめめが見えない子もいるんだよ」 アンナは今にも泣き出しそうだった。 「かわいそう…」 「アンナはかわいそうだと思うんだね。 あの子は生まれた時からお指がないから、 それが自分だと思っているんだよ。 もし、アンナにお指がなかったらアンナじゃなくなっちゃう?」 「ううん、なくならない」 「でしょう? あの子もそうなんだよ。 お指があってもなくても、あの子なんだよ。 アンナはあの子が好き?」 「うん、好き」 「じゃあ、お指のない、ありのままのあの子を好きでいてね」 「うん!」 アンナは力強くうなずくと、その子の方へ走って行った。 子供達は、さっきまでのように楽しそうに遊んだ。
私は、自分の説明がそれでよかったのかどうかわからない。 けれど、アンナは、ひとつ新しい世界を見たのだ。 これから、もっともっと、未知の世界を見ていくのだろう。 そうして心揺さぶり、成長していくのだろう。 その時私はよき母であれますように…そう願うのだった。
ふたりは、同じイチゴ味のかき氷をおいしそうに食べていた。
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