<投手分析> 先発……清水直、ミンチー、小林宏、渡辺俊、小宮山、加藤、小野、薮田、黒木 右中継ぎ……戸部、神田、舩木、山崎 左中継ぎ……川井、藤田、高木、成瀬 クローザー……小林雅 チーム防御率はリーグ3位の4.37とそこそこだった昨期。この成績を支えたのは、リーグ2位の19完投を挙げた先発陣の踏ん張りによるところが大きい。規定投球回数に達したのは清水直、ミンチー、小林宏、渡辺俊の4人で、これは日本一になったダイエーの3人より多いリーグ最多。この4人で48勝33敗だから、この勝率はなかなかのものがある。 リーグ最多の204回1/3を投げて15勝10敗のエース清水直を筆頭に組む先発4人に続くのは、日本球界復帰の小宮山、巻き返しを期す加藤、実績組の小野と薮田といった辺り。小宮山がどれだけやれるかは爆弾要素だが、キャンプ期間でブランクをある程度埋められれば、大勝ちは期待できないにしても7〜8勝程度の計算は確実に立つ。貴重な先発左腕の加藤も含めて、4人に続くのは誰かという競争が機能すれば先発陣は充実した顔触れ。 安定感に乏しいリリーフ陣は、何とか小林雅に繋ぐ形を確立させてきたい。ロングリリーフも可能なタフネス右腕シコースキーを失ったのはかなり大きいが、その穴を埋める人材は現段階では見当たらないというのが正直なところ。川井のように力はあるがムラっ気が強いというタイプが多く、特に右投手に際立った特徴や決め球を持つ投手が見当たらないのが不安材料。欲を言えば新興勢力の台頭が欲しいところで、高校卒ルーキーのサウスポー成瀬は安定したコントロールが持ち味の完成度の高い投手。手薄な左のブルペンにいきなり食い込む可能性はあるかも。 クローザーの小林雅は一昨年ほどの圧倒的な投球を取り戻せるかがカギ。昨期は33セーブを稼いだものの、47回を投げて45被安打、防御率2.87と絶対的な凄みには乏しかった。シコースキーの穴を埋められないまま開幕すれば、1イニング限定という鎖が外される機会が多くなる可能性もある。小林雅を生かす為にもリリーフの整備は重要課題。 診断……先発陣の充実は、小林宏の先発転向に象徴されるように中継ぎの軸を移行させたもの。そこに上積みがなければ投手力全体の底上げにはならない。未確定要素が大き過ぎるが、黒木の復帰がもしあれば再び小林宏辺りを中継ぎに回す余裕ができる。新興勢力がどれだけ出てくるか、待ったなしの勝負。 <野手分析> 1(中)サブロー 2(遊)小坂 3(一)福浦 4(指)李承ヨプ 5(二)堀 6(三)フランコ 7(左)ベニー 8(捕)里崎 9(右)立川 控え 捕手……清水将、辻、田中雅 内野手……渡辺正、原井、西岡、早坂、初芝 外野手……波留、諸積、井上純 アジア記録のシーズン56本塁打を放った“韓国のライオン・キング”李承ヨプばかり話題に上がるが、額面通り56本塁打でも放ってくれなければ、得点力不足を解消するきっかけにはならない。かつては弱点とされていたインハイをうまく打てるようになったとは聞くが、.280、30本塁打ぐらいを計算できれば御の字という気がする。戦力アップには間違いないが、それだけでリーグブービーの628打点という問題を解消できるとも思えない。 昨シーズン前に退団したローズの穴を埋め、.302、32本、100打点という立派な記録を残したフェルナンデスが西武に移籍。ポッカリ空いた4番に誰が座るか、というのがポイント。昨期終盤は堀が座ったが、堀の成績にムラがあることを考えれば、年齢的にもそれで解決する訳でもない。恐らく今年も新外国人選手が収まりそうだが、和製4番の候補がほとんど見当たらない以上、いくら福浦が安定して.300を打っても計算が立たない怖さが先に立つ。 もし新外国人がピタリはまれば、去年のように主軸にはある程度の格好はつく。ただそうなれば、今年もリードオフマンをどうするか、という問題が再浮上してくるのも事実。昨期はシーズン中盤から井上純が頑張ったが、伸び切らないサブローや喜多も含めて決め手が弱く、主軸候補同様に帯に短し襷に長し。内野全体の手薄さを考えれば、若い今江や西岡の抜擢は意外に早いかもしれない。 捕手は名前こそ多いが横一線。昨期は持ち味の打撃で里崎が躍進したが、マスクをかぶったのは清水将の方が多かった。盗塁阻止率でも上の里崎が暫定正捕手という感だが、田中雅の加入で正捕手争いはさらに激烈になりそう。投手陣の為にはできるだけ早く固定してもいいが、今年1年は更に面白い競争が見られそうだ。 診断……新外国人頼みのクリーンナップだが、現時点では固定するのが難しそうなリードオフマンと相俟って、折り合いを付けるのに頭を悩ませそう。メンツはそこそこ揃っているが、爆弾要素と決め手の弱さが尾を引けば思い切った抜擢があっても笑えない状況。バレンタイン監督の用兵に注目したい。 <総合分析> 充実した右の先発陣以外は、総じて帯に短し襷に長しという状況。新戦力への期待値は軒並み高いが、裏を返せば高く設定しないと厳しいというのが本音だろう。オーダーを組む以前に、まず選手の適材適所を洗い直すことからバレンタイン監督は始める必要があるかも。 今年も不安要素が強いのは打線の方で、投手は状況的には磐石と言えない中でも軸がある。去年も同じことを書いたが、こういう状況なら新興勢力にとってチャンスはあちこちに転がっている。主力の平均年齢が若干高いだけに、思い切った切り替えがあれば予想以上にはまる可能性も。
|