お気に入り・選抜映画感想日記
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 ヒトラーの贋札

監督  ステファン・ルツォヴィツキー
出演  カール・マルコヴィクス   アウグスト・ディ―ル  デービット・シュトリーゾフ

第二次大戦中、ナチの支配下のドイツー史上最大の贋札(がんさつ)事件と言われる、“ベルンハルト作戦”を題材にした収容所でのドラマ。原作は、実際に強制収容所で贋造(がんぞう)に携わった印刷技師アドルフ・ブルガーの著書。
2007年ドイツ・アカデミー賞7部門受賞。2008年米国・アカデミー賞外国語映画賞受賞

「灰の記憶」と同じく、収容所の中でも、優遇され生き残った人たちの話
彼らは、贋札創りのプロとして選ばれたユダヤ人。
1日でも収容所の中で長く生きるために、ナチの片棒をかつぐのだけど・・

ナチの冒頭を防ぐためにも、贋札創りをサボタージュするユダヤ人「ブルガ―」。
彼が、この作品の原作者。
この役を若き頃にウォーケンを思わす二枚目アウグスト・ディ―ルが演じてます。

私が若かったらきっとこの役に共感したと思いますが・・
今はちがうのよね。
「うざい!いきがるな!」と、嫌なら自分だけ自殺でもせー!迷惑だ!とか思っちゃう。
こやつを、迷惑がって密告しようする方の役に共感してしまうのよ。
だいたいサボする人、えらそうで、ナマイキなんだもん。
生死をかける環境でも、感情ってあると思う。
いくらなさけない! と言われようと、あたしゃ、嫌だね。
団結サボの話に乗るのは。1日でも生きていたいし、優遇されることに感謝したい。

主人公は、でもカッコいいよね。「今日の銃殺より、明日のガス室を選ぶ」
なるほどよ。
葛藤しながら耐えるのよ・・ぎりぎりまで。
これこそが、生きるつーこと、だと思うのよね。

全編を通して、ニヒルつーか、いい意味の乾いた強面で、カッコいいです。

どれもそうですが、「ナチもの映画」には、心動かされます・・。

ラスト、贋札造りをサボタージュしたブルガ―のおかげで戦争に負けたドイツ・・
もし・・・と思うと、やっぱりナマイキ君ブルガーはえらかった・・と思うのですが。。
サボに目をつぶりながら悩み苦しんだ、他の仲間がえらいんだ!
といいたいです。

でもね、何より壮絶に感じたのは、あの地獄のような収容所で、
まがいなりにも優遇されていた<隔離>いた彼らが一般の収容所、悲惨な同胞ユダヤ人を
直視するラストです・・・。
なんか、ずる!してるみたいな重い罪悪感がのしかかる。

現実感で言えば、贋札を作りナチを勝たせることよりも、こっちの方の
罪悪感の方が直接的でいたたまりませんでした。
自ら命を絶ってしまう人まで居て・・。すさまじい現実。

☆☆☆☆

2008年08月23日(土)
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