DEAD OR BASEBALL!

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Vol.128 2003年プロ野球戦力診断 日本ハム編
2003年02月13日(木)

<投手分析>
先発…金村、正田、ミラバル、シールバック、隼人、江尻、武田、関根、岩本
右中継ぎ…伊達、建山、芝草、武藤、伊藤
左中継ぎ…佐々木、山口、清水、加藤
クローザー…井場

 岩本・関根というかつてのエース級が下降期に突入し、タフネス左腕の下柳は阪神にトレード移籍。その分は正田の台頭、ミラバルとシールバック両外国人の活躍、隼人の成長で補った感。かつての最優秀防御率投手・金村も、1年間ローテーションを守って唯一の2ケタ10勝を記録。世代交代が思ったよりもスムーズに進んだなという印象で、この中に江尻や武田の参入があればそこそこ計算できる陣容。

 軸不在の中継ぎ陣も、阪神から伊達を獲得して厚みは出てきた。もともと悪いというほど悪い陣容ではなく、伊藤・佐々木・山口という辺りがもう一皮剥けてくれれば、やりくりでも1年は凌げそう。伊達は阪神では使われ方が中途半端な感もあったが、セットアッパーで固定されれば面白い存在。心機一転、いきなり中継ぎの軸になってもいい。

 クローザー候補は井場ぐらいしかいないのだが、昨期の井場は被本塁打率の高さで防御率を落としたものの、奪三振率の高さや被安打率の低さは注目すべき点。もともとはガッシリした体格から見にくく重いストレートで勝負するタイプ、一つ掴めばクローザーとして大化けは望んでいい素材。

 20歳台を中心に投手の数自体は揃っている。あとはシーズンの中で軸となる投手を作りたい。先発なら正田、中継ぎなら伊達と佐々木が候補。江尻・山口といった昨年のドラフト上位組が台頭すれば、投手事情はかなり楽になる。

診断…弱体投手陣という印象のあったチームだが、投手の質や数自体はそこまで悪くない。いいイメージが湧かないのは、エースとして抜きん出た存在がいないからかもしれない。年齢的に誰が化けてもおかしくないという構成で、この中から誰が抜け出してくるかという楽しみはある。



<野手分析>
1(遊)田中賢
2(二)金子
3(一)小笠原
4(指)エチェバリア
5(左)坪井
6(三)田中幸
7(右)森本
8(捕)實松
9(中)井出

控え
捕手…山田、鶴岡
内野手…木元、林、小田、奈良原、小谷野
外野手…クローマー、石本、紺田、藤島

 ビッグバン打線という冠名はいい加減下ろすべき時に来ている。小笠原1人が飛び抜けているが、小笠原と捕手の實松以外のレギュラー争いはダンゴ状態。オバンドーの抜けた4番も相変わらず新外国人への依存度が高く、オーダーを組む段階で難儀するというのが正直なところ。

 これはチームが新旧交代の端境期にドップリはまり込んでいる状態と見ていい。投手陣に比べると戦力の段階的な移行がうまくいかなかったという印象で、ビッグバン打線は外国人選手の活躍抜きにしては成立しなかったということの裏返し。外国人選手が活躍しているうちに次代の備えを整備できなかったのだから、これは今からどうにかしていくしかない。

 とは言え、今年の新加入選手で期待を寄せることができそうなのは、阪神から移籍した坪井ぐらい。ここ数年は故障に泣かされているとはいえ、ルーキーイヤーに新人最高打率.327を記録した打力は衰えていない。かと言って、クリーンナップを任せるというタイプでもないことも事実。坪井を6番ぐらいに置くのなら、森本や田中賢といった若い力の爆発が欲しい。

 ヒルマン新監督は、ヤンキースのコーチ時代に培った攻撃的な走塁を、徹底的にチームに浸透させようとしている。それならば、小田・野中・飯山・佐藤といった足を武器にできる新興勢力の抜擢も充分に考えられる。変な先入観をヒルマン監督は持っていないだろうから、もしかしたら今年でチームカラーがガラリと変わるかもしれない。要注目。

診断…小笠原以外の中軸を固めることが大きな課題になるが、その為には若い戦力の爆発は何枚だって欲しい。そもそも長距離砲タイプの選手が少なくなったのだから、徹底的に走るチームへ体質を変えることも一興。



<総合分析>
 若さに期待がある投手陣に、若さ欠乏症に陥りつつある野手陣。投手には前向きな不安が持てるが、野手は逆に後ろ向きな不安が多い。既存戦力に頼れない上、若手も帯に短し襷に長しだからだ。

 キーワードは“脱ビッグバン打線”。ヒルマン監督は、恐らくビッグバン打線という言葉には全く反応しない筈。キーマンは田中賢、森本、ルーキー紺田といった辺り。田中賢や森本は、期待に反比例してここ数年足踏み傾向が続いているのが気になる。そろそろ結果を出し始めないと、チームカラー変革のきっかけをオジャンにするかも。



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