DEAD OR BASEBALL!

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Vol.174 2004年プロ野球戦力診断 巨人編
2004年02月03日(火)

<投手分析>
先発……上原、木佐貫、工藤、高橋尚、林、久保、桑田、真田
右中継ぎ……シコースキー、三沢、サンタナ、鴨志田
左中継ぎ……前田、岡島、柏田
クローザー……河原

 投手陣の崩壊ということは、昨年の序盤から散々言われ続けていた。結局はその状況を改善できないどころか、シーズンが進むにつれてどんどん泥沼に沈んでいった感すらある。昨期のチーム防御率4.43はリーグブービーだが、その要因は終盤に度々試合をブチ壊したリリーフ陣によるものがほとんど。

 それだけに先発陣はしっかりしている、と言いたいところだが、実際は16勝の上原と新人王右腕の木佐貫という、昨期規定投球回数到達の2人以外は計算しにくいというのが本音。上がり目を残している候補は久保、林、真田といるが、久保はキャンプ入り直前の故障で開幕には間に合いそうになく、真田も去年の伸び率に不満がある以上はアテにしにくい部分がある。久保が一人抜けるというだけで、印象が大幅に変わってきた感があるというのが本音。

 高橋尚は計算が立てやすいタイプだが、大幅な貯金を望めるタイプでもなければ200イニング投げるタイプでもなく、2〜3番手というポジションではない。林には実質2年目のジンクスが迫り、工藤と桑田の大ベテランを計算に入れるには抵抗がある。後退要因はいくらでも挙がるが、上積みを望める希望には乏しく、自由枠獲得の内海も故障上がりということで1年目からは活躍が難しい状況。目立った戦力補強もなく、ローテーションを6人組むだけで精一杯、という感すらある。

 昨期ボロボロのリリーフ陣は、ロッテからロングリリーフ可能な快速右腕シコースキーを獲得し、連投可能で古巣復帰の三沢の加入も大きい。去年は1人も計算できる投手がいなかっただけに、この2人の加入は大きな恵みをもたらす筈だが、それでもまだまだ危機的なブルペンであるという状況は変わらない。堀内監督はクローザーを河原の復活に賭けているようだが、昨年の惨状を見れば計算に入れるのは無理がある。若い鴨志田、酒井らの成長がなければ厳しい状態で、クローザーも試行錯誤を繰り返す必要がありそう。

診断……上原という大エースはいるが、それに続く投手は力量的に木佐貫以外アテにできない部分が大きい。昨期のチーム完投26は圧倒的トップだが、それはリリーフを出せないというネガティブな意味によるもの。そのリリーフには若干厚みが出たが、河原の復活も含めたビッグサプライズがいくつも起きない限り、状況的にはアテにできない面ばかり目立つというのが正直なところ。



<野手診断>
1(遊)二岡
2(中)斉藤
3(左)ローズ
4(右)高橋由
5(三)小久保
6(一)ペタジーニ
7(捕)阿部
8(二)岩館
9(投)

控え
捕手……村田、原
内野手……清原、江藤、仁志、元木
外野手……清水、井出、三浦、鈴木

 各スポーツ紙が報じたり堀内監督が示唆してきた超重量打線から、かなり外れた構想を練ってみた。正直言って、どこをどう考えても選手が余るかバランスが極端に悪くなるという野手状況。控えでも充分にスタメンが組めそうな状況は、戦力の充実とは言わない。戦力が飽和し切っている。巨人への戦力集中が問題視され始めて以来、もっとも肥満体の状況だろう。

 兎にも角にも、戦力のネームバリュー的に強力なのは疑い様がないところ。投手陣に不安があるだけに、ペタジーニをファーストに回し、斉藤を打てる2番としてセンターに置いてみた。ペタジーニをレフトに入れて清原をファースト、高橋由がセンターでローズがライトという布陣からはそれなりに守備力を上げてみたが、それでもこのオーダーだから打力はズバ抜けている。

 ディフェンシブにオーダーを組んでも、名前の攻撃力だけは段違いだけに、極力センターラインを締めて、打線に楔を打っていきたい。ルーキー岩館の抜擢はその為で、内野をどこでも守れる一級品の守備力に加え、井端(中日)や辻(元西武)を彷彿とさせる粘りのライトヒッティングは、現在の巨人では貴重な戦力になる筈。セカンドには堀内監督がリードオフマンに再指名した仁志がいるが、一発長打にこだわる仁志のバッティングは現在の巨人打線で旨味が少ない。

 巨人が90年代前半に本当に強かった時期、チームには川相(中日)という素晴らしい「2番・ショート」がいた。現在の巨人では、岩館に対する価値観は「内野の便利屋」という域を出ない可能性が高いが、あの頃の隙を見せない強さを取り戻すには岩館の存在は貴重だと思い、敢えて開幕スタメンで期待してみた。

診断……清原やペタジーニ等、超長距離砲打者をズラリと並べるオーダーを組んでくれれば、シーズンという長いスパンで見れば逆に他球団は楽になる公算が大。堀内監督が超重量打線にこだわるのは、本気か三味線か。その違いだけで怖さの印象は随分と変わってくる筈。戦力があり過ぎるだけに逆に組し易い、という脆さが現時点では目立つ印象。



<総合診断>
 投打共に圧倒的な物量を持っているようで、計算の立たない足腰の弱さばかり目立つと言うのが本音。もっとスリムになった方が逆に怖さが目立つとは思うが、このメンバーでキャンプに入った以上は、いまからどうこういっても仕方ない。この窮屈な中でやっていくしかないのだから、難しいシーズンになるのは避けられないだろう。

 どれだけ選手がいてもグラウンドには9人しか立てないだけに、圧倒的な物量作戦で押し潰せるというものではない。戦力が分厚いのは確かに強みだが、それが逆に身動きをとれなくして自滅するような、そんな危なさを今年の巨人は一段と内包しているように見えて仕方がない。杞憂に終われば、どこかのアナウンサーが言うように150勝してもおかしくないのだが。



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