おひさまの日記
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2004年07月22日(木) お母さん、好きって言って

今日母から電話があった。
つまらないことで口論になった。
口論と言っても、私が一方的に腹を立てたのだけど。
よくよく考えると、全く腹を立てる必要のないことで腹を立てていて、
電話の途中でそれに気付いたけど、
なんだかいつまでもぐずぐず母に当たっていた。

母が「ごめんね」と言った。
私はものすごく悲しくなった。
母はいつも私に謝る。
私が理不尽なわがままを言ってるだけなのに。

時々、母に対して押さえがたいほどの怒りが湧いてくる。
1ミリもないような小さなことをほじくって、
責めたくて、責めたくて、仕方ない気持ちになってくる。

けれど、そんな私が母をいつも苦しめるのだ。
涙が止まらなくなった。
傷付け、苦しめるとわかりながら、ぶつけずにいられない感情。
私は何がしたいのか?
母を苦しめたいのか?
いや、違う。

言葉が溢れてきて、私は母に言った。
「お母さん、悪くない。
 謝らないで。
 謝られると傷つく。
 お母さんを苦しめる私が悪いんだって感じて、すごく辛くなる。
 お母さんは本当に悪くないんだ。
 私がただわがまま言ってるだけなんだ。
 お母さんそのままで大好きなんだよ。
 変わらなくていいんだよ。
 謝らないでよ、そのままでいてよ」

すると、母に感情をぶつけたいという止められない衝動の裏に
今までずっと潜んでいたであろう私の気持ちが、
突然、目の前に現れた。
本当に突然、するりと。

「お母さん、好きって言って」

そうだ、私はそれを伝えたかったのだ。
そして、私はぽつんと言った。

「ねぇ、お母さん、私のこと好き?」

母は答えてくれた。
「ああ、大好きだよ」

「よかった…」
私の目から涙がいっぱい溢れてきた。
そうだ、私、お母さんに好きって言ってもらったことなかったんだ。
あったかもしれないけど、全然覚えてなかった。

母が口を開いた。
「恵美がね、アンナを抱きしめたり、好きだって言ってるのを見て、
 私は恵美にこういうことしてきてやらなかったなぁ、
 きっと恵美は寂しかっただろうなぁ、って、思ってたんだよ。
 かわいそうなことしたなぁ、って、思ってたんだよ。
 私はしてあげられなかったんだもん…」

好きって言ってほしかったんだ、
だってこしてほしかったんだ、
ほめてほしかったんだ、
いい子だって言ってほしかったんだ、
私は泣きながら母に言った。

それは、きっと、幼いあまり、
それをはっきりとそういう気持ちとして感じることも、
それを言葉にすることも、できずにいた私の、
もどかしく切実な想いだったのだと思う。
それがようやく明るい場所に出て、言葉となり、
母に届けることができた、そんな気がした。

「私は恵美がいなかったら折れ曲がってしまっていたよ。
 ありがとうね」

私はただただ泣いていた。
悲しい涙じゃなかった。

「お母さん、好きって言って」
そのたったひとことを言いたいがために、
私は母を責め続けてきたのだと思った。
どうして好きって言ってくれないの?
どうして受け入れてくれないの?
ひどいよ!って。

私の中で愛を求める激しい衝動は、
出口のないまま地下で暴れるマグマのように、
心の中で渦を巻き、猛り狂っていたのだろう。
認識できる気持ちにも、言葉にもなることもできず、
ただ痛みとしてそこに存在し、暴れていたのだろう。
それが怒りになって母に向かっていたのが、
時に憎しみにさえなっていたのが、
今となってはよくわかる。

私は、母に、好きだと言ってほしくて、ほめてほしくて、
目に見える形で、愛を受け取りたかったんだ。
それが受け取れなくて、ねじれるほど苦しかったんだ。
やっと、わかった。

そういう自分がいることを頭ではわかっていたけれど、
今日、それが、心でわかった。
はっきりと自分のものになった。

本当の意味でこの気持ちに辿り着くために、
私は長い長いプロセスを歩んできたのだ。
そして、その長い長いプロセスが必要だったのだ。
生きるとはなんと愛おしい作業だろう。
途中、途中が、いつも苦しい。
けれど、答えを求め続ければ、必ずそれはやって来るのだと、
感じずにはいられない今日という日だった。


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