2002年08月24日(土) |
猫のお腹は薔薇でいっぱい。 |
おかあさん 雨の信号はいつも横断歩道の脇でぱっくりと口を開けている あなたの卵巣が真紅にはれあがった太陽の記憶をゴミ箱から 引きずり出しそしてそこから一匹の虫がこそこそと 逃げ出そうと28万5120時間の時間をめぐりながら 今すぐ夕飯の食卓に頻繁に引き出された玉ネギのミソ汁を 頭からかぶりずぶ濡れになった季節の思い出を 今か今かと待ちわびる自閉症の子供の通信蘭に ぼくのおとうさんは公務員です と一人で書き込む恥ずかしさを誰かに教えたくて 放課後の来るのも待ちきれず教室を飛び出して一目散に家を めざしたのだけれどもれそうになるおしっこを我慢して 教えられた通り緑色に変ったら渡ろうとしていた 信号が実は壊れていたんだと気づいたときには すでに終わっていたんです お元気ですかおかあさん おかあさん 頭がいいのは僕のせいではないと自己主張するたびに 宙ぶらりんの想像妊娠恐怖症からやっと立ち直った女の下着には いつも黄色いシミが付いていて人種差別は性欲の根源であると 公言してはばからないアメリカの政治家の演説を うのみにしたようなすがすがしい朝の勃起でベトナムの バナナの叩き売りを一目見ようと片手に自由の女神の 電動コケシと片手に赤マムシドリンクをかかえ込んだ 農協のじじいがかわいい孫娘のおみやげにと 上野のアメ横ではやりのジーンズを買い込んで金を使い果たし 家族は運命共同体だと時代遅れの暴言を吐いて 浮浪者になってしまったあげく殺されてしまった 悲しい話を思い出してはみるのです お元気ですかおかあさん おかあさん パンツの履けない留置場は寒いです 水洗便所の流す音がうるさくてなかなか寝つけないないので 犯罪者はいつもセンズリをかくのですが おかげであなたの夢ばかり見る と取調室で喋ったら刑事も嬉しそうに 親孝行しなけりゃいかん と昼メシにカツ丼をおごってくれたのですが タヌキうどんの方が食べたくて 父親は嫌いだと言ったら自衛隊かぶれのヤクザが真紅になって怒りだし ゼイタクは敵だなどと勝手な事をほざいたので オマエなんか生まれてこなけりゃ良かったんだこの貧乏人め とつい口をすべらせてしまったのです お元気ですかおかあさん おかあさん いいかげん あなたの顔は忘れてしまいました 膀胱炎にかかったときからアソコを氷で冷やす快感を 覚えてしまった僕はお風呂が大嫌いになり 何枚も何枚もボロボロに皮が剥げ落ちて剥き出しになった 皮下脂肪のしつこさが耐えきれず赤紫の玄関口で 一人で泣いていたんです おかあさんもう一度アンパンが食いたい 正月に作ってくれた栗キントンが食いたい 豚肉だらけの砂糖のたっぷり入ったスキヤキが食いたい 好き嫌いは庶民の恥です おかあさん 今朝から下痢が止まらないのです おかあさん 血管もちぎれてしまったみたいです おかあさん 血が止まらないのです 血が止まらないのです おかあさん おかあさん 赤い色は 大嫌いです
伝説のパンクバンド・バンドブームの先駆け ザ・スターリン・遠藤ミチロウの名曲 「おかあさんあなたの顔はいいかげん忘れてしまいました」 の歌詞です。
この曲を聴くと 否。 この破壊的で破滅的でアナーキーな 歌詞を見るだけで 如何にJ-POPなるものが 陳腐で商業主義に塗れた 欺瞞であるかを 若い人は知るべきで 猫の中は薔薇 老人の中は釘 サラリーマンの中はネズミ 姉さんの中はクレヨン そんなものがぎっちぎちと詰まっている事も あるのであり 何か 嫌な物を見ても それは 人生の修行なのである という点において おかあさん 私はお腹いっぱいです もおいっぱいいっぱいです 早漏はやさしさ 遅漏は単なる欲張りです 私のちんこは やさしさでいっぱいです。 バファリンの半分は 偽善です 私のお腹は 腹毛で いっぱいです。
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