僕の、場所。
今日の僕は誰だろう。
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朝、ではなく昼に目覚めると既にルームメートは出かけていた。 玄関を見れば奴の一番のお気に入りの靴が消えている。 コート掛けからは一番気合の入っていたコートが消えている。 おめでたい奴だと呟く俺には今日の予定はない。 ヒーターをつけずにパジャマのまま動き回れるほど、気温は低くないというのに。 面倒だから電話も無視しておいた。 昼間っから暇人こいてるなんて不名誉なことだ。 いや、別にそれは今日が基督さんの誕生日の前日だからでは無い。 そうだ、本来そんな物には目もくれずに業務に励むべきなのだ。 昨日、バイザーが倒れて仕事にならないから臨時休業だなどと連絡が来なければ、俺はお客様と自分の生活のために笑顔でせっせと働いているところなのだ。 断じて、暇で暇で仕方ないのではない。明日からの激務に備えて体力を温存しているのだ…。 かといって今日外出する気にもならない。 街へ行けば電気が無駄に消費され、見目麗しくもないカップルがあたかも皇帝皇后のように偉そうに闊歩しているに違いない。 そんな落ちこぼれた日本など目の当たりにしたくもない。 大体にして基督さんの誕生日は初夏あたりの筈じゃなかったのか。 こんな季節に馬小屋に置かれちゃさすがの基督さんだって死んでしまう。 そう、それよりも年末の準備をするべきだよな。俺はキリシタンではない。 そろそろ食材もなくなってきた。スーパーにでも行くべきだろう。 おせちなんて別に良いとして、俺は餅が食いたい、餅が。 それに年越し麺類の調達も必要だ。だいたい正月といえばカレーだ。 郷里の両親もそろそろうるさくなる頃だ、いつ帰ってくるのかと。 ついでにいつ嫁さんを貰ってくるのかと煩くもなる頃だ。本当に煩い。 まあ、兄貴が彼女と結婚するまでは俺に火の粉も飛んでこないだろう。 俺は独身気分を満喫する事にして、そうそう今日はどうせルームメイトも帰ってこないだろうから(女連れで帰ってきたら締め出してやる)美味い酒でも飲もう。 そうだそれがいい。 よし、美味い酒でも買いに行くか。
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