おひさまの日記
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昔、私は、安心して泣けて眠れる場所が欲しいと思っていた。 それもひとりじゃなく、誰かがいてくれる場所。
その場所には、私を無条件で受け入れてくれる人がいて、 そこでは、支離滅裂なことをグダグダ話してもいいし、 子供みたいにわんわん泣いてもいい。 泣きつかれて無防備に眠ることもできる。
そんな場所を渇望していた。
勝手気ままに過ごすなら、独り暮らしで十分だ。 だから私は独り暮らしをしていたけれど、 自分のアパートは、安心して泣けて、眠れる場所ではなかった。 だって独りだったから。 独りじゃダメだったのだ。 独りではできない作業があったのだ。 人に受け入れてもらうという行為を欲していたのだから。
自称暗黒の20代を過ごした私は、 いつも、いつも、そんな場所を探し続けるボヘミアンだった。 自分にとっての安全な場所を。
振り返れば、私は、カウンセリングやセラピーを通して、 そんな安全な場所を体験していた。 そこで時々自分の心を裸にして、 グダグダ言ってみたり、泣いてみたり、受け入れてもらったり、 自分の世界に帰った時にどうやって歩いたらいいかの知恵をもらったり、 そんなことを繰り返しながら、 気がついたら自分もセラピストになっていた。
私は忘れない。 否定されず共感してもらえた時、 辛かったねと言ってもらえた時、 泣いていいんだと言ってもらえた時、 これ以上傷付くまいと必死に身につけていた重い鉄の鎧が、 ひとりでにガシャンと脱げたことを。
だから私は誰かの安全な場所になりたい。 そう思った。
安全な場所は、ずっと身を置く場所ではなく、 疲れてしまった時に身を寄せる場所。 誰かの人生に、まるで幻みたいに、 必要な時だけ、ぽつんと存在する場所。 そんなふうになりたいと思った…
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