<投手分析> 先発……川上、平井、野口、山本昌、岡本、ドミンゴ、紀藤、平松、佐藤、朝倉 右中継ぎ……落合、遠藤、バルデス、川岸、正津 左中継ぎ……山北、小笠原、久松 クローザー……岩瀬、石川 昨期のチーム防御率3.80はリーグ2位だが、リーグブービーの完投6、最多投球回数が大ベテラン山本昌の156イニングと、シーズン前に磐石視されていた先発陣はもう一つ力を発揮できなかった。川上、朝倉の右腕2枚がシーズン前半で故障リタイアし、左腕エースの野口が防御率4.55で9勝11敗と借金2つ、バルデスも先発では結果を残せず、中盤からは中継ぎに回さざるを得なかった。 その中で、オリックスから移籍した平井が抜群の安定感で12勝(6敗)、防御率もリーグ2位の3.06と大健闘したのは大きかった。中盤から先発に固定された岡本も4勝(6敗)ながら97投球回で79被安打96奪三振と結果を残し、山本昌に並ぶ大ベテラン紀藤が7勝(8敗)とローテーションを下支えした反発力は見事。故障組の復調にかかる部分は大きいが、その逆風下でも先発ローテーションを崩壊させなかった地力は強い。 今年は川上がキャンプ初日から147kmを投げ、後がない川崎も初日の紅白戦で登板と、実績組の調整は順調にきている模様。名前は充分に揃っているだけに、フルメンバーでローテーションを組めば何人か余るだけの層の厚さがある。ルーキー佐藤ら新興勢力の台頭もあれば、落合監督も嬉しい意味でローテーションに頭を悩ませそう。 リーグ最多の90.90リリーフポイントを挙げたリリーフ陣は、クローザー大塚が抜けても強力な陣容。右で落合、遠藤が軸に立ち、左では日本球界最強のリリーバー岩瀬がいる。この左右の両輪を支えるメンバーも力のある投手が揃い、現時点で大きな穴は見当たらない。大塚の穴は岩瀬で十二分に埋まるだろうが、ルーキーの石川がそこにはまれば鉄壁。八戸大時代はクローザーとして大学選手権ベスト8入りを支えた豪腕で、岩瀬をその前にもっていければ相変わらずのジョーカーとして機能する。そうなると手の付けられない構成になりそうな感。 診断……実績組が復調すれば文句ないレベル。全体的な層の厚さがあり、どこかが多少ほころんでも手当てはすぐ可能というのが強い。唯一替えが利かないのは岩瀬だが、昨期は少なかった完投数が増えれば自然と岩瀬の負担も減る筈。現時点で弱点らしい弱点はないと見る。 <野手分析> 1(左)大西 2(遊)井端 3(中)アレックス 4(右)福留 5(三)立浪 6(捕)谷繁 7(一)筒井 8(二)荒木 8(投) 控え 捕手……中野、田上、小川 内野手……渡邊、川相、森野、高橋、前田 外野手……関川、蔵本、井上 いい加減に「4番・立浪」からは脱却したいところだが、結局は去年も最終的には「4番・立浪」に落ち付いた。開幕4番のアレックスは.294、21本塁打とそこそこの数字を残したが、打点65とチャンスに弱く、打つ時期と打たない時期がはっきりしているムラっ気も4番として気になるところ。とは言え、他にすぐあてがえそうな候補が見当たらないのも事実で、そのことが立浪を4番に置き続けている理由であることは間違いない。 ならば今年は、いっそのこと福留を4番に据えた方がいいのではないだろうか。タイプで言えば3番に近いイメージだが、昨年は34本塁打と見事な長打力を発揮しチーム三冠王。四球78も見事で、出塁率.401はリーグ最高と非の打ち所のない打者に成長した。正直言ってアレックスの打順をどうするか悩むが、「4番・福留」で腹をくくればその辺の調整はできる筈。 荒木の成長度がもう一つで、ファーストやレフトなど、現時点で固定し切れないポジションもあるが、レフトは大西と関川が共に.310超の高打率を記録しており、ムラのある関川が2年続けて好調なら外野の層は厚い。内野の控えはいずれも帯に短し襷に長しという陣容だが数自体は豊富で、どのポジションも応急処置ならいつでもいける状態。 正捕手は谷繁で安定だろうが、昨期は112試合出場に留まり、故障がちになってきた感があるのは気になるところ。かつては古田を上回っていた盗塁阻止率もリーグ5位の.313に落ち付き、そろそろ控えの整備はしておきたい。昨期の控えで最もマスクをかぶったのは柳沢の43試合だが、盗塁阻止率.091とフリーパス状態。昨期は打撃好調で盗塁阻止率.348と谷繁の上だった中野は抜擢しても面白い。 診断……全体的な層の厚さはあるだけに、最大のポイントは、4番を誰にするかということに尽きる。ここの人選で打順の組み方そのものが動いてくるだろうが、現時点では福留を固定するのが最も近道。その間に高橋や筒井が長距離砲として化けてくれればいいが、兆しがなければ電撃トレードがあるかも。筒井は昨期終盤にきっかけを1つ掴んだ感がある。 <総合診断> 投打共に選手層は厚い。覇権を狙えるだけの地力は十二分にあると見たいが、投手陣は主力先発陣の復調、打者は4番の固定と爆弾要素がない訳ではないだけに、キャンプとオープン戦の持つ意味合いは大きい。 落合監督はキャンプ初日から紅白戦を組んだが、キャンプ期間を目いっぱい使って篩いにかける算段だろう。主力ですら安穏とできない緊張感は、川上のピッチの上げ方を見れば伺えるところ。その緊張感がいい意味で持続できれば、阪神との差があっさり引っ繰り返っても笑えないところ。
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