DEAD OR BASEBALL!

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Vol.170 2004年プロ野球戦力診断 日本ハム編
2004年01月30日(金)

<投手分析>
先発……ミラバル、入来、金村、正田、吉崎、関根、押本、隼人、江尻
右中継ぎ……伊達、芝草、武田、櫻井、立石、横山
左中継ぎ……高橋憲、加藤、清水、佐々木
クローザー……建山、ループ

 リーグ2位タイの16勝(11敗)を稼いだミラバルがエース格だが、規定投球回数に到達した13人中最下位の防御率4.65、193回2/3を投げて232被安打でも分かるようにエースの信頼は置きにくいタイプ。チーム防御率はリーグブービーの4.88で、チーム完投数もブービーの6と、先発陣に絶対的な軸は不在という状況。

 色々と悶着はあったが、巨人からトレードで獲得した入来の存在は、そんなチーム状況下では実に大きい。巨人時代は故障と層の厚い先発陣の中で割を食っていた感が強いが、13勝を挙げた01年は2完封を含む5完投を数えているように、1人で試合を牛耳れる能力は現在の日ハム投手陣で群を抜いた存在。うまく1年ローテーションを守れれば、1年でエースにのし上がってくる可能性は充分。

 金村、関根、吉崎と、ある程度の数字を計算できそうな先発候補は揃っている日ハム。昨年はその部分が「もう一つ」という感から出れなかったが、入来が額面通りに稼げれば、3〜4番手辺りとして途端に層の厚さに化けてくる陣容。関根や隼人といった実績組、押本や江尻の新興勢力からもう何枚か上積みは欲しいが、入来が機能すれば途端に底上げされる可能性は現実的に期待可能。

 クローザーを固定できなかったリリーフ陣だが、絶望的に悪い陣容ではなく、伊達と建山が充分な安定感で支えるブルペンは計算が立て易い。今年は恐らく建山が昨期終盤同様にクローザーで開幕するだろうが、ここが違った人材で確立できれば「困ったときの伊達・建山頼み」という切り札が分厚くなる。横浜から移籍の横山は、ハマの大魔神こと佐々木主浩の後継として期待されながらも結局伸び切らなかったクローザー候補。パ・リーグ移籍を期に一皮剥ければ、ヒルマン監督の遣り繰りをこの上なく楽にする筈。

診断……キーマンは先発なら入来、リリーフなら横山の新戦力組。ルーキー押本も含めて爆発すれば、一段も二段も投手力を底上げさせる筈。ある程度の数字を計算しやすい投手は揃っているので、あとは軸を据えることができるかどうか。既存戦力の底上げなら一昨年の新人王左腕・正田に期待。



<野手分析>
1(右)坪井
2(二)金子
3(三)小笠原
4(左)エチェバリア
5(一)木元
6(中)新庄
7(指)島田
8(遊)稲田
9(捕)高橋信

控え
捕手……實松、中嶋
内野手……奈良原、田中幸、田中賢、阿久根、古城
外野手……石本、上田、西浦、森本

 小笠原の一枚看板だった打線が、昨年1年で随分と厚みが出た感がある。移籍1年目から首位打者争いに参戦した坪井、31本塁打のエチェバリア、規定打席には若干足りなかったが.300を打って大化けした木元と、打線の根幹を任せられる選手が固まってきたことで、打線の組み方にだいぶ融通が効くようになってきた。

 日本球界復帰の新庄に注目が集中し過ぎているきらいはあるが、プレーヤーとしての新庄の加入は少なくない恵みをもたらす筈。井出をトレード要員にしたのは新庄の加入を計算してのものだった筈だが、楽な打順で自由に打たせれば、課題とされている打力の方でも数字を残せる地力はある。阪神最終年では28本塁打85打点という立派な数字を残したが、同じ水準の打棒を発揮できれば、下位打線の貴重なポイントゲッターとして打線の厚みをさらに強力にする筈だ。

 ただ、内外野ともにそろそろ若さの注入がないと、近い将来の危機感が現実的なものになってくることも事実。期待されている實松、田中賢、森本らが頭打ちの現状を脱せず、奈良原や島田といったベテラン勢の奮闘が目に付いた昨年は、新興勢力台頭の機運が止まりかけた感もあった。ルーキーの稲田を開幕オーダーから考えてみたが、これはそろそろ若さ注入の爆弾を投下したいというのが狙い。力量的に考えても内野の層を考えても、稲田は1年目からポジションを取れる能力はあるが、そろそろ若手の旗印をチラつかせて刺激を与えてもいい頃合。

 昨年は高橋信が打力で正捕手の座を勝ち取ったが、盗塁阻止率.250を見ても守備力の信頼度はもう一歩という感。横浜から強肩では定評のある中嶋をトレードで獲得したが、パ・リーグでの経験は豊富だけに強力な底上げになりそう。伸び切らないドラ1捕手・實松の大きな刺激という副次効果も生み出しそうだ。

診断……中心打者は強力なだけに、その周辺をどう固めるかというのが課題。新興勢力で固めていければチームの新陳代謝として申し分ないが、ここ数年の伸び率を考えるとそろそろ過剰な期待は寄せ辛い。稲田の抜擢がうまくはまれば歯車が動き出す可能性もあるだけに、この切り替えをどう推し進めていくか、ヒルマン監督2年目の采配に注目したい。



<総合分析>
 投打共に戦えるだけの戦力はある。若手と新加入選手に対する依存度と期待値が大きく、現状ではまだ「そこそこ」という域を抜け切れない感があるが、裏を返せば、シーズンに入ってから戦力層を底上げする伸び代は充分にあるということ。スタートで勢いがつくと、チーム力を徐々に上げながらの快進撃が見られるかもしれない。

 札幌移籍元年になり、色々な意味でチームが変わりつつある日ハム。積極的な戦力補強は、その意欲の裏返しだろう。ならばチームの順位も変えていきたい。くれぐれも悪い意味で新庄一色にならないように。



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