DEAD OR BASEBALL!

oz【MAIL

Vol.126 2003年プロ野球戦力診断 福岡ダイエー編
2003年02月11日(火)

<投手分析>
先発…星野、田之上、山田、和田、寺原、斉藤、杉内、新垣、小椋
右中継ぎ…飯島、水田、永井、吉武、倉野
左中継ぎ…吉田、篠原、渡辺、松
クローザー…岡本、スクルメタ

 昨期の規定投球回数到達者が若田部、田之上の2人だけで、防御率・勝利・勝率・奪三振のチーム四冠王だった若田部がFAでチームを去った。唯一の2ケタ投手(10勝8敗)を失ったということで、普通のチームなら一気に屋台骨が揺るぎそうな気もするが、ダイエーの場合はそういう気がしてこない。

 山田・寺原・斉藤・杉内・小椋と、若さと大物感溢れるエース候補が居並び、さらに今年はそこに和田と新垣が加わる。完投能力も充分に持っている陣容で、先発が足りないという事態には、余程のことがない限りは陥りそうにない。それを支える星野、田之上もそれぞれ29歳と32歳。まだまだ老け込む年ではないどころか、最も脂の乗ってくる時期。

 吉武・永井が年齢の割に伸び悩んでいる点、左中継ぎ陣の高齢化、ペドラザの後のクローザー候補に一抹の不安はあるが、勢いのあるサイドハンド飯島に活躍できる目処が立ち、篠原も一時のキレ味を取り戻しつつある。岡本がクローザーに返り咲ければ、一応の算段は整う陣容。

 若さ故の怖さはある。正直なところを言えば、先発の中にプロで実績らしい実績を残した投手の数は少ない。近年、即戦力候補として入団した選手が伸び悩むという、嫌なジンクスもある。しかし数自体は整った。力の絶対値で言えば、西武投手陣とまではいかなくても、それに近いレベルの力量は持っていると見たい。

診断…将来性充分の投手陣は、怖さもあるがそれ以上に楽しみも大きい。今年は和田と新垣に注目が集まっているが、山田と杉内の巻き返し、寺原の伸び率の高さにはしっかりと目を配っておくべき。昨年ウエスタンで最多勝の左腕小椋も、伸び悩み傾向はあるが殻を破る気配が出てきた。



<野手分析>
1(中)高橋
2(右)柴原
3(左)バルデス
4(三)小久保
5(一)松中
6(捕)城島
7(二)井口
8(指)大道
9(遊)川崎

控え
捕手…大野、的場
内野手…鳥越、田中瑞、中村、吉本
外野手…村松、出口、大越、松田、荒金

 破壊力のある打線は今年も健在だが、昨期は城島と井口が故障で長期離脱し、そのことが優勝を逃した一因に数えられた。名前は揃っているが、小久保や松中が常に爆弾を抱えた状態でプレーしていることも含めて考えれば、フルメンバーで1年間戦うというのはあまり計算できないというのが本音。

 ただ、万全の状態で開幕を迎えられれば、怖い打線だということは間違いない。主力が軒並み30歳近くになり、体調さえ万全ならばそろそろチームは円熟期を迎える。次代の備えが必要な時期にはなってきたが、今年に限ればまだまだ老け込んだという印象はない。

 主力が故障すれば、大野・中村・荒金という辺りの台頭があるかも知れない。昨期で川崎と高橋が一軍定着の足掛かりを掴み、循環そのものが停滞した訳ではないということを印象付けた。田中瑞や吉本に一軍昇格のチャンスがあれば、その循環はさらに加速していく筈。

 実はオーダーを組む上で1・2番を誰にするか悩んだ。出塁率の低い柴原を切り込み役で使うよりは、昨期終盤にシュアな打撃を見せた高橋、俊足の川崎を使った方が面白いかもしれない。

診断…投手とは逆に、名前の上での計算は立つ。ただし、この主力メンバーで1年戦えるという保証は、他球団よりも乏しい気がする。新興勢力の台頭への期待値は大きいが、まずは何よりも主力が長期離脱なく戦うことが今年は先決。松中や柴原の巻き返しがあれば、打撃成績リーグ1位を奪還することも現実的。



<総合分析>
 投打が噛み合えば、依然優勝候補に挙げられるチームであることは間違いない。実績のない若手投手の台頭、実績のある円熟期の野手の安定した活躍があれば、一角崩しどころか筆頭格に挙げられても不思議ではない地力は持っている。

 何より心配なのは、チーム事情よりも本社の問題。若田部を無理に引き留めなかったのは、今年の戦力に算段が立ったということと同時に、余計な出費は抑えたいという企業論理。パ・リーグ断然の観客動員数を誇る球団、くれぐれもヘンなことにはならないでください。



BACK   NEXT
目次ページ