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僕の、場所。

今日の僕は誰だろう。



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営業モードその3 〜チョコレート色〜

 姉の部屋には茶色のくまがあった。くまのぬいぐるみだ。姉はそれにチョコちゃんと名前をつけて可愛がっていた。チョコレートの色だからチョコちゃん、と命名したのだ。
 どうやら、姉の好きな人が姉にプレゼントしたものらしくて、僕が触って遊ぶと怒られた。大事なものだから触っちゃいけないのよと怒られたのだ。
 姉が泣きながら帰ってきた日、チョコは床に投げ捨てられた。僕が拾っても、怒られなかった。どうしたのかと姉に聞いても答えてくれなかった。チョコは、ただ悲しそうな目をして黙っていた。
 今でも姉をからかうにはチョコレート色をしたくまのぬいぐるみを話題に出す。淡い失恋の味を思い出すから、チョコレートは好きではないと姉は言う。しかし僕は知っているのだ、姉の部屋にはもう古くなってしまったチョコちゃんが大事にしまわれてある事を。










某サイトにてコラムを募集していて、思いつきで参加してみた原稿×3。
著作権云々の法律にはまったく抵触してはいないが、
かといって実は全くの創作である点、少々申し訳なく思わないでもない。
まぁ、採用されなかったので僕の自由にして良いだろうけれど。


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